タレントマネジメント成功の秘訣として「組織全体の戦略と、達成したい目標を明らかにすることが重要」とあるが、経営層の複数名に話を聞くと、人によって違うことを考えているようである。この場合、どのように進めていけばよいのか?
経営陣もそれぞれ自身の責任を果たすべく仕事をしていますので、聞き方によっては異なることをいうのは当たり前です。少し心配なのは、人事部長であるご質問者様が自社の経営戦略、事業戦略をわかっておらず、経営陣に話を聞いたら、人によって答えが違って困っているというこの現状です。ご質問から判断すると、貴社の人事部は日々発生する人事に関する諸問題を解決する部署であって、計画や戦略にそって組織を作ったり、人材を育てたりする部署としての機能をお持ちではないのでしょう。
タレントマネジメントを検討される前に、人事部の役割を改めて定義されることをお勧めします。そのうえで、企業戦略のための組織人事を担う部署となった場合は改めて経営陣にヒアリングしてください。
まずは社長に経営戦略を聞き、次に各事業トップに事業戦略を聞いてください。矛盾や問題点を発見したら、徹底的に質問し、納得いくまで何度でも話を聞いてください。人事部長が会社の戦略を正しく理解しない限り、組織人事戦略を作ることは不可能です。組織人事戦略がなければタレントマネジメントは存在しません。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員