キャリア開発におけるアセスメントの活用方法について、なるべく具体的に教えてください。
会社が従業員のキャリア形成を支援する上でアセスメントをどのように活用するかについて説明します。
キャリア開発プロセスは以下の通りです。
- 深い自己理解によるキャリア目標の定義
- 会社、仕事、職場、その他会社が提供可能な環境とキャリア目標との関係の明確化
- キャリア開発の方策と計画の決定
- 具体的な活動支援
1から3まではキャリアカウンセリングによって行います。まずはキャリアカウンセラーを準備します。人事権があり、会社全体の業務をよく理解している内部の人であることが望ましいです。それは、2と3を検討する際に会社のことがよくわかっている必要がありますし、人事異動が必要となる可能性が高いからです。
キャリアカウンセリングの前にカウンセリーにアセスメントを実施します。価値観のアセスメントは必須です。キャリア目標は価値観と密接に関連しているからです。当社のツールであればValues@Work(ヴァリューズアットワーク)をご利用いただけます。併せて、コンピテンシーをとらえるため知的能力とパーソナリティのアセスメントを実施してください。キャリア開発の方策は、主に研修や異動によって行われます。本人のコンピテンシーにおける強み弱みを把握できれば、研修で何を強化すべきか、適したポストなどがわかります。
カウンセリーがアセスメントを実施したら、カウンセラーはその結果を取得し、結果を解釈してカウンセリングに備えます。もちろんですがカウンセラーはアセスメントに関するトレーニングを受けていることが前提となります。解釈を誤ればカウンセリーの人生を台無しにする方策にむかってしまうかもしれません。
そして、本番のキャリアカウンセリングを行います。通常のプロセスにアセスメント結果のフィードバックを織り交ぜながら、深い自己理解を促してください。そのうえで、ありたい姿が明確になったら、会社がどのようにキャリアをサポートできるかについて対話します。このカウンセリングで、キャリア開発計画の作成まで到達できれば最高です。一度に進めることが難しければ複数回カウンセリングを実施しましょう。
キャリア開発計画を所属部門のトップと人事で共有し、異動および研修の計画を立案します。速やかに具体的な施策が実行されなければ、社員は会社が本気で自分のキャリアを支援する気はないと判断します。そうなってしまっては逆効果ですので、対話したら必ず具体策を打ってください。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員