GABを社員に受けさせたところ、知的能力総合の平均値が新卒採用合格者の平均値よりも低くなりました。これは社員の知的能力が低いと捉えていいですか?知的能力は年齢によって低下するものですか?
もう少し細かくデータを調べないと何とも申し上げられませんが、今回GABを受検した社員集団と新卒採用の合格者集団を比べると新卒採用合格者集団の方が知的能力検査の得点が高い可能性はあります。あくまで、二つの集団の比較によるものであり、社員集団の知的能力が一般集団と比較して低いかどうかは判断できません。
知的能力と年齢との関係については様々な研究がなされています。ホーンとキャッテルが提唱した結晶性知能と流動性知能は、知的能力と年齢について理解する上で重要な指摘をしています。結晶性知能は経験によって学ぶ知能です。語彙、理解、洞察などが含まれます。流動性知能は新しい情報を獲得し素早く処理するための知能です。法則の発見、処理スピード、図形操作などが含まれます。
ホーンとキャッテルは、流動性知能は20歳程度をピークに低下していく一方で結晶性知能は20歳以降も上昇するとしました。
知的能力には年齢によって低下するものと年齢に関わらず上昇・安定するものがあるのです。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員