「ただの管理部門としての人事ではなく経営に寄与できる人事へ」と役員から提言があった。何から取り掛かればいいか?
「管理部門としての人事から事業戦略に貢献できる人事へ」と人事の役割が変化していると言われていますが、まずは御社では具体的にはどういうことを求めているのかを役員さんを交えて話し合い、役割を定義することです。
実際のところ、企業が日々の事業を継続していくうえでは、管理業務がなくなることはありません。ただ従来のような終身雇用制や年功序列を前提とした組織は崩壊しつつありますので、人を管理し動かすことが人事部門の主業務という時代も終わりつつあります。また管理業務にもどんどんAIが導入されています。管理業務は、本社人事の手から離れ部門人事に移管されていくことになるでしょう。採用面では、ジョブ型雇用の考え方が進み、企業側にも新卒採用で総合職採用して長い期間をかけて教育、研修を行い企業人として育てるという余裕はいまはありません。中長期的な事業構想に沿ってどのような組織体制、人材体制を組んでいくか、そのために必要な人材に求められる要件は何かを見極め、新卒、中途、ヘッドハンティングなど幅広いルートから必要な人材、即戦力人材を確保することも必要です。
総合職の職務経験のひとつとして、全社的な知見を学ぶために優秀な人材を何年か経験させるということが普通だった本社人事部門でも経営課題、HR課題に通じる専門的人材を配置する比率が高くなっていくでしょう。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長