不正をしない経理担当を採用したいです。どんな手法が考えられますか?また適性テストは有効でしょうか?
経理担当者が引き起こす不正行為について適性テストで事前にチェックすることはほぼできません。不正経理や横領などの不正行為をした原因が、ギャンブルや多大な遊興費、投資の失敗など個人的理由が多いですが、一方でそうした人が不正行為を誘発しやすい環境に置かれている場合も多いのです。不正行為を産み出すようなリスクのある社内の管理システムの不備や特定の人に依存するような業務分担の現状を洗い出して、不正発生の余地をなくす努力をすべきでしょう。
もちろん長期間同じ業務を任されていても、不正など起こさない人の方が多いですし、業者との取引でも正しい付き合い方をしている人の方が普通です。人は性善説にたっても性悪説にたっても管理しきれません。どんな人でも誘惑に負けそうになるものという性弱説にたって考えましょう。定期的に担当替えをする、業務内容が他者からもわかるように見える化する、こうした対策が必要です。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長