自律型キャリア支援といった思想を良く聞きますが、なぜこのような機運が高まったのでしょうか?
日本国内の少子高齢化等による働き方改革への促進や企業側の生産性向上に対する考え方の変化などいろいろな見方があると思いますが、「企業と働く個人の関係性が変わった」ということでしょう。
有名な大企業に入社すれが一生安定的な人生を送れるとはいまは誰も考えていません。
「VUCAの時代」どんな仕事についても、自ら学ぶ姿勢を持っていなければキャリアアップすることなどできませんし、企業側もぶら下がり社員を65歳過ぎまで抱える余裕などありません。
自ずと、自分で将来の仕事像をイメージしながら自律的に学べる環境に身を置く、企業側もキャリア支援という形で自律型キャリア支援を通じて自社の人材の戦力アップを図っていくという方向になってきている訳です。
ただ、企業側が全社員を対象に行うキャリア支援であっても、特定の層を対象にしたキャリア支援であっても、社員と企業双方がWin,Winの関係になるかどうかはわかりません。
優秀な人材であればあるほど自分の市場価値を高め、ある時点でスピンアウトしてしまう可能性もありますし、キャリアアップに結果的についていけなかった社員がそのまま居残ることにもつながりかねません。
変化が激しいIT業界でも既存社員に向けてDXの再教育を行い業務をシフトチェンジするといった企業がありますが、本人が望まないかたちでのキャリア支援が行われないとも限りません。
ジョブ型雇用へのシフトも進んでいきますが、企業側のリードではなく、個々人が得意とする分野でいかに自律的にキャリアを積んでいくかという考え方が必要になるのでしょう。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長