キツイ仕事を始めてもいないのに早期退職してしまう社員がいます。新聞でもゆるい環境を嫌う社員が増えているという記事がありました。どうやって接すればよいのでしょうか。
リクルートワークス研究所が大手企業の若手社員に対して2022年3月に実施した調査(2022年5月20日ホームページ掲載)では、従業員1000名以上の大手企業に入職した大学卒以上の1~3年目の新入社員のうち、36.4%が「ゆるい職場」と感じており、早い段階での退職を考えている層になっているということです。最近の関連の記事では、ゆるい職場の定義を改めて明確にすれば、「若者の期待や能力に対して、著しく仕事の質的な負荷や成長機会が乏しい職場」であるとしています。
いかがですか。単純に上司、先輩の指導が甘いということではありません。
個人的には、本当にゆるい環境を嫌う社員がそんなに増えているのかと思います。確かに優秀な人材ほど、こんな生ぬるい環境では自分は成長しないと抜けてしまうといいますが、そんなに簡単に環境のぬるさを見抜けるものなのかとも思います。優秀な人材なら入社するまえに見抜けるはずでは?とも。
会社側は、「最近の若者は……」「Z世代は……」「コロナ禍世代は……」という世間の声を気にしすぎないことです。
辞める理由は、個人により様々なはずです。もちろん早期退職者が多数続くようであれば、それなりの共通原因がありそうですので、見直しが必要ですが、基本は個々人のパーソナリティ、コンピテンシーを理解したうえで個別に柔軟な対応ができるかどうかではないでしょうか。石の上にも3年、新人は丁稚奉公のようなもの、先輩のみよう見まねでいいといった一括りの指導法では、ついてきてはくれません。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長