最近の学生を見ると、内定承諾をしてからの辞退が多い。内定出しをする前に、承諾してくれそうな人をしっかりと吟味しないといけない印象を持っているが、意欲形成する方法や見極める方法はあるか。
現状ではインターンシップ参加から実質的に就活が始まっています。学生側にもその意識が強く、選考エントリーもインターンシップに参加した企業中心で、3月からの各社の会社説明会解禁後も従来ほど参加社数を増やしません。あくまで自分に合った企業との出会いを前提にして業界、業種の絞り込みもあまりおこないません。選考も地域的な距離が関係ないオンライン中心で、社員との接点もオンライン上がほとんどとなります。こうした状況から順調に選考が進む企業群からまずは内定を確保しますが、インターンシップ実施から選考を早めに進める企業群、政府日程ルールから最終面接が遅い企業群が重なって五月雨式に選考中状態となるため、優秀人材ほど複数社内定状況となり最終的に1社に絞った段階で内定辞退が起こります。従来のように大手企業の採用が落ち着いてから中堅企業が、さらにその後に中小企業が採用に動くというように時期に応じて学生側が内定承諾先を決めていくといった流れがありません。
こうした傾向を踏まえて考えると企業側は選考中から内定出し後までつねに学生側への意欲形成を高める意識をもって接する必要があるということです。同業や同規模他社との内定出し競争に勝つという発想では学生を納得させられません。あくまで個々の企業としての魅力を伝えていかなければなりません。今後は、承諾をしてくれそうな人かどうかを見極めることに労力を使うのではなく、合格基準に達した人の中で納得して承諾してくれた人から正式な内定出しをしていくというスタイルになっていくということでしょう。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長