社内公募制(異動希望)を導入検討中です。押さえておくべき、ポイントがあれば教えて下さい。
総合職採用からジョブ型採用の流れが進み、多様な働き方への意識の広がりもあり、社員自身がキャリアについて考える時代になっています。
これまでは会社側が全社的に適正な人材配置を行うために本人の意思に関係なく異動を行ってきましたが、近年は本人が希望して手を挙げられる社内公募制を実施する企業が増えてきています。社内公募制のメリットは、希望すればやりたい部署で仕事ができるということで社員のモチベーションがアップすること、異動ができないなら社外に出ていこうと考える社員が社内でも挑戦できるとういうことで定着性がアップすること、優秀な部下に抜けられては困るということで管理職が部下に対して接する場合もよい緊張感を保てることなどがあげられます。一方で、公募制に不合格になった部下のモチベーションが下がる、合格して部下が抜けた場合にその部員の補充が保証されていないので管理職が後ろ向きになる、応募希望が偏る部署が出ることもあり全社的に不都合が生じる、応募情報が洩れ管理職と部下の関係が悪くなる、多数の応募者が出た部署の管理職への評価が下がるリスクがあるといったデメリットが指摘されています。
こうしたメリット、デメリットを十分に考えて検討をすべきです。
そのためには、公募制の目的を明確にし社員全員に説明すること、応募ルール、合格判断基準を明確にしておくこと、応募情報の取り扱いに厳重に注意すること、合格者・不合格者へのフォローをしっかりと行うことなどが必要です。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長