叱責したくなるようなことがあってもパワハラにならないよう言い方に気を配るため、結果的に部下からは「軽い」指摘として捉えられている気がしています。重大なことと認識させるためにどのように伝えていますか。
厳しい指導、叱責、パワハラ、これらの違いは、実際のところ難しい部分もあります。叱責であれば、責任の所在をはっきりさせ反省を促すということですが、その言葉使いが乱暴であったり、罵倒するような言い方であればパワハラとなります。
しかし、言葉遣いに気を使って回りくどい言い方になるようでも困ります。
「軽い」「乱暴な」ということではなく、同じミスをしたら大変なことになる、こういうことが大きな事故につながるといった指摘すべき内容をきちんと伝えられるかどうかということでしょう。そのためには、指摘したい具体的な事実を挙げ、その影響がどのようなものであって重大であるかを説明することです。
パワハラ防止研修で言われているように、皆の前で指摘することは相手に屈辱的な気持ちを与える可能性がありますので注意しましょう。
なお叱責したいという場面でも即時反応しないことです。まず相手からなぜそういうことになったのかを説明させましょう。そのうえで、生じた原因と、このことがどのような結果になるかをということを相手と一緒になって考え、ことの重要性を理解させることです。
部下に改めて反省文と改善案を提出させるなど時間を置くこともフィードバックとなり有効です。丁寧に論理だてて説明すれば、相手も理解してくれると考えて下さい。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長