富士通が新卒一括採用を廃止し、通年採用に統一するというニュースが流れましたが、他の大手企業も追従すると思いますか?
富士通のこのニュースは大きな反響を呼んでいるようですが、すでに他社でも同様な流れは出てきています。通年採用型へのシフト、ジョブ型採用枠の拡大、中途採用枠の拡大などの大手企業の流れです。
背景には、少子高齢化の中で、初任給値上げ競争に表れているように、総合職、専門職で一律の給与体系での新卒一括採用では優秀な人材が確保できなくなっているという現状がありますが、加えて企業の事業変革のスピード感が加速していく中で、イノベーション人材をいかに採るかが企業の今後の成長に関わってくるという人材戦略の転換、危機感があるからです。製造業界特に電気機器・通信業界ではハードからソフトへの事業構造の変革が進んでいます。既存社員にリスキリングを実施し配置転換を行っていくことも必要となってきています。富士通のような大手IT企業では、他社もこうした流れになってくるでしょう。
ただ、通年採用やジョブ型採用にはデメリットもあります。通年採用にすれば、一括集中型採用より企業側の採用業務の負担は時間面、コスト面で当然増えますし、ジョブ型採用となれば会社都合での部門間での配置転換が難しくなり人材配置の柔軟性が薄くなる面もあります。
こうした点も踏まえながら各企業が工夫を凝らして対応していくことになるのでしょう。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長