今後5年以内に、AIによって大きく変わると予測している人事業務はありますか?
5年以内かどうかはわかりませんが、加速度的に変わっていくのではないでしょうか。人事業務も含めて事務的業務では、定型的な業務が対象になります。人事業務でいえば、採用管理、評価、育成における定型業務です。特にデータの蓄積と分析を生成AIが担うようになれば、判断材料をAIが提供することになるので、採用選考での初期選考の自動スクリーニング、面接スケジュール管理、スキルや適性のスコア化、配属、配置案の作成、個々人に合った育成プログラムの振り分けなどが考えられます。もちろん、人材の価値を見抜く、組織全体を動かすといった人事の本質的な仕事は残ると思いますが、AIによるマッチング精度が向上していけば、自動化は各業務で幅広くすすんでいきます。
社員のエンゲージメント向上についての業務も重要になっていますが、こうした業務の場面でもチャットやメールなど社員の日常的な発言や社内アンケートを分析して、その組織の温度感を可視化できるようになってきています。
早期離職の可能性を予測したり、異動先への適性度合いを測定することもできます。
人事戦略と人材配置のシミュレーションにも活かされていくことでしょう。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長