2~3名の役員が、上級役職者の任命をすべて決めている。「客観的で妥当な根拠が見当たらない」と、社員から不信・不満の声が増えている。根拠を少しでも良いので開示してもらいたいが、どうすればいいか。
役員が、自分の担当部門の上級役職者の任命を主導することは当然です。担当する事業部門の成長に貢献できる人材を選ぶことですから。
人事担当役員や関連部門の担当役員と複数人で意見交換をしながら決定することもあるでしょう。任命権は経営陣にあり、社長が最終的に決定すべきものですから、個人別に任命理由をすべて開示して下さいという要求は通りづらいでしょう。
問題は、任命経緯があまりに不明瞭で、特定の役員だけで全社的な任命を決定し、結果だけを下に伝えていると社員が感じるような場合です。
個人ごとに客観的で妥当な根拠を示せるものではありませんが、どのようにして候補者を決めているのか、任命にあたりどの点を評価しているのかという任命のプロセスをきちんと示すべきでしょう。
候補者に対しては、必要なスキルをこのように考えている、選抜にあたってはアセスメントを実施してその結果と本人との面談で決定している、などといったプロセスを見える化するだけでも、社員の不信感が減少するはずです。
任命の透明性が低いと、選ばれた人も周りの声を気にしてやりづらいですし、モチベーションもあがりません。
「だからあのポジションにあの人が選ばれたのだ」ということが明確になれば、その人のリーダーシップが発揮しやすくなるはずです。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長