ミスを叱ったら「パワハラ」っぽいと言われ、叱らなければ「放任」って…もう何が正解なんでしょうか?
よい質問ですね。
「パワハラ上等じゃい!」と言いたくなる気持ちはありますが、それは答えになりません。
まず、ミスを叱ることはパワハラではありません。
世の中には「何でも褒めて育てよう」とする、ある種の“病的マネジメント”を行う人もいるようですが、ミスを放置することは本人の成長を妨げ、組織にとっては将来的な大事故のリスクになります。
また、ミスを放置することは周囲の士気を下げる原因にもなります。
同僚はこう思うでしょう——
「なぜあれだけ迷惑をかけても叱られないのか?」と。
そうした不公平感はチーム全体の精神衛生を悪化させます。
一定のラインを越えたら必ず叱る。それを続けることで、やがて誰もそのラインを越えなくなる。ここにこそマネジメントの本質があります。
叱らなければ「放任」というのも違います。
マネジメントの基本は「放任」ですが、それはその人を信頼した上での話です。
信頼して放任することと、ただ勝手にやらせるのとは、似て非なることです。
過剰なフォローで相手の自立を奪うのは、最もやってはいけないこと。
かといって放置も違う。
必要なのは、適度な距離感で見守り、必要なタイミングで手を差し伸べる姿勢です。
人材育成は植物の栽培に似ています。
日光を浴びせ、水を与え、あとは見守る。
水をやりすぎても、葉を手で広げても、植物は育ちません。
人も同じです。
このコラムの担当者
三條 正樹
日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役