リテンション施策に適性検査を活用できたらと考えています。リテンションに適性検査を利用するメリットと注意点をご教示ください。
最大のメリットは職務や組織との相性を客観的に把握できる点です。パーソナリティや価値観の情報は、社員のキャリア開発において有効な情報となります。例えば、営業職で成果を出している若手社員が、実は営業よりもマーケティングへの関心や適性を持っている場合、早めにキャリアの選択肢を提示することで離職リスクを下げられます。また、組織文化と本人の価値観、職場環境とモチベーションリソースの適合度を適性検査から把握し、本人の働きやすい環境についての対話をすることで、エンゲージメントの向上が期待できます。検査結果の分析から離職者傾向を把握し、採用基準や育成方針の改善に活かすことも可能です。
注意点は、検査結果から辞めそうな人にラベル付けをしてはならないということです。ラベリングによって上司の態度が変化すれば、従業員の心理的安全性は損なわれます。また、社員に対して適性検査実施の利用目的と結果の開示範囲を丁寧に説明し、納得感を得ることが不可欠です。
このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員