コラム

続・人事部長からの質問

2010/03/25Q.437

思い切って権限委譲したい、だが、任せるのに不安もある。権限委譲が上手なマネジャー、経営者とそうでない人の違いとは?

私のまわりを見渡してみて、権限委譲が上手くいくケースには二つのパターンがあるようです。一つは、部下を育てるには当然権限の委譲が必要であり結果は自分が責任を負うからと上司が思い切って委譲してみるという理想的な場合。もう一つは、上司が新規の案件、事業に携わることばかりに目が行き、少々下地ができると後は任せたと部下に引き継いでしまう場合です。実は後者の場合は本人は権限を委譲しているつもりがそれほどなく、むしろ押しつけており本当は権限委譲ではないのですが、引き継いだ部下が優秀で、あたかも権限を委譲されたかのように担当業務をうまく遂行し、結果としてうまく行くケースです。部下の自立育成と継続的な支援という権限委譲の本質からみると外れてはいますが、委譲される側にもポイントがあるということです。

うまくいかない上司は、自分の今の役職=(イコール)一定の権限を有する特権者、と考えるタイプの人です。役職(肩書)があるから権限がついてくるのであって、権限を委譲してしまっては、自分の存在価値、まわりからの評価が役職以下にさがってしまうと考える人です。言いかえれば、権限委譲が上手いか下手かは、委譲後の自分の評価をどう考える人かによります。経営者や上級管理者は権限委譲後の結果について成果主義的評価をされます。これを気にし過ぎて自分が委譲した後の結果について自信が持てない人は思い切った委譲ができません。確かに初級幹部のように委譲後の結果が伴わなくても部下にとっても良い管理者経験になるといったように許されることもありませんが、逆に、いつまでも権限委譲をすすめなければ、自分の仕事の領域が停滞し、かえって評価が下がるはずです。なお往々にして自分が権限委譲をされた経験のある人は、自身も早めに委譲できる組織を作っていきます。

奈良 学

このコラムの担当者

奈良 学

日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長

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