よく面接や自己PRに学生時代に打ち込んだことを聞く採用担当がいますが、いったいそれから何を確認しようと思っているのでしょうか?評価の対象にするのがアンフェアな気もするのですが。
一般常識のように行われていることをアンフェアであるとか、どこかおかしいと感じるのは感性が発達している人の特徴です。
特定の人に対して差別的な扱いをすることがアンフェアですので、質問者は学生時代に打ち込んだことがない人が差別的に評価されることが違和感につながっていると思われます。学生時代に打ち込んだことがなくてもやる気があるのだからいいじゃないかという主張です。
学生時代に打ち込んだことを聞くことはフェアであるという視点に立ってみましょう。学生時代に打ち込んだことがある人は、何かに打ち込む能力がある人の可能性が高く、打ち込んだ経験を詳細に聞くことによって、仕事に求められるコンピテンシーの評価も可能だ。したがって、学生時代に打ち込んだことを聞くことによって適性を評価することは妥当である。
フェア派とアンフェア派の違いは、過去の行動から未来の行動は予測できると考えるか、できないと考えるかにあるのではないでしょうか。
主観的な議論をしていても解決できません。学生時代に打ち込んだことを聞く面接と聞かない面接を実施し、聞く面接で合格したグループと聞かない面接で合格したグループの入社後の職務評価差を統計的に調べれば決着はつきます。
一般的には、早期退職の多い業種や職種の場合、過去の経験からコンピテンシー評価するよりも価値観や志望意欲を評価するほうが定着性のよい人材が採用しやすく、定着のよい業種や職種の場合、過去の経験からコンピテンシー評価をするほうがパフォーマンスのいい人材が採用しやすいようです。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員