よい適性テストに求められる条件とは「妥当性・信頼性の高さ」以外に何が挙げられますか。
標準性と使い勝手の2つがあります。
標準性は正しく相対化できる度合いのことです。グループのなかにおける位置を的確に示すことができるかどうかをあらわす概念です。
標準性を確保するためには、2つの条件が必要です。1つ目は何の基準で比較するかです。身長か、体重か、計数テストの得点か、英語テストの得点か、いずれにせよ比較対象となる基準が必要です。
2つ目はどの集団と比較するかです。全人類と比較するのか、日本人と比較するのか、大学生のみなのか、年齢は、性別は、など比較集団を限定しなければ相対化できません。
高いレベルの標準性を持つテストは、しっかりした標準化データを持っています。どういった対象の何人が基準グループとなって標準得点(偏差値、標準点等)が算出されているかについての説明を求めるとわかります。
使い勝手は、利用者の立場からみたよいテストの条件です。以下4つの観点は多くのテスト利用者が求めているものです。
- 価格:値段が安価であることは喜ばしいことです。
- 時間:受検者の負担を減らすことで、エントリーを促す効果があります。会場での筆記試験を実施する場合は、同じ時間で多くの人を受検させることが可能です。
- 手間:試験の準備や実施管理、受検後の採点、診断結果の受け取り等に手間がかからないことも重要なポイントです。特に新卒採用選考のピーク時期は、他の人事業務の繁忙期と重なるため業務負荷が少ないことが求められます。
- 習熟:使う人の経験によってテスト結果の解釈に大きな差が生じてしまうのは問題です。初心者でも容易に理解できること、慣れるのにあまり時間がかからないことは使い勝手につながります。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員