留学生(外国人)が受けるとテストの点数が低くなってしまう。日本で働く場合、国内の大卒者と基準を揃えるべきだと思いますか?
このご質問は知的能力テストの妥当性と標準性に関するものです。
国内の日本人大学生と外国人留学生に対して共通の日本語テストと基準を用いて選抜するのはどうも変な気がするとのご指摘です。
ここからは少し理屈っぽい話になりますがどうかお付き合いください。
まずは、同じ日本語の知的能力テストを使って選抜を行うことの是非についてです。これは妥当性に関する問題です。日本人グループと外国人グループそれぞれに対して妥当性研究を行います。社員から選抜した日本人グループと外国人グループ(サンプル数は各グループ30名以上)に、日本語の知的能力テストを実施し、そのテスト得点と職務評価点(パフォーマンス)との相関を調べます。いずれのグループにおいても有意な相関が見られる場合は日本語の知的能力テストを使っても良いと考えられます。
次に、カットラインを同じにすることの是非についてです。こちらは標準性に関する問題です。選抜した日本人グループと外国人グループの職務評価点分布が同じ水準であり、テストの得点分布も同じ水準であれば、テストのカットラインも共通にします。もし、職務評価点分布が同じ水準だが、テストの得点分布が外国人グループの方が低得点側によっていた場合は、外国人グループのカットラインを下げる必要があります。同等のパフォーマンスが期待できる水準をカットラインとすることで公平な選考ができます。この場面は、異なるノルム(採点基準)を用いるべき場面です。
実際は調査してみないとわからないのですが、日本国内で日本語を使って仕事をするのであれば、まずは同じ基準でよいと思います。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員