貴社(SHL)の360度評価をまずは管理職の査定資料として利用を検討しているが、社内の私情が絡むことを懸念している。公平な制度作りに何が必要なのか?
360度評価法も人が人を評価する手法である以上、「情」の入る余地をゼロにすることはできません。360度評価については、部下とのコミュニケーション状態を把握する、価値観の共有度をはかるのに有効ですし、自分自身の自己評価と他の評価とのずれを認識することにより、そのズレ(弱み)をどう改善していくか行動プランを作成し、次回評価でどの程度改善できたかを振り返るということで自己変容の育成にもつながりますが、あまりに査定資料として比重が高いと、評価があるために上司が部下の人気取りばかり気にしたりすることもありますし、所詮他人の評価だからと感じ始めると本人の評価結果に対する納得感が得られないということもあります。
しかし、どのような評価手法でも完璧なものはありません。複数の評価ツールを組み合わせて査定をすることをお勧めします。
「はっきりとした人事考課制度がなく、設計をしている段階」とのことですから、御社にあったツールを多面的に研究して下さい。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長