現在の日本のトップにふさわしい能力のようなものは何だと思われますか?
3月11日の大震災を境にトップに必要な能力に対する認識が変わってきたのではないでしょうか。従来は、これまでの成功体験をもとに、枠組みを大きく変えることはしなくても少しは良くしてくれそうな期待が持てる人物ということで、対外的には強い態度に出ていそうでも実際は実利関係者に対しての「調整型」能力が高い人物だった気がします。
しかし今回の震災で、トップには高邁かつ壮大な構想力とそれを具体的な施策を通じて実現していくための実行力が必要であることが明白になりました。当然一般的には想定外でも自らは想定内として常々心づもりをしていく高い想像力を持たなくてはなりません。加えて、その計画の実現のためには優秀な人材を使いこなすだけの懐の深さと柔軟性が必要となります。それまでの敵であっても認めるべき点を認め、その人の力を有効活用するため一歩引かなければならないこともあります。
もちろんこうした能力も、日本という国をどうしたいのかがまずありきですね。自分や仲間の保身ばかり考えている人には無理でしょう。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長