一般にさまざまな調査でも、外資系企業と比較したときの日系企業の未消化有給休暇日数が少ない。これは文化の違いでしょうか?それとも仕事の仕方の違いでしょうか?なにが要因だと考えますか?
確かに各種の調査で、日本は欧米諸国に比べ有給休暇の消化率が低く最下位との結果が出てますね。
諸外国と比べ、「有給休暇」についての法的制度の内容が異なることが理由の一つであることは確かでしょうが、日本人の働く労働者の「休暇」に対する意識の違いが大きいと思います。「労働は美徳」「額に汗して働く姿は美しい」といった古代からの農耕民族の集団生活意識がDNAとして刷り込まれているのでしょうか。週休1日制から週休2日制へと変わり連続休暇取得制度が当たり前になってきましたが、どうもまだまだ「休暇」は会社からもらうもの、大事に使うものという意識が残っているようです。特に我々中高年世代には強いですね。「休むと評価に影響する」、「休むと仕事がこなせずかえって残業時間が増える」という後ろ向きな考え方の持ち主もいれば、「休んでも何もすることがない」という寂しい理由の人も多いそうです。
今年は節電対策案の一環として長期休暇の分散化が話題になりましたが、個人的には業界や企業ごとに自主的に分散化案を出させるのではなく、国として連続してこの2週間はお休みなさいと制度として決めてもらいたいものです。でもグローバル化で他国企業との間で熾烈な競争争いをしている企業には長期一斉休業は無理でしょうから、ワークシェアリングやワークライフバランスといった制度の推進で対応していく必要があります。
最近の若手社員をみていると公私の区別の意識、仕事の効率化に対する意識が変わってきていますから、これからは消化率も上がってくるのではないでしょうか。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長