倫理憲章がなくなると新卒採用はどの様に変化しますか?ユニクロが大学1年生から選考を受けられるようにすると発表していましたが、その様な企業が増えていくと思いますか?
日本経団連の倫理憲章も法的な強い拘束力を持つものではありませんが、大手企業に対して一定の歯止めにはなってきています。また企業側にだけでなく学生側にとっても就職活動のスタート時期という意味を持っています。良い悪いは別にして……。
こうしたものがなくなるとすると「採用力のある大手企業が際限なく青田買いに走る」「一部の有名大学の学生だけが早期から企業の接触を受け優遇される」といった過去に持ち出された議論がまた出てくると予想されます。ユニクロさんの新たな採用手法と倫理憲章とは直接は関係ないと思いますが、今後は学生時代に早くから自社での就業経験を積んでもらった方がより良い人材を確保できると考える企業さんは増えるかも知れません。「大卒」という肩書ではなく、最適な人材かどうかが問われてくるからです。
しかし就職活動の開始日程の問題だけが現状の日本の新卒採用システム(学生側からは就職活動システム)の混乱を引き起こしている要因ではありません。日本という国が将来どのような方向で国際舞台で生き残っていくのか、そのために必要な成長産業と人材は何か、どうやって必要な人材を育成していくのかといった先を考えた幅広い議論が必要だと思います。でも、それを議論するリーダーがいませんね、いまの日本には。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長