ひと昔前に、何か突出した特技や能力がある人物を採用する、大学のAO入試のような採用がありましたが、最近聞かなくなりました。企業側にいろいろな意味で余裕(人材的、時間的、コスト的)がなくなってきたからでしょうか?
所謂「一芸入試」ならぬ「一芸採用」のことですね。最近でも導入している企業はいくつかあります。2012年卒採用では富士通やソフトバンクの例が記事になっていました。富士通の2013年卒採用ホームページを拝見しますと「Challenge & Innovation採用」という採用パターンがあります。
この部分に
「これまでの人生において何らかの高い実績を上げた方が対象の選考です。
実績の領域は問いません。
特定の領域で人に誇れる高い実績を上げた方のご応募をお待ちしています。」
とあり、一芸採用を継続しているようです。
「一芸入試」については、入学した学生が教養課程の勉強についていけない、入学後に本当に勉強したい分野がなかなか発見できずにいる学生が多いと言ったマイナス面を聞きますが、一芸採用の場合はどうなんでしょうか。
変化のスピードが激しい業界では、金太郎あめ的な均質人材ばかりでなく、個性豊かな人材を求める傾向にあります。採用数の中に一定の割合でこうした自社に合った「一芸採用」を実施する企業はむしろ増えてくると考えます。

このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長