ケルヒャーは、より良い、より公平な人事決定を行う必要性に直面していました。人事プロセスをグローバルに標準化して質の高い採用と能力開発の成果を確保しようと、SHLタレントアセスメントを活用しています。
ケルヒャー
- クリーニング技術の世界的なリーダー
- 従業員数-11,000
- 拠点数-100
- 60ヵ国で操業
- 50,000以上のサービスセンターが世界中の顧客にノンストップでサポートを提供
課題
- 採用と能力開発のプログラムで質の高い成果を確保すること
- 世界中の人材をより効率的にマネジメントすること
結果
- グローバルで比較可能な人材マネジメントのフレームワーク
- すべての地域に渡って一貫した、正当な採用選抜プロセス
- より正確で効率的な、国際的な人事決定
顧客の課題
ケルヒャーは年間売上21.2億ユーロを達成しました。創業以来最高の値です。これは会社が中堅企業からグローバル企業へと継続的に変容していることを示す最新の出来事です。そして、売上が成長し続けていることと並行して、ベストな人材を採用して能力開発することの必要性も増しています。
「ケルヒャーには社員研修や管理職研修に関して、トレーニングに費やす日数だけでなく、高い成果を期待するという、昔からの伝統があります。」(Carmen Kiesele, 人事スペシャリスト兼プロジェクトマネジャー)
彼女は次のように説明しています。「今の人事選抜と能力開発の質を保ちながらも、より効率的にグローバルに人材を管理できるような、適切な人事アセスメント・ソリューションを我々は求めていました。国内外で、誰を採用して誰を能力開発すべきかについての、客観的で公平で情報に基づいた意思決定を下すことができるようになる必要があったのです。我々が活用するアセスメントは、科学的に頑健で、かつできるだけ多くの言語でオンラインで利用でき、国内の比較グループとインターナショナルな比較グループでバックアップされたものでなければなりませんでした。」
解決策
適切な人事マネジメント・ソリューションを探す中、ケルヒャーはすぐSHLタレントアセスメントを意識しました。「OPQパーソナリティ検査などの提供されているオンラインソリューションが決め手でした。セットアップが容易かつ効率的で、バイアスや結果捏造のリスクが最小限に抑えられています。」(Keisele)
ケルヒャーはまた、ソリューションが容易にグローバルに適用できると考えました。「国際的に適用できるソリューションを、という我々のニーズには、様々な言語,ノルムグループが利用できることで対応できます。我々の世界中の人材マネジメントが標準化されたプロフェッショナルなものになるのです。」
新しいプロセスが導入される前、採用や能力開発の場面でアセスメント結果を適切に解釈して質の高いフィードバックができるよう、全地域の人事マネジャーがSHLトレーナーによるトレーニングを受けました。
また、カスタマイズされたOPQリポートが作成されました。リポートでは、ケルヒャーのコンピテンシーモデルに照らしての受検者の強み・弱みと、人事面談での質問項目が表示されます。それによって、世界中の人事担当者が、ケルヒャーの会社風土に対する応募者や社員の「適合度」を判断でき、より正確で情報に基づいた人事決定が可能になります。
結果
現在、ケルヒャーはSHLタレントアセスメントを、48ヵ国、20の言語で、個人やチームの能力開発、そして、現在と将来のパフォーマンス予測のツールとして活用しています。
「様々な国の多数の人事マネジャーから、アセスメントについて非常に良いフィードバックをもらっています。結果が我々のコンピテンシーモデルに照らして提示されるようカスタマイズしたことによって、SHLツールが我々の会社の言葉に置き換えられ、人材に関する我々の疑問に具体的な答えを提供できるようになりました。」(Kiesele)
彼女は続けます。「このソリューションを国際的な背景に適用することによって、我々は、標準化されたプロフェッショナルな人事プロセスでもって、質の基準をグローバルに達成できます。採用と能力開発の両方で人材を比較できるので、我々は国をまたいで最も適した候補者でポジションを埋めることができます。グローバルとローカルの成長戦略における重要なステップです。」
パーソナリティ検査OPQがグローバルで活用されている事例です。報告書をカスタマイズして、自社コンピテンシーに関連させた結果が出ることのメリットは大きいです。
原文はこちら( https://www.shl.com/en/customers/success-stories/karcher/ )からご覧いただけます。
デジタル時代に社員が成功するにはテクニカルスキルが必要だ、というのはよくある誤解です。実際はどうでしょうか。
今日、デジタル化の波が企業に押し寄せていることを考えると、テクノロジーについて考えることは当然すぎるほど当然です。至る所に新しいテクノロジーがあります。人工知能AI、ロボット、仮想現実(バーチャルリアリティ)、Eコマース、ドローン、……数えると切りがありません。そして、新しいデジタルテクノロジーは、アマゾンやグーグル、フェイスブック、ネットフリックス、ウーバーなどいくつかの世界有数企業を動かす原動力のひとつです。
つまり、この世界で成功するために必要な人材を判断する際に、多くの企業がテクニカル人材に惹かれるのは驚くべきことではありません。しかし、注意してください。この思考の流れが、デジタル時代、人材について最も流布している通説の一つを生み出しているからです。
この通説にとりつかれた企業は、自分たちが母集団形成し、採用し、保持すべき最も重要な人材はテクニカル人材であると信じています。そして、新テクノロジーのペースを見て、自社社員のほとんどは必要なテクニカルスキルを十分素早く獲得していない、もしくは獲得できないとみなします。「デジタル人材」不足が蔓延していると簡単に思ってしまいます。
公平に言うと、急激に人材不足が増している職務のいくつかは確かにテクニカルな職務です。例えば、データサイエンティスト、ソフトウェア・エンジニア、ウェブ開発者などです。しかしこれらの職務は例外であり、一般的なものではありません。
SHLはデジタル人材の得られやすさをめぐる現実を見てきました。そこで得られた証拠は、労働力全体について全く違った像を描いています。変化の速いデジタルなビジネス環境で、何百社もの企業が、母集団形成し、保持し、能力開発し、マネジメントしようとしている何百万人もの社員やリーダーたちとの仕事から浮かび上がったポイントが3つあります。
- ほとんどの職務で実際にテクニカルスキルが求められるが、今日のデジタルなビジネス環境で成功するために必要なコンピテンシーのほとんどは全くテクニカルスキルではない。
それらは、学習や創造性、批判的思考、協働など、人中心のソフトスキルです。結果志向や率先垂範のような他の能力も同じくらい重要なコンピテンシーです。技術的な心得があってもこれらのコンピテンシーがなければ、今日のデジタル環境で成功しないでしょう。
- よりテクニカルなスキルがないこと自体は、どんな職務にも当てはまる問題ではない。
社員が自分の仕事をしている限りにおいては、新しいテクノロジーは扱いません。職場外でデジタルテクノロジーを使うことが増えているため、ほとんどの人は職場に持ち込めるテクニカルスキルを持っています。どれだけの人がプライベートや仕事で携帯を使っているでしょうか?オンラインショッピングをしている人は?インターネットで銀行取引を実行している人は?
- 最後に、社員自身はこの通説に与していない。
10人中7人が、自分は仕事で使うデジタルテクノロジーを十分使いこなしているとみなしています。多くの企業がすでに、それらツールを使うために必要なスキルを社員に身に着けさせることに成功しているのは明らかです。
「デジタル人材不足」という考えを信じることの最大の危険は、社内の大きなスキル不均衡につながりかねない、ということです。皮肉なことに、よりテクニカルな人材を求めると、この先ますますデジタル化する未来で成功するために必要な全般的な知識やスキル、能力、経験を欠く労働力を構築することになりがちです。
我々の経験では、最も優れた企業とは、自社のデジタルなビジネス環境の全般で必要な社員のユニークなプロファイルを理解することから始め、その後、人に関する客観的・科学的な洞察を用いて、それら各プロファイルに合った社員を母集団形成し、能力開発し、保持する企業です。
ブログの著者はMark Van Buren。SHLのR&Dグループの研究リーダーです。
原文はこちら(
https://www.shl.com/en/blog/the-myth-of-digital-talent-scarcity/
)からご覧いただけます。
優秀、かつ、多様でマルチカルチャーな候補者の選抜においては、翻訳の問題以上に、アセスメントの慎重なローカライゼーションが重要です。
「Birds of a feather flock together(類は友を呼ぶ)」という古いことわざは疑いなく真実です。しかし、採用となると、これはいいことでしょうか?
Culture Fit(文化適合性)に努力を集中すると、多様性よりも考え方の類似性のほうを重視するというリスクを冒すことになり、結果、イノベーションや創造性の破壊的なパワーを逃す可能性があります。Culture Add(文化の付加)へ新たに移行するには、よりマルチカルチャーで多様な人材プールから候補者を調達することが必要です。これはビジネス的に意味がありますが、採用担当者にはさらなるプレッシャーがかかります。職務への適合度を正確に測定するツールを必要とするだけではありません。受検者によい経験だった思わせると同時に、選抜における公平性を保証するような文化的多様性をこれまで以上に確保しなければならないからです。
あらゆる文化からの候補者が、選抜プロセスで提示される質問やシナリオを同じに理解するようにすることが重要です。英語はビジネス界の共通言語とみなされていますが、実は、英語のネイティブスピーカーは英語を話す人口のわずか5.5%だけです。大多数の人たちにとって英語は第二、第三言語であり、読解スピードや言語的文化的ニュアンスの理解における差異につながりそうです。
これらのことから、マルチカルチャーの採用戦略の一部としてアセスメント・パートナーを選ぶ際、次のような検討すべき重要な質問が挙がります。
- 機会均等を確保し、候補者が最善を尽くせるよう、候補者がアセスメント言語を選ぶことができるか?(特に制限時間付きのテスト)
- 異なる言語のバージョンが存在する場合、それらのバージョンが等価であると、どう確かめられるのか?
- 言語の等価性は、翻訳と同時に文化的な翻案もカバーしているのか?
翻訳の質の高さだけの問題ではありません。ローカライゼーションの質の高さについてです。徹底したローカライゼーションのプロセスは、宗教や性差など文化の影響を受けやすい話題や、言語によって意味合いが異なる「政治」や「倫理」などのあいまいな言葉、「till the cows come home『(牛がのろのろと牛舎に帰ってくる様子から)長い時間をかけて』」などの比喩的表現を避けます。その代わりに、重要なことが、システマチックな複数段階の翻訳と文化的翻案です。そのアプローチには、テスト開発者や翻訳者、社内のその言語のスピーカー、エンドユーザーが関わり、さらには、質問項目の等価性についての統計的確認が加わります。
旅行した時にぎこちない翻訳のおかしなフレーズをみかけて面白がった経験は誰にもあるでしょう。しかし、等価で文化的に適切なやり方で候補者を公平に測定する場合は、冗談で済みません。加えて、求職者に母国語で評価される機会を与えることは、彼らがその会社やブランド、採用プロセスをどう見るかに非常にいい影響を与えます。
つまり、今日のますますグローバル化するビジネス界において、あなたはどのアセスメント・パートナーが真にグローバルに考えて行動できるかを注意深く検討しなければなりません。そういうパートナーはテストのローカライズの成功経験を持ち、組織が質の高いグローバルな人材を選抜することを支援します。結局のところ、Culture Addはビジネスとして理にかなったものです。ますますグローバル化する世の中において、組織は多様でイノベーティブなアプローチや考え方を促すことを求めます。しかし、Culture Addが貴社で栄えるようにするには、まず、それらの多種多様な文化を等しく扱う採用プロセスを確保すべきです。
実はCulture Addという言葉は初めて聞きました。ダイバーシティとほぼ同義ですが、Culture Fitに対応させての言葉なんですね。
この記事の筆者はSHLグループの商品ローカライズチームのベテランで、日本語版のローカライズについて私たちがたびたびコンタクトを取るコンサルタントの一人です。世界150カ国以上でビジネスを展開し、30以上の言語で等価なアセスメントを提供するSHLグループならでは主張です。
デジタル化が加速し、仕事環境が急速に変化する中、人材発掘への新たな要求が突きつけられています。しかし、アジリティ(機敏性)で充分なのでしょうか?
議論の余地はありません。自動化が全産業を再形成し、AIが台頭するにつれ、今後の仕事はデジタル化の大きな波によって動かされることに反論する人はほとんどいないでしょう。どの会社もデジタル技術を活用して、新しいビジネスモデルを作り、新しい売上や価値を生み出す機会を追求しています。
これらデジタルビジネス戦略は機械だけでできるものではありません。人材によって可能になるものであり、ビジネス課題の中心に人を置きます。デジタル化によって、社員ができるだけ生産的であるよう確保する適材適所がますます重要になります。「デジタル人材の確保と定着が優先人事施策」と人事担当取締役の57%が回答したことは驚きではありません。
しかし、「適切な」人材はこれまでと今日、根本的に異なるものでしょうか?デジタル人材とはどんな人かについての話の多くはほぼ仮説か直感です。最もポピュラーな話のひとつ、「アジリティ(機敏性)が高業績デジタル人材の鍵である」の裏にある現実を見てみましょう。
一言で言えば、これは、「なんらかの状況でなんらかのテクノロジーを使う職務において機敏に(agile)うまく仕事を遂行する社員を定義する、理想的な人材像がある」という主張です。この汎用的なプロファイルを持つ社員を見つけて育成すれば、貴社のデジタルビジネス戦略がどんなものであっても成功することになります。一般社員についてだけではありません。このプロファイルをもつリーダーもまた、どんなデジタル文脈であっても機敏にうまくリードします。
この話にはいくつかのパターンがありますが、最も広く知られているバージョンは、ラーニング・アジリティ(素早く学ぶ能力・素早く学ぼうとする意欲)に関するものです。これは、「デジタル化に求められる他の全てのコンピテンシーを解き放つ鍵がラーニング・アジリティである」と主張します。それが、従来の、デジタル人材という「秘伝のたれ」に欠けていた材料だ、というものです。
しかしながら、現実はこの主張を支持しません。確かに、あいまいさや新しいやり方、異文化、変化に適応する能力は、今日の急速に変化する仕事環境において、どの社員やリーダーにとっても重要な特性です。組織は常に変化しています。社員の98%が、「過去4年間にビジネスに大きな変化があった」と回答しています。
しかし、真に機敏な社員、つまりどんな状況でも成功できる社員は古典的な「紫色の一角獣」です。そんな人は本来存在しませんし、機敏になるための充分な経験をさせるだけでそういう人を作り出すことはできません。そして、さらに悪いことに、社員が機敏さを身につければつけるほど、退職リスクが大きくなります。ついには、あなたが多くの時間と費用を使って、他の誰かのスター・パフォーマーを作ることになるでしょう。
さらに、もしあなたがラーニング・アジリティという欠けていた材料に焦点を当てるならば、それは賢明な投資ではないようです。最近の研究で、「社員が物事をどれだけ早く学ぶか」は、「学んだことをどれくらい効果的に応用するか」よりも、はるかに重要ではないことがわかりました。学んだことを応用できる社員が二重丸です。彼らは高業績者であるだけではなく、学んだことを使って他の社員の業績を押し上げるような生産的な関係を作り出します。
では、今日の急速に変化するデジタル環境において、社員に業績を上げさせるための答えは何でしょうか?そうです。やはり、適応してイノベーションを起こし、組織を前進させることができる社員とリーダーが必要です。しかし、答えは、「それが誰か」よりも、「どのようにして組織がそれを可能にしているか」です。実際、「機敏な人材」よりも、環境の新しい要請に容易に対応できる「柔軟で機敏な人材マネジメント」の方が重要である、と我々は学んできました。
これが、貴社のデジタル人材戦略を構築する真の出発点です。存在しない「紫色の一角獣」を求めて、既存の労働力を置き換える必要はありません。
「アジリティ」という言葉、最近良く聞きますね。辞書では「機敏性、敏捷性」」という訳が一番に出てきますが、ぴったりの日本語がなくいつも苦労する単語のひとつです。「すばしっこさ」から「臨機応変さ」ひいては「頭の回転の良さ」の意味を含む、と私は理解しています。
「アジリティを持つ人は誰か」という議論よりも、「アジリティを持つタレントマネジメント」を構築するほうが重要だ、と本記事は主張しています。
最高のコンピテンシーモデルを開発して導入しようとする際は、まず以下の5つの質問を自問しないと大変なことになります。
効果的な人材マネジメント戦略の基礎は、会社全体のコンピテンシーモデル開発です。よい枠組みは、会社全体に渡っての優れたパフォーマンスに必要な重要行動を含みます。うまく作成されれば、これら明確に定義された行動が、その会社で何が重要であり各社員がどのように自分の業務を遂行するのかについての、共有された基準点となります。これら個々の行動がテーマごとにグループにまとめられたものがコンピテンシーです。
しかし、会社全体のコンピテンシーモデル全てがうまくいっているわけではありません。我々の経験から、効果的なコンピテンシーモデルを開発するためには、全ての会社が検討し、定期的に見直すべき5つの重要な質問があります。
質問1――我が社のコンピテンシーモデルは高業績者と平均的業績者を見分けているか?
コンピテンシーとその根底にある行動は、現状維持以上のパフォーマンスを反映しているのか?もしくは、低業績者でさえ示しているようなもっと平凡な行動を記述しているに過ぎないのか?この質問を自問しなければ、既存の社員にとってチャレンジングではなく、また新しい社員にとっても真に「素晴らしい」とはどんなものかがあいまいなモデルになってしまいます。
質問2――これらのコンピテンシーは我が社の戦略的なビジネス目標と将来の方向につながっているか?
我が社がどこに向かっているかを考えてきたか?モデルから、コンピテンシーと我が社の将来に向けたビジネス目標の間にはっきりとしたつながりが見えるか?モデルは、現在重要なものを反映しているだけではなく、会社が向かうべきところにビジネスを持っていくために重要な行動にスポットライトを当てていることが必須です。
将来の要件や会社の戦略的なビジョンを反映するようなモデルを作ることが、会社を正しい方向に駆り立てます。今日のほとんどの会社にとって、デジタル化が新しいビジネスモデルや戦略の背後にある原動力であり、将来のビジネス目標を達成するために社員が示さなければならないコンピテンシーを決めるものでしょう。
質問3――我が社はこのモデルを理解するだろうか?
そのコンピテンシーモデルは不必要なほどに複雑ではないか?ビジネスにうまく導入する障害とならないか?時には、(作成者が良かれと思って作成していても、)新しく作成されたモデルが細かすぎて、影響を受けるまさにその人たちがほぼ理解できないようなものになっていることがあります。コンピテンシーの言葉は、適度な具体性を持ちながらも、人々が自分の仕事や会社の風土についてどう話しているかを反映するものでなければなりません。
望ましい行動の幅を網羅することと、モデルを簡潔にすることとの間で適切なバランスを見つけることが、モデルが社内で受け入れられ、社員が慣れている形式や言葉に沿っていることにつながります。
質問4――これらのコンピテンシーは様々な職種に渡って適切か?
自社のモデルが社内のある一部、たとえば、最も人数の多い職種や、その時点で戦略的な焦点が当たっている部署にだけ関連している、ということになりやすいものです。ビジネスの営業的なところや対顧客の分野に焦点を当て、他の社内サポート部門を無視してしまうことはよくあります。
うまく作成されたモデルは、開発プロセスにおいて会社全体を代表するような協力者を確保することでこの問題を避けます。適切なレベルの網羅性と深さを確保するために、SHLユニバーサル・コンピテンシー・フレームワークのような幅広い役割に適用できることが示されたコンピテンシー・フレームワークから出発することを検討するとよいでしょう。
質問5――適切な人をモデル開発に巻き込んでいるか?
膨大な時間と努力をかけてすごいコンピテンシーモデルを開発しながらも、導入について忘れられることはとてもよくあります。それでは、この素晴らしいモデルは棚ざらしです。プロセスの一部として全社の人々を巻き込んで同意を得、最終的に決まった段階でどううまくモデルを導入できるかを明確にすることが重要です。
開発と同時進行で共同で導入計画を立てることによって、積極的な関与が得られ、導入がはるかにスムーズになります。導入の推進力となりそうな人(そして、推進を阻みそうな人)を除外することが、コンピテンシー施策が行き詰まる理由になることは多いです。
コンピテンシーモデルの開発の最初、および、途中途中でこれら5つの質問を自問することで、うまくいく、将来も有効に使い続けられる、そしてあなたの会社に真の付加価値をもたらすモデルが作成される可能性が高まるでしょう。
社員に求められるコンピテンシーモデルを自社で開発する会社は多いと思います。記事の5つの質問は参考になりますでしょうか。
私個人として改めて肝に銘じたのは質問1と質問3です。その職種や役割に全般に求められるものではなく、特に高業績者が示す行動に焦点を当てること。また、あれもこれも、と欲張りすぎて過度に複雑になってしまうこと避けたいものです。
間違った任命のリスク低減、現在および将来のリーダーの能力開発、そして、成長を推進する起業家精神の保持のために、カンパリはSHLのディベロップメントセンターとワークショップを活用しています。
カンパリ
- プレミアムスピリッツ業界世界第6位
- 主なブランドはグラン・マルニエ、カンパリ、ワイルドターキー、アペロールなど
- 190カ国以上で取引
- 課題
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- 起業家精神を保ち続けること
- 新しい任命の失敗のリスクを低減すること
- 事実に基づいた、リーダーの任命と能力開発の意思決定を定着させること
- 結果
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- 任命の意思決定が改善し、失敗がゼロになった。
- わずか3年で、このやり方が受け入れられ、カンパリの風土に組み込まれた。
- 現在は全ての任命の60%が社内からで、目標としていた50%を上回った。
顧客の課題
カンパリは、戦略的に重要な買収と本業の急拡大の両方により、この十年間で急成長してきました。グループが成功している理由のひとつは、ローカルの説明責任と意思決定を重視していることです。しかし、それらの決定を現地リーダーが下せるようにすることが継続的な課題である、とVijay Kashyap氏(カンパリ グローバル人事&商品サプライチェーン シニアディレクター)は述べます。「起業家的な性質を持っていることがわかっている人を雇用して能力開発するようにしなければなりません。それは簡単なことではありません。」
カンパリのシニアレベルの任命全てが成功だと証明されたわけではありません。「社長職で2~3の失敗がありました。それらは非常に高くつきました。明らかに、我々は主観ベースで直感的に人材決定を下すことが多すぎたのです。変えなければならない、とわかっていました。」(Kashyap)
Kashyap氏は、承継計画に、カンパリのニーズに合わせたより客観的なアプローチを-素早くかつコスト効率よく-導入することを支援できるパートナーを求めました。
「我々は、我々に他社の経験から学ばせ、しかも我々のバリューにしっかりつながったソリューションをもたらしてくれるパートナーを必要としていました。我々はまた、強力な「グローバルな」会社を求めました。グローバルな知見を持ちながら強いローカル展開能力を持つ会社です。我々はSHLを選びました。」
解決策
SHLと一緒にカンパリは9つの重要コンピテンシーを定義し、それらを単一の共通言語であるSHLユニバーサル・コンピテンシー・フレームワーク(UCF)に紐づけ、会社全体でその測定を制度化して、ギャップを発見して能力開発の進捗を追うようにしました。
この作業によって、リーダー職における成功につながる可能性が最も高い資質が浮かび上がりました。「成功するリーダーであることはテクニカルなコンピテンシー以上のものである、と我々が理解することをSHLは助けてくれました。戦略的な思考と実行の両方に等しく強く、曖昧さに対応できる能力を持っていることなのです。」(Kashyap)
SHLの支援で、カンパリは現職リーダーとリーダー候補者に「Lead to Succeed」と名付けられたディベロップメントセンターを導入しました。今後の2年間で重要部門の本部長となれるポテンシャルを持つ人々を見つけることにフォーカスしたものです。
ディベロップメントセンターからのアセスメント結果を含む客観的な人材データが、毎年のカンパリ人材委員会にフィードバックされ、承継や昇進の意思決定の情報として活用されます。カンパリはまた、一連のコーチング施策も導入しました。ディベロップメントセンターのフォローアップとしてのワークショップや1対1のエグゼキュティブ・コーチングなどです。
「ディベロップメントセンターと人材委員会の議論の結果、シニアリーダーのコーチング力を向上させる必要があることがわかりました。当社マネジャーのトップ100人がSHLのコーチングカルチャー・ワークショップを受け、資格が授与されました。今度はその100人が別の100人をコーチします。そうやって、会社中に学びを広げていきます。」(Kashyap)
ディベロップメントセンターの成功はまた、カンパリが社外からの採用方法を見直すことにもつながった、とKashyapは付け加えます。「上級リーダーとの話し合いのツールとして、また世界中のシニアレベルの社外採用では、我々のニーズに合わせてカスタマイズされたリーダーシップ・リポートを使っています。」このツールは最近、カンパリ初のインターナショナルな新卒採用プログラムの立ち上げをサポートしています。
結果
カンパリのリーダーシップ開発施策は社内で広く受け入れられ、成功するポテンシャルを持ったリーダーのパイプラインが強化されています。「3年で我々は、直感や個人的好き嫌いに基づいた承継計画から、より良い意思決定と狙いを絞った能力開発を可能にするような本格的な人事システムへと移行しました。」(Kashyap)
「現在、ディベロップメントセンターでアセスメントを受けて我々のリーダーシップ・コンピテンシーに照らした位置づけをされることなく社長職に昇進する人はいません。そして、我々はその考え方を拡大し、今ではCFOなど全てのシニアリーダー職がこのプロセスを踏みます。」
カンパリのマネジャーはよく、ディベロップメントセンターで使う用語を考課やレビューで使います。そして、この新しいやり方が、会社が昇進や異動などで適切な人事決定を下すことを助けている証拠がすでにあります。
「ディベロップメントセンターの立ち上げ以降に下された全ての任命において、その人が役割に不適切だったという以前のような問題は一切ありません。全員が成功しています。」さらに重要な点として、このやり方はまたグループの重要指標である社内昇進の割合を増加させることに役立っている、とKashyapは付け加えます。「少なくとも空席の半分を社内人材で埋めることを目標としています。すでに60%ですからはるかに超えられるでしょう。」
Kashyapは、CEOが彼に与えた指令の遂行にSHLとのパートナーシップが役立ったと言います。「現在のリーダーたちもよくなっています。リーダーシップの質に関する社員調査の得点も上がりました。当社のリーダーは全員、どうすれば現在の役割でよりよくなれるか、どうすれば次の職務の準備ができるのか、わかっています。」
「そして、マネジャーだけでなく、全ての重要職務に機能的なコンピテンシー・マッピングを導入したことによって、組織の能力も上がっています。まだまだやるべきことはたくさん残っていますが、私はここまでの成果にかなり満足しています。」
Kashyapはカンパリ・チームの延長としてSHLを見ています。「クラス最高のパートナーシップ経験です。プロフェッショナリズム、顧客へのフォーカス、共感、柔軟性、全ての点をSHLの人々は満たしています。全員がそうなのですから驚きです。」
本コラムの第187回でもカンパリが取り上げられています。360度フィードバックの導入事例でした。それを受けての今回のディベロップメントセンター導入ということで、流れが見えます。
バイオ医薬品のリーダーへの転換を支援するために、ブリストル・マイヤーズ スクイブはハイポテンシャル・ソリューションを活用し、狙いを絞った能力開発で風土変革と戦略的人事を実現しています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ
- グローバルなバイオ医薬企業
- 売上高166億ドル(2015年)
- 革新的な医薬品を開発し、重症患者に届ける
- バイオスペース調査で、働きたい製薬会社の8位
- 課題
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- 先進的なバイオ医薬企業への転換を完結すること
- 全階層にコアバリュー(パッション、アカウンタビリティ、スピード、イノベーション)を組み込むこと
- マネジャーにロータッチでコスト効率の良い能力開発を提供すること
- 結果
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- 評価者の99%が肯定的な行動変化を認めた。
- より機敏でアカウンタブル、イノベーティブな企業になることに役立った。
- 時間が節減され、より戦略的なビジネスパートナーになれるよう人事が解放された。
顧客の課題
バイオ医薬企業にとってのチャンスはすでに巨大であり、それはますます成長しています。バイオ医薬企業はグローバルな医薬マーケットの約20%を占め、毎年8%以上成長しています(業界全体の速さの2倍)。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は、このダイナミックな領域で成長を継続するには進化し続けなければならないことに気づいていました。バイオ医薬企業であることに伴う付加コストや複雑さ、規制監督は、人材プロファイルに顕著な変化が必要であることを意味します。人事部長のElinora Pisantiは次のように説明しています。
「BMSは、有力製薬企業からメジャーで先進的なバイオ医薬企業への大きな転換の途上です。しかし、それには我々が今までと異なるやり方で仕事をすることが必要です。より速く動き、個人のアカウンタビリティをより大きくし、組織全体に渡ってイノベーションを育てなければなりません。自分たちができることの境界を競合会社以上に押し上げたいのです。」
Pisantiとその同僚たちにとって、それはBMSのマネジャーたちの能力開発に新しい重点を置くことを意味しました。「パッション・アカウンタビリティ・スピード・イノベーション」という風土変革をもたらすBMSの戦略とコアバリューを示して伝える中心はマネジャーたちだからです。
「マネジャーたちに働きかけて彼らのマネジメント能力を高めることによって、組織の全階層に我々のバリューを組み込むことが必要でした。彼らによりオープンでインクルーシブになってもらって、彼らのチームをよりアカウンタブルにしたいのです。」
解決策
グローバルとローカルの両方でSHLはBMS のパートナーとして選ばれています。BMSはSHLの営業有効性に関するインサイトとベストプラクティスの長年のユーザーです。BMSの成功に必須のコンピテンシーを能力開発する最初のステップとして、Pisantiは我々のHIPOアセスメントに目を向け、BMSイタリアの高業績者74人の真のリーダーシップ・ポテンシャルを理解しようとしました。
その後、SHLのDevelopment Coachツールを活用し、HIPOアセスメントによって明らかになった個々人の課題領域を能力開発しました。Development Coachは体験型のオン・ザ・ジョブ・ラーニングができるもので、フォーマルな教室型トレーニングの3倍の効果があることが実証されています。このクラウド・ベースのアプリケーションは、マネジャー各人をそれぞれのユニークな能力開発ニーズに狙いを絞った学習活動に導きます。このツールはその革新性と適応性によって、最近、イタリアの雑誌Persone and Conoscenzeからコーチング特別賞を受けました。
Development Coachの大きな利点は人事と現場マネジャーの負荷の多くが取り払われることだ、とPisantiは述べます。「人々は自身で、自分のペースで学習できます。我々を巻き込む必要がないため、我々がローカルのアカウンタビリティや自給自足についての人事目標を遂行することに役立ちます。Development Coachはまさに我々が求めていたものでした。」
BMSはまたSHLと協力して、BMSイタリアのマネジャーと社員400名に対して一連の能力開発のウェビナーやワークショップの内容を設計し、実施しました。それには特定グループの社員に合わせてのメッセージ発信も含まれます。「セッションでは能力開発におけるベストプラクティスが紹介されました。能力開発計画をパフォーマンスにより緊密につなげることができ、タイミングの良いフィードバックの重要性を全員が理解することに役立ちました。」(Pisanti)
結果
参加者および会社全体が能力開発プログラムを肯定的に受けとめました。Development Coachによる学習プログラムの後、各参加者は、プログラムの狙いに沿った行動変化が見られたかどうかを評定者に尋ねる360度評価を受けました。結果はほぼ満場一致で、評価者の99%が、プログラム参加者に肯定的な変化を見たと証言しました。参加者もまた非常に肯定的な意見で、73%が同僚にDevelopment Coachを薦める、と述べています。
能力開発をより緊密にビジネスニーズに沿わせたことで、SHLはBMSの風土変革の推進を支援したとPisantiは述べます。「我々のバリューを組み込んで風土の一部にするための大きな基盤ができました。リーダーが部下についてどう話すかや部下の才能をどう伸ばすかが変わりつつあります。能力開発を測定して追跡する力をSHLが我々に与えてくれました。」
BMSは現在、世界一流のバイオ医薬企業への転換を完成させ、人事が進化してより戦略的なバリューを遂行することを支援するような、効果的な能力開発プラットフォームを持っています。「より機敏でアカウンタブルでイノベーティブな行動を我々が組み込むことをSHLが支援してくれました。社員が自分のキャリアについてよりアカウンタブルになることを支援することによって、SHLは人事が真に戦略的なビジネスパートナーになることを可能にしてくれました。」
BMSはSHLグループが過去属していたCEB社の長年のユーザーで、その縁で各国でSHLアセスメントツールを活用しています。残念ながらDevelopment Coach(Eラーニングツール)はまだ日本語化されていませんが、リーダーシップ・ポテンシャルの見極めについては日本でローカライズしたいくつかのツールがあります。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
人材アセスメントの技術はここ数十年、採用業界の必需品となっています。しかし、これらのツールをどう活用したら採用活動を変革して生産性や収益を高めることができるのか、まだわからない会社もあります。
具体的には、人材アセスメントツールが採用担当者の成果に大きな違いを生む助けとなる場面は4つあります。
大量採用
恒常的に人材の回転率が高い業界があります。しかし、採用はますます時間のかかるものになっているため、採用担当者には時間とコストの点で大きなプレッシャーがかかります。
人材アセスメントツールが採用活動の改善・加速に役立ちます。応募者に良い印象を与えるため、会社の評判が高まります。さらに、費用と作業が削減できます。
アセスメントツールは以下のことができます。
- ATS(応募者追跡システム)と統合して自動化することによって、プロセスのスピードを上げて人の介入を最小限にする。
- 正確な職務記述書と質問紙で不適格な応募者を予備選抜する。
具体的な特性やスキルを測定するため、最も適した応募者だけを採用プロセスの次の段階に進めることができます。
パフォーマンスとポテンシャルの予測
ハイパフォーマーとハイポテンシャル者の違いを述べることができますか?多くの会社はできません。Gartner社のデータによると、ハイポテンシャル者は他の従業員の2倍の価値があり、ハイパフォーマーのわずか15%だけがハイポテンシャル者です。ある職務で目標を超えるほどの高いパフォーマンスを上げても、より上のポジションをうまく遂行するためのスキルやコミットメントに欠ける人はいます。成長するポテンシャルを持つ人に気づくことが重要ですが、それら貴重な人材を見つけるためのデータベースの手法を持っていない会社がほとんどです。
人材アセスメントツールはハイパフォーマーからハイポテンシャル者を区別する3つの特性を明らかにできます。
- 意欲-より大きな職責を求める
- 能力-リーダーとしての義務を遂行するための力
- エンゲージメント-会社にコミットメントを示し、常にチャレンジする
リーダー育成
ビジネスにおける成功とは、過去ではなく、未来を見ることです。明日の強いリーダーを見つける際も同じです。従来は、会社は前任者や現在のリーダーを見て、将来のリーダーをどう選抜・育成するかを決めていました。しかし、調査によれば、大多数の会社は、もし可能ならトップチームを丸ごと入れ替えたいと考えています。明らかに何かがうまくいっていません。
アセスメントツールは従来のマネジメント特性をチェックするだけではなく、むしろ、現在および将来にビジネスが必要とするものを測定し、それらを満たす社員を見つけることに役立ちます。
新卒採用
「今の職場に合う適切なスキルや経験、姿勢をもつ新卒者はどこにいるのか?」。これは世界中の採用担当者に共通する嘆きです。採用のミスは高くつきます。
失望するのは採用担当者だけではありません。新卒者の側も、仕事を始めるに当たって自分に何が期待されているのかわからない、と不平を漏らします。人材アセスメントはこれらの懸念点の多くに対処できます。
- アセスメントは、単に学歴に焦点を当てるのではなく、応募者のエンプロイアビリティ(雇用され得る可能性)や適性を測定します。
- テクノロジーのおかげで、履歴書を手でソートする必要性がありません。
- 応募者へのフィードバックがすぐにでき、合格・不合格に関わらず、応募者がその応募経験から学ぶことを支援できます。応募者のポジティブな応募経験は会社の評判を高めます。
- 新卒者が採用されたら、アセスメントのデータがOJTに情報として提供され、能力開発の必要な分野を明らかにすることができます。
アセスメントツールが特に役立つ場面として、「大量採用」「パフォーマンスとポテンシャルの予測」「リーダー育成」「新卒採用」の4つを挙げています。他にも、「部下の育成指導」や「配置配属の参考資料」、「チームビルディング」、「社内の人材分析」など、考えられますね。
原文はこちらです。
https://www.shl.com/en/blog/assess-talent-to-future-proof-your-business/
競争の激化とビジネスの多様化に直面し、Genea は、SHLのタレントアセスメントとリーダーシップ開発プログラムを活用してリーダーのマインドセットを変え、大局的な見方をして集団で結果を出すようなリーダーを構築しました。
Genea
- 会社概要
- オーストラリアのシドニーに本部があり、グローバルに展開
- 不妊治療技術のパイオニア
- 1986年創業、従業員約400名
- 課題
- 社内外の環境の変化の中で成長を維持すること
- 今日および将来の、ネットワークで結び付いた協力し合うリーダーを育成すること
- 結果
- リーダーたちの能力について客観的な見方と理解が得られた
- リーダーシップ能力のギャップが低減した
- マインドセットと行動が、明らかにエンタープライズ・リーダーシップの方向に移行した
- 多角化戦略を競争上の強みにできるリーダーの能力が増した
Geneaの課題
不妊治療業界における急激な成長とグローバル化に直面し、Geneaは、ハイエンドのプロバイダーとしてのポジションを維持したいのならば進化する必要があると認識していました。患者は常に実際の治療結果に大きな期待を抱きますし、今や全般的なケアがますます重要となっています。仕事のスピードも変わってきました。顧客からのフィードバックに素早く応えたり、規制の変更に合わせたりしなければなりません。
社外環境のこれらの変化に合わせ、Geneaは新しい国々や新しい商品群へと多角化していました。これまでのコアビジネスである不妊治療から離れての、医療器具への参入です。これらの変化は明らかに異なるリーダーシップ・アプローチを必要とします。会社としてのこれまでの成功を継続したければ対処しなければならない課題です。
人事部長のアンディ・ブラウンは次のようにコメントしています。『社員満足度調査の結果、当社のリーダーは部署や職種を超えて互いにより戦略的にパートナーを組む必要があることがわかりました。それが重要な問題でした。
我々は常にケアの継続性を向上させることに努力してきました。我々の多角化戦略の競争優位の基盤は各部署がうまく協力して動けることですが、巻き込むことが難しい場合もありました。』
解決策
ネットワーク・リーダーシップへの移行をサポートするために、GeneaはSHLのエンタープライズ・リーダーシップ・ソリューションを導入しました。リーダーが自分の部署やチームの業績だけに集中する狭い見方から離れて、会社が全体として大きな成果を上げるためにどう動けばよいかを考えさせることが目的です。
シニアリーダー30名がSHLのアセスメントを受け、個人と組織の両方のレベルでエンターブライズ・リーダーシップ指標に照らしての詳細なデータが得られました。リーダーは自分のアセスメント結果についてフィードバックを受け、自分のリーダーシップスタイルへの気付きが促されました。これがその後のワークショップで自分の改善点に焦点を合わせることに役立ちました。
『我が社のリーダーがどう動いているかを客観的に評価し、我々が対処しようとしている問題を経営陣に示したいと考えていました。このアプローチが現状を正確に映し出し、我々が達成したいことへの了承を得ることに役立ちました。』(ブラウン)
アセスメント後、対面式のワークショップが行われ、サポート資料や社内のサポートグループが提供されました。このプログラムのゴールは、リーダーをエンタープライズ・リーダーシップの方向へと移行させることです。時間を有効に使い、より戦略的な決断を下し、社内の他の人たちをよりうまく活用できるリーダーです。
結果
プログラムの前と後のアンケートの評定点によれば、明らかにエンタープライズ・リーダーシップのマインドセットと行動に移行していました。
参加者の上司たちは次のように報告しています。
- 会社全体の戦略と他部署の戦略を支援するような自部署戦略を作る能力が49%増加した。
- 新しいプロジェクトを立ち上げる前にベストプラクティスを明らかにして他のリーダーと積極的に共有し、出てくる課題を舵取りしていけるリーダーの数がほぼ倍増した。
- 4分の3以上のリーダーが、自分の仕事や学んだことを、類似したプロジェクトで仕事をする他の社員と共有するようになった(プログラムの前は2分の1にすぎなかった)。
『エンタープライズ・リーダーシップのマインドセットを取り入れたことで、我が社のリーダーは、共通の価値観を持つ、部署の壁を越えた協力的なパートナーシップを結べるようになりました。リーダーがチームに「全体像」を見せるため、メンバーのエンゲージメントレベルが上がり、自律性や革新性が生まれています。』(ブラウン)
この成功を受け、Geneaは現在SHLと協力して、次の集団である中間管理職・前線リーダー・専門職にプログラムを実施しています。最初にプログラムを受けた人たちが社内メンターとしてこのプログラムをサポートし、盛り上げています。
SHLグループの提唱するエンタープライズ・リーダーとは、個人リーダーシップとネットワーク・リーダーシップの両方を発揮するリーダーです。詳しくは本コラムの第180回及び第184~186回をご参照ください。
第一印象が大事ですが、採用プロセスで応募者が何を考え、感じ、どんな体験をしているかまで考えが及ばない会社は多いです。
採用をデートと考えてみましょう。気持ちは高ぶり、第一印象が大事ですが、物事が期待どおりにいかない時の落胆は壊滅的です。しかしもし応募者がベストパフォーマンスを発揮して応募先企業の心をつかもうとしても、企業の側が最悪のデートのように振る舞うことが多いものです。関心を示してくれるだけでありがたいと応募者に思わせたり、好悪の混じったシグナルを送ったり、最初に興味を寄せた後に沈黙してしまったりする企業が多すぎます。
これはとっぴな喩えではありません。そして、ひどいデートについて友人に話すように、応募者は採用でのネガティブ体験について言い広めます。不採用になった人で嫌な体験をした人は、ソーシャルメディアなどでその企業をけなすかもしれません。口コミは素早く広がり、企業のブランドにダメージを与えます。応募者の中にはひどい扱いを受けたと感じて、その企業の商品やサービスをボイコットする人も出るでしょう。企業は、応募者がお客様でもあることが多いことを忘れないでください。
物事を受検者目線で見る
企業は良い顧客サービスが重要であることを知っています。顧客から問い合わせ対応は優先事項で、効率的なコミュニケーションが必須とみなされます。なのに、自社で働きたいと応募してくれた人にこのアプローチを応用できない企業がこんなに多いのはなぜなのでしょうか?
企業に悪役になる意図はありませんが、受検者の目線で物事を見れないことが非常に多いのです。多くの企業は昔からの無骨で陳腐な採用プロセスを引き継いでおり、テクノロジー依存の若い新卒者が即フィードバックを期待する時代にはそれが問題になります。さらに、企業の側も大量の応募を処理する必要があり、採用担当者は応募者を採用プロセスに流すことに手を奪われ、立ち止まって応募者にとってどうなのだろうと思う暇もありません。
応募者を取り込む
企業は何をすべきでしょうか?それは、「透明性」「共感」「コミュニケーション」というシンプルなことにつきます。
「透明性」――応募者はこの先どうなるかを知りたがっています。その職務がどんなものか詳しく知りたいのはもちろん、自分が採用プロセスのどの段階にあるのかの情報も欲しいです。企業が透明性を持って応募者の期待に対応すれば、彼らが思いがけず不快な思いをさせられることはなく、結果がどうであれミスリードされたと感じることはないでしょう。
「共感」――応募者はフィードバックを受けたがっています。応募者は会社研究、履歴書作成、応募書類記入、アセスメント受検に時間を費やしてきました。そのお返しとして、自分のパフォーマンスがどうだったかのフィードバックを期待します。うまくいっている人でさえ合格通知を受け取るまで何週間も宙ぶらりんにされるようですから、時が刻々と過ぎる中で自分がどう進んでいるのかのヒントを得たいと受検者が思うのは当然です。応募書類受領やアセスメント実施、面接実施など、プロセスのポイントポイントで伝えましょう。フルの報告をする必要はありません。強みと弱みについてのヒントを与えるだけで応募者の能力開発につながります。彼らが合格ラインにいるのかどうか、知らせましょう。
「コミュニケーション」――応募者はフィードバックを与えたがっています。企業が本当に応募者中心のアプローチをとるならば、企業は応募者が自分の採用体験について述べる言葉に耳を傾ける心構えを持つべきです。フィードバックを奨励してください。それが、応募者は採用プロセスにおけるパートナーであるという考えを強化します。そして、ベストな人材を採用し、応募者満足を改善し、定着率と業績をアップさせることに役立ちます。応募者の声を聞くことで驚くことがあるかもしれません。
ポジティブなプロセスが生産性をアップさせる
もちろん、応募者集団にうまく効率的に対応している企業はたくさんあります。そして、応募者体験をよいものにすることの効果は大きいです。前向きに入社できた人は自ら一層の努力をし、長期間企業にとどまる可能性が高いです。簡単にいえば、ハッピーな社員はより一生懸命働きます。
しかし、採用場面でのいやな経験のリスクは深刻であり、ビジネスに関わる全ての人がそのことをわかっていなければなりません。自分を応募者の立場に置いてみてください。いざという時には「私はどう取り扱われたいか?」と自分に尋ねてください。
就職活動シーズン中、採用担当者は目の回るような忙しさでしょう。しかし学生がどんな思いで各ステップに臨んでいるか、学生の立場から採用プロセスを見直してみることも時には必要ではないでしょうか。