デルは世界をリードするダイレクト・コンピューターシステムの会社です。1984年創業と若い会社ですが、世界の大手コンピューターシステム会社の中でも急速な成長を遂げています。デルの成功の多くは社員によっている、と人事マネジャーのLisa Farthingは述べます。デルがスタッフに多額の投資をしていることは、近年のディベロップメントセンターの回数でわかります。

イギリスの会社では、全ての職種で上級管理職から営業管理職、営業スタッフ、電話セールススタッフまで、全部で4つのレベルのディベロップメントセンターが実施されています。

承継計画があるのは上級管理職のみでしたが、デルは対象者が上級管理職にふさわしいスキルを持っているかどうか、知る必要がありました。最初のディベロップメントセンターが実施される前、デルは昔からの36個のコンピテンシー・ホイールを使っていました。デルとSHLにとっての最初のステップはこれらを検討し、パフォーマンスに本当に関係するのはどれかを見つけることでした。

成功に重要な10個のコンピテンシーと、鍵となる「回復力」「意欲」「粘り強さ」などのソフト・コンピテンシーが明らかにされました。

営業スタッフについては、応募者を見つけることと採用した人を引き留めておくことの両方が課題でした。Lisaは次のようにコメントしています。『我々のマーケットではよくある問題です。少数のスキルの高い人をめぐって皆が競争しています。特に営業スタッフについてはそうです。理想的な候補者は営業スキルと商品知識の両方を持っている人ですが、両方を持つ候補者を見つけることは簡単ではありません。そして、もし営業スキルか商品知識かを選ぶならば、我々は常に営業スキルの方を選んできました。商品知識は後でトレーニングできるからです。』

各ディベロップメントセンターは2日間に渡り、グループ討議、イントレイ演習、分析プレゼンテーション演習、言語と計数のテストが実施されます。

実施後、コンピテンシーに関する書面リポートが提出されるだけでなく、デルとSHLコンサルタントによる全員への半日の対面フィードバックセッションが提供されます。そして、参加者は自分の上司とミーティングを設定し、自身の主な能力開発ポイントを共有して能力開発計画を話し合います。

これらディベロップメントセンターはデルにどんな成果をもたらしたのでしょうか?Lisaは次のようにコメントします。『退職率が低減しました。社員が、会社は社員に投資している、と見ています。フィードバックは非常に有益であると全員が感じており、能力開発計画を積極的に進めています。承継計画が立ち、我々はかなり長期的な見方をできます。また、トレーニングも一人ひとりの具体的なニーズに合わせてカスタマイズしています。』

今後はどうなるのでしょうか?『現在、創業者マイケル・デルが設定したアメリカのコンピテンシーを検討しています。それらと我々の現在のコンピテンシーを対応付けてから、ヨーロッパ全体にディベロップメントセンターを導入していく予定です。』

『このマネジメント・ディベロップ・プログラムのパートナーとしてSHLを選んだ理由はSHLが専門性と様々な演習題材を持っていたこと、そして、おそらく最も重要なこととして、仕事の進め方が非常に柔軟であることです。』

ディベロップメントセンターとは、能力開発を主目的に、職務をシミュレーションする複数の演習題材を実施して対象者の能力・スキルを評価するものです。この事例にあるように、実施した後のフィードバックとフォローが鍵です。

ダイバーシティはホットなテーマですが、多くの会社は目標に対してあまり進んでいません。インクルージョン施策を強化することで、会社はより速く前に進むことができるのでしょうか?

顧客やマーケットの多様性を反映するような社員集団を構築することはいいことです。多様性のある組織は競合と比べて業績がよく成長や革新が速いことは、調査結果が示しています。

今日のダイバーシティに関する議論や注目の多くは、男女平等、同一賃金の達成に集中しています。しかし、民族や人種、知的能力、性的嗜好の点で会社はもっとやらなければならない、というのが現実です。

割り当てや目標、法律を設定しても、我々は現在の地点から大きく前進しそうにありません。しかし、我々の持つ無意識のバイアスを明らかにし、人々の違いを歓迎することによって、ダイバーシティとインクルージョンへの障壁を大きく低減できます。

有名なダイバーシティ・コンサルタントで著述家のヴェルナ・マイヤーズは、『人種の偏見を乗り越えるには?彼らに堂々と歩み寄って行くのです』と題したTEDトークの中で、ダイバーシティとはパーティに招待されることで、インクルージョンとは「踊ってください」と頼まれることだ、と述べています。ダイバーシティはrepresentation(表明)であり、インクルージョンはinvolvement(関与)です。

このふたつはかなり異なるもので、人々や組織がそのことを理解するよう支援することが重要です。

トレバー・フィリップス(イギリスの作家、ブロードキャスター、元政治家で、平等人権委員会議長)はこの比喩をさらに広げ、インクルージョンとは、(「中年の白人男性が一晩中U2を演奏している」のを聞くのではなく、)自分が踊りたい音楽を選ぶことだと説明します。一方、ダニエル・ジュディ(オハイオ州とインディアナ州のダイバーシティ委員会のディレクター)は、インクルージョンとはパーティを企画する委員会のメンバーになることだと言います。

その見方でいくと、インクルージョンとは、歌をリクエストしたり踊ってくださいと頼まれたりするようなちょっとしたことで甘んじることではありません。パワーバランスを正すことです。我々は、皆を職場に温かく迎えることに焦点を合わせる必要があります。

非意図的に人を排除するのは、あなたの会社の言葉やイメージ、アクセスのしやすさなどの単純なものです。仕事の募集広告や職務記述書で使われるある言葉やフレーズがある層に応募する気をなくさせる、という研究があります。同様に、職場で使われるイメージや装飾が、自分はこの組織に合っていないと人々に感じさせることもあります。そして、もしウェブサイトや建物が、さらには採用/能力開発アセスメントが、誰でも利用できるものでないならば、その会社で成功するチャンスが全員に公平にある、とは言えません。

現在の要件に疑問を持ち、異議を唱えることも必要です。それらは全て本当に必要なのか、それとも単に慣習か?いつもと同じ人材プールやルートから人を採用しなければならないのか?全員が同じ服装で同じ時間、同じ仕事パターンや勤務地に収まらなければならないのか?本当に必要なこともありますが、そうなのか、それともただ自分が慣れているだけなのか?必要でない場合は、現状の見直しに目を向け、ちょっとした変更がより有能で適した人材に手を伸ばすことにどう役立つかを探ります。

あなたの会社が目を向けるべき最も重要な側面の最後のひとつは、ほぼ間違いなく、問題解決と意思決定により大きな多様性を持ち込むことです。様々なスキルや視点、経験を持つ多様な人々のグループは、問題に対するより良い解決策を見つけ、ビジネスにとってのより良い決定を下します。

以上全てが、あなたの職場をよりインクルーシブにし、新しく入る人を温かく迎えることにつながるでしょう。しかし、もしあなたが真剣に変えようとしているならば、会社の中で積極的に動き、会社の内部からダイバーシティとインクルージョンを活気づけなければなりません。

メンタリング施策は社内のつながりを強化し、様々な人々の意見や経験に接して昇華することを可能にします。信頼できる人にロールモデルとして、会社での経験を話してもらいましょう。周囲の人が同僚を理解してその良さがわかることに役立ち、また、様々な人があなたの会社にどのように適応して成功しているかを示すことにもなります。

最後に、わかり切ったことを忘れてはいけません。会社トップからのコミットメントです。社長が欲しいものは大抵、社長は得ます。マイヤーズさんが言ったように、ダイバーシティとインクルージョンの取り入れには、「社員の多様な文化と背景を理解してその良さを認めること」を完全に統合する組織の力が求められます。もしあなたの会社の経営層がダイバーシティとインクルージョンを進めることに熱心でないならば、実質的に変わるものは何もないでしょう。ですから、この問題に対しては我々全員が自分自身(と周囲の人々)の責任を問うべきなのです。

我々は皆、自分の偏見を認め、直面しなければなりません。好奇心を持ちましょう。質問をし、異なる見方を求めましょう。居心地の悪さを心地よく感じましょう。周囲の人のために、無意識的偏見と組織的偏見の両方に介入し、疑問を持ちましょう。

ダイバーシティも「働き方改革」のひとつですね。このエッセイの最後、「居心地の悪さを心地よく感じましょう」(原文:Get comfortable with feeling uncomfortable.)というフレーズが印象に残りました。

パールメディア社は自分たちの採用戦略が、継続的成長と新市場拡大に必要な機敏さをビジネスに与えているかどうかを知りたいと考えていました。将来の成長に向けてパールメディア社が戦略を練ることにSHL Talent Analyticsが役立っています。

パールメディア社は自分たちの採用戦略が、継続的成長と新市場拡大に必要な機敏さをビジネスに与えているかどうかを知りたいと考えていました。

会社が成功してきた重要な要素は、専門的な印刷スキルを持つ人々を競合よりも早く雇用する力でした。これら生産スキルは引き続きビジネスの核ですが、パールメディア社は、ますますサービス主導になってきた市場において、適切なリーダーシップスキルや行動、知的能力を持つ人を雇用することも同じくらい重要であると気づいていました。

さらに、会社の風土や職場環境によく合った人を採用することによって、スタッフの退職率を下げることも目指していました。

現在の採用戦略の有効性を理解し、ビジネスニーズにより緊密に連携する戦略にするための改善点を見つけようと、パールメディア社はSHLに問い合わせました。会社が知りたかったのは以下の点です。

SHLのTalent Analyticsは、自社の応募者や社員のパフォーマンスとリーダーシップのポテンシャルについて、 会社に深い洞察を与えます。それら洞察が業績改善のための人材意思決定の推進に役立ちます。つまり、会社は人材プログラムをより効果的に立案・実行でき、収支に与えるインパクトを正確に測定できます。

パールメディア社は人材採用にSHL能力テストとOPQ(パーソナリティ検査)を使っています。このデータを使って、応募者137人と新任シニアマネジャー22人のマネジメント行動、リーダーシップ・ポテンシャル、知的能力を集計し、SHLデータベースから引き出された印刷業界データと比較されました。

分析の結果、強力なリーダーシップ・ポテンシャルを持つ人を惹き付けて採用することにおいて、パールメディア社は進んでいることが示されました。特に、「決断・率先垂範」コンピテンシーでは他の南アフリカの会社の3倍、トップ人材を雇用しています。SHLユニバーサル・コンピテンシー・フレームワークのほとんどのコンピテンシーに渡って、社員は南アフリカの人材プールより優れており、会社のブランドが適切な行動を持つ人々を惹き付けていることが示されました。

リポートはまた、パールメディア社が自社人材をどう改善できるかのポイントも明らかにしています。例えば、これまで技術的な専門性を重視してきたためか、強力なマネジメントスキルを持つ応募者が必ずしも合格していませんでした。ある領域では応募者が劣っており、必ずしもベストな人材を採用しているわけではありませんでした。会社はこれらの洞察を採用ブランド戦略に生かそうとしています。

SHL Talent Analyticsによって提示された情報は、パールメディア社が採用や異動のやり方をよりいいものにする努力に刺激を与えました。会社は自社が必要な人材についてよりよく理解するために、主要役職のプロファイリング・プログラムに着手しました。Nico Grobbelaar氏(Executive Director Human Resources)は、コンピテンシーと能力を会社ニーズによりマッチさせることで将来の適切なリーダーシップチームを採用でき、人物と職務・風土の適合性を改善することによってスタッフの退職率低減に役立つと確信しています。

Nicoは次のように述べています。『SHL Talent Analyticsは、拡大計画実現のために必要な人材戦略に我々が焦点を絞ることを手助けしてくれました。』

採用などで収集したアセスメントデータを分析し、人材戦略に生かすためのツールがTalent Analyticsです。業界他社との比較だけでなく、社内の高業績者グループと低業績者グループのデータを比較することでも大きな示唆が得られます。当社で「戦力性分析」と呼ぶものです。

小売店は1年で最も忙しい時期に向けて準備中。適切な人材を採用しているのでしょうか?

近年、小売業界は大きく変わってきましたが、クリスマスから年末年始にかけては引き続き重要な時期です。1年の売上や利益のかなりの部分を占めるからです。

小売業のビジネスモデルは崩壊し、オンライン・ショッピングが従来型の実店舗売上げを奪っている、と主張する人がいます。一方、革新的な店舗形態が引き続き現れて繁栄するだろうと示唆する研究もあります。

私たちがよく知っている例はアマゾンです。実店舗での購入を全部合わせたよりも多い金額を、オンラインでこのEコマース巨大企業に払う人が増えています。アメリカでは昨年、アマゾンが全てのオンライン小売店売上の49%、全ての小売店売上の5%を占めました。そして、アマゾンはより多くの都市でレジ係不在の食品雑貨店舗を拡大しつつあります。

ところで、小売業者が採用するスタッフが、倉庫係や輸送係、シーズン要員、接客職のいずれであっても、確かなことが一つあります。すなわち、適切な人材を採用して適切な職務に配置することが1年を通して素晴らしいショッピング体験を提供するために極めて重要だ、ということです。

小売業界は明らかに転換期であり、高業績小売会社は顧客の購入のし方が変化したことをよく理解しています。そして、今日の競争の激しい市場において、これらの会社は新しい顧客を誘い寄せると同時にビジネスに最も適した人材を集めるため、しのぎを削っています。

企業は応募者経験を過少評価しがちですが、いやな経験は会社や商品のブランドに大きなリスクを引き起こします。結果として、求職者はそのいやな経験を友人に話したり、その会社の商品やサービスの購入を止めたりする可能性が高くなることを、研究は示しています。

採用改善のポイントは何でしょうか?

  1. 応募者がたどるプロセスの全ての側面を検討する

    検索や応募、面接、導入研修の場面での、求職者とあなたの会社との全てのやり取りです。

    求職者が会社とつながるこれらのタッチポイントが、彼らが時間と労力をかけて応募を進めるかどうかの決断に影響し、最終的に採用通知を受け入れるかどうかを決めます。

  2. 職務のリアルな側面を前もって見せる

    リアリスティック・ジョブ・プレビューを通して、その会社のその職務で働くことがどんな感じかを、応募者に理解させ経験させましょう。

    採用プロセスの中心に応募者を置いて、その職務の実際に照らして吟味することで、応募者は充分な情報に基づいたキャリア決定ができ、一方、採用担当者は適切な人材をより素早く容易に見極めるために必要な洞察を得ることができます。

  3. フィードバックを与え、受け取る

    応募者は時間とエネルギーをかけて選考プロセスを進んできたので、自分がどうだったのか、自分の資格がどの程度なのか、アセスメントの結果はどうだったか、今後に向けてどう改善できるか、などについてのフィードバックが欲しいと思っています。

結果の全てを共有する必要はありません。ちょっとしたヒントやコツが応募者の能力開発を導くことに役立ちます。プロセスの各段階の問題点を明るみに出したり応募者の関与度を理解したりするために、応募者からのフィードバックを定期的にもらうことも重要です。

前向きで双方向的な応募者経験を創り上げることが必要であり、必ず報われます。

40年以上に渡る我々の研究は、適切なデータと科学とテクノロジーがあれば、人材に関する意思決定はより容易で正確なものになることを示しています。

さらに、社員のエンゲージメントは採用プロセスの段階から始まっていることを研究は示し続けています。幸せな社員はより熱心に働きます。応募者経験を採用の中心に置くべきなのは、この理由だけで充分でしょう。

SHLアセスメントツールは、チームワークや礼儀、顧客中心、自主性、責任感、よい第一印象、プレッシャーへの耐性などの、小売業における成功に最も重要な特性をもつ応募者を選抜することに役立ちます。

小売業界はおそらく1年で最も忙しい時期を迎えます。例えこの時期だけの短期アルバイトであっても、お店ではスタッフの一人としてお客様と接するわけですので、候補者の持ち味を把握することが重要です。SHL適性テストはそこに役立ちます。

機械学習(マシーン・ラーニング)は採用担当者が見逃しがちな候補者を見つけます。しかし、テクノロジーが機能するためにはまだ人が必要です。

近年、テクノロジーは我々の生活に革命を起こしてきました。ただ、スキルの高い柔軟な人材の探索は企業にとって普遍的な難題のままです。今は、デジタル・イノベーションが採用テクノロジーや人材管理に応用され、大量の応募者をふるいにかけたり、個人の成功確率を評価したりする様々な方法が出されています。

アルゴリズム的なアセスメントと機械学習は、採用担当者にとても役立つツールです。しかし、機械学習は採用プロセスに存在する人間のエラーやバイアスを克服するのでしょうか?そして、人間的な触れ合いを取り除くことなしに、このイノベーションをどう取り入れることができるのでしょうか?

依然として人の目は選抜や採用の貴重な要素ですが、採用担当者は次の3つの重要な疑問と常に格闘してきました。

答えは人間の判断を取り除いた機械学習と予測分析である、とテクノロジーの提唱者は言います。しかし、採用へのそのアプローチが実際にどれくらい役立つのか、疑問を持つ専門家もいます。結局のところ、先日のフォーチュン誌の記事で指摘されたように、これらモデルを作成するのは人間ですから、アルゴリズム自体が本質的に偏っています。

しかし、アセスメントの結果をまずくするのはアルゴリズムそのものではなく、アルゴリズム作成の背後にある手法です。もし適切に使われれば、アルゴリズムは人が持ち込む主観的見解を取り除くでしょう。人のバイアスの入った採用を模倣して強化する代わりに、理想的なアルゴリズムは採用後のビジネス成果を客観的に予測するでしょう。こうすればテクノロジーは社員の質を高められます。

例を挙げます。コールセンター担当者用に作成された最新モデルが、コールセンターの経験のある候補者は実は業績が低い可能性があることを明らかにしました。これは直観に反するものですが、テクノロジーはすぐに見つけました。一方、人間はおそらく見つけられないでしょう。実際には、人が採用される要因が必ずしもその職務をうまく遂行させるものであるとは限りません。しかし、アルゴリズムは、人と違って、2つの間の違いをうまく見分けます。

機械学習に採用実務を大きく変える可能性があることは疑いありません。しかし、テクノロジーを使って、応募書類や履歴書の基本情報から職務へのベストフィットを評価することは、採用後の成果を予測することよりも簡単です。複雑なシナリオでは、コンピューターも間違います。例えば、スタッフの成功をよく予測するものとしてコンピューターサイエンスの学位があることを会社が好む場合、その分野で女性が相対的に少ないことを考えると、アルゴリズムは過度の数の女性応募者をはじくでしょう。アルゴリズムを検証テストできることが重要です。アルゴリズムの検証テストは対象者のデータを使って、これまでの応募者を採点し、彼らのその後に成功しているかどうかと共にデモグラフィックな分布を追います。

しかし、この等式に人間を忘れてはいけません。ウォートン・ビジネススクールのPeter Cappelliがハーバード・ビジネス・レビューで次のように述べている通りです。すなわち、『もし人事が人材マネジメントについての課題を設定するならば、それは自分でデータ分析ができるスタッフか、もしくはその仕事ができる人とパートナーを組めるスタッフのどちらかに違いない。』そうなれば、機械学習が役立つことがどんなに実証されたとしても、「人」の問題から逃れることはできません。組織がもしアルゴリズム作成に使われた手法を充分理解できないならば、それをする専門家を雇用する必要があるでしょう。

企業人事にAIをどう活用できるか、模索が続いています。エントリーシートの評価に試験的に活用している大手企業もちらほらあるようです。今後数年のうちに一気に進むかもしれませんね。

なお、本文中で言及されている”フォーチュン誌記事”と”ハーバード・ビジネス・レビュー記事”のURLは以下の通りです。興味をもたれた方はご参照ください。

http://fortune.com/2016/06/20/wall-street-new-hiring-diversity/
https://hbr.org/2015/07/why-we-love-to-hate-hr-and-what-hr-can-do-about-it

答えは「人」です。仕事の新しい世界で繁栄するために、企業はなぜアジリティ、ダイバーシティ、デジタル化にフォーカスしなければならないのでしょうか?

『仕事の未来は今』とは我々が最近開催したイベントのスローガンです。イギリス、ロンドンのハムヤード・ホテルに約100名の人事担当者をお招きし、データ主導の人事意思決定によって企業がどう生産性を高めていくことができるか掘り下げました。

仕事の世界は日々、めまぐるしく変化しています。テクノロジーや自動化、データ、サイエンスなどで、様々な変化が我々の周囲に起っています。データやサイエンスに関わる職種が増えています。PWCは、デジタル・オフィサー、データ・サイエンティスト、サイバー・セキュリティ職が増えると予測しています。また、世界経済フォーラムは、仕事がよりバーチャルになりギグエコノミー(訳者註:非正規雇用が企業から単発または短期の仕事を請け負う労働環境)がブームになるため、2027年までにアメリカ労働者の大半がフリーランスになるだろうと予測しています。

しかし、これら急激な進歩にもかかわらず、イギリスやアイルランド、そして世界的な生産性レベルは横ばいです。

イベントの午後には、この生産性の問題を「アジリティ」「ダイバーシティ」「デジタル化」の3つの視点を通して解くヒントになるよう、ゲスト・スピーカーやSHLスタッフの話、参加者とのディカッションが行われました。

まず、Declan Curry(ジャーナリスト)がイギリスの生産性レベルに影響を及ぼす経済要因をマクロな視点から述べました。Brexitとテクノロジーが今日の労働力にどんなインパクトを与えているか、我々にとってどんなチャンスが現れるのか、説明しました。

次にSonia Allison-Penny(風土、リーダーシップ開発、心理測定の専門家)が、ビジネスパートナーを導いて組織のアジリティを可能にする「ナビゲーター」としての人事の重要な役割について、洞察を共有しました。変化は常なるものであり、変化を予期してそれに対応すべく備えさせることができる会社や人事だけが栄えるだろう、と述べてセッションを締め括りました。

社員のダイバーシティについては、Denis Doolan (Special Olympics, Chief Organizational Excellence)が、世界中でダイバーシティが企業の生産性向上にどう役立っているかを描きました。異なる視点やアプローチ、背景、マインドセットをもつ人材が会社に目に見えるビジネス成果をもたらしている実際の例を挙げ、「社員のダイバーシティについてできるだけ多様に考えるように」と聴衆に求めました。

次はパネルディスカッションです。デジタル化が人事と社員に及ぼす影響について掘り下げられました。パネリストはDeclan Curryを中心に、Sonia Allinson-Penny、Andreas Kyprianou(Bank of America Merril Lynch, EMEA人事部長)です。新しい職種の台頭、デジタル化に関連する不安、社員の行動を変えるチャンス、など幅広い問題が議論されました。会社のポテンシャルの充分な開花に人事が重要で戦略的な役割を果たすために、デジタル化は素晴らしいチャンスである、というのが全員一致の考えでした。

カンファレンスの締め括りはAndrew Scott(ロンドンビジネススクール経済学教授、The 100 Year Life共著者)に登壇いただき、長寿の時代が引き起こすチャンスと課題についての見解をうかがいました。「教育-キャリア-退職」という3段階の人生の時代は終わりました。人はかなり長期間働くことが必要であり、どうすれば企業と個人は生産性と福祉を維持できるかということが中心的な問題になってきます。参加者には、このパラダイム変換を、「ビジネスにおいて、キャリア移行やマルチスキル、生涯学習をどう促進できるか」という人事や会社の立場からだけではなく、「長く生きるための生計をどうやりくりできるか?自分はこの仕事を本当に75歳までやれるか?」という個人の立場から考えることが促されました。

さて、アジリティとダイバーシティとデジタル化、この3つに共通するものは何でしょうか?

ひとつめは、それらは全て、将来の繁栄のために企業が優先しなければならない、「人」の要因であることです。第4次産業革命が来ました。働き方は我々がこれまで経験したことのないペースで変化しています。ふたつめは、3つ全てが生産性を転換させる大きなチャンスを提示していることです。しかし、それを実現できるのは、人材をそのミッションに結び付けることができるビジネスだけです。

仕事の未来は今であり、人事専門家としての我々が戦略的な力になれるベストチャンスです。すなわち、トレンドを予期してそれに沿って人材を動かすこと、多様性を持ったチームを積極的に築くこと、人を通してデジタル化のポテンシャルを解き放ち加速すること、です。

イベントの最後に、顕著な改革を率いた人事チームの表彰式がありました。受賞者は以下の通りです。

日本SHLも年に2回、お客様をお招きしてのシンポジウム形式イベントを主催していることは、皆様ご承知の通りです。それと比べて、この記事で報告されているイベントはどのようなものなのでしょうか。規模はどうも日本のほうが大きそうですが、会場の雰囲気や活気はどうなのでしょう。

キンバリークラーク:会社概要

伝説的なブランドを創造した会社には、80カ国以上で一位か二位のベストセラーである商品を創り出すことに貢献できる人々が必要です。能力開発部長であるリック・ウッドワード氏は、「競争力を保つためには単純にベストな人材を獲得しなければならない」と述べます。

リックによれば、採用の際、会社は「卓越性」「チームワーク」「独創的思考」という会社の価値観を共有する人々を求めます。求職倍率は当然、高いです。

ベストな人材を確保する鍵となる要素が心理測定アセスメントの活用です。「ベストな人々を採用するという我々の狙いを達成するために、アセスメントの活用が重要です。」(リック)

心理測定アセスメントは20年近くに渡り、会社の採用戦略において不可欠な部分でした。この間、同社は、オンライン採用アセスメントの世界的リーダーであるSHLグループと協力して進めてきました。

心理測定活用がとてもうまくいっているため、同社はヨーロッパ全体にその使用を拡大しています。特に、パーソナリティ検査OPQ32は、ヨーロッパのイギリスの大卒採用プログラムの重要部分になっています。

OPQは、職務要件や具体的な仕事環境と関連づけて、候補者の仕事ぶりや行動スタイルの像を描きます。「OPQは人々のパーソナリティを把握する手段を我々に与えてくれます。つまり、対象者について、履歴書や面接場面からは見極めることのできないようなことを知ることができるのです。」(リック)

リックは採用段階できちんとやることの重要性をわかっており、アセスメント結果が実を結んだケースを何度となく見てきました。事実、間違った大卒者を採用することのコストは37,000ポンドだと彼は見ています。会社にとって許容できないコストです。

キンバリークラークの大卒採用は非常にポピュラーで、通常、ヨーロッパ全体から多数の応募者があります。同社は結果の一貫性を保つことのできる多言語テストを使ってきました。受検者が自分の母国語で受けられるよう、現在、イタリア語、フランス語、ドイツ語、オランダ語、英語5つの言語でアセスメントを実施しています。

オンラインで受検できるという点も大事でした。今では紙バージョンよりもオンラインのほうが選ばれており、大きなコスト削減につながっています。

能力テストについて同社はSHLビューローサービスを使って、オンラインのアセスメントプロセスを管理しています。アセスメントしたい候補者の名前とメールアドレスを、会社がSHL宛にメールで送ります。そしてSHLが候補者一人ひとりに、受検用のウェブサイトへのリンクをユニークなユーザー名とパスワードをつけて送ります。候補者が受検を完了したら、その結果が会社の担当者に送られます。

リックは次のように説明しています:「オンラインは会社としての我々に、明らかなコスト削減と同時に、より大きな柔軟性をもたらしてくれました。そして、受検者もいつテストを受けるかをよりコントロールできます。」

キンバリークラークはまた、すべての中途採用でもOPQを活用しています。管理職は全員OPQと能力検査の活用と実施のトレーニングを充分に受けています。

リックは、SHLとの関係や心理測定アセスメントの広い活用に自信を持っています。「SHLと協力することによって、我々は世界的に有名なブランドであり続けることができます。SHLが国を超えてのアセスメントを開拓してきたという事実もまた、グローバル企業である我々に重要なことです。

「最終的に、素晴らしい人々が違いを生むものであり、ベストな人材の採用と確保に役立つことすべてが、我々が我々のフィールドでリーダーであり続けることに役立つでしょう。」(リック)

SHLのOPQと能力テストは世界中の企業で活用されています。

リーダー候補者を倍増させ、リーダーの成功度を劇的に向上させるにはどうしたらいいでしょうか?

答えはおそらくあなたが考えているよりもストレートなものでしょう。秘訣は?ジェンダー・ダイバーシティです。

ジェンダー・ダイバーシティはラスベガスで開催された今年の「HRテクノロジー・カンファンス」のメインテーマのひとつでした。私はこの記事をその会場から執筆しています。今年のイベントはかつてないほど大規模なもので、人事部門が将来の労働力を構築して管理することを支援する革新的なテクノロジーがたくさん展示されていました。しかし、いくつかの問題はまだまだ進行中の仕掛品であり、そのひとつがジェンダー・ダイバーシティです。

女性は人口の半分を占めていますが、ほとんどの会社は女性のリーダー候補者を見つけることが難しくなっていると報告しています。組織はますます複雑で不透明な事業環境に直面しているため、新しいチャレンジに就くための適切なスキルと経験を持つリーダーを見つけなければなりません。より大きな責任を担える用意のある人がベテランの専門家であっても、もしくは、意欲あふれた若手リーダーであっても、そのチームや職種、組織が直面している特定のチャレンジに合ったリーダーを見つけることが極めて重要です。

SHLの最近の研究で、我々はリーダーの成功を左右する27個のチャレンジを明らかにしました。興味深いことに、これらのビジネス・コンテクスト(背景)のほとんどにおいて女性の方が成功しそうなことがわかりました。実際、27個のチャレンジ中21個において、女性は男性を顕著に上回る可能性があります。下のグラフは、これらチャレンジのうちの4つ、すなわち「対立点の多い風土を変える」「不確実性の高い環境で結果を出す」「高い利益率を出す」「リソースが大きく限られている中で仕事を進める」について、女性がかなり有利であることを示しています。

チャレンジ特有のリーダーシップ・ソリューションで女性が有利な傾向があります。しかし、緊急に強い候補者を見つけなければならないのにもかかわらず、女性は全てのレベルのリーダー職で未だ少数しか存在していません。さらに、同じ仕事をしていても女性は男性よりも給与が低い傾向があります。

採用や準備状態などリーダーシップに関する意思決定は客観的データなしに行われることが多い、というのが現実です。つまり、その職務におけるリーダーとしての成功を実際に決める要素を考慮に入れることなく、誰を採用したり昇進させたりするかを決定することが多く、無意識かつシステマチックなバイアスが入り込みます。

前線の電話オペレーターや営業の職務では、会社は適切な候補者の評価と選抜に膨大な資金を投資します。しかし、同じ厳密さやデータ、客観性をリーダーについての決定に当てはめることはあまりありません。その代わりに、関連経験やポテンシャルについての主観的意見に頼ります。リーダーシップについての間違った意思決定が組織の勢いや評判、収支に与える影響は、雇用に関する他の間違いよりも、即効性がありより有害であることを考えると、これは一層驚かされることです。

ジェンダー・ダイバーシティの欠如はモラルや公平性の問題だけではありません。ビジネスの問題です。あらゆる組織の成功は、高い業績を上げるリーダーを惹きつけ、能力開発し、保持する能力にかかっています。ジェンダー・ダイバーシティを加速することで実質上、リーダー候補の人材プールは倍増します。我々の研究は、最も緊急なビジネス・チャレンジに直面する準備は女性も同様にできている、もしくは女性の方が上回っていることを示しています。

形勢を一変させるために、人事とビジネスリーダーは、リーダーの選抜や後継者育成計画についての長期に渡って確立されてきたやり方のいくつかに異議を唱えなければなりません。秘密の会議や気に入った候補者を推すロビー活動の先に進まなければなりません。予測力の高いアセスメントツールと客観データを活用することによって、組織は、現在の差し迫ったチャンレンジ、そして将来のチャレンジに見合ったリーダーシップ・ポテンシャルを測定できるのです。

「女性を視野に入れることで、候補者の数は倍増する」-当たり前のことですが、あらためて言われるとハッとしました。パーソナリティ面のポテンシャルで見ると、女性の方が適性のある課題が少なからずあることも新たな気づきです。

FSCS(Financial Services Compensation Scheme:金融サービス補償機構)は、2020年のビジョンを達成するために、幹部候補者の発見と育成に取り組んでいます。

FSCSとは:
  • イギリスにおける2000年金融サービス市場法の成立に伴って、2001年に設立
  • 全ての規制金融商品を一元的に処理する、世界で初めて補償機構
  • 原資は業界に対する賦課金
  • 従業員数200名弱
課題:
  • リーダー人材についての主観的な見方
  • リーダー人材のパイプラインの限界
  • 環境変化に対応できるリーダーの育成
結果:
  • 客観的な情報をもとに、適切な人材に時間と資金を投資
  • 重要コンピテンシーにリーダーシップトレーニング予算を配分
  • 従業員が当事者意識を持って自身の能力開発に取り組む
  • 管理職層への社内登用が増え、社外からの採用が低減

FSCSは外部事業環境の変化に直面しており、社内の風土がそれについていっていないのは明らかでした。

「プロセス主導のやり方を弱め、より革新的で機敏な風土に変える必要がありました。とりわけ、アウトサイドインの顧客経験の気風を築き、公の信用と信頼を高める必要がありました。FSCSの記章が金融サービス業界内の品質保証と見られるようになるという我々のビジョンを達成するために。」(David Blackburn(人事部長))

風土を変えるには、異なるタイプのリーダーが必要でした。変革志向で、新しい働き方に柔軟に対応できる可能性のあるリーダーです。しかし、社内に適切な人材がいる、という自信がありませんでした。

「リーダー人材は主観的に決めていました。プロセスを厳しくし、今までのやり方を変えるためのアクションを取る必要があることは明らかでした。FSCSはデータに基づいて論理的に考える人が多い組織ですから、より客観的で事実ベースの取り組みが新しいやり方への同意を得ることに役立つと私にはわかっていました。」(David Blackburn)

FSCSがSHLと取引を始めたのは2014年です。まず、求められる風土変革に必要な行動レビューから始め、SHLのユニバーサル・コンピテンシー・フレームワークに基づいて自分たち自身のコンピテンシーを作成しました。

「これらはすでに組織にうまく組み込まれましたので、自然の流れで、将来のリーダー候補者を見つけるための客観アセスメントをどう導入するかの検討となりました。経営層レベルと管理職層レベルの両方です。「能力」「意欲」「エンゲージメント」に焦点を当てたハイポテンシャル・モデルは、我々が組織内のハイポテンシャル者の定義について話し合う際の簡潔で一貫した共通言語となりました。しかし、もっと重要なことは、SHLのハイポテンシャル・ソリューションが対象者の強みと弱みの発見だけでなく、それを超えて、継続的なサポートを提示していることです。」(David Blackburn)

高業績の管理職25名に対して、最初のパイロット・プログラムが実施されました。客観アセスメントを使ってポテンシャルのレベルが明らかにされました。この集団が、自分の職務とFSCSの風土変革とに重要なコンピテンシーを真に開発できるよう、SHLがプログラムの対象者全員に1年間の「Development Coach」(オンラインのコーチング・プログラム)へのアクセスを提供し、継続的なOJT学習をサポートしました。

リーダー人材の見方が主観から客観に移行したことで、当初考えていたよりもリーダー・パイプラインに問題がありそうなことがわかりました。

「パイロット・プログラムの対象者25名中、我々の風土変革を推進するリーダーシップ・ポテンシャルを持った真のハイポテンシャル者は、たった一人しかいないことがわかりました。リポートを詳しく見ると、このグループは、計画や実行などのマネジメントコンピテンシーはとても強いのですが、戦略的思考や影響力やコミュニケーションなどで大きなギャップがありました。まさに、なぜ我々が経営レベルのリーダーシップ・パイプラインを持っていないのか、その理由が確かめられたのです。」(David Blackburn)

この情報を基に、FSCSは、リーダーシップ開発予算をどう投資するか、より狙いを絞った意思決定ができるようになっています。

「以前はスタッフを外部のリーダーシップコースに送っても、その投資の効果は見えませんでした。今は各人に開発の必要な特定のコンピテンシーにより狙いを絞り、それを本人の日常の仕事に組み込むことができます。管理職が能力開発や成長を部下との会話の中心におくために、アセスメントデータは非常に貴重なものになってきています。以前は1対1の会話は全て課題に関するものでした。今では会話ははるかに豊かであり、各人が自分の成長に責任を持つようになっています。」(David Blackburn)

そして、結果は徐々に報われ始めています。

「プログラムの結果、管理職層への社内昇進を増やすことができるようになってきました。3分の2のポジションが社内からです。まだ経営層レベルのパイプラインでやるべきことは残っていますが、そのレベルでも近い将来に社内昇進が現れるための枠組みはできている、と私は自信を持っています。」(David Blackburn)

ビジョンを達成するために今いる将来のリーダー候補者に何が足りないのか、からスタートしたリーダー育成は参考になりそうです。Developmet Coachは現時点では英語版のみですが、クラウドベースのアプリケーションです。実際の職務遂行経験の中から学びを推進できるようなしくみになっています。

適切な人材を見つけることは、決して容易ではありません。
適切なデータと科学、テクノロジーがあれば、人事決定はより簡単に、より正確になります。

社員の選抜は、それが外の労働市場からのものであれ、会社内部からのものであれ、最も重大な人事課題です。しかし、優秀なリーダーやマネジャーでさえ、自分が間違った判断をしたことがあると認めることは多いです。それは何故でしょうか?また、判断を改善するために何ができるでしょうか?

科学的なアセスメントツールは適性のある候補者の発見と育成に役立ちます。このことは数十年前から実証されているにもかかわらず、最大限に活用されていません。SHLの最新の「グローバル・アセスメント・トレンド・リポート」によれば、94%の企業が「受検者へのテスト実施が採用プロセスの貴重な部分である」と回答する一方、5社中2社は「社外からの採用の際にアセスメントを利用していない」と回答していました。

これには多くの理由がありそうです。長期的に会社の業績が失速する時、半数以上のケースで人材のギャップが起こります。Gartnerによれば、10件中1件はリーダー層に存在するギャップのせいです。裏返せば、強いリーダーのいる会社はリーダーが弱い会社と比べて約2倍、業績が成長します。

それでは、採用マネジャーはどのような間違いをしているのでしょうか?

どれだけ避けようとしても、誰もが人や職務役割、文化について偏見を持っているものです。そのため応募者や職務要件についてのあなたの認識は歪められているかもしれません。

もうひとつの例は、事業が急拡大していて管理職が自分たちの組織規模を正しく認識していない場合です。一部屋にチーム全員を集めて、重要な問題を徹底的に議論することができない、と理解できないのです。このような歪曲が、間違った物事が優先されたり職務特徴が間違って候補者に示されたりすることにつながりかねません。大局的な観点が必要です。

多くの企業が毎年採用をしていますが、上司の中には自分の直感と経験で良い判断ができると考えている人もいます。

一方、SHLグループのアセスメントは毎年3000万人以上が受検しています。人の判断のみの場合と比べて、人や職務、事業の背景や結果についての幅広い分析をアセスメントデータと組み合わせる方が、良い判断ができる可能性が非常に高いでしょう。

労働市場はダイナミックであり、採用マネジャーが変化についていくのが困難なことも多いです。職務記述書からはずれたり要件が正しく優先順位付けされたりしていなくて間違ったタイプの人材を惹きつけてしまうと、悲惨な結果になりかねません。狙うターゲットが間違っていれば、採用は必ず失敗します。

助けは得られます。行動経済学や心理学は大きく進歩してきました。しっかりしたツールや分析を活用することで、採用や能力開発の担当者は以下の点を改善できます。

ツールが完璧な採用マネジャーを作ることはできません。しかし、人の強みや弱み、動機付け要因や仕事の好みなど、全体像を理解できれば、よりよい判断を下すことは可能です。
様々な背景の人が適切な職務に就けるようになるでしょう。間違った採用で無駄になるコストは減り、関係チームや本人の人的コストも最小化されます。

採用は決して容易なものとはなりません。実証されてきた客観的ツールと厳密さを活用することだけが、人事担当者や候補者、会社、ひいては経済を支援できるのです。

原題は「Avoid These 3 Mistakes to Improve-Hiring-Decisions」です。
https://www.shl.com/en/blog/avoid-these-3-mistakes-to-improve-hiring-decisions/

重要な人事決定を補助するものとして、アセスメントデータをご活用ください。