「応募者エクスペリエンス」は採用業界でよく話題になる言葉ですが、「面接エクスペリエンス」に関する議論や研究文献はあまりありません。しかしながら、面接エクスペリエンスは応募者エクスペリエンスにかなり大きな影響を与えます5

私たちは、デジタル面接におけるポジティブな面接エクスペリエンスの主要指標をいくつか設定しました (図2)。

これらの指標は、調査を通して私たちが理解した応募者からの期待と、Glassdoor や Indeed などのウェブサイトに何千人もの応募者が匿名で投稿した文章を分析することによって導き出されました。

面接官は、面接の会話中、組織のブランド大使として行動します。就職面接は他の職業上の会話と同じであり、面接官は適切なエチケットに従うべきです。

  1. 自己紹介
    面接官は面接の会話中に自分と所属組織を紹介すべきです。
  2. 傾聴力
    面接官は応募者に話させ、応募者が自分の能力を最大限に発揮できるようにすべきです。
  3. ウェブカメラをオンにしておく
    応募者がウェブカメラをオンにすることを期待するならば、面接官は自分も同じようにすべきです。

面接官は、応募者中心の会話を行うべきです。応募者の時間と存在を大切にし、仕事に必要なスキルに焦点を当てた会話を維持する必要があります。

  1. 応募者の時間を大切にする
    面接官は応募者の時間を尊重し、大切にすべきです。特に、時間通りに面接を開始し、割り当てられた時間内に評価を完了しなければなりません。
  2. 応募者が質問する機会を与える
    面接官は、仕事や採用プロセスや組織について質問する機会を応募者にきちんと提供すべきです。
  3. 不必要な個人的な質問を避ける
    面接官は応募者に個人的な質問をすることを避けるべきです。特に、仕事に関係のない質問をしてはいけません。個人的な質問をすることは応募者を不快にさせることがあり、無意識のバイアスにつながる可能性があります。

面接内容(つまり質問)や応募者からの回答の評価を標準化するなど、面接をしっかり組み立てることで面接の質は向上します。

  1. 質問の標準化
    当該の職務について、コンピテンシー、関連質問、および難しさのレベルは、すべての面接で一貫していなければなりません。
  2. 採点の標準化
    面接官は、標準化された採点テンプレートを使って応募者の回答を評価し、バイアスを最小限に抑えるべきです。

私たちが開発したエンドツーエンドの AI を利用したシステム (つまり、SHL インタビュー インテリジェンス プラットフォーム)は、面接の録画から主要な面接エクスペリエンスの指標を抽出することに役立ちます。 図3 は、オーディオ、ビデオ、および会話のストリーミングからこれらの洞察を抽出する方法についての、ざっくりしたモデルです。

  1. Guide: Train your Interviewers, https://rework.withgoogle.com/guides/hiring-train-your-interviewers/steps/giving-interviewers-practice/

原文はこちらからダウンロード可能です。
https://www.shl.com/resources/by-type/whitepapers-and-reports/insights-on-your-candidate-interview-experience/
次回はいよいよ分析結果についてです。

面接は何世紀も前から行われていますが、一貫性がなく、主観的で、偏った意思決定をするという問題に悩まされています。面接の質の低さは、応募者エクスペリエンスや組織の多様な人材づくりに大きな影響を与えます。

効果的な面接を行う上で、面接エクスペリエンスを測定する指標がないことは1つの大きなボトルネックです。しかし現在、面接での会話のほとんどがデジタル媒体に移行しており、人工知能(AI)を使って面接エクスペリエンスを測定し、ベンチマークすることが可能になっています。

そこでSHLは、面接における応募者エクスペリエンスに影響を与える重要な指標を定義し、面接インテリジェンスプラットフォームによって何千もの実際の面接のやり取りを分析し、面接の実施の仕方について知見を提供します。

本書でご紹介する重要な知見は以下の通りです。

本書でお伝えする知見からは、組織が理解を深めることでより良い面接を実施することができると分かります。面接エクスペリエンスを自動的に測定することは、面接のやり方を変えるための第一歩です。

現在の知識集約型経済において、人材の採用とマネジメントは組織の成否を分ける中心的な要素です。面接は、採用プロセスにおける長年の慣行の1つであり、その歴史は100年以上にも及びます。面接はこれまで 「ある仕事に対する個人の適性を評価するために行われる対面での対話」とされていました1

テクノロジーが出現し、コミュニケーションの在り方が新たな時代に入ったことに伴い、採用面接は電話、オーディオ/ビデオ会議などの新しい媒体に移行しています。ここ2年のパンデミックで急激に移行が進み、今ではほとんどの面接がバーチャルで行われています。

面接(特に面接官)は、採用ライフサイクルの中で応募者エクスペリエンスに最も大きな影響を与えます2

ネガティブな面接エクスペリエンスは、組織の印象を悪くし、人材を惹きつける力を弱める3

面接のやり方(特に面接官)は、この数十年間あまり変わっていません。以下の図1は、今日の面接のやり方のよく知られた問題の一部です。

第一に、ほとんどの組織と面接官は、確立された科学的手法(たとえば構造化面接など)に従っていません。Allan Huffcutは、この状態を”Two ships that pass in the night”(夜に行き違う2艘の船;滅多に同じ時間に同じ場所にいることがない者同士を指す)と言っています。採用面接に関する科学的研究と組織で実際に行われている面接の関係をよく表しています4。採用プロセスの他の構成要素とは異なり、採用チームは面接がどのように実施されているかをほとんど把握できていません。

また、面接官に対して、面接のやり方について実用的な知見を提供するフィードバックシステムもありません。パンデミックによる面接のデジタル化は、面接の会話を分析するまたとない機会となりました。SHLのSmart Interview Liveは、インドで60万人以上の面接を実施するのを支援しました。SHL ラボは、インド最大のITソフトウェアおよびサービス企業の数千の面接の会話を分析しました。

  1. Chapman, D. S., & Rowe, P. M. (2002). The influence of videoconference technology and interview structure on the recruiting function of the employment interview: A field experiment. International Journal of Selection and Assessment, 10(3), 185-197.
  2. Guide: Train your Interviewers, https://rework. withgoogle.com/guides/hiring-trainyour-interviewers/ steps/giving-interviewers-practice/
  3. Your Candidate Experience, Creating Impact or Burning Cash, https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/us/Documents humancapital/us-human-capital-yourcandidate-experience-creating-an-impact-or-burning-cash.pdf
  4. Huffcutt, Allen I. “From science to practice: Seven principles for conducting employment interviews.” Applied HRM Research 12.1 (2010): 121.

原文はこちらからダウンロード可能です。
https://www.shl.com/resources/by-type/whitepapers-and-reports/insights-on-your-candidate-interview-experience/
次回は面接エクスペリエンスの指標をどのように定義し測定したか、です。

IT サービス業界が人材採用/定着に問題を抱える最大の理由は、人材の面接の仕方であることをSHLラボが明らかにしました。

ニューデリー、2022年9月29日/PRNewswire/

人材の採用・マネジメントのテクノロジーのグローバルリーダーであるSHLは、インドの顧客に対して毎年30万件を超えるオンライン面接の実施を支援しています。SHLラボは、インドのITソフトウェア&サービス業界で面接がどのように行われているかについて、様々な企業で実施された面接からランダムサンプリングして分析しました。SHLラボの調査結果は、面接エクスペリエンスを複数の客観的で測定可能な指標に分解し、それらの指標を、SHLのAIを活用した面接インテリジェンスプラットフォームを使って測定しています。

面接官の80%は、応募者エクスペリエンスに影響を与える可能性のある、面接エチケット違反や応募者中心アプローチ上のミスなどの重大な間違いを、少なくとも1つ犯しています。応募者中心アプローチ上のミスよりも、面接エチケット違反をする面接官のほうが多いです。面接官の70%が面接エチケットに欠け、面接官の37%が適切な応募者中心アプローチに従っていません。

面接エチケットについてさらに掘り下げると、SHLラボの調査結果によれば、面接官の41%は会話を始める際に自己紹介をせず、26%は自分のカメラのスイッチを入れていません。

応募者中心アプローチに関しては、面接官が応募者の時間を尊重しない傾向がありました。13%もの人が面接に5分以上遅れて参加し、応募者に質問を許可したのは面接官のわずか28%でした。

Himanshu Aggarwal (SHL最高デジタル責任者)は次のように述べています。「これらの統計値は、面接慣行における重大な欠陥を明らかにしています。人事リーダーはこれまで以上に積極的な対策を講じて、面接のベストプラクティスを効果的に実施し、企業が質の高い人材を採用しながら、同時に前向きで記憶に残るエクスペリエンスを応募者に提供できるようにする必要があります。」

Arthur Rassias(SHL最高収益責任者)は次のように述べています。「この調査のおかげで、私たちは顧客に実用的なフィードバックを提供でき、顧客は面接プロセスに対してより標準化されたアプローチを取ることができるようになりました。SHLの面接インテリジェンスプラットフォームは、現在の面接の仕方に存在する重要なギャップを素早く特定して対処するために必要なデータを、人事リーダーに提供します。」

原文はこちらです。
https://www.shl.com/about/news-and-events/press-releases/8-out-of-10-interviewers-damage-your-recruitment-brand/

これはインドの話だ、と言い切ることができますか?
この調査については、このコラムで次回から4回に分けて詳しくご紹介する予定です。

新しい研究結果をもとに、タレントアセスメントについて、ベンダーが主張している妥当性をより適切に評価するためのガイダンスを提供します。

ジェフ・ジョンソン
2022年12月8日

Journal of Applied Psychologyに最近掲載された記事は、タレントアセスメントと従業員の選抜の世界に大きな混乱をもたらすと予想されています。この記事では、一般的なメタ分析の進め方をレビューし、アセスメント得点と職務パフォーマンスの関連性は、過大評価されていることが多いと結論付けました。

働く個人や実務担当、そして顧客がこの調査結果を理解することを支援するために、SHLは、白書「Guidance for the Interpretation of Validity Coefficients(妥当性係数の解釈に関するガイダンス)」を作成しました。このブログでは、タレントアセスメントの妥当性を評価する上でのSHLのアプローチと、広く受け入れられている既存の研究結果を見直すことが必要な理由について説明します。まず、タレントアセスメントの分野で使用される用語を理解しましょう。

従業員を選抜するためのタレントアセスメントの世界では、「妥当性」という用語は、アセスメント得点から導き出される解釈の正確さを指します(たとえば、アセスメント得点が職務パフォーマンスを予測するなど)。「妥当性検証」とは、これらの解釈を裏付ける証拠を確立するプロセスです。

タレントアセスメントでは、最も強力な証拠は、一般に基準関連の妥当性検証から得られると考えられています。これは、アセスメント得点(つまり、予測変数) が、関心のある基準尺度得点(ほとんどの場合、職務パフォーマンス)に関連していることを示すものです。基準関連妥当性の証拠は、通常「妥当性係数」または相関(r)の形式で表されます。この係数は、0から1の範囲で、アセスメントと基準得点の間の関係の大きさを示します。

「予測的妥当性」の検証研究では、採用前に求職者から予測データ(アセスメント得点など)を収集し、一定期間仕事に従事した後に採用された求職者から基準データ (マネージャーの評価など)を収集します。「一致的妥当性」の検証研究では、現職者から予測データと基準データの両方を短い期間で収集します。

「メタ分析」とは、複数の妥当性検証研究の結果をまとめ、サンプリングエラーの影響を減らし、単一の研究よりも変数間の相関関係をより正確に推定する方法です。選抜プロセスの妥当性のメタ分析は、学術文献やアセスメントベンダーの間で非常に一般的であり、さまざまな種類のアセスメントの妥当性について期待される平均的なレベルを確立するために使用されています。選抜プロセスのメタ分析では、妥当性の推定値を押し下げる制限(たとえば、アセスメント得点に基づいて選抜を行うことによる範囲の制限)を考慮に入れるために、妥当性係数に統計的な修正を適用することがよくあります。妥当性研究のタイプによって異なる修正が必要なため、ここが最も間違いが起こりやすいところです。

SHLは歴史的に妥当性係数の修正において保守的なアプローチをとってきました。範囲制限の修正は通常行っていません。ほとんどの基準関連妥当性の検証研究が「一致的妥当性」についてであり、修正公式に入力する変数について、現実的な推定値を置くことが難しいためです。したがって、このブログの冒頭で言及した最近の記事によって得られた結論が、私たち自身の妥当性検証研究の結果やメタ分析に影響を与える可能性は低いです。当社のテクニカルマニュアルには、妥当性の計算と統計的な修正を評価するために必要なすべての情報が含まれています。他のタレントアセスメントベンダーが主張する妥当性も同様かというと、必ずしもそうではありません。

冒頭で紹介した記事が科学と実践の両方に与えるだろう影響、他のタレントアセスメントベンダーがメタ分析で同様の間違いをする可能性、そしてテーマそのものが妥当性分析に詳しくない人にとって複雑であることから、SHL は「Guidance for the Interpretation of Validity Coefficients」という白書を作成しました。この文書の目的は以下の通りです。

  1. 一次研究およびメタ分析における妥当性係数の推定に関連する問題を説明する
  2. さまざまな種類の選抜手法について、妥当性のレベルがどのように変化したかを要約する
  3. タレントアセスメントの購買者とユーザーに、ベンダーが主張する妥当性をより適切に評価するためのガイダンスを提供する

この文書は、タレントアセスメントベンダーが提供する技術文書を評価する際に十分な情報をもっていたいと考えている既存ユーザーだけでなく、使用を検討している方も対象としています。

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2022/talent-assessment-validity-claims-may-be-exaggerated/

冒頭で紹介されている記事では、メタ分析において範囲の制限に関する統計的な修正によって、妥当性が高く見積もられていると指摘しています。SHLグループの作成した妥当性計数の解釈に関する白書「Guidance for the Interpretation of Validity Coefficients」はこちらからダウンロード可能です。
https://www.shl.com/resources/by-type/whitepapers-and-reports/guidance-for-the-interpretation-of-validity-coefficients/

経営幹部の後継者計画に運任せは通用しません。コンテクチュアル・アプローチが必要です。

イシャ・ゴエル
2022年11月24日

経営幹部の後継者計画は、新しいリーダーを特定し、その人たちが役職を引き継げるよう育成するプロセスです。幹部交代の際にもすべての業務が円滑に進むようにするための、セーフティネットとして機能します。

多くの大企業は、リーダーシップのパイプラインと継承という重要な問題に焦点を当てていません。大手企業の中には、トップ層の大規模な退職があり、年間 1 兆ドル近くのコストがかかったケースもあります。このような場合の最大のコストは業績不振です。外部から不適格なCEOを採用したり、知的資本が失われたり、社内昇進の後継者が準備不足だったり……。

組織はより良くなることができるし(またそうしなければならず)、解決策はそれほど複雑ではありません。リーダーの成功の予測因子に関してこれまでに実施された最大かつ最も包括的な研究で、SHLは、組織がリーダーの異動と開発を再考する必要があることを発見しました。今日の環境は挑戦的なものです。しかし、コンテクスト(文脈・背景)を使うことで、組織はターゲットを絞った動的で機敏で正確なリーダーシップ戦略を展開できます。さらに私たちが発見したことは、後継者計画の仕事は、必要が生じるかなり前に始めなければならない、ということです。クラウス・シュワブ(世界経済フォーラムの創設者兼会長)は次のように述べています。
「新しい世界では、大きな魚が小さな魚を食べるのではなく、速い魚が遅い魚を食べる。」

規模に関係なく、市場の変化に迅速に適応できる組織は、競合他社より抜きん出ます。VUCAの世界で組織が生き残り、繁栄するためには、機敏で能動的で、変化に対応する必要があります。
CEO はいつか必ずオフィスを去ります。しかし、調査によれば、長い間、ほとんどの組織はCEOに代わる人を準備していません。

後継者計画は、最悪のシナリオと予告なしの状況に備えて組織を準備します。ゲームのトップに留まり、「リーダーシップの空白」がないようにするために、取締役会は、経営幹部の承継プロセスについて、以下の原則を考慮する必要があります。

  1. 将来の経営幹部プロファイルに沿った取締役会にする。
    十分に前もって取締役会の議論に関わり、彼らの期待を理解し、ビジネスの優先事項との整合性を確保することから始めます。これらの戦略的優先事項を、その役割に必要なビジネス上の課題、経験、およびパーソナリティ特性に関連付けます。経営幹部それぞれの成功プロファイルを作成し、それを基に社内外の人材を評価します。
  2. コンテクストと業界のベンチマークを考慮し、最良のプロセスを確立する。
    候補者の得意分野と能力開発分野を偏りのない目で多面的に見、そのコンテクストで何がうまく機能するかを捉えます。コンテクスト特有の関連コンピテンシー、経験、背後にあるパーソナリティ特性を評価します。取締役会の支持を得て、しっかりした計画とスケジュールを作成します。私たちの研究によると、コンテクストを考慮すると成功確率が4倍になります。
  3. すぐの交代を計画するだけでなく、プランB、C、Dを作成する。
    後継者計画は、人材パイプラインを作る継続的なプロセスです。将来にリーダーシップを発揮する可能性の高い優秀な人材(ハイポテンシャル人材:HiPo)を社内で特定することによって、短期的および中期的なリーダーを準備します。
  4. HiPo人材を育成し、クロストレーニングする。
    OJT、コーチング、メンタリング、スキルトレーニングを組み合わせます。成長を加速し、重大なギャップを埋める領域を特定することによって、次の世代のための将来に備えた人材パイプラインを社内で確保します。一人ひとりのニーズと組織の期待を満たすようカスタマイズされた能力開発計画を使用して、貴社の人材がそのポテンシャルを開花できるよう支援します。
  5. 後継者計画を取締役会の固定議題にします。
    経営幹部の後継者計画は、新しい経営幹部が任命された後も続く、継続的なプロセスです。取締役会に能力開発計画の進捗を知らせます。取締役会の戦略セッションを人材開発セッションとつなげ、戦略の変化があった場合に将来のリーダーに何が求められるようになるかの情報が伝わるようにします。

後継候補者は、一朝一夕に出現するものではありません。有能な後継者は、何年にもわたる計画、教育、指導の産物です。この投資によって、組織は、高業績達成に向けた戦略的優先事項の実行に必要なリーダーシップを継続的に強化できます。

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2022/the-key-to-your-leadership-mobility-is-a-contextual-approach/
前回ご紹介した記事と内容的にかなり重なっているかもしれません。合わせてお読みいただき、貴社で取り入れられそうな点のヒントになれば幸いです。
また、コンテクストを織り込んでのリーダー配置について、SHLはMobilizeというシステムを開発しました。できるだけ早く日本語化されたものをご紹介したいと予定しています。

本年のこのコラムはこれが最後です。来年度も引き続きよろしくお願い致します。

後継者計画が仮の人員交代計画を作るエクササイズになっていませんか?真に組織の価値を高める、戦略的な計画に転換する方法を見ていきましょう。

マルナ・ファン・デル・メルヴェ

2022年11月10日

ここ数年で、人材を取り巻く環境は劇的に変化しました。人々は世界的なパンデミックを乗り切り、自分にとって仕事が何を意味するかを再評価してきました。一方、組織は「大量自主退職時代」の後遺症と、より流動的でグローバルな人材プールに向き合っています。仕事の未来と、組織が自分たちをどのように位置付けるべきかについて様々な議論がなされる中、組織がタレントマネジメント戦略をどのように再編成できるかが、長期的な成功の鍵となります。

タレントマネジメントへのアプローチはスキルベースへと変化しており、事業リーダーには、部門を超えて人材を見ることとすべてのレベルで組織としての能力に焦点を当てることが求められています。人事には、対話とテクノロジーを通じて、個人が自分のキャリアを方向付け管理できるようにすること、個人には、経験と能力開発を通じて自分のキャリアに責任を持ち追求すること、が求められています。

スキルベースのアプローチを反映するには、人材を効果的に識別し配置できるような組織文化と構造が重要です。同様に、将来起こり得るシナリオに向けて計画を立て人材を準備することは、タレントマネジメント戦略を実行し成功させるための重要な要素です。

後継者計画は、タレントマネジメントにおいて戦略的な重要性が高いにもかかわらず、事業リーダーから付加価値や期待される投資収益率が得られないと批判されることがよくあります。こうした事態は多くの場合、後継者計画が架空の人員交代計画を立てるだけになってしまい、長期的に価値を生み出さないという、よくある落とし穴によって起こります。

よくある問題点と落とし穴を克服するための、ベストプラクティスをご紹介します。

後継者計画は、組織が長期的に成功するための準備を整える上で戦略的に重要な役割を果たします。ただし、この価値を解き放つには、組織のコンテクストと密接に連携し、より広範な人材戦略に統合されており、客観的で維持可能なデータに基づいている必要があります。関連するテクノロジーへの投資も必要です。それにより、変化に機敏に対応し、事業全体にわたって後継者の識別と配置について透明性を確保することができます。

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2022/planning-and-setting-up-for-succession/

「後継者計画」という表現ですと、リーダーの欠員補充計画という印象を与えてしまいがちですが、それでは価値を生み出せないと著者は主張しています。今後より適切な新しい表現が生まれてくるのでしょうか。

変化し続ける職場環境に適応するには、より機敏に、積極的に、そして冷静であることが必要です。

カレン・マクローリン

2021年 3月 2日

パーソナリティ特性は、健康や幸福、教育、および仕事における様々な結果を予測します。だとすれば、自己の向上に向けて、自分のパーソナリティを「変える」ための措置を講じるべきなのでしょうか?

私たちは歴史的にユニークな時代を生きています。多くの人にとって、いつ、どこで、どのように仕事をするかが劇的に変化しました。新しい働き方に移行するにつれて、様々な程度の不安やいらいら、孤独を経験したことでしょう。

私たちの中には、他の人よりも簡単に適応し、落ち着いていてストレスを感じない人もいます。もちろん、それぞれの状況や環境はユニークで、あるものは他のものよりも困難であり、それが適応力に影響するでしょう。しかし、変化する状況に対する私たちの感じ方や反応に影響を与える重要なパーソナリティ特性もいくつかあります。

研究によると、パーソナリティのビッグ5モデルによって測定される「神経症的傾向」(課題や変化に直面したときに恐怖や不安をより強く感じる)、もしくはその逆の「情緒的安定性」(一般に落ち着いていてストレスを感じない)が、進化する働き方にどれだけうまく適応できる/できない、を予測できます。たとえば、「情緒的安定性」が高く「積極的なスタイル」を持っている人は、従業員として最もうまく適応できます (Huang. J.Lら, 2014)。

職業心理学者として、私は、SHLパーソナリティ検査(OPQ) を用い、人が自分の「生まれ持ってのポテンシャル」を理解して、それが職場における自分の行動にどのように影響するかを考えることを支援してきました。その際、よく聞かれる質問のひとつは、「パーソナリティは変えることができるか?どうすれば?」です。10年ほど前この分野で働き始めたとき、私はこれらの話は少し難しいと感じました。人のパーソナリティには「神聖な」何かがあります。その人に固有のものであり、それがその人をその人自身にするものです。なのに、私たちはそれを変えようと主張すべきなのでしょうか?パーソナリティの概念に対する私たちの理解は進化し、私の経験も進化してきました。私は、自己認識と、的を絞った努力、そして練習によって、私たちは特定のパーソナリティ特性とその発現を徐々に適応させることができる、と信じています。

親、教師、従業員として、私たちは暗黙のうちに、変わることで自分がより良くなるのであれば、それを達成するために努力すべきである、とわかっています。自分を「改善したい」という私たちの欲求をねらう「自助」本がたくさんあります。幸いなことに、パーソナリティは固定されているという広く信じられていることとは反対に、パーソナリティは変化します。特に、人生における大きな否定的な出来事は、最も大きな影響を与える可能性があります。

研究によると、遺伝的影響は重要で、パーソナリティ特性の発現を左右する一方、大人になるにつれて環境がより大きな役割を果たし始めます。たとえば、思春期を過ぎると、責任感が増し、情緒的に安定するよう変化します。が、劇的に変化するわけではありません。イリノイ大学心理学者ブレント・ロバーツは、私たちは人を丸ごと変えられるという希望を持ち続けるべきではない、と考えます。しかし、彼は続けて、「もし人が自分の1つの側面に焦点を当て、体系的に取り組む意思があるならば、その領域の変化に影響を与えることができる、という楽観主義が高まっている」と述べています。

コベントリー大学のダレン・スティーブンス博士は、先月のABP会議で「Constructed Development and Psychometrics」について発表しました。そこで彼は、パーソナリティがどのように構築されるか、そしてそれをどのように測定できるかというテーマに焦点を当てました。たとえば、彼は、私たちのパーソナリティ特性が時間の経過を超えてかなり安定している可能性が高いことについて話しました。しかし、その時点での自己構築、意図、意識、および選択も、私たちが状況にどのように対応するかを決定するそうです。したがって、個人のパーソナリティを理解する上で考慮すべき要素は多岐にわたります。このことが、パーソナリティの正確な測定を複雑にします。

組織の従業員のパーソナリティデータをレビューしてきた私の経験では、「rule following(律儀)」など特定次元の特性は、その人の職場環境によって時間の経過とともに形成されていくように思われることが時々あります。

面談でそのような特性を掘り下げるとき、多くの受検者が、自分はもともと常に「規則」に従う人だとは思わない、ただ、職場環境が厳格な手順を遵守することを求めるのだ、と言います。規則を遵守するには意図的な意識が必要であり、それが時間の経過とともに習慣になります。

自己認識、意図的かつ持続的な努力、練習を通じて、私たちは思考、信念、行動パターンを意識的に適応させ、そうやって特定のパーソナリティ特性を形成することができる、と私は信じています。臨床的、非臨床的、および社会的な場での研究例は、このことを支持しています。認知行動療法(CBT)、心理療法、ソーシャルスキルトレーニング、さらにはマインドフルネスなどのさまざまな中長期的な介入は、神経症傾向の減少、外向性の増加、情緒安定など、特性の持続的な変化につながる可能性があります。

しかし、議論は白熱します。私たちは実際に自分の根底にあるパーソナリティ特性を変えているのでしょうか、それとも単にそれらの発現を変えているのでしょうか?

それでは、「自己改善」、たとえば、もっと外向的になって職場で他の人々と気軽に接し、神経症的な傾向をあまり示さず、打たれ強く余裕があるようになりたい、とあなたが決断した場合、どうしたらいいのでしょうか?

  1. 自己認識が最初のステップです。自分の「パーソナリティ」を知りましょう。職場で自分が自然に楽しんでいる/いないのは何でしょうか?内省することでこれを行うことができます。ただし、より良い方法は、OPQなど信頼できるパーソナリティ検査に回答することです。OPQはあなたが職場における自分の傾向を理解するのに役立ちます。
    人事やビジネスリーダーにとって、OPQは、特定のグループ、職種、階層の「人材レビュー」の一部ともなります。個人レベルとグループレベルでの、持って生まれた全般的な強みと、能力開発の必要な領域を理解することができます。そこでは、結果を正しく解釈して個人の自己概念と文脈に関連させて議論できるよう、訓練を受けた経験豊かな実践者との双方向の会話が重要です。
  2. 達成したい結果を明確にします。 「成長マインドセット」をもっと取り入れることが重要です。変わりたいと思い、変えられると信じなければなりません。そこに到達するための「方法」は、特定のパーソナリティ特性に関連する思考、感情、行動の比較的安定したパターンを変更、中断、方向転換する明確な行動で定義され、目的的でなければなりません。この分野を研究しているアメリカの心理学者キャロル・ドウェックは、幅広いパーソナリティ特性の根底にあるこれらのパターンを変えることが変化の鍵である、と述べています。
  3. プロセスに集中し、努力を続ける。 Henneckeら(2014)は、意図的なパーソナリティ特性の変化は3つの条件の下でのみ発生する、と提案しました。そのうちの1つは、望ましいパーソナリティ状態に頻繁に携わり、その結果それらの状態が習慣に変わらなければならない、ということです。状態の変化が自己概念の変化につながり、それがパーソナリティ状態の変化を確認するようなアイデンティティを促進します。
    たとえば、もしあなたがより「几帳面」に仕事をしたいならば、やることリストを定期的にチェックし、中期目標に対する進捗状況をモニターすることによって、自分がしていることにもっと細心の注意を払うことに集中したいと思うかもしれません。時間をかけて努力と練習を重ねるうちに、変化した習慣があなたの一般的な自己概念を変え始め、あなたは自分をより「几帳面」だと見始めるでしょう。管理職やリーダー、人事は、従業員が必要な練習をできるようなスペースと機会を提供し、その一方で学習と変化に時には必要な間違いを受け入れることによって、個人やグループをサポートすることができます。

「変わること」は簡単でも快適でもありません。しかし、職場において、自分の根底にあるパーソナリティ特性やその発現を適応させたいと思う理由はたくさんあります。私たちがこれまで学んできたことは、単に行動レベルでの変化に焦点を当てるだけだと、(短期的な適応にはつながるかもしれませんが、)長期的な変化にはつながらないということです。それとは対照的に、自己認識を高め、パーソナリティ特性と、外に現れる行動の根底にある信念、思考、感情のパターンを適応させることに集中することが、長期的な変化の鍵となる可能性があります。

私自身、コーチおよびメンターとして、自己認識、および、仕事でより成功するために「あまり望ましくない」パーソナリティ特性を修正する集中的かつ継続的な努力の利点を目の当たりにしてきました。

仕事の世界が急速に変化し続ける中、おそらく成功を可能にする重要な要因のひとつは、多くの場面でプラスの結果につながるという研究結果がある「経験への開放性」や「情緒的安定性」などのパーソナリティ特性の開発に取り組むことでしょう。それが、私たちが将来の職場に適応し、そこで成功するために必要な能力を開発できるという自信を築くことに役立ちます。

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2021/should-we-try-to-adapt-our-personalities-to-succeed-in-an-evolving-workplace/

1年ほど前のブログ記事ですが、テーマがちょうど私が先日直面したケースに近く、取り上げました。「自分のパーソナリティを変えなければならないのか?それはできるのか?どうやって?」――OPQを受検者にフィードバックする時、よく聞かれる質問です。

このブログの筆者の答えは「できる」です。記事の中頃で、それは根底にあるパーソナリティ自体が変わったのか、その発現が変わったのか、という根本的な疑問が呈されていますが、そこは、パーソナリティとは何ぞやという深い問題に絡んでくるからか、それ以上明言されていません。パーソナリティとは行動スタイルである、という見方をすれば、長期的な行動変容=パーソナリティの変化、と言っていいでしょう。

2022 年は、SHL のニューロダイバーシティ研究プログラムにとってエキサイティングな年でした。私たちと一緒に変化をもたらすために重要なポイントをお読みください。

クレア・モットラム
2022年 11月 9日

Purple Tuesdayはグローバルな社会運動で、障害をもつ人とその家族の顧客体験を向上させるために、認識や理解を促進し、アクセシビリティの改善を促すことを目的としています。SHL は、先週ロンドンで開催されたPurple Tuesday UK の祝賀会に参加し、米国でもミネアポリスオフィスで初のイベントを開催しました。

難聴者として、また最近注意欠陥多動性障害 (ADHD) のために学校からサポートを受け始めた幼い子供の母親として、このトピックは私にとって非常に重要です。世界保健機関(WHO)は、世界人口の 15%、つまり10億人以上が障害をもつと推定しています。また、ヨーロッパやアメリカにおいては、人口の約 20% が障害をもつ人の介護者であると報告されています。

私はSHL で 12 年近く働いていますが、その間、SHLがニューロダイバースな人材も含めて、公正な人事決定のためにすべての受検者に包括的でアクセスしやすい受検体験を提供することへ取り組む様子を見てきました。ニューロダイバーシティ研究プログラムを立ち上げるきっかけとなったのは、Purple とのパートナーシップでした。この研究プログラムは、最近、Recruitment Industry Disability Initiative(RIDI) による「Making a Difference – Private Sector」賞の最終候補に選ばれました。研究チームの私たちにとって非常に喜ばしいことです。

先月のPurple Tuesdayのグローバルオンラインカンファレンスでは、様々な組織が社会的リーダーシップ、アクセシブルな受検体験、アクセシブルなマーケティング、グローバルな技術トレンドとイノベーションなど、話題となっているトピックについての知見を共有しました。SHLは、最近発行したニューロダイバースな人材のアセスメントに関する白書から重要なポイントを紹介しました。要約が以下の1~6にあります。詳細な調査結果とポイントについては白書をお読みください。

カンファレンスで明らかになった重要なテーマは、障害者のインクルージョンとは旅に出るようなものであり、年々よりアクセスしやすくインクルーシブになるように、継続的に成長するものだと認識することでした。あなたの組織がこの旅の比較的初期の段階にある場合でも、すでに大きく進んでいる場合でも、前進し続けなければなりません。

Purple Tuesday イベントで私が非常に良いと思った点の 1 つは、参加者が実行に移すことができる実用的なヒントの共有に重点を置いていることです。

  1. 知的能力アセスメントは、ニューロダイバージェントな人材を評価するための有望な選択肢です。得点差、所要時間、エンゲージメントと公平性に関する反応の調査に基づいています。
  2. ニューロダイバージェントな人材は、強みと課題の両方を備えた「とがったプロファイル」を持つ可能性が高いです。採用担当者がどのようにコンピテンシーを選び、測り、決定するかに影響を与えます。
  3. 強みと課題は状態によって異なります。状態には重複する部分もありますが、多少の差異もあります。調査結果を薄め、すべてのニューロダイバージェントな人材に一般化しないように、個別に検討することが重要です。
  4. 状態ごとにアプローチを適用することはできません。アセスメントに対する反応は、同じニューロダイバースな状態の人であっても、人によって異なるため、個別のアプローチを取ることが重要です。
  5. 多くのニューロダイバージェントな候補者は、調整が必要な状態について伝えることをためらいます。これは、ニューロダイバーシティを取り巻く偏見や否定的な固定観念、そして採用場面ということを考えれば、驚くべきことではありません。アセスメントプロセスを適切に実行するために必要なサポートを確実に受けられるように、さらなる取り組みが必要です。
  6. 小さな変更が大きな違いを生む可能性があります。ニューロダイバージェントな候補者からフィードバックを集めることは、受検体験を向上させるための具体的にどのようなことができるかを特定するのに非常に役立ちます。多くは実行するのにほとんど労力を要しませんが、大きな影響を与える可能性があります。

今年の初めに、私はニューロダイバーシティ研究プログラムのリーダーを拝命しました。このチームを率いることを非常に誇りに思っています。私たちは 2023 年のアジェンダを最終決定したばかりです。来年の年次報告書では、より広く、より深い知見や重要ポイントを共有できることを楽しみにしています。

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2022/celebrating-purple-tuesday-with-an-update-on-shls-neurodiversity-research-program/

研究チームを率いる新たなリーダーによる記事でした。彼女自身がニューロダイバージェントな人材です。当事者としての視点を生かして研究が一層進むことを期待しています。

リーン・エイブラハム
2022年 9月 29日

組織内でポテンシャルの高い従業員(HiPo)が誰かを知ることがこれまで以上に重要になっています。 HiPoは市場で最も注目される人材ですが、離職リスクが最高潮の今、優秀な人材を見つけて確保することがますます難しくなっています。HiPoを正しく識別してマネジメントし、定着させることが、組織の未来の成功にとって不可欠です。

社内のHiPoを正確に識別することでSHLのお客様がどのような恩恵を受けたかを示す、3つの事例をご紹介します。

Cundallは、ヨーロッパ、中東、およびアジア太平洋地域で事業を展開する世界有数の国際エンジニアリングコンサルタント会社です。社外からの人材調達は競争が激しく、Cundallは、ビジネスの成長をリードできる可能性のある人材を特定することによって、強力なリーダーを社内で確実に育成したいと考えていました。

ベストな人材を惹きつけて定着させるために、Cundallは、従業員に対するバリュープロポジション(価値提案)と新規採用者の育成により重点を置く必要があり、HiPoプログラムが鍵であると見なしました。

SHLの『HiPoソリューション』を使用して、Cundallはパーソナリティ、意欲、知的能力、エンゲージメントを評価し、業界水準と比較することができました。その結果、現時点でリーダーになれる人と、適切な能力開発をすれば将来のリーダーになれる人を特定することができました。

客観的な人材データが得られたことで、Cundallはビジネスリスクを軽減することができました。照準を合わせた能力開発ができ、実際にリーダーになる前に、エンジニアが適切なリーダーシップ能力を持っているようにできたからです。

「このプログラムは私たちに強力なリーダーシップパイプラインを提供してくれ、『自ら育つ』人材戦略の浸透を助けています。どういう人がどこにいるかを、私たちが正確に理解することに役立ちました。」
(キャロル・オニール、Cundallマネジング・パートナー)

ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は、重篤な疾患を持つ患者のための革新的な医薬品を発見し、開発する世界的な製薬会社です。

このダイナミックな業界で成功するために、BMSは管理職の育成に新たに重点を置く必要がありました。BMSの戦略と、風土変革をもたらすコアバリュー(『情熱・アカウンタビリティ・スピード・イノベーション』)を発揮して伝える中心は管理職だからです。

BMSはSHL 『HiPoソリューション』を使用して、高業績者として選ばれた従業員の真のリーダーシップポテンシャルを評価しました。その後、各人の課題領域を特定し、狙いを絞った現場トレーニングを実施しました。現場トレーニングは、フォーマルな教室形式のトレーニングよりも 3 倍効果的であることが証明されています。

現在、BMSは、従業員の能力開発をビジネスニーズにより緊密に連携させ、人事とビジネスリーダーが客観的なデータと予測的な洞察を通じて、より多くの情報に基づいた意思決定を行えるようになっています。SHLの『能力開発ソリューション』によって、従業員は自分のペースで柔軟に学習できます。また、各拠点のアカウンタビリティと人材の自給状況に関する人事目標の達成にも役立っています。

「SHLは、より機敏でアカウンタブルで革新的な行動を我々が組み込むことを支援してくれました。また、社員が自分のキャリアに対してより責任を持つようになりました。SHLは、人事部門が真に戦略的なビジネスパートナーになることを可能にしてくれました。」
(エリノラ・ピサンティ、ブリストル・マイヤーズ スクイブ 人事部長)

Financial Services Compensation Scheme(FSCS)は、英国のすべての規制金融サービスを対象とする独立組織です。認可された金融サービス会社が倒産したときに人々を保護し、通常生活に戻れるよう支援します。

より機敏で多様で包括的な職場を促進するために、FSCS の理事会は2020年代に向けての明確な目標を策定しました。創業30周年を迎えて予想される継続的かつ新たな課題に対応するものです。この風土改革によって、新しい働き方に適応し、複数の利害関係者やパートナーとうまく協力できる、積極的で柔軟で外向的なリーダーが必要になりました。

FSCSは、部長レベルと課長レベルの両方で将来のリーダーを特定するために、SHL の『HiPoソリューション』を選択しました。このソリューションは、スキルと能力開発分野について客観的で首尾一貫した見方を提供し、戦略的思考、影響力、およびコミュニケーションに関する大きなギャップを浮き彫りにしました。

この情報を武器に、FSCSは能力開発が必要な具体的なリーダーシップ能力を対象とし、投資効果が見えない一般的なリーダーシップコースではなく、違いを生むことがわかっている分野に予算を割り当てました。

試験運用の成功に続いて、FSCSはリーダーシップパイプラインの構築と維持に HiPoアセスメントを使うことを選択し、大きな進歩を遂げました。高ポテンシャルと特定された人のほぼ半数が2年以内に上級管理職に昇進し、経営陣のうち女性の割合が目標の50%を超えました。

さらに、データによって、管理職はチームメンバーとの会話の中で能力開発を中心に置くことができ、メンバーは自分自身の能力開発をよりコントロールできるようになりました。

「ポテンシャルの高いリーダーの客観的な特定への投資によって、私たちは、適切な場所に適切なタイミングで投資を行うことができ、最高の結果をもたらすことができました。」
(ディビッド・ブラックバーン、FSCS最高人事責任者)

これら 3社の共通点は何でしょうか?3社はすべて、現社員を定着させて能力開発し、強力なリーダー候補者層を構築することが重要であると認識していました。社内から将来のリーダーを見つけることは、より費用対効果が高く、リスクが低いです。

リーダー候補者層が強い組織は、弱い組織と比較して、売上と利益の成長が2倍です。従来のHiPoプログラムを見直す必要があります。従業員のエンゲージメントは見過ごされがちな要素ですが、定着が課題となっている現在、組織は、リーダーシップを発揮する能力と意欲を持っているだけでなく、そのレベルに到達するためのコミットメントも備えている人材に投資しなければなりません。

SHLの『HiPoソリューション』は、HiPoに関するすべての意思決定がデータに導かれており、厳密な科学と妥当性が確保された枠組みに裏打ちされていることを保証します。1つのプラットフォームでリアルタイムの人材データが提供され、人事の意思決定に正確さと多様性と俊敏性をもたらします。

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2022/why-3-firms-selected-shls-high-potential-identification-solution-to-develop-and-engage-employees/

この3社の事例は、このコラムでもすでにご紹介したものです(第320回、第272回、第260回)。ハイパフォーマー(高業績者)が必ずしもリーダーとして成功するとは限りません。ポテンシャルの見極めに、一つの材料としてアセスメント結果を活用することをご検討ください。

イギリスおよびアイルランド共和国の大手ビジネス通信プロバイダーであるBTエンタープライズは、法人向け営業戦略を実現するために、データに基づいたインサイト(知見)主導のアプローチで営業社員の現状と将来のポテンシャルを理解することが重要であると考えました。人材開発チームは、インサイトを活用することで、営業社員全体を成長させ、将来のビジネス目標を達成するためのカスタマイズされたアプローチを構築し、展開することができるようになりました。

BTエンタープライズは、急速に変化する状況に置かれており、既存および新規の競合相手によって事業上の課題とチャンスが増えています。同社は、実績のある営業手法に倣い、営業社員がこの手法を採用・実践できるよう人材開発を行ってきました。しかし、現在のようなダイナミックな環境では、営業社員は顧客へのアプローチ方法についてこれまでとは異なる考え方をする必要があり、よりインサイトに基づくコンサルティングセールスの手法を採用することが求められます。BTエンタープライズでは、現状と将来のニーズとのギャップを把握し、最適な解決策を見出すために、営業社員の能力、モチベーション、ポテンシャルに関する正確な人材データとインサイトを必要としていました。個人レベルでは、継続的な自己啓発を支援し、当事者意識と責任感を高め、個人の目標だけでなく事業の将来のニーズも満たす実用的なインサイトが求められていました。組織レベルでは、オーダーメイドの個人別の能力開発計画を立案できるように、BTの営業社員の総合的な強みと能力開発領域に関する深いインサイトが必要でした。また、営業組織に対し将来の人材計画、採用、能力開発活動に関する意思決定を支援するためのインサイトも求められていました。

SHLとBTエンタープライズは、BTエンタープライズの営業組織の人材棚卸しに協力して取り組み、営業社員一人ひとりについてのインサイトと営業機能全体としての結果が得られる心理測定アセスメントを実施しました。

900人の営業社員がSHLのパーソナリティ検査(OPQ)と意欲検査(MQ)に回答しました。回答結果はSHLの新たなセールストランスフォーメーションフレームワーク(2021年)に照らして測定され、パーソナライズされたフィードバックレポートが作成されました。このリポートは、受検者が自分の仕事における主なやる気の源と能力開発領域を理解し、営業成績との関連が実証されているコンピテンシーと自分の行動の好みがどの程度一致しているかを理解することを助けます。

BTは、ダッシュボードを通して営業社員全体の結果を確認しました。さらに、SHLがこのアセスメント結果と職務データの相関や、競合他社のベンチマークとの比較などの分析を行い、現在のBTエンタープライズにおける営業機能のプロファイルの全体像を把握しました。

人材データを理解することは、法人向け営業戦略を成功に導くために有効です。SHLが提供した人材に関するインサイトにより、BTは社員の総合的な強みとギャップを理解し、個人と特定の事業分野に対し、現在の能力開発ニーズとポテンシャルのある分野に密接に連携した、より的を絞りカスタマイズされた能力開発戦略をとることが可能になりました。

アセスメント結果から得たインサイトを競合他社の結果と比較することで、人材戦略をビジネスの全体戦略と整合させ、最終的に競争優位性を持つことができるようになりました。

データ分析の結果、SHLのセールストランスフォーメーションフレームワークで高得点を獲得したBTの営業社員は、2倍の確率で営業成績優秀者であることが判明しました。

さらに詳しく見てみると、最も高業績なBT営業社員は、顧客のためにパーソナライゼーションと価値創造を推進する傾向が2倍あり、行動プロファイルの面ではより機敏で適応力があり、レジリエンス(回復力)があることが明らかになりました。また、今日のデジタル主導の営業環境において不可欠な、ビジネス分析とテクノロジー活用を強みとする可能性が15%も高いことが分かりました。

最終的には、個人レベルでも集団レベルでも営業社員に関するインサイトを得ることで、BTは営業人材の育成においてより計画的かつ的を絞ることが可能になりました。加えて、営業職への応募者を評価する方法も明確になりました。

原文はこちら。
https://www.shl.com/resources/by-type/case-studies/bt-enterprise/
セールストランスフォーメーションフレームワークの全体像は以下のコラムでご紹介しています。
http://www2.shl.ne.jp/column/perspective/hrqa2_334
現在は英語版のみでのご提供です。