パンデミックはDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させましたが、多くの組織は従業員エクスペリエンスの面での見返りを享受していません。 リーダーはこの変化を利用して、人間中心の仕事へのアプローチをどう改善できるのでしょうか?
ルーシー・ボーモント
2022 年 7 月 14 日
先日、私はパンデミック後の最初の対面会議、つまり実際のライブ会議に参加しました。人々との社交や、話題のテーマに関する即興の会話をしながら、私は会議に伴うすべての単純なことを懐かしく思い出しました。首にかけられた名札ストラップ、コーヒーの巨大な樽、そして生涯にわたる他者とのつながりに至る可能性のきっかけとなる最初の会話などです。
一方、私は全体を通してテクノロジーがいかに組み込まれているかに気付かずにはいられませんでした。マイクを回して聴衆の質問を拾う時代は終わり、現在はQRコードを使用して質問を投稿したり、最も関心のある質問に投票したりします。「なんて効率的なやり方なんだろう」と私は思いました。そして、それが聴衆の参加とつながりにどのような影響を与えるのか、疑問に思いました。テクノロジーと人の経験との間のスイートスポットはどこにあるのでしょうか?
そこには、会議だけでなく、世界中の同僚や顧客との会話の多くで浮かび上がってきた疑問があります。私たちは、急速かつ急進的なDXと、人間中心の仕事へのアプローチに向けた世界的な社会運動との間の交差点にいます。マッキンゼー社は、パンデミックによってDXが7年加速したと推定しています。 HRテックに2020年から2021年にかけて数十億ドルの投資が行われ、市場は3倍に拡大し続けています。また、CEO の最優先事項でもあり、68%がパンデミック後のデータとテクノロジーへの大規模な投資を計画しています。それでも、従業員エクスペリエンスという点で見返りを享受しているとは言えません。私たちは本当にどこまで来ているのでしょうか?
DXと従業員エクスペリエンス
例を見てみましょう。(すべてではないにしても)多くの組織が経費請求プロセスをデジタル化しています。物理的な領収書を経費報告書にホッチキスで留める時代は終わりました。今は、従業員のこの単純なプロセスを合理化するように設計された自動化システムです。しかし、経費請求を提出するエクスペリエンスはどんなものでしょうか?それは単純で、簡単で、迅速ですか?それとも、先延ばしにして別の機会にするものですか? Matt Alder 氏と Mervyn Dinnen 氏は著書『Digital Talent』で、従業員は、経費請求プロセスを苛立たしく感じているだけでなく、実は、「人々が経費を請求するのを思いとどまらせるよう意図的に設計されていると信じている」ことを発見しました。思い当たるところがありますか?その意図は従業員エクスペリエンスを妨げるのではなく、改善することだったのでしょうか?
人事がDXを受け入れるようになると、テクノロジーをどのように活用して職場の人々と協力し、サポートするかについて意図的に考える機会が与えられます。テクノロジー、データ、および分析が効率を高め、情報に基づいた意思決定を行う私たちの能力を向上させ、人間がもたらす内在的な偏見を減らすことができることに、疑いの余地はありません。とはいえ、多くの組織が実現しようとしている前向きで魅力的な従業員エクスペリエンスを生み出す、仕事の基本的な側面の一部が、テクノロジーによって侵食されるリスクもあります。
HR がDXを受け入れるようになると、テクノロジーをどのように活用して、職場の人々と協力しサポートするかについて意図的に考える機会が与えられます。
したがって、従業員のエクスペリエンスをテクノロジーとDXに関する意思決定の最前線に置くことは、私たちの義務です。全てにわたって、自分たちを、リーダー、管理職、従業員の立場に置くこと。これは、最終的に個人の生活に影響を与える組織全体の人材に関する意思決定を行うために私たちが努力している『人材管理』において、特に重要です。テクノロジー、データ、分析はこの分野で重要な役割を果たしますが、意思決定を改善し、管理職に価値を付加し、個々の従業員が大切にされていると感じさせるために、使用すべきです。
それで、次は何か?
私たちは皆、テクノロジーの展望に目を光らせ、仕事の世界を変える次の大きな出来事を予測しようとしていますが、一歩下がったほうがいいかもしれません。次のような質問をしてみましょう。
- テクノロジーによって改善され、従業員にとっての価値を高めることができる仕事の側面は何か?
- 分析を使って客観的で科学に基づく意思決定を強化するには、どうすればよいか?
- このテクノロジーの導入によって、従業員のエクスペリエンスはどのようなものになるか?
次に、従業員、管理職、人事のためにテクノロジーを実装して、従業員、チーム、組織をサポートおよび強化します。私は、これをうまく行ったとき、DXが人間中心の仕事へのアプローチを実際にいかに強化できるかを直接見てきました。偏見を減らし、多様性を高め、人材の意思決定を改善するとともに、個人が成長するための前向きで魅力的な環境を作ります。未来は明るく、未来は人間なのです。
このDXの急激な波の中、ひとりひとりの社員がどう感じているか、それを無視してはならない、という警告だと思いました。経費の自動請求プロセスなら私は便利だと思いますが、AIが人事決定に導入されることにはまだまだ抵抗感があります。これまでのやり方を変えることの功罪、立ち止まって考えてみませんか。
ハイポテンシャル人材の識別が、海賊の地図や神話、伝説をもとにした宝探しのようになっていませんか?あなたのハイポテンシャル人材のリストは、組織内の正確なハイポテンシャル人材の状況を反映できていないかもしれません。
ヘレン・ファレル
注:以下の物語の登場人物は架空のものです。
私がナディアとテーブルを挟んで座っていると、人事マネジャーのマークが慌てて入ってきた。彼は髪に手をやり、きちんとした髪型を崩した。
「遅れて申し訳ありません、ナディア。ジャックと電話で話したところです。」マークは息を切らせながら言った。ナディアはまばたきをして、眉をひそめた。「それで?」
「ええ、彼はちょうど辞表を提出したところです。」マークは息をつき、ナディアに視線を送った。ナディアはもう片方の眉毛を上げた。「金曜日に彼と一対一の面談があったのよ」。
ナディアはマニキュアを塗った手で眼鏡を調節した。「これで3人目よ。ジャックはリストにいたわ」「分かっています。リストにいました。」 マークは唇を噛み締めながら、下を向いて繰り返した。
私の耳は、そのリストに釘付けになった。この手のリストというのは常にある。企業がそれを形式化し、組織内の共通認識としているかどうかにかかわらず、常にリストがあるのだ。ハイポテンシャル、つまり優秀な社員、成功する可能性のある社員のリストだ。そして、このリストは、後継者育成の戦略、トレーニングや能力開発の予算、そして会社全体の変革に反映される。
つまり、優秀な人材をこのリストに載せることは、事業にとって非常に重要なことなのだ。現在、どのようにリストを作っているのかを尋ねた。
「管理職が、自分のチームの中で、特に優秀な人材を指名するんです」とマークは説明した。
なるほど、業績か。新たなスターを見つけるための一つの要素だ。ハイポテンシャル人材の73%は、主観的な推薦によって選ばれている。しかし、その推薦には、さまざまなバイアスがかかっている。つまり、このリストは、ごく一部の多忙な管理職の意見に基づいた、人材の状況についての大まかなスケッチである。
それだけでは十分ではない。意欲とエンゲージメントも重要だ。ジャックは本当に組織内で活躍することを望んでいるのだろうか?そのことで、彼はよい気分になるのか?良い給料や報奨、昇進など、組織が提供するものによって、彼はやる気を出しているのか?彼は組織にコミットしているか?彼は友人や家族に仕事の話をしているか?彼は新しいアイデアを持っているか?彼は何かを完成させるために組織にいるか?夜、目を閉じても仕事のことを考えているか?
もし、彼が辞表を出したばかりなら、そうでないことは明らかだ。ナディアは唇をとがらせた。マークは寂しそうに床を見た。
これが問題だ。従業員についてこのようなことを知るのは難しい。しかし、測定することはできる。走り書きの地図だけを頼りに埋もれた宝を探しに行く必要はない。客観的で有効なアセスメントを使い、社員のエンゲージメント、能力、アスピレーションをまとめて、より包括的な地図を作ることができる。今、組織で育成すべき人材は誰か、もっと上を目指せる人材は誰か、今後に向けて育成すべき人材は誰かを把握する。それらを5つのボックスでマッピングすることで、真の人材配置・異動の計画ができるようになる。ハイポテンシャル人材が誰で、どのポジションにいるのか、どのような職務を担っているのか、オンラインのプラットフォーム上で確認することができる。それにより、ハイポテンシャル人材のリストはダイナミックで、生き生きとした、希望と野心に満ちたものとなり、人材パイプラインごとに異なるリストになる。単なるリストではなく、組織の未来を示す地図であり、等高線や凡例など、必要なものがすべて揃う。
私は「すべてが失われたわけではない」と言う。ジャックが辞めることを心配する必要はない。それよりも、フルールから目を離さないことだ。彼女こそ、真の秘宝だ。「フルールですか?」マークが眉をひそめて言う。「フルールのことは良く知りません。ジャックの最初の3ヶ月の成功は伝説的でしたが…。」と。
ジャックの業績は印象的だったかもしれないが、フルールは組織内で活躍することを望んでいる。高業績者のうちハイポテンシャル人材は15%にとどまる。フルールは意欲に燃えている。彼女は、組織内で活躍することでとても良い気分になっている。そして、自分の銀行口座にボーナスが振り込まれるのを見たときの快感がたまらないのだ。他のチームと話をし、耳を傾け、タイトな納期をこなす。そして、どうすれば他のやり方ができるかについてアイデアを持っている。ジャックはどうだろうか?変化し続ける世界や仕事についていくために必要な変化の中を、彼は進んでいくことができるだろうか?
ジャックは辞職したばかりで、答えはノーだ。
もし、明日CEOが「損益にインパクトを与えるために変えるべきこと」「毎日起きて出社する理由」を尋ねたら、ジャックは何と言うだろう?
フルールなら、きっと言いたいことが沢山あるはずだ。ジャックではなく、フルールがリストに載るべきだ。このような人材は、発掘され、育成されれば、大きな成果を上げることができる。管理職は、誰が高業績者かについて自分なりの考えや感じ方をもっているだろう。しかし、パフォーマンスとポテンシャルは別物だ。管理職は、ただ沢山見たり聞いたりしているだけだ。エンゲージメント、意欲、重要な行動の全てが違いをもたらす。管理職が、自分たちの仕事の優先順位を見極めながらも、ハイポテンシャル人材を識別するためには、特別な手助けが必要かもしれない。
ジャックに予算を浪費せず、手遅れになる前にフルールに投資すべきだ。彼女は競合他社に転職し、5年後にはチームを率いていて、あなたの組織を凌駕しているかもしれない。
組織の中で、能力、モチベーション、粘り強さを持っている人を見つけるべきだ。できる人、そして長期的に組織に留まることを約束できる人。仕事以外の活動や、組織の提供する報酬に喜びを感じる人、人を導き、創造的に考え、誠実に集中することができる人を。そして、組織を前進させるビジョンを持っている人を見つけるべきだ。
客観的なアセスメントを使えば、地図をもとにゴールに向かう際に、人による解釈を取り除くことができる。ハイポテンシャル人材を特定するためにSHLのアセスメントを使用することで、エンゲージメント、定着率、将来の業績が向上することが分かっている。また、Mobilizeプラットフォームでは、社員がどのような職務に最も適しているかを確認することができ、上級職で12倍、経営幹部職で11倍も活躍できる可能性をもつハイポテンシャル人材を識別することができる。
埋もれた宝物を探すのに、急いで走り書きした印象的な場所と、コンパスと凡例を備えた包括的で客観的な地図と、どちらが良いだろうか?
どんな会社にも有望な人材のリストがある。重要なのは、そのリストの作り方だ。
原文はこちら。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2022/treasure-hunting-for-high-potentials-more-than-just-pirate-maps-myths-and-legends/
皆様の有望な人材の「リスト」には、業績だけでなく意欲とエンゲージメントの要素が加味されているでしょうか。
この数年間の出来事は、仕事の世界を変えました。同僚、顧客、仲間とのやり取りがオンラインになり、新しい意味を持つようになりました。私たちは、どのようにすれば、新しいデジタルのつながりを構築して、たとえ職場にいなくてもすべてを把握できるのか、を学んできました。
これらはすべて、「メタバース」で期待できる新しい状態の一部です。インドで椅子に腰かけながらアメリカにいる同僚と、あなたのこの前の休暇について井戸端会議をしたり、週末の集まりを計画したりすることを想像してみてください。メタバースの職場ではすべてが可能です。もはやサイエンスフィクションではありません。
「メタバース」とは何か?
「メタバース」という言葉は、Neal Stephenson が彼のSF小説「Snow Crash」(1992年) で作り出したものです。現実的な3D設定やその他の仮想現実(VR)環境で出会うリアルなアバターの人々を描いています。これは、メタバースが将来どのように機能するかに非常に近いものです。
メタバースを構成するテクノロジーには、次のものが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
- VR(バーチャルリアリティ)――ユーザーがそこで行動していてもいなくても、存在し続ける永続的な仮想世界。
- AR(デジタル世界と物理的世界の特徴を組み合わせた拡張現実)――ただし、そのスペースへのアクセスには必ずVRやARを介さなければならないわけではない。
- BCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース )――脳の電気的活動と外部デバイスとの間の直接通信。
メタバースにおいて、職場のダイナミクスはどのように変化するか?
メタバースは、仕事の世界における大きな可能性を表しています。しかし、可能性はさておき、近い将来に実際に提供できるものについて話しましょう。
- 求職者がメタバースで職場を探索できる
パンデミック中、すべての企業は、さまざまなオンラインプラットフォームを通じてリモートで採用するしかありませんでした。適切なソフトウェアを使用すれば、採用は効率的かつ円滑なものになります。そして、メタバースが、欠けている人間的要素を付け加えることができます。求職者はメタバースの中の職場で一日を過ごし、雰囲気をつかむことができます。就職はもはやミステリーではありません。入社を決める前に、採用担当者のアバターと実際に1対1で話し、職場を評価することができます。 - 実際の仕事課題をベースにしたアセスメント
メタバースはシミュレーションの一歩先を行っており、応募者のアバターがオフィス仕事を遂行するアセスメントを提供できます。たとえば、マーケティング職への応募者が現在のチーム全員と話をし、改善を提案することで、マーケティング計画のギャップを埋める、などです。 - メタバース内のオフィスでの採用活動
採用活動はアバターを使用して行うことができます。応募者が仲間の応募者に会ったり、グループ討議に参加したり、面接を受けたりすることができます。 - 採用・昇進のための実務的アセスメント
たとえば、医療、工学、または製造分野の熟練職への応募者は、応募者がさまざまな部品を検査する必要がある車の診断を実行するなど、メタバースでの実践的なタスクを介して評価できます。 - メタバースでの対面ミーティング
パンデミック中、世界は一晩でオンライン会議に移行しました。また、一部の企業や業界は、通勤時間が短くなったこと(もしくは、なくなったこと)の恩恵を受け続けるために、完全にメタ職場に移行する可能性があります。そこでは、アバターを介したビデオ会議、メタ職場での共同プロジェクト解決、さらには福利厚生やメンタリングが行われるでしょう。可能性は無限です。
課題
初期段階では、メタバースは特定の用途に特化したツールであり続ける可能性が高いです。他のテクノロジーを補完するものであり、他のテクノロジーに取って代わるものではありません。その理由は、標準化の欠如、市場の断片化、提供されるさまざまなユーザーインターフェイス、および統一されたガバナンスシステムの欠如です。これらのハードルが克服されるまでには、しばらく時間がかかるでしょう。そして、メタバースは、スマートフォンやインターネットと同じように、私たちの日常生活の一部と見なされるでしょう。
補助的なテクノロジーであることに加えて、企業はAR/VRヘッドセットを利用できるようにするというロジスティクス上の課題に直面します。特に、採用にメタバースを導入する必要がある場合はそうです。応募者全員にヘッドセットを発送するのは費用対効果が高いでしょうか?企業ブランディングのメリットは、それらのコストを上回るでしょうか?また、ヘッドセットはスマートフォンのように必須のテクノロジーになるのでしょうか、それともフィットネスウォッチのようにオプションのテクノロジーになるのでしょうか?メタバース内の職場のルールはどんなものでしょうか?そのような疑問がたくさんあります。道筋は今後3~4年でクリアできるでしょうが、やるべきことはたくさんあります。
一方、日常のオフィスでは、企業はメタバース体験をどの程度没入型にすることができるか、そして、通常の職場体験をどの程度補完するものにする必要があるかについて、判断しなければなりません。パンデミックによって会議にビデオ会議ソフトウェアを使わなければならなかったように、私たちは、短期間でメタバースを導入しなければならないという、ルーチンを破壊するような将来に備える必要があります。
原文はこちら。
https://www.business-reporter.co.uk/technology/a-day-in-your-life-at-the-meta-workplace
この記事は、SHLラボのMark Brincat(Chief Technology Officer)によって寄せられたものです。
コロナ禍で一変した職場は多いでしょう。さらにメタバースが職場にどんな影響を与えていくのか、一個人としてはもちろん不安もありますが、楽しみです。
SHLのAIを活用したアセスメントがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業を支援します
企業
- 業界:BPO
- 規模:7万5000人
- 地域:フィリピン
この企業は世界有数のコンタクトセンターソリューションプロバイダーです。SHLのAIを活用した言語アセスメントと状況判断テストを使用して採用プロセスを拡大し、業界標準を超える人材選抜システムを構築しました。SHLのクラウドベースのプラットフォームを活用し、妥当性が検証された高度なアセスメントテクノロジーを利用することで、採用プロセスを効率化すると同時に、長期的に活躍する従業員を予測する能力も向上させました。
課題
優れた顧客体験は競合他社との差別化につながりますが、オンラインで大規模に提供するという点が課題です。この企業の事業は、クライアントが適切なコンタクトセンター担当者を大量に採用できるよう支援することです。
彼らは、さまざまな地域にまたがる何千もの候補者を効果的かつ効率的に評価するために、堅牢で高い予測力を持つ採用プロセスを求めていました。同社の採用変革の計画には、複数の重要な職務スキルに基づいて、候補者が活躍する可能性をより正確に予測できる新たなツールを導入することを含んでいました。最後に、クライアントの全体的な顧客満足度(CSAT)スコアを迅速かつ大きく改善できるような顧客サービスチームを作りたいと考えていました。
課題
優れた顧客体験は競合他社との差別化につながりますが、オンラインで大規模に提供するという点が課題です。この企業の事業は、クライアントが適切なコンタクトセンター担当者を大量に採用できるよう支援することです。
彼らは、さまざまな地域にまたがる何千もの候補者を効果的かつ効率的に評価するために、堅牢で高い予測力を持つ採用プロセスを求めていました。同社の採用変革の計画には、複数の重要な職務スキルに基づいて、候補者が活躍する可能性をより正確に予測できる新たなツールを導入することを含んでいました。最後に、クライアントの全体的な顧客満足度(CSAT)スコアを迅速かつ大きく改善できるような顧客サービスチームを作りたいと考えていました。
ソリューション
カスタマーサポートの職務内容を詳細に分析し、期待される重要な成果を詳細に調査した結果、成功の指標が明らかになりました。(a)英語を話す能力、(b)ソフトスキル(共感や柔軟性など)、および(c)顧客中心の考え方が強いこと、です。SHLは、アセスメントの効果が最大になるよう、AIを活用した英語能力アセスメントと状況判断テスト(SJT:Situational Judgment Tests)を推奨しました。
SHLの英語能力アセスメントは、AIと音声認識を使用して、話し言葉の英語を評価します。発音、流暢さ、リスニング、語彙、文法などの主要なパラメーターについて候補者を正確に評価します。SHLのカスタマーサービス職向けSJTは、候補者のソフトスキルと顧客志向性を評価します。これら2つの妥当性が検証された客観的なアセスメントを、AIを活用した電話形式の1つのソフトスキルアセスメントにまとめました。これは業界初の革新的なアセスメントです。
結果
SHLの革新的なソリューションを導入した結果、採用の効率と効果が向上しました。AIを活用した公正で信頼性の高いアセスメントによって、適性が高い候補者のみが面接に進むようになり、面接官の時間と労力を大幅に節約できました。SHLの拡張性が高いオンラインテストプラットフォームによって、より幅広い候補者へ接触することが可能になりました。以前の3倍の候補者に接触し、アセスメントを実施しています。
SHLは効率性だけでなく、コンタクトセンター業界で最高の顧客サービスチームを採用することにも貢献しました。彼らの顧客満足度スコア(CSAT)は32%増と信じられないほど上昇しました。このうち60%は採用された従業員の顧客志向性の高さに起因し、残りの40%は英語を話す能力に起因しています。この組織は、SHLのアセスメントソリューションを引き続き利用しており、現在もフィリピン全土で毎月約7000人の候補者にアセスメントを実施しています。彼らは、顧客サービスの領域で最高の人材を継続的に惹きつけ確保するというクライアントのニーズを満たすという点で、これまでになく成果を上げています。
原文はこちら。
https://www.shl.com/resources/by-type/case-studies/business-processing-company/
カスタマーコンタクト職の大量採用に、オンラインアセスメントを活用した事例です。状況判断テストでは、その職務がよく遭遇する状況で、受検者がどのように行動するかを確認します。
「オフィスに戻れ」と言うのは簡単ですが、実行は難しいです。当然のことながら、企業は社員をオフィスに誘い戻し、その移行を「かつてオフィスが楽しかった頃を思い出す」と思わせるために、あらゆる手を尽くしています。
コロナ禍は私たちの生活に混乱をもたらしましたが、同時に在宅勤務を実現してくれました。パリッとした白いワイシャツの下はパジャマのままだったり、月曜日朝イチの電話MTGのまさに数秒前に起きたりする世界です。仕事が順調に進み始めたちょうどその時、会社は私たちにオフィスに戻ってくるよう求めました。
世界がコロナウィルスとの共存を学ぶ中、世界中の組織が物理的なオフィスワークに戻る準備を進めています。オフィスに戻るよう社員に呼びかけているいくつかの大企業に最近加わったのはTesla社で、CEOのElon Musk氏は、社員に「職場に戻るか、辞めるか」とまで言い放ちました!
しかし、「オフィス復帰」は「言うは易く行うは難し」です。従業員に "職場で会えるのを楽しみにしています "というメールを送るだけの簡単なものではありません。
いくつかの企業の社員がオフィス復帰の呼びかけに対して「大抵抗」を見せ、また、復帰を呼びかけられて「大量退職時代」の一員となった人も少なくありません。
当然のことながら、企業は社員をオフィスに誘い出し、その移行を「悪い夢から覚めた」と思わせるのではなく、「かつてオフィスが楽しかった頃を思い出す」と思わせるために、あらゆる策を講じています。
経営陣と出会う
Intel India社では、社員が快適に過ごせるように、また、オフィスに戻ってくるまでの過程をスムーズにするために、さまざまな取り組みを行っています。
「初歩的なところでは、会議中に管理職がオフィスにいてカメラをオンにすることを奨励し、社員にオフィス環境を感じてもらいます。また、ワークステーションは共有か個人用かを選択できるようにしています。オフィスへの復帰にワクワクしてもらえるよう、Intelの幹部が、社員が実際に会って学ぶ機会を得られるようなオープンフォーラムに参加します。」(Vijay Colaco氏, Intel India人事部長)
また、オフィスから経営陣や社員が参加するバーチャル討論会も開催しています。「これは、社員がオフィスにいるときの感覚を共有するためのプラットフォームとなります。また、キャリアフェアやトレーニングワークショップなど、これまでバーチャルだったイベントをハイブリッド化し、社員が直接参加できるようにすることにも力を入れています。」
オフィス復帰希望者への山ほどの特典
Colaco氏は、 シャトルバス送迎サービス、カフェテリアサービス、ジム利用など、構内の福利厚生や特典を拡充することで、社員にとってより魅力的な復帰のプロセスを作っていると言います。 「チーム内のシナジーを高めるために、チームミーティングをオフィスで開始し、近くのレストランに移動します。リラックスした雰囲気の中で、同僚とつながり、活力を取り戻すことが目的です。この取り組みは『チェックイン・ステップイン・ステップアウト』と呼ばれています。」
グローバルな専門サービス企業ZS India社のApoorva Aggarwal氏は、「社員にとって無理のないペースで会社は動いており、事前のコミュニケーションで必要なサポートを確認して、全プロセスを非常に機敏で融通の利くものにしています」と述べています。
「オフィスへの復帰をスムーズかつポジティブなものにするため、食事、交通、引っ越し、医療など、社員のためのリソースを引き続き強化しています。実際、これらの多くはハイブリッド・モデルに合うよう強化されています。例えば、フレキシブルな働き方をする人のために食費をサポートする手当を支給しています。 また、オフィスのある地域に引っ越しする人には転居先や住居を提供し、賃貸住宅の保証金支払いも支援しています。」
Optum社は4月4日に任意でのオフィス復帰を開始しました。「楽しいイベントやフードフェスティバル、くじ引き、無料の食事、オンデマンドフィットネスセッションなどで、インドの各拠点のチームメンバーとともにオフィス復帰を祝いました。」(Nishid Sachdeva氏, Vice President of Operations and Country Lead, Optum Global Solutions (India))
SHL社のインド人事部長Nitin Motwani氏は、社員を呼び戻す前に、彼らが突然の生活の変化に驚かないように会社は配慮している、と言います。
「定期的な消毒、コロナ規約への準拠、定期的な健康診断など、職場の安全を確保することは、すべてのスタッフの不安を取り除き、信頼を得るための重要な方法です。また、遠隔地勤務者の通勤や宿泊先、職場での食事の無料提供や補助などにも配慮しています。」
職場復帰キット
1000社以上の企業にカスタムギフトとコーポレートグッズを提供しているOffiNeeds社の創設者兼CEOであるSrikanth Acharya氏は、「多くの企業が、バッグ、ブルートゥース用ヘッドフォン、ボトル、Tシャツなどを含む、社員の職場復帰を歓迎するための職場復帰キットの作成を同社に依頼してきました」と述べています。
「私たちがこれまでに手がけたほとんどの企業では、職場復帰キットの中に5~6種類の製品を入れ、社員のデスクに置いて歓迎するようにしています。これらのキットの予算は1000ルピーから4000ルピーです。」
「以前は、職場復帰の贈り物をする会社の話を聞いたことがありませんでした。オフィスからしか仕事ができないと思われていたのです。しかし、この2年間でそれがすべて変わりました。だからこそ、会社は復帰してもらうためにグッズを贈るなど、いろいろな戦略を考えなければならないのです。」
「2020年までは、オフィスに行くことが唯一の働き方でした。しかし、この2年間で、誰もがパジャマを着て家で仕事をする習慣がついてしまいました。その習慣を変えるには、外部からの後押しが必要です。こうしたグッズの追加や、ジムやリクレーションゾーンなどの新しい施設を追加するオフィスリノベーションによって、社員はオフィスに戻り、また戻ってきたいと思うようになるでしょう。」
オフィス復帰のための部隊
あるBig4(世界4大会計事務所)の女性リーダーが匿名を条件に話してくれたところによると、彼女の会社は「Return to Office workforce」と呼ばれる新しいチームを雇用し、そのKPIはFY23Q1内に80%の人員をオフィスに戻すことだそうです。
「彼らは、毎週、復帰した人の数を報告しています。楽しいイベント、リーダーとの会話、トレーニング、チームミーティング、送別会など、何らかの理由で少なくとも一度はオフィスを訪れた人を追跡しています。オフィスに来たがらない人たちと接し、1対1でつながることはリーダーの責任でもあります。」
彼女自身は、オフィスでの個室、家族と離れること、ソーシャルネットワーキング、チームビルディング、そして能力キープが復帰の動機になったと語っています。
チームがオフィスに戻るための上手な計画
Maersk社人事部長のRadha Shriharsha氏は、オフィス復帰への移行が自然で、エキサイティングで、思い出深い体験になるようにした、と述べています。「私たちはグローバル企業であり、社員はインドにいながらにして複数の地域で働く同僚と仕事をしています。テクノロジーを適切に活用し、オフィスの座席を見えるようにし、交通機関を利用し、必要に応じてチームが一緒にオフィスにいられるようにうまく調整しながら、持続的にエンゲージメントを築くためのいくつかの革新的な方法を用いています」と彼女は述べ、社員に柔軟性が与えられ、権限が委譲されていて、安全で信頼されていると感じさせることが最も重要である、と付け加えています。
「私たちは多くの人を採用しているので、新しい同僚やリーダーをオフィスに招いて私たちのようなグローバルリーダーやブランドで働くことを実感してもらう機会に事欠きません。そうすることで、私たちはオフィスとリモートで同時に同僚と集う日々の機会を最大限に活用しており、それこそがハイブリッド・モデルの真の価値です。例えば、重要なマイルストーンの祝賀会、チームの社外イベントの計画、オフィスでの表彰日、チームランチや誕生日などです。」
オフィススペースの再設計
データサイエンスとAIエンジニアリングの会社であるTredence社は、在宅勤務期間によって、オフィススペース設計が重要であり、その再設計が職場復帰戦略の中核であると気づくことができました。より広くより良いオフィススペースに変更しただけでなく、専門のアーティストやインテリアコーディネーターに依頼して、自宅のように感じられ、コラボレーション、健康、生産性、ポジティブな成果を促進するようなデザインにしました。
同社は5月にオフィス復帰計画を開始し、社員には厳格な時間や曜日を設定するのではなく、1週間のうち決まった日数だけ、段階的に帰社してもらうことにしています。
勤務時間を固定しない
「私たちは両立可能であると信じています。そして、ハイブリッド・モデルによってこれを実現します。月曜日は泣き言を言うためではなく、自分の一週間を管理するためにあります。だから、月曜日は在宅勤務日です。また、私たちは勤務時間というものを信じていません。社員に任せています。やる気と自立心を育むためです」と、Whoppl社の創設者兼CEOであるRamya Ramachandranは言います。
Whoppl Friyayy’sは、ビジョンボード(自分が叶えたい夢や理想を写真やイラストを使って視覚化し1つにコラージュしたボード)からズンバやヨガまで、楽しくてインタラクティブなチームビルディングのための毎週恒例のイベントです。
人々の安全性とビジネス要件のバランスをとる
Zivame社のチーフ人事オフィサーであるRishu Garg氏は、オフィス復帰計画について、現場にいる必要のある職務(小売、倉庫、サプライチェーン、オペレーション)とリモートで働ける職務(テクノロジー、製品、カテゴリー、デザイン、コーポレート部門)に慎重に分類している、と述べています。
「職務ごとに、人の安全性とビジネス要件のバランスを取りながら、詳細なオフィス復帰戦略を検討しました。現場での職務では、シフト時間の柔軟性、勤務地のローテーション、通勤のサポートがうまく機能し、コーポレート職では、ハイブリッドプランとチームの社外イベントがチームをオフィスに戻すのに役立ちました。」
「働く場所」についてのモデル
Abbvie India社人事部長のNatasha Tiwaryは、職場復帰は、私たちのほとんどにとって、個人と仕事上の様々なコミットメントを管理することを意味する、と述べています。
「この移行を支援するために、Abbvie社は、オフィス勤務の社員に対して、予測可能な柔軟性を備えた『Where we work』と呼ばれる勤務モデルを採用することを決定しました。このモデルでは、オフィス勤務の社員は通常、週に3日程度はオフィスに滞在し、チームメンバーと顔を合わせ、円滑な職場文化を築き上げることが期待されます。このモデルによって、社員へのコミットメントと信頼を強化しながら、業績に焦点を合わせ続けることができるのです。」
オフィス復帰の準備ができているかどうかに関わらず、人事リーダーたちは、ハイブリッドな働き方が今後も続くことを否定できないと言います。そして、強力なオフィス復帰計画を実施するには、人々の安全性とビジネスの継続性を確保するために、必要に応じて明確で柔軟なハイブリッドな働き方を実施する必要があると言います。
「ハイブリッドな働き方モデルが主役になるにつれ、雇用者と従業員は、在宅勤務でできないこと、例えば、人と関わり、交流、会話など、対面での機会や柔軟性を手に入れることができるようになります。オフィスがオープンして何カ月も経ちますが、当社のリーダーやマネジャーは「職場復帰」を促進するために重要な役割を果たしています。従業員がオフィスに戻り始めたのは、物足りなさを感じているからではなく、単調な在宅勤務を解消し、より豊かな仕事経験を得るためです」と、GlobalLogic社のインド人事担当副社長Rajesh Rai氏は語っています。
原文はこちら。
https://www.peoplematters.in/article/strategic-hr/charm-offensive-how-organisations-are-persuading-employees-to-return-to-office-34213
(長い記事でしたので、一部和訳を省略しました。)
日本でも春ごろから感染が収まってきて、多くの企業で「職場復帰」が検討され始めたのではないでしょうか。ところが、7月の現時点では第7波が猛威をふるっており、もう少し様子見、ということになりそうです。
ともかく、在宅とオフィスのハイブリッドな働き方も3年たちました。それに慣れた社員たちに、この記事にあるような「オフィスで働くことが楽しい」と思わせる施策の参考になれば幸いです。
SHLの大卒採用ソリューションがグローバルITリーダーを支援
企業
- 業界: ITサービスおよびアウトソーシング
- 規模:17万人
- 地域:インド
このクライアントはインドを拠点とするグローバルIT、コンサルティング、およびビジネスプロセスサービスのリーダーです。彼らは多様性を改善しつつ、最高の人材を確保するために、エントリーレベルの採用プロセスを合理化したいと考えていました。彼らはインド全土のすべての大卒者から最高の人材を調達し、引き付け、雇用するというユニークなビジョンを持っていました。そのためには、現状を打破し、従来の採用プロセスの限界を超える必要があり、数百のキャンパスにまたがる全国規模の採用活動を、同時進行で確実に進めることができる拡張性のあるプラットフォームが必要だと考えていました。
課題
クライアントはグローバルなITの巨人であり、すでに大卒採用において非常に人気のある企業でした。彼らはターゲットとする大学を広げ、より多様な候補者集団をすばやく特定して確保できるように、プロセスを拡大する必要があると考えていました。それは、従来のキャンパス内での採用を超えて、安全で拡張性のあるヴァーチャルプラットフォームを導入することを意味していました。彼らは、最高の人材を特定するために必要な厳格なアセスメントプロセスを損なうことなく、全国的に人材をテストする自動化された非常に効率的なプラットフォームを構想しました。
この採用活動は息を呑むほどの規模でした。数百のキャンパスで約10万人の候補者を、コーディング、知的能力、英語筆記能力などの複数の能力について評価しなければなりませんでした。AI主導の自動監督の仕組みにより、プロセスの質と厳格さを確保しながら、拡大することが可能になりました。特定のパフォーマンス基準に照らして候補者を評価することで、最適な候補者のみが面接に招待され、プロセス全体がより効率的かつ効果的になりました。エントリーレベルの採用における一般的な課題の1つは、応募者の数が多いことです。したがって、応募者を効率的に絞り込んで、隠れた宝石を見つけることができるようにすることが重要です。この事例では、慎重に事前の資格認定を行うことにより、面接を減らしながらより多くの候補者を選抜できるようになりました。
ソリューション
SHLの包括的なクラウドベースのアセスメントプラットフォームは、クライアントがエントリーレベルの採用プロセスを自動化するために必要なものをすべて備えていました。実績のあるスキル評価プラットフォーム、上級英語筆記試験、強力な自動監督テクノロジーを活用した魅力的なコーディングシミュレーションプラットフォームです。クライアントのチームと緊密に連携して、知的能力、コーディング能力、および英語筆記能力を評価するための包括的なアセスメントパッケージをまとめ、実施しました。これにより、クライアントはインド全土から最適な人材を確保できました。
上級英語筆記試においては、SHLの英語理解、語彙、文法スキルの評価と、AI主導の電子メールおよびエッセイ作成スキルの自動評価を組み合わせました。また、AIを活用した魅力的なコーディング評価プラットフォームでは、30以上のプログラミング言語でよく組み立てられた何百もの問題を使用し、応募者のプログラミング能力を測定しました。自動監督と盗用防止テクノロジーによって、このような大量受検の場合でもテストの質と厳格さを確保することができました。
結果
SHLの包括的なソリューションは、クライアントがエントリーレベルの採用に必要とする厳格で信頼性が高く、大規模なアセスメントを提供しました。専用のインフラ(物理およびオンライン)を備えた139のテストセンターを設置し、インド全土の500を超える大学から学生を受け入れました。自動化された拡張可能なプラットフォームは、1日あたり5万~7万のアセスメント、同時に2万5千ものアセスメントを実施できるように設定されました。3日間で約11万人の学生がアセスメントを受け、電子メール/SMSで結果を受け取りました。
合理化された運用管理により、クライアントは最初の面接から最終面接までの採用プロセスを簡単に管理することができ、最終面接には最適な候補者(約1万人の学生)のみが選抜されました。面接の量が大幅に削減され、面接官の時間が最適化されました。SHLのAIを活用した評価によって必要な手作業が削減される一方で、募集キャンパス数は50から500へ劇的に増加しました。また、公正で客観的な評価は、採用プロセスから無意識の偏見を減らし、クライアントにより広くより多様な候補者集団を提供しました。
候補者経験も大幅に改善され、応募者は非常に短い応募プロセス(15分)とモバイルフレンドリーで魅力的なアセスメントを高く評価し、選考プロセスに非常に高い満足度を示しました。さらに、クライアントのアセスメントチームの経験も向上しました。候補者を選別および評価する自動化されたプラットフォームにより、コストが大幅に削減され(対面での採用のための出張を含む)、クライアントのエントリーレベルの採用および大卒採用プロセスの全体的な効率が向上し、生産性が向上しました。全体として、クライアントにとって、そしてSHLにとっても信じられないほどの成果が得られました。
原文はこちら。
https://www.shl.com/resources/by-type/case-studies/it-services/
SHLグループの自動監視機能を持つ複数のアセスメントを組み合わせ、質を落とさずに大量採用というニーズに応えた事例でした。
(ロンドン、2022年5月11日)
人材獲得と人材マネジメントのグローバルリーダーであるSHLは、SHLのイノベーションのハブ(中心地)であるSHLラボの立ち上げを発表しました。 SHLラボの野望は、データサイエンス、産業組織心理学、人工知能、デザインにまたがる幅広い人材の能力を結集して、人材テクノロジーの未来への道をリードする、というものです。SHLは、今後3年間で、米国、ヨーロッパ、インド、中国にチームを編成し、イノベーションに3000万ドル(約40億円)以上を投資する予定です。
CEOのAndy Bradshawは、次のように述べています。『今日の知識主導型経済において、「人」は企業の最も重要な資産です。世界中の企業が、自社の人材戦略にイノベーションを組み込もうと取り組んでいます。 我々は、SHLラボが人材分野の技術変革を加速し、企業と従業員の成功を支援する、と信じています。』
SHLの最高デジタル責任者であるHimanshu Aggarwalは、次のように述べています。 『SHLは、人材を評価する科学技術における、誰もが認めるリーダーです。 SHLラボは、私たちがこのリードをさらに大きく飛躍させるのに役立つよう設計されています。私は、ラボから生まれるイノベーションに心から興奮しており、それらのイノベーションが今後数年間、採用と人事管理の慣習を打ち壊していくと強く信じています。』
SHLラボの中心は、心理測定科学、人工知能、ダイバーシティ&インクルージョン、メタバースなど様々な分野の専門家である50人以上の研究者で構成される、人材市場で最大の研究開発チームです。
SHLラボはまた、査読付き研究出版物で研究結果を積極的に公開し、世界中の主要な学術機関と提携して、人材業界の複雑な問題に取り組むことを計画しています。
SHLラボについて詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.shl.com/about/company/shl-labs/
前回のコラムのあとがきでも触れたSHLラボに関するプレスリリース記事です。正直、40億円以上もの投資、と知って驚きました。人事の世界でも革新のスピードは加速しそうです。
コンピューター適応型テスト(CAT)は、現代の心理測定テストにおいて高く評価されていますが、どのような場面においても優れているのでしょうか?
イン・リン(SHL研究開発チーム主任研究員)
コンピューター適応型テストとは何か?
コンピューター適応型テストはCATと略され、アセスメントの世界でホットなトピックです。面接では、受検者が自分について話したことにあわせて質問を変えます。同様に、といっても判断を下すのは人間ではなく数学的なアルゴリズムですが、コンピューター適応型テスト(CAT)は各受検者に合わせて次に出す問題を自動的に調整します。たとえば、受検者が中程度の難易度の問題に正解した場合、アルゴリズムはより難しい問題を出して、受検者の能力の上限をテストします。一方、受検者が中程度の難易度の問題に不正解だった場合、アルゴリズムはより簡単な問題を出し、受検者の能力の下限を測定します。このように、CATは、各受検者に合わせて出す問題を調整し、限られたテスト時間の中で収集できる情報を最大化します。
コンピューター適応型テスト(CAT)は優れているか?
CATは知的能力テストで驚異的な効果を発揮し、測定の精度を損なうことなく、テスト時間を半分に短縮します。そのため、CATが優れた最新の心理測定テストの特徴として歓迎されていることは驚くべきことではありません。あるテストがCATのテクノロジーを利用していれば、それだけで問題項目が固定されているテストよりも高品質であると見なされるほどです。
知的能力テストにおいてはCATが優れていることは明らかです。しかし、パーソナリティやその他の非認知的な要素のアセスメントにおいてはそれほど明白ではありません。知的能力テストにおいて、受検者が問題の答えが分からない場合に回答できる「ふり」をすることはありません。しかし、パーソナリティに関する質問は、受検者が自分自身について言っていることに依存します。たとえば、受検者に「私はオープンマインドです」という文章にどの程度同意するかを尋ねる場合があります。このような質問は、特に利害が大きい場合に、自分をよく見せようとする可能性があります。この問題に対処するために、強制選択の質問形式があります。たとえば、受検者に「私はオープンマインドです」と「私は几帳面です」という2つの文章のうち1つを選択するように求めます。よく見せようとすることへの対抗策として強制選択形式を使用する場合、鍵となる重要な点は、一度に提示される選択肢を同じように望ましいものにすることです。
強制選択形式により複雑さが増し、パーソナリティの多次元的な性質と相まって、CATテクノロジーの適用はより微妙なものになります。一方では、CATが測定精度を向上させようとします。他方では、強制選択形式によって社会的望ましさのバランスをとる必要性があり、出題プロセスに大きな制約を課します。先行研究では、この2つの力のせめぎ合いについて、それでもCATが勝っていることを示しています。受検者の回答に合わせて質問が調整されるテストは、質問がランダムに選択される同様のテストよりも測定の正確性がはるかに高いという結果でした。
人事アセスメントにおけるコンピューター適応型テスト(CAT)
先行研究は有望な結果ではありましたが、比較対象となっているランダムに質問が選ばれるテストは、実務上は現実的ではありません。より現実的な比較として、Lin、Brown、Williams(2022)が最近発表した研究で、CATをOST(Optimal Static Test: そのテストに最適な質問項目が固定されているテスト)と比較しました。2つの状況で比較しました。まず、テストの冒頭で、ほとんど受検者の情報を収集できておらず、CATが受検者に合わせて出題するための情報が不足している状況です。次に、テストの終盤で、限れたアイテムバンク(質問群)がさらに少なくなり、CATの出題プロセスに厳しい制限がかかっている状況です。結局、OSTと比較したCATの利点は、残念ながら最小限でした。CATはOSTよりコストがかかるので、投資効果を考えるとやる価値がないという結果でした。
では、CATは知的能力以外の複雑なテストでは見込みがないのでしょうか?必ずしもそうではありません。必要な「エサ」が十分に与えられれば、OSTを上回る、有意義な結果を出します。
- 受検者の情報を十分に与えてください。受検者の情報を集めるためには、ある程度の時間が必要です。
- より多くの質問を追加してください。そうすることで、特に制約がある場合に、CATを実行するための幅広い選択肢を用意できます。
CATに「エサ」を与えることを忘れないでください。さもないと、CATをケージから出す価値がないかもしれません。
CATといえば知的能力テストですが、パーソナリティ検査への応用について研究した結果のご紹介でした。先日SHLはSHLラボを立ち上げ、研究開発に一層投資するとプレスリリースを出しました。今後のさらなる研究活動に期待しています。
サラ・マックリーン(SHLシニア・ディレクター)
対策
この結果は個人や組織にとって何を意味するのでしょうか?私たちはおそらく、自分たちはもろいものだ、とかつてないほど感じています。人間関係を保つことが難しくなり、「通常の」生き方や働き方が完全に考え直され、独立してやっていくことを余儀なくされました。頼れるのは、自分自身とすぐ身近にいる人たちだけです。
職場では、人とのやり取りや人間関係が損なわれました。仕事は「作業」や「やることリスト」に姿を変え、人生の他の側面(「楽しい」ものではなく、単に日常生活)が機能できるように注意深く管理されます。同時に、組織や社会は、「ダイバーシティ・公平性・インクルージョン」の重要性に目覚めよという世論に直面しています。従業員が報酬や認知や経験に対してより包括的なアプローチを要求するようになり、「大量退職時代」は企業が従業員に提案する価値を再考するようさらに大きな圧力をかけています。さらに、ワークライフバランスと柔軟性をめぐる従業員の期待も変わっています。特に在宅勤務ができるかどうか、という点に関してです。
パンデミックは勤務環境に不確実性を生み出し続けています。経営者、人事部、採用担当者は、コロナ禍で、現職者集団と応募者集団で「回復力」と「適応性」のポテンシャル得点が変わってきている可能性があることを考えるべきです。
この経験で多くの人がトラウマ(心的外傷)を感じ続けていることに、疑いの余地はありません。私たちは今、癒しと活性化のプロセスを開始しなければなりません。
1. リーダーが共感を示す
米国労働者の90%は共感的リーダーシップが職務満足度の向上につながると信じており、79%はそれが従業員の離職率を低下させると思っています。「共感」は、信頼に基づく組織風土を構築する上で重要な推進力です。しかし、これを実践するリーダーは必ずしも多くありません。今、私たちが癒しのプロセスを始めるとき――つまりコロナウィルスと共存して「大量退職時代」を「大量定着時代」に逆転させようとするとき――、従業員はこれまで以上に共感を必要とします。組織のトップから始めるべきです。リーダーが従業員の声に耳を傾けること、定期的に従業員から率直なフィードバックをもらいそれに基づいて行動すること、従業員一人ひとりの状況やニーズを踏まえたサポートを提供すること、これらを実行する仕組みが必要です。
リーダーはまた、自分の思い込みから離れ、自ら従業員の考えやフィードバックや提案を求めることが必要です。従業員の能力開発を促進し、積極的に昇進や重要ポストへの任用を行うことで、期待し、信頼していることを示してください。これまでの確立されたやり方にこだわるのではなく、新時代に合わせた柔軟な対応と改革が求められています。
2. 従業員一人ひとりと心理的契約を結ぶ
米国では約3分の1の従業員が転職先を決めないまま退職を考えています。私たち皆が経験している不確かさ、混乱、不安などを考えると、これは非常に驚くべきことです。生活の激変は、実際に従業員と組織の間のダイナミクスに大きな変化をもたらしました。これからの従業員は物理的または金銭的な結果以上に、柔軟性、幅広い価値や貢献をもとに、職務や会社を評価します。つまり、その仕事は本当にハイブリッドか?リーダーは本当にチームを大切に思い、従業員が社会に貢献できるようにしているか?意思決定は公正かつ透明か?新しい役割を担い新しいスキルを身に付ける機会があるか?会社は私、私の能力、コミットメント、可能性を本当に信じていて、私が活躍できる場を与えてくれるか?
これからの従業員と現在の従業員では、自分たちの生活と仕事を評価する基準が大きく異なります。従業員一人ひとりとのつながり、彼らが求める成長と柔軟性を促進する組織風土やキャリアや仕組みを作ることができない会社は、今後生き残ることができないでしょう。
3. 組織全体に信頼を可視化させる
長い間、多くのビジネスの中核は凍結されていました。中間管理職層は電子メールを上下の階層に回すだけで、意思決定の説明責任や権限委譲を感じられずにいました。信頼に基づく組織を構築したいならば、それがビジネス全体で目に見える形で実行されていることを確認してください。マネジメントチームは意思決定を下す権限を与えられているでしょうか?それとも、官僚主義で身動きが取れない状態でしょうか?
管理職は物事を起こすために存在します。部下のやる気を起こさせ、問題を解決し、機会を特定し、従業員が毎日自分自身と自分の仕事に満足しているようにします。組織とその風土を大きく変える方法の1つは、マネジメントチームにビジネスを運営する権限を与え、稟議や承認を受ける必要性を少なくすることです。彼らにビジネスのビジョンと戦略についての明確な目的とミッションを示してください。すぐに、信頼と権限委譲が浸透した会社であると受け止められるようになります。
4. 帰属意識を高める
私たちは自分たちの仕事を、利益創出だけでなく、より大きな何かと結びつけたいと願うようになりました。サステナビリティ(持続可能性)とインクルージョン(包括性)は、企業が世界の舞台で評判の良い組織として立つために欠かせないものです。組織内で、これらが日常の経験として真実でなければなりません。調査研究の結果は、より多様性があるチームがより大きな結果を達成することを繰り返し示しています。帰属意識の醸成が重要性を増す中、「違いを認めること」と「価値観を一致させること」の間のバランスを見つけることが、組織にとって極めて重要になるでしょう。
従業員はますます、経営者に公正さや、プロセスと意思決定における客観性を求めるようになるでしょう。会社の目的とそれが今日の世界で適切かどうかを吟味することから始めましょう。従業員は活気に満ちたつながりを感じていますか?全員がその目的に関連していて、それは日々の仕事の中で目に見えるものですか?あらゆる部門や職種にわたって個人とチームの貢献を認めて感謝することも、会社の目的とミッションを可視化し、従業員が組織に所属しているという感覚を構築するための優れた方法です。
5. 楽しむ
人生は(当然のことながら)非常に深刻で、多くの人にとって信じられないほどタスク志向になってきました。しかし、人間として、楽しみを持っている必要があることを忘れないでください。社会的なつながりの中でやり取りをする時間を見つけ、個人やチームが一息ついて自分らしくあることができるようにしましょう。仕事は目的地ではなく旅であり、その過程での人間関係や笑い、そして楽しみは、達成された結果よりも記憶に残ることが多いものです。
まとめ
パーソナリティは時間を超えてかなり安定しているものの、人生の大きな出来事によって変化することが研究で明らかになっています。この2年間、世界はコロナ禍という、稀有で破壊的な出来事による集団的トラウマを経験しました。SHL研究チームがパーソナリティ検査OPQを使用して、この期間にコロナ禍がパーソナリティに与えた影響を調べたところ、コロナ禍の前後でコンピテンシー得点が一貫して低下していることがわかりました。具体的には、「適応力」と「回復力」の平均得点がそれぞれ5%と8%低下し、コロナ禍によって人々がそれらの行動を示すことがより困難になっていることを示唆しています。
コロナ禍の真っ只中、「ダイバーシティ・公平性・インクルージョン」や「大量退職時代」など他の社会問題が起こりました。組織は変化を迫られ、コロナ禍からの回復がより困難になっています。このことは、組織は癒しのプロセスを開始すべきだという明確なメッセージを伝えています。リーダーに求められているのは、共感をもって適応しリードすること、一人ひとりの従業員と心理的契約を結ぶこと、組織全体に信頼を可視化させること、社員の帰属意識を高めること、そして最後に、プロセスを楽しむ時間を見つけること、です。
今こそ私たちが変わるチャンスであり、変わらないことのリスクは非常に大きいです。トラウマに苦しんでいて正しい癒しの方法を知らない社会は、関係者だけでなく組織にも悪影響を及ぼします。リーダーは今、物事が違ってきていることを認めなければなりません。実際、パーソナリティの変化は私たちが苦しんできたことの表れです。優先順位も変わりました(たとえば、利益vs目的)。考え方や文化、優先順位を進化させることのできるリーダーが、明日の繁栄する組織で成功するリーダーでしょう。
この白書は以下のURLから入手することができます。
https://www.shl.com/resources/by-type/whitepapers-and-reports/how-the-pandemic-changed-our-adaptability-and-resilience/
(ダウンロードするにはお名前や所属組織名などの入力が必要です)
また、この白書の概要は、当社タレントマネジメントソリューションサイトのコラム「コンサルタントの視点」でもすでに取り上げました。
/column/perspective/220408skiyota/
コロナ禍の前後のOPQ得点を比較したこの調査。同一受検者が2回受けた結果ではないので、厳密にいえば、「適応力」と「回復力」のコンピテンシー得点が下がったことがコロナ禍によるものかどうか、結論付けることはできません。しかしながら、合わせて1万人以上の大量データを基にしていることを踏まえると、ひとつの可能性として置くことはできるのではないでしょうか。皆様の実感に合っていますか?
サラ・マックリーン(SHLシニア・ディレクター)
パンデミックは私たちの回復力(レジリエンス)やストレス、ウェルビーイングに対し、重大な影響を与えています。
- 調査結果によるとパンデミックがメンタルヘルスに悪影響を与えている可能性がある。
- パンデミックが、回復力の低下に関係している。
- 38%の人がコロナ禍で何らかの苦痛を感じており、16%の人はメンタルヘルスの専門家による介入が推奨されるほど強いストレスを受けている。
- 12歳以下の子供がいる共働き世帯の35%が、仕事と子育ての両立が困難であると感じている。
これらは、私たちが単純に以前の状態に戻ることはできないことを示唆しています。全ての人が重大な経験をしており、それらに対処する能力が影響を受けています。
調査結果
SHLは、OPQを用いて、パンデミック以前とパンデミック以降の期間に、ユニバーサル・コンピテンシー・フレームワーク(UCF: Universal Competency Framework)のコンピテンシー得点がどのように変化したかを調査しました。得点は、関連するOPQパーソナリティ因子から計算されたものです。本稿では、特に「適応力」と「回復力」に注目します。
結果は、パンデミックの間に私たちの行動スタイルが変化していることを示しています。「適応力」の平均点は5%、「回復力」の平均点は8%低下しました。変化に適応したり、プレッシャーに対処したりすることを強みとする人でさえ、この期間は非常に苦労が多く厳しいものであったことがうかがえます。
時間が経過し、さらなるロックダウンに見舞われる中で、私たちは「次に起こることにうまく対処できるようになってきた」と感じています。しかしながら、調査結果によると、パンデミックの長期化は確実に大きなダメージを与えてきました。加えて、ロックダウンによって社会的なつながりがない隔離生活となったことで、日頃使用していたサポートを得る手段がありませんでした。多くの企業が働き方を変えることを余儀なくされ、在宅勤務を始めたことで、社会的なサポートやネットワークが最も必要な時に、それらが得られないという事態に陥りました。
この白書は以下のURLから入手することができます。
https://www.shl.com/resources/by-type/whitepapers-and-reports/how-the-pandemic-changed-our-adaptability-and-resilience/
(ダウンロードするにはお名前や所属組織名などの入力が必要です)
最終回は、調査結果を受けて、どのように社員を癒していくかについてです。