サラ・マックリーン(SHLシニア・ディレクター)
はじめに
パーソナリティ特性は、人の生涯を通じて比較的安定していることが知られています。たとえば、あなたがグループの中で主導権を握ったり、データや事実に基づいて決定を下したりすることを好むなら、それはほぼ一貫するようです。しかしながら、研究はまた、私たちの生活における大きな変化が私たちのスタイルを変える可能性があることも示しています。
私たちは、コロナ禍が私たちに与えてきた影響をさまざまに痛感しています。肉体的には私たちの健康やウェルビーイング、家族生活に対して、そして感情的には不安、不確実さ、ストレスを感じた結果、燃え尽き症候群やメンタルヘルスの問題が増えました。しかし、パーソナリティなどのコア属性や、さらにはそれらが私たちの働き方のスタイルにどう影響したかについての調査は、ほとんどありません。
2020年中に、SHLの科学者たちは4,574人のサンプルを使用して、職場におけるパーソナリティ傾向に対するコロナ禍の影響を調査しました。調査結果から、コロナ禍によって、適応力と回復力に関連するパーソナリティの自己報告値に一貫した変化があったことがわかりました(パーソナリティ検査OPQを使用)。
私たちがコロナウィルスとの共存に移行し、集団的トラウマから回復し始めるにあたり、この白書は、修復と再構築の道筋を見つけるプロセスにある個人と組織、特に大量退職の真っただ中にいる個人と組織に、5つの貴重な洞察を提供します。
パーソナリティが変わる経験
一般に、人が成人期に達すると、そのパーソナリティはかなり安定します。しかし、臨死体験や家族の喪失、親になること、離婚など、人生を打ち砕くような出来事が理由で、パーソナリティ特性が変わる可能性があることを、研究は示しています。
これら極めて重大な出来事によるトラウマは、パーソナリティに大きな影響を与え、個人の行動や感情に長く続く影響を作り出す可能性があります。たとえば、戦争犠牲者と政治的に迫害された人についてのRutkowskiらの研究(2016)は、戦争などのトラウマ的な出来事を経験した人々が、その出来事の後に社会的内向性が前よりも高くなる傾向があることを示しました。これは、トラウマ体験が実際にパーソナリティに影響を与える可能性がある、という考えを妥当化するものです。
ここ2年間、コロナ禍が私たちの生活のあらゆる側面に大混乱をもたらし、世界は集合的なトラウマを経験してきました。私たちの研究チームは、コロナ禍が適応力と回復力に与えた影響を調べました(適応力と回復力はOPQからの合成尺度)。この研究は、コロナ禍前の期間(2019年10月~2020年2月)の回答者4,574人と、ロックダウン後の期間(2020年3月~8月)の回答者6820人のデータを使用して、アメリカで実施されたものです。この結果もまた、私たちの人生における重要な時期がパーソナリティの変化を引き起こす可能性がある、という考えを支持しています。
集団的トラウマ:ユニークな経験
コロナ禍は、感情的にも肉体的にも、私たち皆に非常に多くの影響を与えました。この集団的トラウマが人々を近づけることができるのは確かに真実ですが、私たち全員が過去数年間同じような経験をしたと仮定するのは間違いです。コロナ禍は残酷かつ迅速に多くを奪い、何千もの悲しみを孤立させました。これらのユニークな体験には次のものが含まれます。
- 健康の喪失:病気自体によって直接影響を受けた人々のことを考えてください。体調不良に苦しみ、おそらく長期的な症状や人生を変える合併症に対処し、そして、側にいた人を失うという惨状を経験した人々です。
- ストレスの多い仕事状況:コロナウィルスに苦しむ人々の世話をしたり、必要な物資が必要な人々に届くようにしたりする重要な仕事において、非常に多くの人が最前線で働いてきました。その人たちは、毎日アドレナリンが上がるのを感じ、常に残業し、コロナ禍と戦うために自分たちのスキルを使い果たして感情的および肉体的に傷痕を引きずっています。
- キャリアの保留:さらに、産業が崩壊し、家族が在宅学習する子供たちや体調不良のメンバーの世話をするため、多くの人々が仕事を失ったり、仕事を辞めざるを得なくなったりしました。生き残るために、選択の余地はほとんどなく、キャリアが中断されたり放棄されたりしました。非常に多くの人々が経済的困難に直面し、生きるためのお金を得る新しい道を見つけなければなりませんでした。
- 節目の時期を逃す:それから、人生段階でユニークな影響を受けた世代があります。試験や資格取得を逃した人々。バーチャルに大学に通った(そして大学生活の社交的なところをすべて逃した)大学生。自宅のリビングルームから職業生活を始めた新入社員-彼らはキャリアを形成する上で非常に重要な、人とのやり取りや指導、知識と専門性の共有を逃しました。
この白書は以下のURLから入手することができます。
https://www.shl.com/resources/by-type/whitepapers-and-reports/how-the-pandemic-changed-our-adaptability-and-resilience/
(ダウンロードするにはお名前や所属組織名などの入力が必要です)
また、この白書の概要は、当社タレントマネジメントソリューションサイトのコラム「コンサルタントの視点」でもすでに取り上げました。
/column/perspective/220408skiyota/
次回は、調査結果についてです。
採用活動を最適化し、より効率的な採用活動を計画する上で、オンデマンドアナリティクスがどのように役立つかについて、本ブログ記事をお読みください。
2021年11月18日 ニティン・ラストギ
パンデミックとデジタル化は、人材獲得の様相を一変させました。単にポジションを埋めるために雇用するという概念は、パンデミック後のビジネス環境ではもはや実行可能ではありません。人材市場での競争が激化する中、優秀な人材の採用がより困難で高額になるにつれて、人材獲得の価格も上昇しています。さらに、Aptitude research社によれば採用マネージャーの58% が採用決定を行うために必要な人材データを持っていないと報告しました。Gartner社によれば意思決定に人材データを効果的に使っている組織はわずか12%です。組織は、人材プロセスの競争力を高め、人材に関して価値ある実用的な知見を生み出す方法について、より深く考える必要があります。
では、正確な人材データを取得し、それを最大限に活用して人材争奪戦に勝つことができるよう、貴社は意思決定プロセスをどのように改善できるでしょうか。答えは、適切なオンデマンドアナリティクス(要求に応じた分析)を使用することです。
なぜオンデマンドアナリティクスなのか?
オンデマンドアナリティクスは、必要な時にリアルタイムのデータにアクセスでき、予め設定されたダッシュボードによって理解しやすい形式でデータを表示します。採用マネージャーの時間とコストを節約できるだけでなく、魅力的で効果的なアセスメントプログラムを提供する上でも役立ちます。
SHLは最近Client Analyticsというサービスを開始しました。これは、受検者数、完了までの期間、辞退率、合格率、スコア分布、デバイス使用状況などの、貴社の採用活動に関わる主要業績評価指標(KPI)を追跡するのに役立ちます。
Talent Centralプラットフォームから利用できる、この新しいオンデマンドアナリティクスというサービスは、次の機能を提供します。
- アセスメントプログラムのパフォーマンスをリアルタイムで追跡し、結果データを簡単かつタイムリーに見れる
- SHLのTalent Centralシステムを介して、クラウドベースのダッシュボードに安全かつ容易にアクセスできる
- 直感的で使いやすいダッシュボードにより、トレンドを視覚化し、現在だけでなく将来のチャンスや改善の余地を特定できる
採用マネージャーにとってのメリット
より広い観点から見ると、SHLのClient Analyticsなどの適切なオンデマンドアナリティクスは、次のことに役立ちます。
- 受検者経験についての理解が深まる
SHLのClient Analyticsを使用すると、自動化されたリアルタイムの知見によって採用活動を能動的に監視することができます。また、これらの知見を将来のアセスメントプログラムでの受検者経験を向上させるために使用できます。ご存知のとおり、人材獲得プロセスにおいて受検者経験は重要です。 - より効果的かつ効率的な採用方法を持つことができる
データはダッシュボードから利用でき、必要なときにいつでもアクセスできるため、採用マネージャーはより迅速に、効果的に、効率的に仕事をすることができます。 - 採用チームを管理できる
ダッシュボードは、過去および現在の採用活動に関する知見を採用マネージャーに提供します。これらの知見から学び、将来の採用活動をより効果的に設計することができます。 - 専門家からのサポートを得ることができる
最後に、オンデマンドアナリティクスは、サポートする専門家のチームなしには存在することができません。SHLグローバルチームの比類のない専門知識が、採用マネージャーを支えます。非常に効果的なデータ駆動型の採用活動を実行するために、最高のサポートが得られます。
特に今日私たちを取り巻く激動のビジネス環境では、人材プロセスを最適化する必要性がこれまで以上に重要になっています。適切なオンデマンドアナリティクスを選ぶことで、人材獲得プログラムのパフォーマンスを追跡および測定し、より効果的に仕事をし、利用できる実用的な知見を用いて将来の計画を立てることができます。最終的に、プロセスが改善され、より優れた人事決定を下せるようになると、貴社のビジネス成果に良い影響をもたらすでしょう。
Talent Centralには既にダッシュボードが存在していましたが、Client Analyticsではより多くの情報を効果的に表示させることができるように機能が拡充されています。(残念ながら現時点で日本語でのご提供はございません。)
女性の管理職は水面下で、重荷を背負うプレッシャーを感じており、男性管理職よりも燃え尽き症候群に陥るリスクが高いです。これに対処するために何ができるでしょうか?
2022年3月10日 アビゲイル・ウィンター
最近ティックトックやインスタグラムを利用したならば、おそらく、ディズニーの最新アニメ映画『ミラベルと魔法だらけの家』に対するリアクション動画を見たでしょう。映画は魔法のマドリガル家を中心にしていますが、『増していくプレッシャー』という曲が世界中で共感を呼んでいます。その中で姉のルイーサは、自分の周りのみんなをサポートするために感じているプレッシャーを次のように歌っています:「プレッシャーがポタポタと降りかかる、一生止まらないまま……少しずつ増えていくプレッシャー、大きくなり破裂するその時までずっと」。ルイーサは強くて大きいですが、「何が悪いの?」と尋ねられると、彼女は自分が感じる責任の重荷ともろく崩れることへの恐れを歌います。映画が進むにつれて、ルイーサは家族の中で自分の特別な力や天分を失う最初のメンバーとなり、マドリガルの家に、文字通りそして比喩的に、亀裂が走ります。
この曲が特に女性の共感を呼んでいるのも当然です。それはおそらく、女性がかつてないほど疲れている時に来ます。絶え間ない不確実性と変化の中にある組織を支えるのと同時に、子供と家族の重みを担います。実際、McKinseyとLeanIn.orgによる最新の「Women in the Workplace」リポートは、パンデミックの開始時よりも女性の燃え尽き症候群が増え、パンデミック中に、女性と男性の燃え尽き症候群の差がほぼ2倍になったことを明らかにしました。
さらに、部下を持つ管理職、特に女性は、持たない管理職よりも燃え尽き症候群を経験する可能性が高くなります。同様の立場にある男性と比較して、女性管理職は一貫して部下の福利を促進するためにより多くのことを行っています。チームメンバーをチェックしたり、チームメンバーの仕事量を管理したり、すでに燃え尽き症候群になったり仕事と家庭の両立問題に取り組んだりしている人々を支援したり。
また、女性リーダーは、自分の職務の範囲外であるDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の仕事にかなりの時間を費やす可能性が最大2倍大きいです。たとえば、社内DEIグループのサポート、イベントの調整、少数グループの人々の採用、などです。彼女たちはまた、男性よりも、メンターとなってその人たちに新しいチャンスを提唱し、積極的に差別に立ち向かうことを通じて、有色女性と結びついている可能性が高いです。
このことは私に、女性とマイノリティが「オフィスの家事」をより多く行っていることを調べた、2020年のフォーブスの記事を思い出させます。「オフィスの家事」とは、目に見えず、報われない仕事です。給湯室付近を片付けたり、会議室を元通りに戻したり。また、プレゼンテーションのスライド編集、配布リストの管理、会議の議事録の送信など、小さいながらも不可欠なタスクもあります。
つまり、ちょうどルイーサ・マドリガルのように、女性管理職や女性リーダーが「抱えられない重すぎるプレッシャー」に取り組んでいるという絵が描かれます。彼女たちは、正式な責任の範囲内で対応するという認識や余地なしに、すべての従業員にとってより良い結果をもたらすこれらの仕事を引き受けています。私たちは、管理職が福利をサポートするとき、従業員はより幸せになり、燃え尽き症候群を経験しなくなり、退職を検討する可能性が低くなることを知っています。これは、強力な結びつきを持ち、DEIが会社にとって最優先事項であると信じている従業員にも当てはまります。
燃え尽き症候群に対処する方法
しかし、燃え尽き症候群と戦うために組織は何ができるでしょうか?この質問をグーグルで検索すると900万件近くの結果が得られますが、それでもまだ私たちは疲れ果てています。ですから、今は別のことを試す時です。 McKinseyとLeanIn.orgは、次の3つのアクションを報告しています。
- 柔軟性を受け入れ続けるだけでなく、明確な境界も設定する
リモートまたはフレックスで仕事をするとき、多くの人は「常にオン」であるというプレッシャーを経験します。しかし、勤務時間外に緊急でない要求に対応する必要はないと言われた、と回答したのは従業員の20%だけです。特に仕事と家庭の境界が曖昧になっている時は、明確な仕事基準を確立することが、従業員のプライベートな時間を守り、燃え尽き症候群を防ぐための重要な解決策です。 - 管理職は、従業員の燃え尽き症候群と福利に影響を与えるのに最適な立場にある
この影響がプラスになるようにするには、仕事と私生活のバランスをうまくモデル化し、費やした時間よりも職務遂行の結果に報い、チームの福利をサポートする必要があります。 - 最後に、組織は、従業員に何が必要かを尋ねるべき
研究によれば、権限委譲が燃え尽き症候群のレベルを下げます。従業員を支援する仕組みを増やすことによって従業員に権限を委譲することができ、それは、特定のニーズを対象とする場合にのみ機能します。ですから、従業員が何を必要としているのかを尋ねてください。仮定しないでください。
パンデミックが女性管理職を含む従業員の燃え尽き症候群を加速させたことは否定できません。燃え尽き症候群について話すとき、それは実際には従業員についてではなく、職場とリーダーシップについて多くを語っています。今こそ、リーダーが燃え尽き症候群への戦略を立てるときです。そうすれば、より幸せで、より健康で、より生産的な労働力を手に入れることができます。組織が従業員、特に負荷を担っているルイーサのプレッシャーを取り除くことができるのは、何か別のことを試み、創造的な解決策を模索し、従業員の話を聞くことによってのみです。
原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2022/3-ways-to-reduce-burnout-in-female-managers/
パンデミックにより私たちの働き方は大きく変わりました。女性管理職だけでなく、男性管理職にとっても、部下マネジメントの試行錯誤が続いているのではないでしょうか。
応募者や従業員に、より他者とつながり、協働的で、没入できる体験を生み出すメタバースは、採用と能力開発の未来をどのように形作るのでしょうか。
2022年3月1日 ヘムラタ・ボラ
映画監督のジェームズ・キャメロンは、彼の作品の中で、離れた場所にいる「人の知能」から操作される生き物である「アバター」を作成し、「パンドラの生物圏」を探検しました。このアイデアは2009年には大げさなものに見えましたが、2022年には、これは「メタバース」という形で現実になってきました。メタバースとは、現実世界、仮想世界、拡張現実、インターネットが一体となった空間です。
インドでは、第73回共和国記念日のセレモニー中に、教育技術開発省が「ヴェーダ(宗教文書、知識)からメタバースへ」というビジョンを打ち出しました。同省は、インドの国家教育政策2020が過去と現在を橋渡しし、インドの教育システムにテクノロジーを取り入れた新しい未来をどのように生み出しているかを強調しました。この政策は、インドの教育を「ふるい分けと選抜」から「能力開発」に移行させ、すべての学生がポテンシャルを最大限発揮できるようにする重要な機会を提供します。
インドの教育システムは現在「能力開発」に焦点を合わせています。「メタバースの時代」において、企業組織がポテンシャルの開発にどのように取り組んでいるか、興味深いところです。私はいくつかの組織と協働して、人材ポテンシャルの見極めやアセスメント戦略を提供してきました。メタバースが仕事と能力開発の新たな時代をどのように形作っているのかを理解することに強い関心があります。
メタバースにおけるアセスメント
パンデミックは、デジタル化と自動化への流れを加速させています。したがって、メタバースが組織と従業員のライフサイクルのさまざまな側面に採用されるのは時間の問題でしょう。今日、最高の人材を採用して定着させることは極めて重要です。したがって、採用・体験学習・人材育成に渡り、優れた従業員/応募者経験を迅速に、正確に、かつパーソナライズして提供することは、組織にとって必須です。
メタバースの導入が進み、組織は現在、ヴァーチャルアセスメントセンターによって適切な応募者を見つける革新的な方法を導入しています。応募者はアバターを介してセンターに参加します。自身の創造性を発揮してアバターをパーソナライズすることができます。評価者や面接官も、アバターを使用します。より他者とつながり、協働的で、没入できる応募者体験を提供できます。また、インタラクティブなディスカッションにより、多様な応募者と交流する機会を持つことができ、包括的な労働力、特に読み書きが困難な人々の雇用を支援できる可能性があります。
現実世界をシミュレーションするメタバースでは、スキルや職務に特有のシナリオを公正かつ大人数に対応できる方法で使用し、最適な応募者の識別を助けることもできます。職務に特有のシナリオを解決するためのライブのやり取りを行うことで、多様な従業員と協力するといった将来求められる重要なスキルを測定できます。人とのやり取りに焦点を当てたこの仮想世界では、応募者が自分の取った行動に対し、その場でフィードバックを得ることが可能になり、機敏な学習体験とより良いエンゲージメントを提供します。
近い将来、メタバースでの採用が行われるか?
「実際の仕事」の場面を利用した没入型の応募者体験は、行動学習およびエンゲージメントを向上させる実証済みのベストプラクティスを活用し、「ポテンシャル」を最大化するというチャレンジをサポートします。組織はメタバースを、リモートで勤務する従業員にも展開できるため、人的要素を高めるための拡張性のあるツールとして活用すべきです。
メタバースは、従業員に対しても応募者に対しても同様に、選抜・開発・エンゲージメントについてより良い機会を提供します。パンデミックにより従業員と組織の適応性が高まっていることも相まって、この新しいメタバースの時代は、多くの人にスムーズに受け入れられる可能性が高いです。
原文はこちらです。
採用においてヴァーチャルアセスメントセンターを実施し、応募者はアバターを利用して参加する、という事例が挙がっています。どのような職務の採用で使用されたのか等、さらに情報が開示されましたら、こちらでご紹介したいと思います。
パンデミックによって、組織は新卒採用戦略の変更を余儀なくされました。採用活動を強化するために、あなたは何ができるでしょうか。
2022年2月24日 マット・カーク
パンデミックが仕事の世界に大きな影響を与えました。世界中の多くの組織で変化が進んでいます。リモートワークやハイブリッドワーク(訳者註:テレワークとオフィスワークなど複数の働き方を組み合わせた働き方)が続いていたり、従来の職務でも成功するために必要なスキルが変わっていたりします。人材の獲得、特に新卒採用も変わりました。組織は、人材の募集・採用・育成の方法を再考しており、その成功度はさまざまです。
影響を受けたのは組織だけではありません。最近の新卒者たちは、学生時代に、以前の学生とは異なる経験をしてきました。彼/彼女らは、大学での貴重な経験を失いました。また、組織でのインターンシップが近年大幅に減少しているため、その機会に不足しています。組織はこの集団に、前の学生たちと同じスキルセットを期待することはできませんし、以前と同じ基準に基づいて採用すべきではありません。役割と働き方が劇的に変化したためです。
2022年の新卒採用
毎年、卒業者の数は過去最高を記録していますが、就職活動をする前に、パンデミック後に労働市場が落ち着くのを待って学業継続を選択する人が増えています。しかしながら、2020年と2021年の新卒者群もまだ就職口を探しているため、ほとんどの組織で新卒採用枠に対して多数の応募が見られそうです(ISE(Institute of Student Employers)2022年リポートによれば、新卒募集1枠に対して過去最高の91件の応募)
2022年は変化の年です。新卒募集の数はパンデミック前のレベルに戻り、おそらくそれを超えるでしょう。組織は、さらに多くの応募数と、異なるスキル要件セットを持つ集団に、備える必要があります。新しい基準に基づいて、幅広い人材グループから効率的かつ正確に最適な候補者を選抜するよう圧力がかかっています。
貴社の新卒採用プロセスで焦点を当てるべきものは何か?
パンデミックによって引き起こされた打撃にもかかわらず、2020年から2022年の卒業生には回復力があることが実証されています。彼/彼女らは、どんな組織でも必ず長所となるような、多くの優れた特徴を持っています。テクノロジーに精通しており、自らの力を示す準備ができており、より共感的な社会を構築しようと決意しています。そして、2022年以降の新卒採用では、仕事や役割も進化しており、以前とは異なる対策が必要になります。候補者の目から見て貴社を目立たせる必要があるだけでなく、そのプロセスが今後数年間は持ちこたえるものでなければなりません。
たとえば、長年の科学的研究と検証に基づいた、AIを活用したスマートな採用テクノロジーを使用すれば、採用の効率と精度が向上し、バイアスが低減するでしょう。SHLの新卒採用ソリューションは、候補者に関する詳細でデータ主導の洞察を提供します。このソリューションは簡単に拡張・編集でき、パンデミック後の時代、新卒応募者の数が増え続けても、大量の応募者をスクリーニングするのに非常に役立ちます。
テクノロジーとは別に、新卒採用プロセスの成功に貢献できる要素は他にたくさんあります。組織が考え方を変えることを余儀なくされてきたすべての課題を踏まえ、貴社の採用戦略を持続可能なものにするために、あなたは他に何ができるでしょうか?
筆者は、SHLイギリス本社のGlobal Early Careers, Professional, and Managerial Solutionsの部門長です。人材採用に精通する彼の主張に、皆様はどのように感じられたでしょうか。
2020年1月に日本国内初の新型コロナウィルス感染者が確認され、その年の4月に緊急事態宣言が発令されたことを考えると、2022年3月卒業者は、大学時代のほぼ半分をコロナ禍ですごしたことになります。彼/彼女らが仕事の世界に入ることで、企業活動はどのように変わっていくのか、見届けたいです。
『イカゲーム』がデジタル界を席巻しています。この神経をすり減らすようなNetflixシリーズには組織リーダーが学ぶことのできる、いくつかのマネジメントの教訓があります。
2021年11月11日 サブリナ・ウィジャヤ
最近、『イカゲーム』が世界を席巻しています。ダークで反ユートピア的な韓国ドラマです。見たことがない人のために説明しますと(まだネタバレを気にしなくてかまいません)、主人公のギフン(プレイヤー#456)は離婚者でギャンブル狂、借金を抱えた運転手です。借金を清算するためにゲームへの参加招待を受け入れました。(その時、彼は知らなかったのですが、)そのゲームは「ゲームオーバー」が死を意味する危険なゲームです。ゲーム中、彼はイルナム(プレイヤー#1)、サンウ(プレイヤー#218)、アリ(プレイヤー#276)、セビョク(プレイヤー#67)とチームを組んで、一緒に死と隣り合わせのトーナメントを進んでいきます。
目を引くビジュアル、心を動かされる俳優や女優のパフォーマンス、そして力強いプロットに加えて、このハラハラドキドキするシリーズで私が気に入っているのは、多面的な社会的メッセージと人生のレッスンが含まれていることです。お金が多すぎても少なすぎても、それがいかに人生を台無しにするかについて警告を発する話ですが、組織のリーダーが学ぶことができる、いくつかの重要なマネジメントの教訓もあります。
ビジネスの世界では、組織のリーダーがプレイヤーであり、市場がゲームマスターです。マーケットがプレイする課題を決定し、それに十分に反応して最高の戦略を持った人がチャンピオンとして抜け出ます。パンデミックの間、私たちはすでにその証拠を見てきました。変化に迅速に適応して将来の需要を予測できる組織が、混乱の中で生き残る組織です。
概ね、組織には4つの重要な側面があります。『デザイン』、『文化と従業員エクスペリエンス』、『学習と成長のマインドセット』、そして『リーダーシップ』です。絶え間なく変化する世界でゲームの先を行くには、現在だけでなく将来も変化に耐えられる内的エコシステムを構築する必要があります。
このブログでは、『イカゲーム』を分析して、上記4側面のそれぞれと並べて比較し、組織の将来を保証するためにあなたが何をできるかを説明します。それでは、ポップコーンを片手に準備してください!
1. デザイン
目標が行動を規定する
最初のゲーム『だるまさんが転んだ』で、サンウは、それを征服するための鍵は、他のプレイヤーの後ろに隠れながら素早く動くことであると考えました。他のほとんどの人はまだパニック状態にあり排除されましたが、彼はフィニッシュラインに到達しました。私たちは実生活において、様々なレベルの複雑さを伴う様々な課題に直面しています。問題にぶつかった瞬間、最初は恐怖と混乱を経験するのは正常です。この最初のショックを乗り越えるには、目標に焦点を合わせ、課題にどのように取り組みたいか、そしてそれらの目標を達成するために何をする必要があるかを考えてください。
共感的なリーダーシップ
共感的なリーダーシップとは、周囲の人々とつながり、彼らの気持ちや考えを理解することです。思いやりを示し、挫折や過ちに直面した時に味方になります。また、明確で親切なフィードバックと説明責任を果たすことによって、人々への気遣いを示します。重要なことは、他者の目標と欲求を理解し、ゆとりをもたせ、彼らを本質的に動機づけるものに向けて努力するように促すことです。共感的なリーダーシップとは、他者との有意義な関係を育むことです。そうすることで、苦労を学習に、もめ事を成長に変えることができます。
アジャイルな構造が効率に帰結する
消灯時間中、プレイヤー全員が互いに滅ぼし合おうとしました。各プレイヤーの死が貯金箱により多くのお金が追加されることを意味するからです。その時、ギフン、アリ、セビョク、イルナム、サンウは同盟を結びました。彼らは騒乱に参加することに関心がなかったので、その代わり、お互いを守るためにペアで夜警当番をすることにしました。チームのネットワークを構築することで、特に危機の際に、問題を迅速に解決し、次の問題に取り組むことができます。さらに、チームメンバーの1人が制圧された場合に備えて、迅速に助け合うこともできます。
2. 文化と従業員エクスペリエンス
インクルーシビティ(包括性)が勝利に役立つ
『ビー玉ゲーム』で、プレイヤーはペアを作るよう求められました。しかし、ハン・ミニョ(プレイヤー#212)は誰にも選ばれませんでした。皆が驚いたことに、彼女は自動的に次のゲームに進んでいました。ビー玉ゲームでの冷酷な裏切りを経験せずにすんだのです。韓国の文化で、彼女は『カクトゥギ』と見なされます。これは、子供たちの遊びで使われる言葉で、グループ内のつながりが最も弱い子供が、免除など特別なスキルを獲得することを指します。その考え方は、子供たちに、思いやりをもってすべての人を含めるよう教えることです。誰かがどんなに弱くても異なっていても、全員が遊びを楽しんで一緒に何かを得られるようにしよう、と。職場ではインクルーシビティ(包括性)を真剣に受け止める文化を構築する必要があります。いったん全員が団結し、誰も取り残されないようにすれば、成功に向けて同じ方向に進むことができるからです。社会によって弱点と見なされるものが、全員が一緒にさらに進むことを助ける特別なスキルをもたらすかもしれません。最終的に、インクルーシビティのメリットを享受できるでしょう。
チームワーク、チームワーク、チームワーク!
全体を通して、個人主義というテーマが際立っていました。しかし、私の注意を引いたのは、プレイヤーの多くが生き残るのにチームワークが実際にどう役立ったか、ということです。記憶に残る例の1つは、『綱引きゲーム』です。ギフンのチームは、様々な背景、民族、年齢の人々で構成されていました。彼らは肉体的に最強のチームではなく、ほとんど勝ち目がないと見られていたのに、勝ちました。トーナメント全体で最弱の人物のように思われたイルナムの戦略に耳を傾けたからです。さらに、ギフンのリーダーシップとサンウのギリギリの戦術の組み合わせも勝利を確定するのに役立ちました。成功への真の鍵は、違いを克服し、お互いに耳を傾け、一緒に深く掘り下げていくことです。
目的が行動を推進する
一見すると、プレイヤーは皆お金に飢えていたようです。しかし、彼らの動機はお金を超えていました。ギフンは娘の親権を得て、母親に適切な医療を提供したいと考えていました。セビョクは母親が北朝鮮から国境を越えるのを助けたい、アリは家族がより良い生活を送れるようにしたい、サンウは自分が失敗した投資の担保として使用した母親の店が奪われることを防ぎたいと考えていました。単なるお金や利益よりも上位にある目的は、組織のエンジン、つまり人々に油を注ぎます。それゆえ、あなたが組織として一緒に何を達成したいのかを正確に知ることが重要です。
価値観の共有 VS スキルの整合性
イカゲームはまた、成功とは、スキルの整合性に関係するだけでなく、原理原則と価値観の共有に関係する、と教えてくれました。主人公たちの友情は、彼ら全員のゲーム進行を助けました。共有された価値観に基づいてつながりを育むことは、単なるスキルの整合性に基づく場合よりも、先に進むことができ、はるかに持続可能です。
3. 学習と成長
ギャンビット(チェスで序盤に相手にポーンを取らせる定跡)がゲームを変える
『綱引きゲーム』で、サンウの戦術は、ロープを数秒間放し、相手チームのバランスを崩すことでした。それはとても危険な動きであるため、効果的だと証明されるまで、誰もが彼は狂っていると思いました。前進するためには、恐れを知らず、リスクを冒し、進んで学ぼうとする意欲が必要です。特に今のように時代が不安定な時は、大胆だが戦略的な行動をとることでチャンスが開かれます。
間違いから学ぶことが重要
最も衝撃的なゲームの1つである『ガラス橋』は、間違いから学ぶことの重要性を示しています。場合によっては、正解するチャンスが1回しかないことがあります。過去のデータから学び、自分と他者の両方の経験を基に次の動きを決定しなければなりません。他者から学び、他者の意見に積極的に耳を傾けようとすれば、あなたが勝つ確率は徐々に高まります。
4. リーダーシップ
知恵をもってリードする
先に述べたように、『綱引きゲーム』で、イルナムは彼の子供の頃の経験に基づいて、命を救うためのいくつかのヒントを与え、各人にゲームでの役割を割り当てました。優れたリーダーは、人々を適切な役割に配置して、経験とノウハウを基に戦略を構築する方法を知っています。
創造性が成功への鍵
『カタヌキ』ゲームでは、プレイヤーに、真ん中に図形を型押ししたカルメ焼きと、その図形にそってカルメ焼きを切り取るための針が与えられました。ギフンは砂糖が水と接触すると溶けたことを思い出し、針で複雑な図形を切り取る危険の代わりに、図形の周りを舐めました。リーダーには、一般的な規範に挑戦し、既存の枠組みにとらわれずに考える心構えが必要です。別の角度から物事を見て、創造的であることは、不確実性に対処する際に役立ちます。
思いやりが重要
優勝者のギフンは、友情と人命の価値を気にかけた唯一のプレイヤーでした。彼は常に、はみ出し者から成る彼の小さなチームが一緒にいて、互いに守り合っているようにしました。彼は最も強くも最も賢くもないかもしれませんが、最後のゲーム(イルナムとの賭け)でさえ、人々の善を信じることによって勝つことができることを証明しました。私たちは彼から何を学ぶことができるでしょうか?あなたは、思いやりを持って、自分の周りの人々を信じる必要があります。人道的で共感的なリーダーであることが、不確実な未来を舵取りするための鍵です。
『イカゲーム』は、強いプレイヤーが素晴らしいチームを作るのではないことを私たちに思い出させます。チームや組織を素晴らしいものにするのは、明確なビジョンと目的を持ち、人々が素早く学び、成長し、働くように刺激し、組織の内外にインクルーシビティを組み込み、部下の間に真の人間関係を育むことのできる、戦略的で思いやりのあるリーダーです。最終的に、それらの特徴が、組織を回復力のあるものにし、将来の課題に備えることができるようにするのです。
『イカゲーム』はご覧になりましたか?私はやっとこのお正月休みに見ることができ、その縁で今回このブログを取り上げました。ドラマの内容自体はけっこうグロテスクできついなあと感じたのですが、このブログの筆者の視点に立ってもう一度見直してみようかな、と思っています。
この変化の年に、より良いリーダーになるための3つの行動を学びましょう。思いやり、前向きさ、効率性を持ってリードすることができるようになります。
2022年1月6日 エリン・クラスク
可能性と希望に満ちたフレッシュな新年の始まりです。新年は私たちにこれからの数ヶ月で何を達成したいのかを自問する機会を与えてくれます。自分の目標について考えるとき、私はジェームズ・クリアーの書籍『複利で伸びる1つの習慣』に登場する概念を思い出します。すなわち、「達成したいことではなく、どんな人になりたいかに焦点を合わせる」という考え方です。私が今年なりたいものは、「周囲の人が成長してそのポテンシャルを最大限発揮して働く機会を生み出すリーダー」です。
これは高遠な目標です。私はお気に入りのリーダーシップに関する著者のリストを作成して、彼らが優れたリーダーシップをどのように概念化し、成就しているかを理解することから始めました。長いリストが出来上がりました!特に目を引くものは、ダニエル・ピンク『モチベーション3.0』、サイモン・シネック『WHYから始めよ』、ラズロ・ボック『ワーク・ルールズ』、キム・スコット『グレートボス』、ブレネー・ブラウン『Dare to Lead』、スティーヴン・G・ロゲルバーグ『スーパー・ミーティング』などです。これら偉大なリーダーによる主張を熟考し、私は自分の目標を3つの行動に絞り込み、自分が目指すリーダーとなるようなシステムと環境を作りました。
より良いリーダーになることは、これらの3つの行動から始まります
根本的な透明性
根本的な透明性とは、迅速、明確、かつ正直なコミュニケーションを行うことです。重要な情報を受け取ったらすぐに伝え、何が起こっているのかを(問題や変化を避けたり、とりつくろったりせずに)明確に伝えることに強く意識をしていること、決定が下された理由について正直であることです。また、重要なメッセージを強調するために情報を繰り返し伝えること、難しい質問に喜んで答えること、そして答えがわからないときに認めることです。
共感的なリーダーシップ
共感的なリーダーシップとは、周囲の人々とつながり、彼らの気持ちや考えを理解することです。思いやりを示し、挫折や過ちに直面した時に味方になります。また、明確で親切なフィードバックと説明責任を果たすことによって、人々への気遣いを示します。重要なことは、他者の目標と欲求を理解し、ゆとりをもたせ、彼らを本質的に動機づけるものに向けて努力するように促すことです。共感的なリーダーシップとは、他者との有意義な関係を育むことです。そうすることで、苦労を学習に、もめ事を成長に変えることができます。
より良い会議
私は、会議をよりうまく運営することが、「他者が成長し、ポテンシャルを最大限発揮して働く機会を生み出すリーダー」になるための行動のトップ3に入ると信じています。ある調査によると、90%の人が会議で空想にふけり、73%が会議中に他の仕事をしています。米国では、非生産的な会議に毎年最大300億ドルを費やしています。では、どうすればもっとうまくできるでしょうか?より生産的な会議のために、次の3つの戦略から始めます。
- アジェンダ(議題の一覧)を作成する
何も議題や目的がない場合は、キャンセルします。すべての時間を必要としない場合は、時間を短くします。議題が多すぎる場合は、優先順位を付けるか、書面で連絡するか、次のアジェンダに項目を追加します。 - フィードバックを求める
会議をより生産的にするために何ができるかについて、参加者にフィードバックを求めます。 - ポジティブに保つ:
会話がネガティブで非生産的な方向へ進んだときには、仕切り直して生産的な方向へ進めるために時間を使います。
世界中の組織がThe Great Resignation (大量自主退職時代)の流れを変えようとしており、より良いリーダーになることは2022年の焦点となるでしょう。優れたリーダーシップを定義する行動やモデルは無数にあります。その中でも、この3つの行動を取り上げたのは、リーダーシップは実践であり習慣であり、結果ではないからです。スキルセットを成長させるのと同じように、一貫して取り組むこと、繰り返すこと、練習が必要です。3つの行動は新しいものではなく、成功したリーダーの確立されたベストプラクティスです。これらの3つの行動に焦点を当てることで、他者がポテンシャルを最大限発揮できるように支援するリーダーとして活躍できるシステムと環境を作ることができます。さあ、あなたは今年どのような習慣を身につけますか?
原文はこちら。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2022/how-to-become-a-better-leader-in-2022/
筆者のエリン・クラスクは、SHLのソリューションスペシャライゼーションチームのマネージングコンサルタントです。本文中に参考書籍がいくつか挙がっていますが、既に読んでいる方も多いのではないでしょうか。エリンの抽出したポイントはこの3つでしたが、人によって重要なポイントは異なると思います。皆様はどのような点に注目し、ご自身の日々の行動に取り入れていらっしゃるでしょうか。
「The Great Resignation(大量自主退職時代)」に対する答えは、キャリアモビリティ(可動性)と能力開発かもしれません。リーダーとして、あなたは、社員ひとりひとりの能力開発にどう皆を巻き込むことができるでしょうか。
2021年12月9日 クリスティーナ・イニゲス
世界中の、そしてほとんどすべての業界のリーダーシップチームが大量退職に苦しんでいます。パンデミック時代が大規模な辞職という現象を引き起こしました。理由はいくつかあります。人々が自分の価値観の優先順位を再検討して特定の風土に自分を合わせたくないと思ったり、また、特に女性は働くこと自体から離れたり、です。
管理職たちは、人員減や労働力不足、そして、既存スタッフのスキルアップや再教育が切実に求められる中で、いかに生産性を維持して目標を達成するか、という問題に立ち向かっています。
これは難しいように聞こえますが、解決できない問題ではありません。この問題を解決するために充てられる膨大な量の研究がありました!私たちは、何が人々を定着させるのか、どのように人々を引き込むのか、そして何が人々をやる気にさせるのか、を知っています。
リーダー(管理職)のせいで、そして、キャリアモビリティ/能力開発のせいで、人々が退職したり留まったりすることは昔からよく知られています。私の前回のブログでは、リーダーが共感を育んでチームとの信頼を高めるために採用できる、いくつかの戦略について述べました。今日は、キャリアモビリティと能力開発について述べます。
キャリアモビリティは全員の責任
SHLは最近、Lighthouse Research and Advisoryと協力して、タレントモビリティがいかに収益に直接影響を与えるかに関する調査を行いました。2000人を超える人々(経営者と従業員の両方)を対象に、キャリアモビリティの所有者は誰か、成功指標は何か、そしてどのような障壁が存在するかについて詳しく調べました。
キャリアモビリティを実現する責任があるのは、管理職、幹部チーム、人事、従業員など、全員であるという回答が圧倒的多数でした。調査によると、もしキャリア開発の機会があれば、88%の従業員が仕事に長くとどまると回答しています。
成功するキャリアモビリティのプログラムを実施する
これが、人々をどのように定着させるかという問題の解決に役立つ決定的な鍵です。すべての従業員の能力開発に全員が関与することに役立つ3つの戦略があります。
- 適切なリーダーシップ
人々をマネジメントする感情知能に長けた人を採用しましょう。人々をリードするとは、課題を推進してワークフローを管理することだけではありません。実は、全体論的なアプローチですべての人の面倒をみることのほうがはるかに重要です。共感的なリーダーは、仕事を成し遂げることだけに集中するリーダーよりも、チーム内ではるかに多くの成功を後押しします。
リーダーは従業員のキャリア、成長、能力開発に真剣に関心を持つ必要があります。何が従業員にやる気を感じさせるのか、従業員の能力開発機会はどこにあるのか、について好奇心を持ってアプローチすべきです。強みの領域を増やし、成長の必要な領域での変化を促すために、コーチングを提供すべきです。
これは、心を読み取ることから起こるものではありません!信頼や、自由回答を求めるオープンエンドの質問、定期的な1対1のミーティング、そして何よりも、耳を傾けることを通して起こるものです。 - 適切なツール
全員がモビリティに関与できるようにするもう1つのすばらしい方法は、SHL Mobilizeなどのツールを使用することです。このプラットフォームは、人事チーム、リーダー、経営幹部に、パーソナリティや意欲やポテンシャルを基に、自社の従業員の最適なポジションを見つけるよう促します。さらに、個人にとっても、自分自身についてもっと学ぶことを助け、自分の成長に役立つ意識を促進することができます。
会社全体という大きな規模での全員のキャリアモビリティ!もちろん、これは他の2つの戦略と一緒に用いる必要があります。 - 適切な風土
「風土」とは含みのある単語であり、それにアプローチする方法はたくさんありますが、ここでの意味は、キャリア開発とモビリティを自分のものとしてとらえるすべての人々に、一貫性と正常感を構築することです。モビリティをあなたが行うすべてのことに組み込んでください。常設の議題にし、能力開発を支援するツールとプログラムに投資し、より大きな意義と目的を求める従業員をサポートし、オープンで率直な会話を頻繁にあらゆるレベルで行ってください。この会話や能力開発行動が当たり前のことになればなるほど、モビリティを自分のものとしてとらえることがどううまくいくか、にすべての人が慣れてきます。
最初は試行錯誤があるかもしれませんが、最終的には会社としてうまくリズムに乗れます。フィードバックを基に試してみようとするオープンな意志があれば、全員がキャリアモビリティを自分のこととしてとらえる風土を育む可能性が高まります!
大量自主退職時代は、雇用主から従業員に力を移動させました。パンデミックが人々に自分のキャリアや目標、労働条件を再考させたからです。この傾向は継続しており、従業員の定着がこれまで以上に重要であり、キャリア開発の機会を提供する組織が成功する組織である、という明確なメッセージを企業に対して発信しています。
リーダーとして、一歩下がって人事戦略を見直してください。スタッフに十分なキャリア開発機会を提供してきましたか?もしそうでなければ、それを作り出すためにあなたは何をできますか?従業員の話に耳を傾け、従業員の成長に役立つ適切なツールを用意し、適切な風土を確立することを始めれば、大量自主退職という不確実さを乗り切って、会社一丸でより強くなれるでしょう。
大量自主退職時代のインパクトのリスクを減らしながらどう収益を大幅に増やすことができるかについては、Lighthouse Research and Advisoryのリポートを読んでください。
原文はこちらです。
著者はSHLのブランド・広報の責任者です。
欧米では離職する人が急増しており、”The Great Resignation”として話題になっています。昨年夏、アメリカでは離職率が過去最高の水準に達しました。リモートワークなど働き方が大きく変わった中、ワクチン普及と経済回復基調を受け、自分のキャリアを見直す人々が増えたことが要因である、とされています。日本ではまだそれほどの動きはないようですが、今後はどうでしょう。
本ブログによれば、「キャリアモビリティ」(人材の可動性)と「能力開発」が解決に向かう鍵です。伝統的な日本企業では社内異動や教育訓練機会は当たり前。それが大量自主退職トレンドの歯止めとなるのでしょうか。はたまた、昨今よく話題になるDX人材に代表される専門重視の動きが労働力流動化を後押しするのでしょうか。
企業
- 業界:電気通信
- 規模:9万3000人
- 地域:グローバル/フィンランド
ノキアは、155年前に製紙工場として創業して以来、絶えず変化する社会のニーズを満たすように進化してきました。まず、紙製品・ケーブル・ゴム長靴・タイヤを、次にテレビなどの電化製品を製造してきました。そして、世紀の変わり目ごろ、ノキアは電子機器の製造に完全に没頭するようになりました。現在では主に、ネットワーク事業者や企業に対し、5Gなど最先端の通信インフラを提供しています。ノキアは、絶え間ない変化の時代に、世界が協力して行動するのに役立つテクノロジーを創造し、グローバルな課題に対処する重要なソリューションを提供しています。
課題
従業員の能力は、変化するビジネスニーズに応じて変わらなければならない
2020年代の初め、デジタル環境の進化と顧客需要の劇的な変化により、ノキアは新たな人員戦略を必要としていました。ノキア「2025年ビジョン」に表現されているように、「過去に私たちを導いたものは、将来には通用しない」ことに気づき、同社の伝統であるビジネスの高いアジリティ(俊敏性)を維持するために、タレントマネジメントへのアプローチを進化させる必要があると考えていました。ビジネスを推進する上で重要な、販売組織に特に焦点が当てられました。新しいビジョンを実現し、各販売員が仕事上の新たな要求に立ち向かうことができる、信頼できる方法を見つける必要がありました。人材育成においてスキルレベルに関係なく画一的なアプローチをとること、そして、「きしむ車輪しか油をさしてもらえない」ような「オンデマンド」トレーニングは、もはや効率的ではありませんでした。
ソリューション
体系的なデータ主導のスキルアップと再教育:「測定できないものを管理することはできない」
ノキアは常に絶え間ない改革に専念してきました。将来に向けたアプローチは、従業員の現在の能力を偽りなくかつ客観的に評価することから始まりました。彼らが必要としていたのは、販売担当者の適性レベルを評価し、優秀な人材を特定し、具体的な能力開発アドバイスを提供する、拡張性のあるデジタルアプローチでした。SHLは、ノキアが開発した販売能力自己評価ツールとOPQの2つのアプローチで、ノキアの課題に対応しました。カスタマイズされた販売能力開発リポートが作成され、使用されました。プログラムに参加した各従業員は、能力開発リポートの提案に基づいて、各自に合わせたコーチングを受けました。
ノキアの販売能力開発プログラムの責任者であるピーター・コペツキー氏は次のように述べています。「私は、ノキアとSHLのチームが、私たちの人材ポテンシャルを見極めて最大限に活用するのに役立つソリューションを提供してくれたことを非常に誇りに思っています。能力開発に関する努力を最も重要な場所に集中させ、関連コストを最大30%節約することができています。」
結果
適切な場所、適切なタイミングで、適切な能力を確保する ――企業と個人に対し、高い価値を生み出す
OPQとノキア自己評価ツールの総合力を活用することで、マクロレベル、部門、チーム、そして個人の能力に関する洞察が得られ、関係者間で共有されました。SHLアセスメントと、その結果としての的が絞られたスキルアップ提案は、現在すべてのノキアの販売地域で活用されています。このアセスメントは任意ですが、ノキア全体での従業員の参加率は95%を超えています。プログラム後の調査では、参加者がリポートの品質を評価しており、コーチングに価値を見出していることが確認されました。このプログラムからのデータは引き続き増加しており、すでにスキルがKPI(Key Performance Indicator:主要業績評価指標)に与える影響を分析することができるようになっています。OPQから得られるスキルポテンシャルについてのデータと、ノキア自己評価ツールからのスキルデータが、従業員の潜在的なパフォーマンスに関する洞察を提供しています。カスタマイズされた能力開発ヒントは実用的なもので、ノキアのグローバルな販売員全体ですぐに効果を上げています。SHLは、グローバルテレコムリーダーが能力開発を次のレベルに引き上げることを助けることができ、誇りに思っています。今後も継続的に彼らを支援していくことが楽しみです。
原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/case-studies/nokia/
自社で作成した販売能力自己評価ツールとOPQを組み合わせて活用した事例でした。
私たちもこの事例のようにアジリティを発揮し、お客様の課題解決に貢献していきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
中東はどのようにして、繁栄するユニコーン新興企業の中心になってきたのでしょうか。成功に重要なのは人材です。
2021年10月19日 モハメッド・ファリド
2020年は、世界中の多くの企業にとって困難な年でした。パンデミックにより、世界中で資金が減少し、2008年の金融危機よりもさらに低くなりました。しかし、中東がMENAベース後期新興企業に12億米ドルという記録的な金額を投資することによってVC(ベンチャーキャピタリスト)のトレンドを変えたことを、誰が予想できたでしょうか?これにより、戦略は、多くの初期段階新興企業への投資から、主にテクノロジー業界における後期段階新興企業への投資へと変化しました。真のイノベーションへの道が開かれ、中東のユニコーン新興企業台頭への道が開かれました。
中東のユニコーン新興企業
新興企業は投資家にとって常に興味深いものでした。しかし、スケールアップしようとしていた新興企業は、彼らに必要な投資が大きいため、通常、優先されることはありませんでした。その結果、後期段階新興企業が可能性の限界に達したとき、投資の停滞によりイノベーションが停滞しました。
しかし、もうそんなことはありません。あるとしても、新型コロナウィルスが、私たちの日常生活においてテクノロジーがいかに重要であるかを教えてくれました。先行するためには、迅速にデジタル化する以外の選択肢はありませんでした。VCはこのことに気づいています。例えば、ドバイを拠点とする大量輸送と共有モビリティソリューションのプロバイダーであるSwvl社は、米国ナスダックに上場した最初のMENA地域新興企業になりました。これは、大量輸送システムに成長機会があると信じ、後期新興企業を支援しようという、この考え方の転換によってのみ可能となった結果です。
持続的成長には人材が不可欠
では、適切な人材を持つことがこの成功にどのように貢献するのでしょうか?投資とは別に、そもそもユニコーンになるために、競争に勝って成功するための適切なスキルが必要なのは当然です。変化は絶えません。変化に適応し、トレンドに対応し、スキルを開発することが、人として、そしてビジネスとして繁栄し続けるために必要です。
従業員を理解することが重要です。貴社が現在持っている人材は何ですか、そして将来のために必要とする人材は何ですか?どうすればそのギャップを埋め、そこに到達してポテンシャルを最大限に活用できるよう人材を育成できるでしょうか?なぜならば、従業員が貴社にとどまって頑張り続けることを考えるのは、自分のポテンシャルを最大限に発揮しているときだけだからです。
スタートアップからユニコーンへ移行する際、人材を引き付けてコミットさせ続けるにはどうすればよいか?
スタートアップ企業がユニコーン企業になるために直面する最大の人材課題は、彼らがじっくり集めた人材と彼らの成長を助けた人材を維持することです。
会社構造の変化は、役割、ビジネス構造、および従業員ライフサイクルに沿った人材の移動方法に変化をもたらします。会社は、現在および将来に必要なスキルのギャップを特定する必要があります。従業員は次のような質問をし始めます:『私のキャリアはここでどのように進化しますか?』『どうすればスキルを向上させることができますか?』。
学びの経路と後継者育成戦略を展開して、従業員に、自分が何を期待でき、どのように能力開発するかを理解させましょう。ビジネスとして成長するということは、社内を整え、人事戦略を育む人事部門の必要性を特定することも意味します。
パンデミックは、MENA地域のスタートアップシーンにおける展開を加速させました。これは、中東のユニコーン新興企業の台頭につながっています。そして、新興企業がユニコーンに進化する過程にあるとき、既存の人材を保持し、彼らに投資することが重要です。先行するために必要なスキルで彼らに力を与え、彼らのポテンシャルを信じましょう。彼らは応えてくれるでしょう。そして、貴社が次のユニコーン企業になるかもしれません。
原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2021/the-rise-of-middle-easts-unicorn-start-ups/
中東・北アフリカ地域のスタートアップ企業への投資について、JETROの海外ビジネス情報の特集を見つけました。ご参考まで。
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2021/0701/7ba1d09ea871fc9d.html