一口に「年棒制」といっても、完全固定年棒制、賞与評価なども加えて変動する可能性を含んだ予定年棒制などいろいろあります。ここでは、わかりやすく固定年棒制で考えてみます。
会社にとっては、人件費の見通しが立てやすい、成果に応じて年棒を決めることで成果主義を浸透させやすくなる、というところでしょう。また役割や業績に応じた金額設定がしやすく、ジョブ型の仕組みを合わせやすいということがいえます。反面、成績評価の仕組みが曖昧であったり、金額設定基準が不明確な場合は、不公平感が強まり、モチベーションの低下につながります。
また、年棒ですから景気の変動や業績変動に対応した調整が遅くなるリスクがあります。
社員側にはどうでしょう。年間での総支給額が明確になるので、年間の生活設計がしやすくなります。また成果に応じた年棒増が期待できますので、やりがいを感じることができます。一方で、成果が不十分であれば金額が減額されるなど、不安定と感じる面があります。賞与がない場合は、他社との比較からモチベーションが下がることにもつながります。
年棒制であっても月給制であっても、皆が成績に関係なく高収入であれば不満は生じませんが、そうはいきません。
メリット、デメリットはつきものですから、年棒制は評価制度や目標管理制度とセットで運用しないと評価の不透明さから社員の不満につながることに注意して下さい。
女性応募者からの人気が高いということは、うらやましいですね。熱心に働き活躍する女性が多い職場であれば、男性からみても魅力的な職場であるはずです。
せっかくですから、男性応募者を増やす工夫に是非取り組んで下さい。
まずは、女性人気の高さの結果として、職種内容や社風、制度の紹介、説明が女性よりになっていないか現状を確認して下さい。
そして、女性の応募者が少ない場合にもいえることですが、同じ性(男性・女性)からみた社員の働き方やロールモデルをしっかりと打ち出すことでしょう。またキャリア志向のある男性の場合は、自己成長イメージや果たすべき役割像に魅力を感じることが多いです。
これまでに行っていなかったとしたら、男性の応募者が期待できる学部・専門学科を対象としたアプローチも有効的かもしれません。
男女比率を気になさっていますが、結局は「男女を問わず活躍できる会社、誰もが働きやすい会社」であることを訴求すること、そういう会社を目指すことが、優れた人材採用につながるのではないでしょうか。
「試験を受ける方は当社では優秀者」、まさにこの評価を試験受験者に事前にしっかりと伝えておくことでしょう。フォローではなく、事前に昇進昇格試験実施の目的、合格、不合格の意味するところ、合格者への期待、不合格者への今後の処遇について説明して理解してもらうことが必要です。
「優秀と評価されている」と意識しているからこそ、不合格のショックは大きいはずです。本人のモチベーションを維持してもらい、離職を防ぐには以下のようなフォローが必要です。
- 試験について不合格の結果だけでなく、評価された点、不足と感じられた点を具体的に伝える
- 今回不足しており、今後改善してもらいたい点、期待していることを丁寧に伝える
- 今回で終わりではなく、今後の育成計画など、次の再挑戦への道筋を明確に伝える
- 昇進しなくても評価されていることを伝える
- 周りの人にも不合格者へ配慮してもらう、今後も支援してもらえる環境作りをする
「罰ゲーム化する管理職」ですか。いやな表現ですね。いまは、このように管理職になることに対して否定的な印象を持つ社員が増えてきているということでしょう。
要因は、「管理職は責任だけ重くなり、報酬はそれほど増えない。プレイヤーとして結果を出さねばならないうえに、マネジメントの仕事も増える。部下と上長に挟まれ、ストレスが加わる。」といったことでしょう。管理職のなり手不足にお悩みの会社も多いと聞きます。
当社は組織規模もそれほど大きくなく、コンサルタント業務職に携わる人数が比較的多い会社です。そうしたチームの管理職には優秀なプレイヤーだった人も多く、自身の経験をマネジメントに生かしていただきたいのですが、上のような意識を持つ人もいるようです。
取り組みとしては、昇格候補者に対してしっかりとした管理職登用のマネジメント教育を実施すること、現状に合ったマネジメント業務に対する評価、報酬の仕組み作りが必要ですが、まだまだ十分に対応できていません。今後の課題と認識しています。
お書きの通り技術革新やグローバル化の進展スピードが加速しており、一度身に着けたスキルが長く通用する時代ではなくなりました。当然社員にも継続的なリスキリングが求められる時代になりました。
今後どの業界でも必要な基本的なスキルは、ITスキルと語学力になるでしょう。これまでは、PCやオフコンの操作、プログラミング技術、ネットワーク技術が基本スキルでしたが、今後は生成AIを活用するスキル、高度なセキュリティ技術が中心となってくるのではないでしょうか。そして、どのビジネスでもイノベーション人材が求められていますから、論理的思考力、問題解決力の高さが必要とされます。
グローバル化といった観点では、英語、中国語といった語学能力だけではなく、自らの意見、知見を言語化する力、コミュニケーション能力が求められます。
日本の雇用でも新卒一括採用からジョブ型への転換が進んでいますが、専門のスキルをもった人材でありかつ、その後も自律的に学んでいける「学習力」のある人材が評価される時代になると考えます。
時代を問わず、自分の仕事にやりがいを感じられない人はいます。若手か中堅かも関係ありませんし、相手がやりがいを感じているかをこちらが判断するのは難しいことです。
特にいまの若者はやりがいを求める傾向が強く、自分が納得しないと仕事を続けられないという意識があるのではないでしょうか。
何度ミーティングしてもわかりませんとお書きですが、まずはお互いに「自分にとってのやりがいとは」を整理して具体的に言語化してみてはいかがでしょう。自分はなぜやりがいが感じられないのか、やりがいを感じている人に対して自分はどんな違和感を持っているのか、話し合ってみて下さい。自分の仕事が会社の中でどのような役割を果たしているのかわからない、自分の仕事がどのように評価されているかわからないということであれば、こうした話し合いを通じて本人がもっている仕事への価値観が見えてくるでしょう。
「やりがい」は最初から決まっているものでも見えているものでもなく、自分の成長と他人との関わり合いの中で見えてくるものではということを伝えて下さい。会社の中での自己理解研修やキャリア面談など、自分を見つめなおす機会を有効活用できるようにアドバイスしてあげて下さい。
「会社の将来性への不安」と「業務上スキルの向上が見込めない」の2点を挙げられています。前者はご自身ではなく会社の事業や成長性といった将来性ですし、後者はご自身のキャリア形成における成長性についてですから分けて考えましょう。
会社については、上司や経営層に質問してみてはいかがでしょうか。取引先や競合会社からみる御社の将来性も参考になるかもしれません。また将来性はあるとしても、ご質問者が今後やりたいと考えていることと会社が目指す方向性が異なる場合もあるかもしれません。
ご自身のキャリアプランについてはどうですか。いまの仕事では何故スキルの向上が見込めないのでしょうか。業務が固定化していて成長性が感じられないのですか。業務そのものに興味がないのですか。
ではどうすればスキルを向上させることができるのでしょうか。将来何がしたいのですか。周りの人は、あなたの仕事ぶりをどのように評価しているのでしょうか。実は高い評価をもらっているのではありませんか。
こうしたことを整理したうえで、転職を考えてはいかがですか。「転職かな?」というお気持ちがあるのであれば「転職つまりご自身のキャリア構想を考えるよいタイミング」なのではと捉えて下さい。
「転職すべし」という結論ありきではありません。検討を重ねた結果、転職することがベストであれば、そこから転職活動をしてはいかがでしょうか。
プレゼンテーション力の向上には、事前の準備、練習といった備えと、何度も繰り返すことによる経験値からの向上との両面での対策が必要でしょう。
ただ緊張度合いはプレゼンテーションの良し悪しとはイコールではありません。緊張していても上手く話す、狙い通りに内容を伝える話し方はできるはずです。
まずは練習です。緊張感を強くしないためには、原稿内容を完璧に覚えようとしないことです。箇条書きやメモ程度に整理して、流れに沿って自分の言葉で説明できるように練習します。話すたびに多少表現が変わっても気にしないことです。
スマホを使って練習時の話の内容を録音、録画して声の大きさ、トーン、間の取り方、視線の当て方などをチェックしましょう。
時間があれば、自分だけの練習ではなく少数相手に練習するのもよいでしょう。
聴衆はカボチャが並んでいると思えばよいと言いますが、本番では、相手の視線を意識しすぎないことです。内容をしっかりと伝えることに意識をもちましょう。
緊張度合いは相手の人数や相手との関係性にも関連してきますが、冒頭で「本日はこのような大人数の方相手(この分野でのプロ相手)にお話しするので少し緊張気味です」とか、「オンラインでのプレゼンテーションのため、間合いが上手く掴めるかどうか緊張しますね」というように自ら振ってから話すのはどうでしょうか。場がやわらげば緊張感も少し減ると思います。
名プレゼンの見本としてTED動画を勧める人もいますが、かなりレベルが高いです。
緊張感を弱めるコツは、自分のペースで進めていくことです。まずは場数と考えましょう。
設定しているスクリーニング基準を見直すことをお考えになってもよいのではないかと考えますが、応募者の質が下がった要因も考えてみる必要があります。競合他社の自社PRがうまくいっており貴社への応募者が減っているのか、貴社の採用PR、採用プロセスに課題がないか、などです。現状ではインターンシップの実施期間やプログラム内容などを学生にとって魅力的なものにしていかないと、選考の応募者形成でも苦戦します。
スクリーニング基準を下げた場合に質が下がるのでは?という懸念はもっともです。
見直す場合も下げることを前提にせず、その基準を設定している目的から再確認しましょう。一定レベルの学力をみたい、人材要件のこの能力は見極めたい、機械的にふるいにかけたいなど目的があるはずです。そのうえで単純なスコアだけで判断するのではなく、総合的な評価も組み込むことができないかも検討して下さい。ただ基準を下げるのではなく、それ以外の採用プロセスで見極める。つまり面接やプレゼンや課題提出など他の手段で補うということです。
基準を一気に下げるのではなく、求める人材を見極めるために必要なポイントを絞りつつ、段階的に調整しながら下げてみてはいかがでしょうか。
おっしゃるように全員が納得する完璧な制度設計は、難しいです。
基本は「丁寧な説明を繰り返す」ことですが、それでも反発する人は出るものです。
まずは、その反発が「何に対してのものか」を考えて下さい。そもそも内容を理解していないから反発するのか、人事制度そのものに納得がいかないのか、理解はしているが自分には不利益と考えているのか、これらの内容を見極めて下さい。
こうした反発を招かないためには、説明に「何故この制度改定が必要か、改訂後に各自にとって何が変わるのか、変わった後でどのようなメリットがあるか」をストーリー展開する必要があります。「会社に必要なことです。ご理解下さい」では、通じません。
また会社全体説明会を実施して一度で終わらせようという姿勢では、反発を招くことがあります。むしろ事前に部門単位やチーム単位のグループミーティングを行い、共通の意見やコメントを吸い上げておくことが有益かもしれません。
「反発はあるかもしれませんが、最終的には納得できるゴールを目指して今後も調整していきます」という姿勢を示して下さい。