学生が1年目の社員から聞きたいことは、自分と同じ就活生だったころの経験と入社後に感じたことです。複数の内定先からどのようにして最終的に就社を決めたのか、どこに魅力を感じたのか、入社後の研修から配属までにミスマッチを感じたことがあるかなどです。
決して、1年目社員に会社のビジョンやミッション、数々の仕事経験を聞きたいわけではありません。
会社側が、年次の近い先輩である1年目社員から説明させた方が、学生の受けが良いと勘違いしてしまうと逆効果です。人材を大切に考えて新卒採用に力を入れていますと言っている会社が、新人に説明会運営を任せるのかという不信感につながるのです。
会社の事業や幅広く仕事内容を説明する担当は、3年目以上の経験豊富な社員にすべきです。男女も交え、多様なスタッフを配置しましょう。
そのうえで、人事にも今年配属された1年目社員がいるので、皆さんからのご質問に気軽にお答えしますよとオープンな質問会を担当させて下さい。
志望度を高めるのは、仕事をそれなりに経験した中堅社員からの話に任せましょう。
必要に応じて説明会後のフォローアップや個別の質問会を設けることで信頼関係も深まります。
「好む」という表現が適切かどうかはわかりませんが、Uターン就職を希望する学生については、一定の特徴があるようには感じます。
一度は地元を離れて進学して学生が、就職を機会にまた地元に戻るのがUターン就職ですが、進学した時から戻ることを想定していた学生と学生時代の経験を経て、地元での就職を選択する学生とがいます。
一般論ですが、前者の場合は、地元や自身が所属しているコミュニティに対する帰属意識が強い傾向や社会への貢献を重視する傾向もみられます。また比較的安定した環境を好み刺激や変化に対して慎重なタイプが多いかもしれません。
もちろん経済的な面から地元での暮らしやすさを選択するケースもありますが、多様な働き方を考えワークライフバランスを重視し、地方での生活を選ぶ人も増えてきています。
以前はUターン就職を考えても民間の就職先企業の選択の幅が限られるため、公務員志向や家業に就く学生が多いという傾向もありましたが、テレワークや地方のサテライト拠点の活用により、地元に戻っても所属の勤務先は都市部企業であったり、仕事内容が都市部にいるのと変わらない業務であったりと、新たなUターン就職タイプが出てきています。
地元に戻るような学生であっても、地元発の世界的企業を目指すような起業家精神が旺盛で挑戦的なタイプの学生もいるはずです。
今後もこうした新タイプのUターン就職は広がっていくのではないでしょうか。
御社の今後の展望において、新しい視点や新たなスキルが必要とお考えですか。あるいは会社全体の事業展開にそうした新たな挑戦に向けた構想が表明されていますか。
もし、会社としてまた現場としてもそれほどそうした声を聞くことがない、強いニーズが感じられないというのであれば、これまで活躍してきた人材に近いタイプを組織にフィットするということで採用していくことに特に問題はないのではないでしょうか。もちろん、採用手法がバイアスのかかった主観的な面接のみということなら、最初から自分たちに合いそうもないということで、せっかくやる気と能力がある人材を見逃してしまっている可能性はあります。人材要件を大きく外れる人を採用する必要はありませんが、これまでとは違ったタイプであっても適性検査の結果を参考にして、こうした人材ならこうした仕事を任せることができるかもという視点で、採用を検討してみてはいかがでしょうか。
多様性のある採用を会社が考えるという姿勢が、既存社員の中にも新たな視点や価値観を創造していこうという意識変革につながっていきます。
現場と人事の間にギャップが生じることはよくあることです。現場は即戦力を要望しますし、人事は将来を見据えて会社を支えるような人材を採用しようと考えるからです。これが、スキルとポテンシャルという違いになるのでしょう。
解決するには、現場と人事がしっかりとコミュニケーションを取り、共同で求める人物像を定義し採用基準を設定するしかありません。双方の意見を交換し、スキルとポテンシャルのバランスを考慮することになります。人事は、経営層の事業戦略に基づいた人材戦略から人材要件をイメージしつつ、現場担当の役員の人材についての要望も吸い上げる努力をしなければなりません。もちろん、入社時点ではポテンシャルがあってもスキルが不足している人材も当然います。スキル不足を補うためのトレーニングプログラムを導入しながら、実際の業務を通じてスキルを習得するOJTも行い現場のスキルニーズにこたえて下さい。
スキルとポテンシャルのバランスについては、採用した人材のパフォーマンスデータを分析し、スキルとポテンシャルのどちらがより重要かを定量的に評価して下さい。
インターンシップ実施により現場がスキルを評価できる期間を設ける、オンボーディングプログラムを充実させ組織全体で人材に対するサポート体制を認識、理解する環境を作ることも重要です。
ご質問者様の会社に限らずどの会社でも頭を悩ませている問題です。これだけ出生率が落ち、少子高齢化が進んでいるなかでは、制度を少々いじったところで解決などするはずがありません。65歳まで働いている人たちがすべて燃え尽き症候群とは思いませんし、人生100年と言われている現代では、健康面で問題がないのであれば少しでも長く働き続けたいというのも無理はないでしょう。
高年齢者社員がいることが生産性低下の最大の要因というように考えるのではなく、会社として自社の多様な人材をどのようにして有効活用していくべきかとう視点で考えていく必要があります。本当に燃え尽きてしまっているのであれば、年齢に関係なく業務内容や処遇を考えなければなりませんし、スキル、知識といった能力の面からまだまだ活躍していただけるということであるなら年齢に関係なく仕事をしていただき、しかるべき処遇をすべきでしょう。
2025年4月からは、65歳までの継続雇用制度が義務化され、定年を超えても働き続けたいと希望する従業員を65歳まで雇用する必要があります。
もちろん、65歳までの定年延長の義務化ではなく、「定年制の廃止」「65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入」といった形でもよく、あくまで65歳までの雇用継続制度を設ければ、65歳までの定年引上げの必要はありません。
すでに70歳までも希望する従業員への継続雇用も努力義務になっています。
こうした継続雇用制度の中で、高年齢者社員の生産性向上とモチベーション維持を図りながら、経営への圧迫を防いでいくしかないでしょう。
そもそも飲食店系は、はやりすたりがありますから、それほど単独で長くは続かないものです。また昨今のように原材料費や固定費が急激に上がるような状況は、独立系の飲食店には厳しい経営環境といえます。
加えてこれまで、地域に密着して営業してきた歴史のあるお店も、店主の高齢化にともなう後継者問題や地域の再開発に伴う移転問題など様々な課題を抱えて、消えていっています。
大手チェーン店であれば大量仕入れや効率的な物流システムをもって価格競争力を維持できますが、個人店ではいたしかたない値上げが客離れにつながります。
人手不足の問題も多いでしょう。家族経営では家族が犠牲になってしまいますし、大手のように人手不足解消のために各種ロボットや多機能レジを導入したりすることは厳しいです。
個人店では、従来以上に差別化を図りながら、地域とのつながりを強化して固定ファンをつかむことしかありません。SNSの活用や地域の同業者とも連携もしながら、デリバリーサービスやオンライン注文などへの対応で収益を増やしていく工夫も必要になるでしょう。
また、お客さん側(消費者側)が推しになってくれることでお店側が支えられるという流れになるのかもしれません。
アセスメントによる客観的な結果をもとにして選抜、任命を行えば、特定の個人へのアサインにはならないはずです。この仕事はあの人にしかできないと業務の属人化が強い職場ほど上司の主観で能力を判断してしまいがちです。
シミュレーションやグループディスカッション、インタビューなど複数の評価手法を組み合わせたアセスメントセンターを実施、授業員のスキル、行動、ポテンシャルを評価してみて下さい。
また、多方面からのフィードバックを集める360度評価も多角的な評価につながるはずです。もちろん、アサインした後のトレーニングやスキル研修などを通じてスキルや知識の向上を支援することも重要です。
残念ながらどんなに頑張って金額をあげても、納得しない社員は必ずいます。
御社が世界で唯一の一番待遇が良い会社にでもならない限りは無理でしょう。どの会社も社員の満足度を高め流失を防ぎたいと給与や手当の金額設定に苦労していますが、完全には対応できません。会社が提供できる原資が限られているのですから。そう割り切って下さい。
一般的には、他社との比較になりますから業界標準や企業規模、地域の水準を把握し、適正な金額を設定します。一部の会社では、社員の意見を収集し、検討材料のひとつにしているケースもあります。こちらは金額そのものに対する意見というよりは、報酬や手当の設定基準を明確にして、社員に対する透明性を高めるためという場合が多いようです。
働き方が多様化しています。本給の金額のみのこだわるのではなく、社員の多様なニーズに柔軟な福利厚生や子育て支援手当、働き方支援で社員を支えていくことが望まれています。
新たな人事施策を実行する場合は、やはり経営層のリーダーシップと組織としての積極的なサポートが必要です。経営層から人事施策についての明確なメッセージをどう伝え、従業員にその施策の重要性を理解してもらうか、さらに現場でどう実践できるように支援するかです。それには、施策の目的、効果、具体的な内容、計画スケジュールを明確に伝えるコミュニケーションが大切です。社内での説明会だけでなく、コンサルタントや第三者によるアドバイスや事例紹介なども有益です。
説明と同時に施策に関するスキルや知識を提供するための研修やトレーニングプログラムも実施して下さい。実施してからはフィードバックと改善を行うことで、さらに施策が適応したものになっていきます。
当方シニア世代ですので、「居座り続ける」という言われ方には少々反発したいところもあります。我々が総合職として採用された時代は長期雇用と年功序列がセットでした。企業業績も右肩上がりで明日はもっとよい生活ができると期待できた良き時代でもありますが、厳しい競争を勝ち抜いて管理職になった方々は、自らがもう業務を遂行する能力がないと評価されるのなら、後輩に道を譲ることも致し方なしと受け入れてきたのではとも思います。
理想は、会社が成長し組織が拡大し新しい管理職ポストが増えることですが、変化の激しい現状では、なかなか難しい面があります。集中と選択をしながら、組織の見直しもしなければなりませんし、一方で、少子高齢化の中が既存の人材をどのように有効活用していくか、つねに求められています。どの会社組織も同じであり、ここで言う何かアイデアでといった対策もみつかりません。
まずは、役職にこだわった組織と処遇から離れることでしょう。シニアが役職に居座るという気持ちは、役職定年制などの実態が大きな収入減につながっていることも一因です。また若手が早く役職に就きたいと考えるのも役職に就くことが収入アップになるからでもあります。今後は、役職を固定せずチームごと、プロジェクトごとにリーダーを選出し、それにあった処遇を与えていくことが求められるでしょう。若手にはキャリアアップにつながるリーダーシップの経験を与え、成果に応じた処遇を与えます。シニア管理職は、アドバイザーやコンサルタントとしてサポートする役割を果たすことができます。
もちろん、シニア社員に対しては、定年後の再雇用制度での処遇を見直していくことも必要です。定年後の長い人生を維持できないほど収入が減るようでは、早めに老後を考える中堅社員も不安ですし、若手へのスキルや知識の引継ぎもままならなくなります。