面接で逆境の経験をたずねてください。逆境を乗り越えた人は逆境に強い人、逆境に負けた人は逆境に弱い人です。どちらともいえない人は普通の人です。
そもそも逆境とは言えないような経験を話す人は逆境を経験したことがありませんので、逆境に強いかどうかを判定できません。

逆境を乗り越える能力は、レジリエンスや回復力と言われるコンピテンシーです。コンピテンシーですから、能力開発が可能です。応募者の中で逆境に強い人がいなかった場合は、入社後に逆境に耐えるための能力開発をしてください。

従業員に対する説明が重要です。
事前説明として以下の項目について丁寧に説明してください。

どのような目的で従業員に対してパーソナリティ検査を実施するのかは存じませんが、正直にオープンに説明するべきです。会社として何のためにどのように誰が結果を使うかは明示すべきです。従業員が好まない目的、利用、閲覧者が記載されていれば、受検率を高めることができません。従業員にとっての好ましい目的で、安全で安心な利用を心がけてください。

犯罪に手を染める人を見分けたいという気持ちはよくわかります。小売業においては、ロスの約10%が従業員の不正によるものという調査もあるようです。

しかしながら罪を犯していない人の罪を犯す可能性を予測することは、そのまま採用差別につながります。仮に罪を犯す可能性が予測できたとして、その可能性が高いと判断された人を採用する会社はありません。その方は罪を犯したことが無いにもかかわらず、その可能性が高いという予測だけですべての企業から、社会から疎外されてしまうのです。

こんなことがあっていいわけがありません。
実際に採用選考で犯罪のポテンシャルを見分けることは困難です。犯罪に手を染める人にはその誘因が必ず存在します。会社として従業員が犯罪に手を染める誘因として働くものをあらゆる点から排除し、不正抑止効果を高める活動をしていくべきと考えます。

学生が入社意欲を高めるのは個別の対話機会です。そこで学生の心をとらえる最も効果的な方法は、学生に向き合って話を真剣に聞き、学生が考えを深めたり、気づきを得られたりするための適切な質問を投げかけることです。矛盾を指摘したり、反論したり、指導したり、アドバイスしたりするのではなく、とにかく真剣に学生の話を聞くことが大切です。学生の考えですから未熟な点もたくさんあります。しかし、ご本人なりに真剣に考え準備して、緊張感をもって面接に挑んでいるのです。ぜひ気持ちに寄り添って思いやりのある態度で話を聞いてあげてください。
これが学生の意欲形成に適した社員の態度と姿勢です。どなたにでもできることだと考えています。

音楽に関してはおすすめがあり過ぎて困りますので、最近聴いているアーティストを3組、思いつきでご紹介します。

新しいアーティストでは、2022年デビューのSay She She。70年代風ソウルミュージックを聴かせてくれる3人の女性ボーカルが率いるソウルバンドです。

次は90年代後半に現れR&Bのリズムトラックに革命をもたらした、Missy Elliotです。この方がおられなければ現在のR&Bは全く異なるものになっていたかもしれません。

最後は60年代から現在もご活躍中のGeorge Bensonです。御年80歳。この方は80年代シンガーとしてヒットしたのですが、本業はジャズギタリストで私がお勧めしたいのは70年代にリリースされたフュージョンのアルバムです。

新旧織り交ぜてご紹介しました。

360度評価は被評価者を本人と周囲の他者(上司、部下、同僚、その他)が評価する仕組みです。複数の人が評価するため誰か一人が評価するよりも多くの視点から評価情報が得られます。多くの人が評価するから正しいとか、客観的になるとか、そんな簡単に評価が是正されるわけではありません。しかし、普段は評価者にならない部下や同僚からの評価には、被評価者に新しい気付きをもたらす力があります。だから360度評価のフィードバックは能力開発にもってこいの方法なのです。
近年、経営幹部(事業部長、執行役員、取締役など)の能力開発を目的とした360度評価を導入する企業が増えています。
本コラムでは、経営幹部の能力開発に360度評価のフィードバックがどのように役立つかについて述べます。

フィードバックされない経営幹部

会社のなかで最もフィードバックされない人は誰か。おそらく企業のトップ、社長やCEOでしょう。多くの人にフィードバックしているにもかかわらず、自分はほとんどフィードバックを受ける機会がありません。フィードバックを受けられなければ成長できません。トップの継続的な成長がいかに難しいかわかります。
トップに限らず、企業では役職が上がるにつれて、フィードバックを受ける機会が減少します。従業員であれば、半期ごとの査定、1on1ミーティング、研修など様々なフィードバックの機会があります。役職が上がるにつれて、査定は業績などの結果だけになり、上司との面談や研修もなくなっていきます。フィードバックされる側から、する側になるからです。

フィードバックの重要性

経営幹部にとってもフィードバックを受けることは重要です。特に経営幹部のフィードバックでは、自己理解を徹底的に促します。深い自己理解が自身のポテンシャル発揮とマネジメント効果の最大化につながるのです。

フィードバックの方法

経営幹部を対象とした360度評価のフィードバックは、外部の専門フィードバッカーによる1対1の個別セッションで行われることが一般的です。セッション内容は以下の通りです。

・360度評価レポートの概要説明
・役割認識と重要なコンピテンシーのすり合わせ
・評価結果に基づく強みと弱みの明確化
・開発課題の特定

この層に対するフィードバックは職務に関する具体的な指導やアドバイスよりも、自己理解に焦点をあてます。フィードバッカーが意識すべきポイントは以下の通りです。

・上司の役割期待と本人の役割認識とのギャップを明確にして、その理由を探る。
・他者からの否定的な評価を受け入れられるように心理的なサポートをする。
・能力の名称や定義を誤解しないよう正確に丁寧に説明する。

多くの経営幹部は他者評価をとても繊細に受けとめます。評価者が想像するよりも強く心理的な影響を与えます。フィードバックを効果的なものにするために、フィードバッカーは被評価者を落ち着かせ、評価の要因を一緒に検討する雰囲気を作ることが大切です。

会話例

被評価者が気付きを得る時にどのような会話がなされるかについて、実際の会話の一部をご紹介します。
(会話例1)
・フィードバッカー「次は協調についてです。『人の態度や意見、動機に関心を示す』の自己評価は5点、部下のひとりは2点でした。他の部下と同僚は4点と5点に集中していました。どうしてこのような結果になったのだと思いますか?」

・被評価者「誰が2点を付けたかはわかります。この方はパフォーマンスがとても良いのですが本人に自信がありません。去年入社したばかりで前職の時のように周囲から評価されず悩んでいます。私の指摘でプライドが傷ついたことがありました。『人の熱意を奮い立たせ、前向きな職務態度を抱かせる』に1をつけたのもこの方だと思います。」

・フィードバッカー「ここですね。」

・被評価者「そうです。この点は私がアプローチを変えるべきです。プライドを傷つけることが目的ではなく、失敗から学んで欲しかっただけなので。」

・フィードバッカー「そうですね。」

・被評価者「私が過保護だということです。部下に成功体験を積んでほしいと思うあまり口を出しすぎています。」

・フィードバッカー「そうですか。」

・被評価者「部下からの提案に対して、それでやってみようと言うのも必要なんだなと痛感しました。」



(会話例2)

・フィードバッカー「評価のギャップが見られる項目は『論理的かつ合理的で考え抜かれ、判断を下す』、『人々が達成したいと思う長期的な目標の明確なビジョンを持っている』の二つです。」

・被評価者「どのセクションだろう。おそらく、本社の意見が強くて私が指示や判断が通りづらいセクションの評価ですね。」

・フィードバッカー「なるほど。介入の余地が無いため、戦略がそのセクションのメンバーに伝わりづらいということですか?」

・被評価者「そうですね。これはとてもありがたいフィードバックです。」

・フィードバッカー「戦略が伝わりづらいことは業務上どのように影響しますか?」

・被評価者「明確に問題になっているとは思いませんが、私が伝えきれていないことで戦略が通じていないのかもしれません。」

・フィードバッカー「そうですか。」

・被評価者「うーん。私はその方が私と違うビジョンを持っているからよいと思っています。同じ考えをしている人を部下に置くより、色々なアイディアがあって、それをまとめ上げることの方がよいものになります。私は部下全員が自問自答することで良い結果を生み出せると考えているので、全員に私と同じ意見をもって欲しいとは全く思っていません。」

・フィードバッカー「はい。」

・被評価者「私が思い当たるその方は、私とタイプが異なります。私は右脳派の文系タイプ、その方は左脳派の理数系タイプです。もしかしたら私の発言を大雑把なものと捉えているかもしれません。」

・フィードバッカー「そうですか。」

・被評価者「彼女は合理的なので、コミュニケーションの仕方として歩み寄っていかなきゃいけないとこの結果を見て学びました。」

・フィードバッカー「なるほど。他の方はあなたのビジョンをすんなりと受け入れているのですか?」

・被評価者「はい、そうですね。もう一つ考えられるのは、その方は会社の長期的なビジョンの実現方法に疑問を持っているかもしれません。ビジョンと目標はあっても実現のためにどう動くかは本社も発信していません。この点について私にも不満があるかもしれませんが、会社にも不満を持っているのかもしれません。」

・フィードバッカー「そうかもしれません。もう少しはっきりとした戦略を欲しているというメッセージかもしれないですね。」

・被評価者「戦略はあるのですが、計画は1か月前に告げられる感じなので、長期的な計画は作ることができません。そこが問題ですね。
その点が不安なのでしょうね。」

・フィードバッカー「その方のストレスコーピングや意欲形成の必要性についてはどう考えますか?」

・被評価者「はい、必要性がわかりました。」

おわりに

今回は経営幹部の360度評価フィードバックの会話をご紹介することで、どのように気付きが形成されるかをご紹介しました。 フィードバックは被評価者が自らの行動に気付くためのきっかけを与えることです。360度評価は効果的に考えるための情報を提供します。
より詳しく360度評価について知りたい方は、360度評価導入ハンドブック(無料)をご覧ください。

人事施策は人材組織戦略に基づいて行います。人材組織戦略は経営事業戦略に基づいて作られます。今回の疑義が生じた理由は、経営事業戦略を遂行するためにこの教育施策は効果的ではないと社長が感じているからです。
私が申し上げたいことは、40代後半以上の人には教育投資してもリターンが少ないということではありません。40代後半以上の人に徹底的な教育を施すことが組織の業績向上に直結する場合もあります。あくまでも社長が持っているビジョンを実現するための戦略と今回の教育施策がマッチしていないだけのことです。
人事部長であるご質問者様ご自身が社長の代弁者として、社員に対して新しい教育体制と教育施策を説明できるよう、社長の考えを理解する必要があります。また、人事部長であり、教育施策の提案者として、この教育施策の重要性をエビデンスと情熱をもって社長に理解させる必要もあります。

圧倒的なスキルと経験、そして実績を持つことがメンターの条件です。トップパフォーマーの中から選ぶことをおすすめします。
加えて、メンティーを育てる意欲があること、メンティーと円滑なコミュニケーションがとれること、メンティーを理解し共感を示せることが必要です。
メンター要件を満たす人を部門から推薦してもらい、人事部が面接で確認するというのが現実的な方法です。

もちろん、価値観、モチベーション、能力のすべてを重視すべきです。どれか一つがあっていれば活躍するわけではありません。価値観はエンゲージメントに大きな影響を与えます。エンゲージメントが低い状態では、仕事に対するモチベーションが下がるので長期的な活躍は期待できません。仕事に求められる能力が弱い場合は、良い職務成果を生み出すまで能力開発が必要ですから、すぐに活躍はできません。
価値観、モチベーション、能力のいずれも会社の求める特徴や水準にない場合は、採用を見送るべきです。しかし、いずれの要素についても入社後の企業側の努力により適切な方向に導くことができるものでもあります。普通の人を採用して一流の人に育てる会社が優れた会社です。そういう会社でありたいと思っています。

バランスをとる必要はありません。業績を追求するために社員に対するマネジメントが必要なのです。社員に対するマネジメントに力を入れることがすなわち業績を追求することになります。
マネジメントとは、人をして事をなさしめることです。マネジメントを徹底的に行ってください。