最も効果的であったのは、隣にお世話役の先輩社員を置くことです。お世話役は業務サポートと精神的なケアのいずれも行います。とにかく新入社員にとって話しやすく頼りになる存在であることが重要です。お世話役の選抜基準は、仕事を自らマネジメントできること、人に共感を示せることの二つです。

仕事のルーティーンは特にありません。仕事以外であれば、1時間のランニング、1時間のギター練習、30分の英語勉強がルーティーンです。ルーティーンによって楽しい時間を過ごせます。

業務に必要なスキルの洗い出しにはアセスメントデータを用いる必要はありません。職務分析を行うことで必要なスキルを定義します。

各個人のスキルを評価するためには、スキルアセスメントを活用します。近年は欧米を中心にエンジニア職の採用でスキルアセスメントを実施する企業が増えました。スキルベースの採用は流行になっています。

コスパのよい分析の切り口というご質問です。ここだけの話ですが、実は社員の傾向を分析するだけでは、パフォーマンスの向上は期待できません。世界中がピープルアナリティクスで盛り上がっているところに冷や水を浴びせる発言と重々承知しておりますが事実です。

単に社員の傾向を分析するのではなく、社員や組織のパフォーマンスを最も効果的に向上させられる人事施策を作るためのヒントとなる情報を見つけるために分析を行います。

適性テストを利用した分析が条件なら、まずはパフォーマンスの個人差に注目します。手あたり次第やるのではなく、個人のパフォーマンスが会社業績に与える影響が大きく、パフォーマンスの個人差も大きい職種、部署、部門、地域などを見つけてください。もし、そういうグループはいないということでしたら、適性テストを用いた分析ではパフォーマンスの向上に結び付く発見はできないと思います。そのようなグループを特定できたら、個人のパフォーマンスに影響を与えているパーソナリティやコンピテンシーを見つけるための分析を行います。

私は仕事だけが生きがいではないですし、今でも休日を埋め尽くしてしまう趣味を持っていますし、まとまった時間ができたらやりたいことが既にたくさんあるため、新たにやることを準備する必要はないと思っています。ただ、引退後の活動に今の仕事と同じ水準のエネルギーを投入できるよう健康と体力の維持向上は必要だと考えています。将来のためではなく日々の生活のためなのですが、日頃から適切な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動を続けています。強いて定年後の準備といえば、これくらいです。

様々な方法が考えられますが、コストと手間を考慮すると以下3つの方法が考えられます。

  1. 適性検査
  2. 面接
  3. 行動評価

適性検査はパーソナリティ検査を用います。自己申告で回答します。パーソナリティの傾向から、ヒューマンスキルのポテンシャルを把握することができます。適性検査は、Webで実施でき、比較的短時間で低価格、客観的なデータが入手できることから、最も導入しやすい方法です。問題点は、適性検査の結果のみで最終的な評価を決定できない点にあります。ポテンシャルの予測はできますが、評価を確定するには面接など、他の方法を用いて実際の行動を確認する必要があります。

面接は自由面接ではなく、客観面接を用います。構造化面接、クライテリオンベースドインタビュー、コンピテンシーベースドインタビューなどと呼ばれている方法です。いずれにせよ評価対象となるヒューマンスキルを項目に分けて定義し、項目ごとに過去の事実や実際の行動を確認する質問を投げかけ、項目を評価するためのエピデンスを収集する面接です。この方法は単独でヒューマンスキルを評価するための情報が収集できる点がメリットです。また、被評価者側も自分の発言がどのように評価されたかについて実感を持ちやすいため評価の納得感が高い点も魅力です。一方、面接官に高度な面接スキルを求めるため、一部の人だけが多くの面接を実施することになったり、面接官訓練にコストと時間がかかったりする点がデメリットです。

行動評価は既に評価制度にコンピテンシー評価・行動評価が組み込まれている場合、新たな仕組みを作る必要がありません。行動評価項目の中でヒューマンスキルに関連するものだけをピックアップし、ヒューマンススキル評価として統合します。もし、このような評価制度がない場合、ヒューマンスキルための評価制度を開発するのは非効率なのでお勧めしません。その場合は市販の360度コンピテンシー評価ツールを使ってください。

ご質問者様の謙虚さと理想の高さがよく表れているご質問内容です。今、先輩方と自分を比べるといたらないところばかりが目についてしまうのですね。しかし、仕事はお客様のために行うものです。あらゆることが完璧でなかったとしても、お客様が価値を認めてくれる仕事ができれば目的は達成できたと考えてください。もちろん、サービスの品質・スピード・コスト、自分の知識・スキルのさらなる向上で、より大きな価値の提供を目指すのは大事なことであり、素晴らしい心がけです。さらなるレベルアップのために自分の強みに磨きをかけてください。弱みを消すよりも効率的にスピーディーに成長できます。適性テストによる強みの把握は一見すると無意味な行為に感じるかもしれませんが、自分のいたらなさを痛感する人に重要な改善のヒントを提供してくれる貴重な行為なのです。

会社の人事課題を明確にするのは人事担当の役割です。上層部に答えがあり、うまく聞けば正解に到達できるというお考えは今すぐに捨て、人事として主体的に課題を作りましょう。
まずは経営事業戦略の理解です。この部分について情報が公開されていない場合は、ヒアリングが必要です。社長から直接話を聞いてください。もし、社にヒアリングの時間をもらえるのであれば、ついでに将来どのような組織的・人的な変化が必要と考えているかをたずねてみましょう。うまくいけばいなり結論に到達できるかもしれません。
次に経営事業戦略を遂行するための組織を考えてみましょう。今のリソースを前提に考えてはいけません。あくまでも戦略遂行のためのあるべき組織と必な人材を考えます。そして、現在の組織と人材とのギャップを明確にします。どのような人材が何名足りないかについての具体的な数が必要です。
ここまでくれば、組織人材課題は明確になるはずです。この課題を解決するためのタレントマネジメント施策を検討します。

さあ、やってみましょう。

動かす人をどのように決めるのか

人事異動や人材登用の際、どのように人を選んでいますか。
当社は従業員100人の小さな会社なので対象ポストに適した候補者を数人思い浮かべ、上司や同僚に話を聞き、本人と話し合って意思決定します。これは経験と勘による主観的なやり方です。
小規模企業、環境や職務の変化が少ない状況であればこれでもいいかもしれませんが、変化の激しいビジネス環境、新組織や新職務において、経験と勘だけの主観的な判断では到底太刀打ちできません。DX人材の採用育成や次世代リーダープログラムの候補者選抜が難しいというお悩みはまさにこのことを物語っています。
では、どのようにすれば今日の激しい環境変化に適応した意思決定ができるのでしょうか。

三つの選抜基準

SHLグループが提唱する人材選抜の基準は三つあります。実績、コンピテンシー、ポテンシャルです。

実績
実績とは職務成果、ジョブパフォーマンスのことです。営業職であれば売上や利益、マーケティング職であればコンバージョンなどがこれにあたります。定量的にとらえられる成果を定義することが重要です。今までの職務で優れた実績を上げているかどうかを選抜基準とする考え方は、合理的かつ納得感もあります。

コンピテンシー
コンピテンシーとは成果を生み出すために発揮されたよい行動のことです。コンピテンシーの構成要素は能力、スキル、知識、意欲、価値観、行動などが含まれます。コンピテンシーには再現性がありますので、新しいポストに求められるコンピテンシーを現職で発揮している人は、異動後も同様に発揮できると考えられます。

ポテンシャル
ポテンシャルは極めて重要な要素です。ポテンシャルは潜在的な能力ですので、仕事ぶりを観察しても捉えることは困難です。アセスメントにより知能、パーソナリティ、モチベーションなどを測ることでポテンシャルを予測します。

データアナリティクス

その上でデータアナリティクスによって具体的な選抜基準と選抜手法を見出していきます。人材データを分析し、パフォーマンスとの相関が強い人材要件とその人材要件を測定・評価するための最適な選抜手法を見つけるのです。
データアナリティクスによる妥当な選抜基準と適切な選抜手法を使って、客観的に可能性の高い候補者集団を作り出し、そのうえで人の主観(経験と勘)を働かせ意思決定すれば、妥当性に加えて被評価者の納得性も高めることができます。

目的変数と説明変数

人材データを分析する際に、何を用いて何を予測したいかを決めることが重要です。予測したいものを目的変数と呼びます。例えば、業績、退職、エンゲージメントスコア、職務適合度、チーム適合度、上司適合度などです。アセスメントを使ったデータ分析においては、職務別、職位別の業績を目的変数とすることが一般的です。
次は何によって予測するかを決めます。予測したいものの原因になっているものを説明変数といいます。説明変数は三つの選抜基準から検討します。実績としては、業績、評価、職務経験、保有資格、受講した研修、学歴、社外活動、勤怠など。コンピテンシーとしては、コンピテンシー評価、行動評価、360度評価、スキルテスト、専門知識テストなど。ポテンシャルとしては、パーソナリティ検査、知能検査、意欲検査、その他心理検査、シミュレーション演習(グループ討議、プレゼンテーテーション、ファクトファインディング、ロールプレイ、イントレイ)、面接、アセスメントセンターなどのアセスメント結果を用います。

アセスメント手法の妥当性

ポテンシャル予測のためのアセスメント手法には様々なものがあります。
以下に掲載したアセスメント手法の妥当性比較表はアセスメントがその後のジョブパフォーマンスをどれだけ予測できるか説明したものです。最も予測力が高いのは知能検査と客観面接の組み合わせです。これはよく採用選考で使われる方法です。単体のアセスメントで妥当性が高いのはワークサンプルテストです。これはグーグルがやっていることで有名になりました。ワークサンプルテストはテストの作成と採点に手間がかかります。知能検査もよい手法です。しかし、測定領域が知能に限られてしまう点が弱点です。次は客観面接です。幅広く情報が取れる優れた手法ですが、面接官ごとに評価がばらつくこと、手間がかかることがネックです。
これらの手法と比べて、パーソナリティ検査は妥当性が高く、デメリットの少ない方法です。

ポテンシャル予測にパーソナリティ検査を使うメリット

パーソナリティ検査をポテンシャルアセスメントとしてお薦めする理由は三つあります。

1.単体のアセスメントとして予測力が高い。
パーソナリティ検査の各因子得点と職務評価との相関は、一般的に相関係数0.2~0.4程度です。この場合、決定係数は0.04~0.16となり、パーソナリティ検査は職務評価のばらつきの約1割を説明できることになります。

2.実施の費用が安い。
当社のパーソナリティ検査OPQ30の価格は一人当たり2,500円から6,000円。オンライン受検では管理者が不要で、24時間365日いつでも受検でき、所要時間は約20分です。

3.測定領域が広く様々な職務遂行能力を網羅していること。
パーソナリティ検査OPQ30は、人との関係に関する9項目、考え方に関する11項目、感情・エネルギーに関する10項目の合計30項目を測定しています。この30項目の組み合わせにより、様々なポテンシャルを予測できます。例えば、60項目以上のコンピテンシー、30項目以上の職務適性、20項目以上の対人コミュニケーション、30項目以上のストレッサーとストレスコーピングなどがあります。

科学的な人材選抜

データアナリティクスによって適切な人材要件(実績、コンピテンシー、ポテンシャル)を定義し、適切な方法で収集された人材データ(実績評価、コンピテンシー評価、アセスメントによるポテンシャル評価)によって、客観的に候補人材を選抜することが科学的な人材選抜です。特にこれからは過去の事実である実績とコンピテンシーよりも、未来を予測するポテンシャルの重要性が益々高まります。
VUCA時代においては、パーソナリティ検査を用いて全社員のポテンシャルを効率的に捉え、ポテンシャルに基づくタレントマネジメントを行うことが企業の競争優位性を高めていくことにつながります。

面接で巧みに嘘をつかれたら見抜くことは不可能です。しかしながら、今回のご質問は嘘を見抜けないことが問題なのではありません。意欲や将来について述べた内容と実際の行動が異なることが問題なのです。これをご質問者様は応募者の嘘とおっしゃっているのです。人にはやりたくてもできないことがたくさんあります。やる気や興味があっても、チャレンジしたいと思っていても、行動に移せないことは誰にでもあります。目指したい将来の理想があっても理想を現実に変える方法がわからない人もたくさんいます。これらの人を嘘つきと言っているのです。なかには嘘つきが含まれていると思います。しかし、私には全員が嘘つきだと思えません。むしろ、高い理想と現実の自分のギャップをどうにか埋めたいともがく人に思えてならないのです。

面接の質問方法を変えることで改善できます。意欲や将来について質問することをやめて、今まで行動してきた事実について質問するのです。何を目指しているかを尋ねるのではなく、目指しているものに近づくためどのような努力をしたか、どのように困難を乗り越えたかを根掘り葉掘り聞くのです。希望や夢ではなくて、過去の事実を見つけることが目的です。

さらに踏み込んで改善する場合は、一緒に仕事をしてみてください。インターンシップの導入が解決策となります。やりたいことより、やった事実。やった事実より、目の前でできたことを優先して評価してください。