タレントマネジメントのためのソリューションプラットフォーム「Insight Platform」
SHLのタレントマネジメントソリューションサービスであるInsight Platformの日本語版が2024年9月よりリリースされます。本コラムでは従来のアセスメントサービスとは異なるInsight Platformの機能や魅力をご紹介します。
Insight Platformとは
Insight Platform(インサイトプラットフォーム)は、従業員・役員の人材アセスメントデータから優れた人事の意思決定に貢献するための洞察を得る人材可視化プラットフォームです。人材アセスメントと個人別レポートに加え、アセスメント結果による人材可視化を行うインサイト(集団レポート)の機能を持ち、タレントマネジメントにおける以下5つの課題に対するソリューションを提供します。
- サクセッションプラン
- ハイポテンシャル人材の特定
- エンタープライズリーダーの育成
- セールストランスフォーメーション(デジタル環境に適した新しい営業)
- コンピテンシーフィット
Insight Platform が解決する5つの課題

Insight Platformの特長
主な特長は以下の3つです。複数のアセスメントを用いることで日常業務では顕在化していない人材のポテンシャルを客観的に捉えることができます。
SHLの広範な研究に基づき、各ソリューションのための全く新しい基準モデルを持っています。これまで、アセスメントを用いた選抜や能力開発は汎用性の高いリーダーシップコンピテンシーモデルに基づいて行われてきました。Insight Platformの各ソリューションは、激しく環境が変化する現在の状況に適した全く新しい測定項目や基準モデルを持っています。
人材可視化のための機能であるインサイト(集団レポート)を持つことがInsight Platformの最大の魅力です。アセスメントから人材データを得るだけでなく、タレントマネジメント施策を運用するためにデータ活用をすることを目的としたインサイトを提供します。
5つの課題に対応するレンズ
Insight Platformは5つの課題に対応する「レンズ」を持っています。レンズとはアセスメント、個人レポート、インサイトを含む一連のソリューションパッケージです。各レンズは以下のサービスを含みます。

ここでは各アセスメント、個人レポート、インサイトの詳細な説明は割愛しますが、インサイトの例としてサクセッションのインサイトContextual Leadershipの画面イメージを掲載します。

サクセッションプラン
Insight Platformのソリューション第1弾として2024年9月に日本版がリリースされるサクセッションプランで注目していただきたいのは、リーダーシップコンテクストという概念です。従来の後継者選抜はリーダーシップコンピテンシーに基づいて行われてきました。しかし、SHLのリーダーシップ研究からリーダーの成功により大きな影響を与える要素としてコンテクスト(リーダーを取り巻く環境)を見出しました。SHLはコンテクストを4つの要素(役割、チーム、組織、外的環境)の複合であると捉えています。コンテクストが違えばリーダーはそれぞれ異なる課題に挑戦することになります。また、全てのコンテクストに効果的なリーダーのコンピテンシーは存在せず、リーダーもコンテクストに基づく適材適所で決められるべきであるという考え方に基づいています。
SHLは4カテゴリ27項目のリーダーシップコンテクストを定義し、各コンテクストにおけるポテンシャルと経験を測定します。経験とポテンシャルの両面から後継者を選抜できます。また、現職のリーダーが経験してきたコンテクストをとらえることで、各リーダー候補者にとって真のリーダーへの近道となるポストがどれなのかを判断しやすくなります。
リーダーの成功に影響する27のコンテクスト(一部抜粋)
<チームのパフォーマンスを推進する>
ハイポテンシャル人材の特定
ソリューション第2弾として2024年内のリリースに向けて準備を進めているのはハイポテンシャル人材の特定です。このソリューションには、ハイポテンシャル人材の3要件に適したアセスメントが含まれており、インサイトによって多くの人材の中から素早くハイポテンシャル人材を特定できます。
ハイポテンシャル人材要件とその測定方法についての詳細は以下のコラムをご覧ください。
コラム「ハイポテンシャル人材に求められる3つの要件」

エンタープライズリーダーの育成
ソリューション第3弾として2025年春までのリリースを計画しているのがエンタープライズリーダーの育成です。エンタープライズリーダーとは、変化の時代に求められる新しいリーダーです。このリーダーの特徴は変革と執行を推進できるだけでなく、共創のためのネットワーキングができること。新事業創造に不可欠なネットワーキングの力を持つリーダーこそが今の日本に求められています。このソリューションではエンタープライズリーダーとしてのポテンシャルを測定し、インサイトによりエンタープライズリーダー候補者を素早く発見します。また、リーダー候補者に対してエンタープライズリーダーになるための個別の育成課題をフィードバックできます。
測定するコンピテンシーは以下の3カテゴリ12項目です。
1.変革のためのリーダーシップコンピテンシー
2.執行のためのリーダーシップコンピテンシー
3.ネットワークのためのリーダーシップコンピテンシー
エンタープライズリーダーとエンタープライズリーダーシップのアセスメント結果を活用する方法の詳細については以下のコラムをご覧ください。
コラム「エンタープライズリーダーとはなにか」
コラム「新しいリーダーに求められるネットワークの力」
コラム「エンタープライズ・リーダーシップ・リポートの活用・能力開発」
おわりに
今回残念ながらご紹介できなかった2つのソリューション「コンピテンシーフィット」と「セールストランスフォーメーション」は2024年8月現在、日本版のリリース時期が確定しておりません。速やかにリリース情報をお伝えできるよう引き続きローカライズを進めます。また、リリースが確定する前に、これらのソリューションに関わる詳細については改めてコラムでご紹介することをお約束します。当社がタレントマネジメントソリューションの領域のマーケティングを強化し始めたのは、本サイトがスタートした2020年です。それから4年が経過し、私たちのタレントマネジメントソリューションは新しい段階に突入しました。Insight Platformが日本企業のタレントマネジメントの活性化と組織パフォーマンスの向上に実際に貢献し、日本の人事に携わる皆様から愛されるソリューションとなるよう力を尽くして参ります。
昇進のために学習するというのは、学ぶ動機の一つでしかありません。人が学ぶ動機には色々なものがあります。今の仕事を楽しくやるためにもっと勉強が必要と考える人もいます。昇進とは無関係に今の仕事をうまくやりたいと考えている人がいます。
御社の若手社員とよく話をしてください。仕事のやりがいは昇進だけではないことがよくわかるはずです。また、学ぶことはそれ自体に喜びがあることを忘れないでください。学びの報酬は学ぶことそのものなのです。
本質的な矛盾をはらむお答えになってしまうのですが、活躍社員には、さらに難しく影響の大きいポストや役割を与えます。難易度と権限と責任と報酬を大きくし続けるのです。結果として、全ての社員は自分の能力の限界まで活躍し、それ以上の役割を与えられると活躍できなくなってしまいます。つまり、もうちょっと頑張って欲しい状態に変化します。これはむしろ企業にとって健全な状態といえます。全社員が自分の能力の限界を超えていることを表しているからです。活躍社員に対してさらに難しい役割を提供できないのであれば、退職を免れることはできません。
タレントマネジメント施策を評価するための指標は3つに分類できます。
軽い順に、ビジネス満足度、ビジネスインパクト、ビジネス成果です。
ビジネス満足度の例は、従業員アンケート、エンゲージメントサーベイなど。人々の気持ちの動きをとらえようとするものです。
ビジネスインパクトは、離職率の低下、業務行動の質的量的な改善、KPIの改善など。人々の行動の変化をとらえようとするものです。
ビジネス成果は、売上の増加、経費の低減、利益の増加など。ビジネスの結果の変化をとらえようとするものです。
私は長らく外資系企業の役員をやっておりますので、海外との交渉については他の人よりも少しだけ経験があります。
海外のカウンターパートとの様々なコミュニケーションの中で痛感したことは、それぞれの人に課された目標があるということ。
私の周りだけかもしれませんが、日本人は外国人の同僚に対して日本は特別だと主張しがちです。日本でそんなのんびりしたサポートではクレームになる、そんな頻繁にトラブルが起こるシステムを日本人は使わない、完全な日本語でなければ顧客は見向きもしない、日本人は完璧主義だ、日本人は理屈だけでは納得しない、日本人なら絶対に納期を守る、と、こんなことを言う人がいるのです。これらの指摘はすべてデタラメで世界中の誰もが同じように考えています。もちろん個人差はありますが。
脱線したのでもどしますが、ヘッドクォーターが許可しないのはヘッドクォーターにとっての明確なメリットがないからです。それぞれの人の立場で抱えている課題を想像し、その人がぜひやりたいと考えることを提案してください。できれば効果を定量的に示してください。これをやると自分がやろうとしていたことが実は無意味であったなんてことにも気づきます。人は自分の目的にかなったものが目の前に出されたらついとびついてしまうものなのです。
ないと思います。
手厚いオンボーディングが早期離職を防ぐという考え方に異議はありません。しかし、関わる人が多ければ多いほどよいといわれると、データでは結果的にそうなっていたのではないかと考えてしまいます。企業でより上位の職位ほど男性の割合が多い、というデータと同じです。結果的に様々な要因によってそうなっているのであって、男性が上位職に向いているというわけではありません。
従業員のメンタルヘルスとウェルビーイングを阻害するものの代表格は、過重労働とハラスメントです。この二つをなくすための施策を徹底して行えば、目的にかなうと考えます。
いずれもトップが明確になくすことを宣言し、ルールを作り、教育して、組織風土を改革することが必要です。従業員からやっていこうとすれば必ずこの施策は失敗します。組織の上から真面目に取り組む必要があります。
本コラムでは、ハイポテンシャル人材を選抜する際に重要な3つの要件について説明します。
ハイポテンシャル人材とは
SHLの調査によって経営幹部として成功する人材は共通する3つの要素を持っていることがわかりました。3つの要素は以下の通りです。
組織の上位職に就きたい、重職を担いたいという野心や意欲、上昇志向です。仕事の高い能力を持っていてもアスピレーションが無い場合は昇進したくないと考えます。仮にハイポテンシャル人材プログラムに参加したとしても途中で離脱してしまいます。
経営幹部として成功するための能力です。現在の職務でよい結果を出していても上位職としてよい結果を出せるとは限りません。リーダーとして成功する人材はハイパフォーマーの約15%しかいないことがSHLの調査でわかっています。また、組織での昇進を強く望んでいたとしてもリーダーとしての能力・スキルが弱ければ、経営幹部として高いパフォーマンスを出すことは不可能です。
エンゲージメントは企業や組織に居続けたいと考える愛着心のことです。エンゲージメントが弱い人は仕事、組織、人に対する思いが弱く、退職する可能性が高まります。競合他社からの誘いに乗りやすい傾向があります。
これら3つをすべて持っていて、現在の職務で成功しているハイパフォーマーがハイポテンシャル人材です。
アスピレーションの見分け方
経営幹部として成功している人のアスピレーションを調査すると以下に述べる6つのモチベーションリソースと2つの行動特性がアスピレーションに影響を与えていることがわかりました。モチベーションリソース
モチベーションリソースとはやる気の出方に影響を与える職務の環境や条件を表しています。モチベーションリソース検査MQで測定できます。
忙しいほど仕事のやる気になる。精力的に仕事をすることを好み、時間のプレッシャーがある方が生き生きする。常に活動的で物事をやり遂げることに意欲を燃やす。
大きな権限を行使できるとやる気になる。人を動かしたり権限を行使したりする職務を求める。大きな責任が与えられると意欲的になる一方で、責任が与えられないと意欲を失う。
公私の境なく常に仕事をしている状態を好み、意欲的になる。常に仕事に携わっていると感じることを糧とする。仕事に全精力を注ぎ込み、残業や休日の業務も進んで引き受ける。
興味をそそられる仕事に対してやる気になる。刺激があったり、変化に富んでいたり、創造的であったりする仕事を重視する。平凡な業務が多すぎると意欲が低下する。
柔軟にできる仕事に対してやる気になる。型にはめられることのない流動的な環境を好む。曖昧さにかなり寛容で、むしろ整い過ぎた環境では意欲的になれない。
自主的に働けるとやる気になる。自分で仕事のやり方を考えるのが好き。細かく管理されると意欲が低下する。
行動特性
行動特性とは典型的な考え方や行動の仕方のことです。パーソナリティ検査OPQで測定できます。
機会を作るために積極的にリスクをとる。プロジェクトなどの目標に影響を与える責任ある役割を好んで引き受ける。
目標達成のための努力を惜しまない。自己開発のための投資に積極的。
アビリティーの見分け方
SHLはリーダーの役割を以下の通り定義しました。これらの役割を遂行するための2つのリーダーシップスタイルが定義されており、経営幹部としての成功は両方のスタイルをどれだけ強く持っているかにかかっています。
この2つのリーダーシップスタイルとは変革型リーダーと執行型マネジャーです。それぞれのスタイルは異なる4つのコンピテンシーによって構成されています。

変革型リーダー・コンピテンシー
新しいアイデアや経験をオープンに受け入れることが必要な状況でうまく仕事をする。学習機会を求める。革新性と創造性を持って状況や問題に対処する。組織変革をサポートし、推進する。
コミュニケーションをとり、うまくネットワークを築く。人をうまく説得し、影響を与える。自信を持ったリラックスした態度で人と接する。
主導権を握り、リーダーシップを発揮することを自然と好む。率先して行動を起こし、指示を与え、責任をとる。
結果や自分の仕事目標の達成に焦点を当てる。競争心から、ビジネスや商売、財務に積極的な関心を示す傾向がある。自己啓発や昇進の機会を求める。
執行型マネジャー・コンピテンシー
明快で分析的な考え方をする。複雑な問題の核心に迫る。自分の専門性をうまく活用し、新しい技術を素早く取り入れる。
変化に適応し、うまく対応する。プレッシャーのもとで力を発揮し、失敗にもうまく対処する。落ち着いていて楽観的に見え、不確実な時や変化の時に、周囲に安定感や安心感を与える。
人の問題を第一に考え、同僚を支援し、他の人に敬意と前向きな配慮を示す。人に影響を与えるような厳しい選択をすることを難しいと感じる可能性がある。
指示や手順に従い、事前に計画を立てる。エネルギッシュに体系的かつ段取りよく仕事をする。決まった商品やサービスを定められた水準で遂行することに焦点を当てる。
これらのコンピテンシーはパーソナリティ検査OPQ32と認知能力検査Verify Interactiveで測定できます。
エンゲージメントを見分ける
アスピレーションとアビリティーに加えて、個人のエンゲージメントを評価することは不可欠です。ハイポテンシャル人材プログラムは有望な人材への大きな投資です。組織に留まる可能性が高い人材に投資を集中させるべきです。エンゲージメントの高い人材は、エンゲージメントの低い人材に比べて組織に留まる可能性が2倍高まります。
エンゲージメントの評価は上長による面接と行動観察によって行います。
評価の観点は現在と未来、合理的と感情的の2つ。現在のエンゲージメントとは、今の仕事や組織、周囲の人に対するやりがいや満足感です。将来のエンゲージメントとは、会社のミッション、ビジョン、バリューに対する共感であり、将来を託せるという期待です。合理的なものは成長や報酬など、感情的なものは帰属意識や仲間意識、共感などのことです。
今の仕事にやりがいと成長を感じており、職場環境や人間関係に対して帰属意識や共感を示している人は、現在の満足度が高い人です。加えて、将来のこの会社でのキャリアに希望があり、組織のミッション、ビジョン、バリューに共感している人は未来の満足度が高い人です。両方が高くて初めてエンゲージメントが高いと言えます。
現在と将来のエンゲージメントを面接で確認するためのチェックリストは以下の通りです。
現在のエンゲージメント
将来のエンゲージメント

おわりに
今回はハイポテンシャル人材に求められる3つの要件と各要件の構成要素を詳しく説明しました。ハイポテンシャル人材プログラムを成功させるポイントは、適切な人材の選抜にあります。なぜ適切な人材選抜が難しいかというと、顕在化していないポテンシャルを評価しなければならないからです。
この問題を解決する最適な方法は、アセスメントを導入し、ポテンシャルを客観的に測定することです。
ハイポテンシャル人材の選抜育成についてより詳しく知りたい方は、ハイポテンシャル人材の発掘と育成に関するご提案(無料)をご覧ください。
私は生まれてこの方就職活動をやったことが無いため、再度ではなく初めての就職活動になってしまうのですが、今と同じ職種を選ぶことはないと断言できます。HRコンサルタント職に長く従事してきましたが、私がこの仕事に就けたことは偶然以外のなにものでもありません。現在でもHRコンサルタント職はとても従事する人数が少ない職種であり、難しいという意味ではなく人数が少ないという意味で狭き門の仕事です。私が選ぶことはないと言った理由は、仕事が嫌いだからではありません。仕事内容は面白く深い専門性が求められるため、職人気質の私にはぴったりで天職に巡り合えたと思っています。しかし、もう一度30年前にもどって就職活動をしたとしてもこの職種を選ぶことができないと思っています。この職種の存在に気付くことがないまま就職活動を終えてしまうだろうと感じるのです。
この職種と出会えた奇跡に心から感謝しています。
今のインドでは3年以内で退職する人が平均的な人材です。転職するたびに給料を上げることができるため、特に若い世代は同じ会社に長く勤めることをよいことと捉えてはいないようです。
さて、定着のための対策について述べたいのですが、正直なところ特効薬はないと考えています。着実にオンボーディング施策を行うことくらいです。
手厚い導入教育、メンター制度、定期的なキャリアカウンセリング、上司との1on1ミーティング、チーム内コミュニケーション施策、他部署とのコミュニケーション施策、適切な目標設定、適切な配属、適切なプロジェクト割当、インセンティブ制度、ジョブクラフティング、プライベートなコミュニケーション、副業、社内公募など考えられるあらゆる方法を導入してください。それでもインドでは定着が困難とのことです。