是正する必要はありません。面接は最初から最後まで主観に左右されてしまいます。主観の働かせ方が重要です。私の好き嫌いを基準にするのではなく、仕事や職場との相性を基準にして勘を働かせることができるようになれば一人前の面接官です。
必要なものは知識と論理的思考と経験です。それも人にだまされる経験を積むしかないのだと思います。達人は普通の人では気付かないわずかな変化や兆候に気付きます。また意識的に気付かなかったとしても、無意識的に違和感を持つのです。
勘が働くまで経験を積んでください。
経営陣に限らず人の内面を変えることは難しいです。すぐに成長できるものでもありません。しかし、経営陣を総入れ替えすることは株主であればできます。
経営陣のビジョンに基づいて人材要件を定義することは一般的に行われている方法ではありますが、必ずやらなければならないものでもありません。人材要件を定義する目的を踏まえた別の方法や別の対象者に対するインタビューを検討することも可能です。
このままではプロジェクトが頓挫してしまいます。人材要件定義の目的に立ち返り、別の手法を検討してください。
適性テストでわかるものとわからないものをしっかり区別しましょう。
適性テストでわかるものは、認知的能力、作業スキル、パーソナリティ、モチベーションなどの一般的な要素です。職務のコンピテンシー、環境に対する適応度などは予測できます。
適性テストでわからないものは、特定の職務に求められる専門知識や専門スキル、保有資格、職務経験などです。専門知識を持つ人が作ったテストや口頭試問、面接などで評価します。
プレーヤー層を採用する場合はジョブコンピテンシー、マネジャー層を採用する場合はマネジメントコンピテンシーの評価の参考にしてください。
マネジメント能力やリーダーシップコンピテンシーのポテンシャルを測定する適性検査はたくさんあります。当社の適性検査もその目的で開発されたものが多くあります。
代表的な当社のアセスメントをご紹介します。
- 万華鏡30
パーソナリティ検査OPQ30により、マネジメントコンピテンシーのポテンシャルを測定します。リーダーシップスタイルがわかるマネジメントコンピテンシーIMC(16項目モデル)とより詳細なマネジメントコンピテンシーPMC(36項目モデル)の得点を算出でき、様々な部門や階層のマネジャー/リーダー適性がわかります。 - 決裁箱
マネジャーに求められる分析力と手順化能力を測定するマークシート形式のイントレー演習です。インバスケットとも言われます。架空の会社の管理職として、資料を読み込み様々な事案の意思決定を行います。模擬的に管理職としての決裁を行う演習です。マネジャーに求められる概念的スキルがわかります。 - 羅針盤
マネジャーに求められる判断力を測定するオンラインアセスメントです。仕事上で遭遇する極めて判断の難しい状況に対して様々な判断の適否を評価するテストです。過度に保守的にならず、現実的で野心的な判断ができる人を見つけられます。 - タレントセントラル リーダーシップレポート
パーソナリティ検査OPQ32により、リーダーシップスタイルを測定します。変革型リーダー/執行型リーダーそれぞれに求められるコンピテンシーのポテンシャルを把握できます。40言語以上の受検言語とリポート言語、グローバル比較可能で様々な階層のリーダーに適した複数の採点ノルムを持つなど、国を問わず活用が可能です。
ご質問者様の所属する組織はとても良い社風を持っていますね。現場の管理職がうまくいかないことを人事部長に直接相談できる会社なんてそうあるものではございません。従業員が人事部を信頼していることがよくわかります。そこまでの信頼関係があれば、敢えてアセスメントを使った能力開発を検討するまでもなく、ご質問者様の人事としての経験に基づくアドバイスをする方がよほど効果的と考えます。
アセスメントを活用した能力開発は、必ずフィードバックを伴います。フィードバックするためには、仕事や部下を知っているだけでは不十分でアセスメントとフィードバックについての知識が必要です。もちろん、管理職の方々にアセスメントのトレーニングを受講いただき、部下にはアセスメントを実施して、結果を効果的にフィードバックできるようになれば、能力開発はうまくなると思います。しかし、この方法は本当に貴社の管理職が望む解決法になっているでしょうか。人事部長に直接アドバイスを求める管理職の方々です。きっとご質問者様からの言葉を待っているはずです。一夜漬けの知識に頼らなくても既によいアドバイスができるはずです。自信を持って本当に良いと思うやり方を伝えてください。
キーワードは「スキルベース」です。職務を中心にする人事からスキルを中心にする人事への大きな変革がはじまっています。
本コラムでは、新しい人事の概念であるスキルベースについて解説します。
スキルベースの組織とは
スキルベースの組織とは、ジョブではなくスキルを中心とした人事管理を行う組織です。ジョブを一人の人が行う組織の最小単位と捉えるのではなく、一つのジョブをスキルの集合体と捉え、スキルと人を結び付ける考え方です。今までであれば一つのジョブと捉えられていた一連の作業を細分化して、スキルによって分類し、ある人が保有しているスキルに応じてジョブ自体を柔軟に変えてしまう組織人事のあり方です。ここでいうスキルとは、プログラミング、コーディング、データ解析、外国語などのハードスキルだけではなく、コミュニケーション、リーダーシップ、クリティカルシンキング、完遂能力、回復力などのソフトスキルを含んでいます。

なぜ、スキルベースが必要なのか
欧米でスキルベースが普及していく背景は以下の5つに要約できます。- 従業員の福祉に貢献する
コロナ禍を経て、人々は単に生活のための給料をもらうだけでなく、社会貢献と自身の成長を実感でき、人として尊重される企業で働きたいと強く考えるようになりました。スキルベースを導入することで従業員一人一人の強みを生かすことができ、スキルトレーニングによってエンプロイヤビリティを向上させることもできます。 - 市場や戦略の変化
スキルから仕事を再編成すれば、組織は変化する環境に対して迅速に対応できるようになります。コロナ禍で職務の変更を余儀なくされた人が多くいました。多くの人は新たな職務への適応に時間がかかったはずです。スキルベースを導入していれば、各従業員の持つスキルに基づいて新たな職務を創出し、より早く成果を出すことができていたでしょう。 - 人材不足
スキルベースでは、学歴や経験といった従来の指標にとらわれず人材の能力や学習・適応能力に注目して人を選ぶため、従来では採用できなかった人材を採用したり、候補者として社内選抜したりすることが可能です。スキル重視の企業は人材パイプラインを9.4倍増やすことができます。 - デジタル技術革新のスピード
生成AIの発達により職務の一部をAIに担わせることができるようになりました。職務に求められる役割とスキルが変化しているのです。私たちは人が行うべきタスクを再編成し、新しい職務を作り出さなければなりません。スキルベースはこのような職務の再編成に適したモデルです。 - 働き方の多様性に対応する
多くの人が自分のスキルを武器にしたフリーランスやプロジェクトベースの仕事をはじめています。また、企業で働く人であっても職務記述書に書かれた仕事だけをしている人は少数派です。特にエグゼクティブの大半は担当する部門や職務領域を超えて仕事をしています。

スキルベースの実践
スキルベースの実践においてはじめに着手すべき人事施策は3つあります。- スキルベースの採用
- スキルベースの選考プロセスを構築します。採用基準としては、資格や職務経験よりも、スキルや能力、適性を優先します。これにより未経験者を選考の対象とできるため応募者が増加し、採用人数を増やすことができます。 選考ではスキルベースのアセスメントや行動面接を活用し、スキル要件に照らして評価を行います。
- スキルベースの人事異動、登用任用
- 現有社員は組織と仕事の知識を持っており、自社のビジネスを熟知しています。外部から採用する人材に比べて即戦力になる可能性が高いことがわかっています。 スキルベースの社内公募や人事異動を活発に行うことで社内の人材流動性を高めることができます。社内の人材流動性を高めることは従業員のエンゲージメント向上、定着率向上、雇用コスト削減など、多くのメリットにつながります。
- リスキリング
- 経営戦略、事業戦略や人材戦略が変われば、組織の能力やスキル要件も変わります。 社員のスキル、能力、ポテンシャルを個別に把握できれば、より効率的にリスキリングの施策を打つことができます。また、変化に対応できる人材を把握し、個別の状況にあったリスキリングを行えば、育成投資の効果を高めることができます。
スキルベースの問題点
スキルベースは単にスキルによる人事管理というだけでなく、人事管理の根幹に影響を及ぼす大きな変革です。導入にあたっては以下の問題点があります。「スキルベースモデル導入の主な障壁」(デロイト、2022年)
- 旧来の考え方と慣行
- スキルに見合った報酬を与えることの難しさ
- 変化のスピードへの対応
- スキルをビジネスの優先順位に合わせることができない
- スキルによるマネジメントの複雑さと難しさ
- スキルの共通定義や分類法の欠如
- スキルに基づいてパフォーマンスを評価できない
- スキルデータの不足
- 効果的なスキル関連テクノロジーの欠如
- 採用担当者や受入れ部門のマネジャーが、スキルのある人材の見つけ方とスキルの評価方法を知らない

終わりに
私たち日本企業がジョブ型雇用の利点を活用しようと人事変革を進めている中、欧米企業はジョブで人を縛ることが組織運営の柔軟性を損なうとスキルベースというモデルを生み出しました。スキルベースの根底には、人それぞれの強みを生かすために職務を柔軟に変えるという発想があります。この発想、どこかで聞き覚えがあります。そうです。日本のメンバーシップ雇用の考え方です。組織のメンバーとして雇用した人材を生かすために柔軟に異動させ、仕事を作り、定年までその人の能力を最大限に活用しようとするこの考え方です。しかし、メンバーシップ型雇用は人材育成に時間がかかり、急激に変化する環境には適応しづらいモデルです。その点がスキルベースとの違いと私は考えます。スキルベースの導入にはアセスメントが不可欠です。スキルベースについて詳しく知りたい方は以下のリンクからeブックをご覧ください。
https://www.shl.com/hr-priorities/skills-based-organizations/
参考:
SHL ebook「How to build a skills-based organization」
Deloitte(2022)「The skills-based organization: A new operating model for work and the workforce」
目的として定義された「新卒採用の質の向上」をしっかりと理解しましょう。この「質」とは何かが重要です。どのようになったら、新卒採用の質が向上したと言えるかを考えます。以下に例を示します。
- 優秀な人を採用できる。
- 必要な人数を採用できる。
- 応募者の満足度が上がる。
- 面接官の満足度が上がる。
- 経営陣が内定者に満足する。
- 新人を配属した部署のマネジャーが満足する。
- 会社の業績が高まる。
- 会社の評判が高まる。
- 翌年の応募者が増加する。
- 翌年の応募者の合格率が高まる。
- 採用の直接間接コストが下がる。
新卒採用の質が何であるかがわかったら、質に最も大きな影響を与える要素を検討します。
会社の知名度、業績、事業内容、ブランドイメージ、事業所の立地、建物、採用人気度、業界人気度、採用活動時期、採用広報、採用サイト、採用イベント、採用説明会、インターンシップ、採用選考、採用担当者、リクルータ、人事部長、社長、採用コストなど様々なものが考えられます。
質と質に影響を与える要素との関係を分析し、重要な要素を見つけること。これがなすべき分析です。
ひとりひとりじっくり面接する方針はこれからも続けてください。それ以上によい選考方法はないと考えています。
もし、今の採用方法でよい人を採用できているのであれば選考段階で適性検査を使う必要はありません。むしろ、内定者に適性検査を実施してフィードバックによる不安解消や意欲形成、入社後の能力開発に活用してください。さらに戦力化が早まり、定着性が向上します。
もし、今の採用方法に何らかの問題があるとお考えでしたら、選考時に適性検査を実施してください。適性検査結果を面接前に読み込み、仮説をもって面接してください。ひとりひとりじっくり面接すると、今まで以上に多くの深い応募者に関する情報が得られ、応募してくださった20名全員の持ち味を余すところなく味わうことができるようになります。
そして、採用選考のなかでひとりひとりに丁寧に適性検査結果をフィードバックしてください。このフィードバックは入社を促すためにやるのではなく、応募者のことを第一に考えキャリアカウンセリングとしてやってください。
直ちにその方によるフィードバックは中止してください。そもそもそのような行為をフィードバックとは言いません。フィードバックのための基本的な訓練を受けている人とは思えない行為です。
まずはその方にフィードバックのトレーニングを受講させてください。お使いの適性検査の事業者が提供しているフィードバックトレーニングを必ず受講させてください。そのうえで、人事担当者が手本を見せてあげてください。模擬的なフィードバックセッションを開催し、その方に同席してもらいましょう。次に人事担当者がフィードバックを受ける役になり、その方にフィードバックのロールプレイをやってもらいましょう。人事担当者は、フィードバックを評価する立場ですので、言動を細やかに記録し、問題のある言動をその後のレビューで指摘し、どのように修正すべきか指導してください。ロールプレイで及第点を越えてから本番で稼働してもらってください。
職務内容と外的環境は変化せずとも、以下の変化が起こっているかもしれません。
- 職務の成功に関連する行動
- 行動特性を定量化する方法
- パフォーマンスの評価基準、評価方法
- パフォーマンスを定量化する方法
- サンプル集団全体の行動特性
- サンプル集団全体のパフォーマンス
- 分析手法
- 分析結果の解釈
- 経営戦略、事業戦略、組織人事戦略
- 組織の役割
- 評価者
その他にはそもそも分析自体に誤りがあることも考えられます。