2025/07/09Q.4163
適性検査のデータと社員データを掛け合わせた分析を自社で行う場合、注意すべきポイントを教えてください。
適性検査のデータ分析を行う際に絶対にやっておかなければならないことを3つだけ申し上げます。
- 分析の仮説を持つこと
適性検査データと社員の個人属性情報をいたずらに関連付けデータを集計・分析しても、有益な発見はできないことがほとんどです。仮説が必要なのです。優秀な営業職は行動量が多く、目標達成に執着する人が多いので、適性検査の尺度項目である「行動力」と「上昇志向」は営業成績と相関があるのではないか、といったものです。仮説を検証することで有益な発見ができます。 - 適性検査の尺度について正式な訓練を受けること
適性検査を提供する事業者の正式なトレーニングを受講して、尺度の定義や高得点者/低得点者の特徴を正しく理解してください。分析データの意味を理解していなければ、出てきた結果を正しく解釈することはできません。誤った結果の解釈は誤った人事施策を導き、人材選抜や能力開発を通じて、会社に対して大きな損害を与えてしまう可能性があります。 - 社員データの信頼性を確認すること
分析するデータの信頼性が低い場合、分析結果に多くの誤差が含まれ、ほとんど意味のないものになってしまうことがあります。分析の対象となる社員データの信頼性や客観性に疑いがある場合、データを用いるかどうかの判断を慎重に行う必要があります。例えば、人事評価が年功的に上昇していくことが通例になっている場合、適性検査データとの関連性を分析することに意味がないかもしれません。適性検査が測定する対象との安定的な関連がみられる可能性を考慮して、分析する社員データを選んでください。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員