コラム 人事コンサルタントの視点

想定外のチャンスを作り活用する力:プランドハプンスタンス理論(Planned Happenstance Theory)

私事ではありますが、本年約4カ月間の育児休暇を取得しました。新卒で当社に入社した後、長期間仕事を離れたことがなかったため、新鮮な期間であり、自身のキャリアを振り返る良い機会となりました。学生時代のことを思い返してみても私のキャリアは川下り型。山登り型のようにはっきりとした目標を持ち、逆算して取り組むといったことがあまり記憶にありません。そのことにコンプレックスを持っていたこともあり、プランドハプンスタンス理論の概要を聞いた時、このような考え方があるのかと感銘を受けました。キャリア論については浅学ではありますが、改めて学びを深めたため、個人的な気づきも含め、本理論について紹介します。

プランドハプンスタンス理論(Planned Happenstance Theory)とは?

スタンフォード大学の教育・心理学教授であるジョン・D・クランボルツが1999年に提唱した理論で、日本では「計画された偶発性理論」「計画された偶然」等と訳されることが多いです。クランボルツ教授は実務・研究の経験則から「キャリアの約8割は偶然の出来事から形成されている」と捉えており、キャリア開発とは「いかに想定外のチャンスを作り出し」、「いかにそれらを活用するか」の問題であるとしています。そしてチャンスを作り、活用するための行動原則を下記5つに纏めています。

好奇心
Curiosity

新しい学びや経験に対して、興味を持つ。

持続力
Persistence

障害や挫折があっても、努力続ける。

楽観性
Optimism

新しい機会を「可能であり、達成できるもの」として捉える。

チャレンジ
Risk-taking

結果が不確実な状況でも行動を起こす。

柔軟性
Flexibility

態度や環境を必要に応じて変える。

  • 好奇心(Curiosity):新しい学びや経験に対して、興味を持つ。
  • 持続力(Persistence):障害や挫折があっても、努力続ける。
  • 楽観性(Optimism):新しい機会を「可能であり、達成できるもの」として捉える。
  • チャレンジ(Risk-taking):結果が不確実な状況でも行動を起こす。
  • 柔軟性(Flexibility):態度や環境を必要に応じて変える。

実践におけるtipsの一部を紹介

プランドハプンスタンス理論は出来事の結果ではなく、“行動すること”と出来事に対しての“反応(受け取り方)”に重きを置いています。実践に際し具体的なtipsは参考書籍の中でも数多く取り上げられていますが、個人的に重要であると感じたポイントについて、いくつか取り上げてみます。

    • 出会う人達と自分の興味や経験を共有する
    • 今どのようなことに興味があるか、過去どのようなことを経験したかを周囲の人に話すことを恐れない。
    • 家族や友人、知人、同僚等から想定していなかった機会の提供を受けることがある。
    • 計画や興味が変わることは失敗ではない。変化することは自然なこと
    • 行動する中で計画や興味が変わることは至って自然なこと。
    • 過去言ってしまったことにこだわる、やり続けなければならないということは無い。
    • 変える、変わるということを肯定的に捉えることが望ましい。
    • まずは小さな一歩を試す
    • チャレンジというと、大きな目標を立て邁進することが良いと思われやすいが、小さなことからでもまずは取り組む。
    • 他者からの励ましを引き出す
    • 何かしら新たな行動を起こす、チャレンジをする際はリスクに目が向き、足が動かないことがある。
    • そのような時は自身を支援してくれる人を探し、背中を押してもらう。
そのほかにも数多くのtipsがあります。ご関心がある方は是非参考書籍を読んでみてください。

VUCAの時代だからこそ注目を浴びている

昨今、社員のキャリア自律支援に注力する企業が増え、キャリアは従業員自身が築いていくものとの機運が高まっています。一方で、事業ポートフォリオの変更や組織改編によるジョブの変化、テクノロジーの発達による従来のスキルの陳腐化等、長期的なキャリアプランが想定通りにいかない可能性も高まっています。だからこそ、自身のキャリアにとって好転的なチャンスを起こす、そしてそのチャンスの活用を奨励する本理論が注目を浴びているのかもしれません。

VUCAの時代だからこそ注目を浴びている

SHLが支援できること

実践のTipsの1つに「自分が楽しめることを経験から学ぶ」というものがあります。自分を納得させることができるのは自分自身の個人的な経験、そしてそれを言語化することです。SHLのパーソナリティ検査OPQモチベーションリソース検査MQが言語化の手助けをしてくれるかもしれません。

パーソナリティ検査OPQ :受検者の「典型的な、または、好む行動をスタイル」を定量化
モチベーションリソース検査MQ:受検者が「どのような要因に動機づけられるか/動機が下がるか」を定量化

興味関心をお持ちいただけるようであれば、是非担当コンサルタントにお問い合わせください。

【参考書籍】
『その幸運は偶然ではないんです!』(花田光世ほか訳, ダイヤモンド社, 2005)

重野 達也

このコラムの担当者

重野 達也

日本エス・エイチ・エル株式会社
HRコンサルティング1課 主任

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