採用プロセスにおいてほとんどの企業が実施している面接。毎年特定の社員が面接官を務めているという企業もあると思います。
毎年同じ顔触れが面接官を務めていると、蓄積された経験の中で、なんとなく評価の目線が揃ってきている気がしてしまいます。アサインされる面接官も「毎年のやつね。もう慣れたものだし、うまくやっておくから細かい事前説明は大丈夫だよ」という対応になりがちです。
本当に、長年やっていたら評価の目線は統制できると言えるのでしょうか?本コラムでは、選考フェーズ間で起きた『評価の逆転現象』の分析データ事例をもとに、面接官の目線を揃えるために不可欠な『評価要件の定義と共有』のポイントを解説します。
面接官によって評価がズレるリスク!A社で起きた「評価の逆転現象」
A社では、選考序盤に当社適性検査を受検させ、その後3回の面接(グループ面接→個人面接→役員面接)を行うプロセスを設けていました。面接3回のうち、グループ面接と個人面接は人事の採用チームが評価を担当し、役員面接では人事役員が担当しています。評価者の顔ぶれはほとんど変わらないまま、毎年このプロセスで採用を行っていました。
ある年の選考終了後、各フェーズの効果検証のために適性検査データを用いた選考プロセス分析を行いました。具体的には、それぞれのフェーズにおいて合格者群と不合格者群を比較するt検定を実施しています。結果は下表の通りです。
図中の赤枠部分が示す通り、採用チームが評価していた個人面接では「人あたり」「チームワーク」が高い人を評価していました。一方、人事役員が評価した役員面接では、逆にこれらの値が低い応募者の方が通過しています。
このような評価の逆転現象が各選考ステップのねらいに反して起きてしまうと組織にとって機会損失を招く可能性があります。基準が統一されていれば、会社が求める要件を正しく満たした候補者を最終面接へ引き上げることができ、その中でより良い応募者に内定を出すことができていたでしょう。
面接評価の目線を揃えるカギは評価要件の「定義」と「共有」
A社の例ではフェーズ間で評価の逆転が起こっていましたが、例えば面接官単位で逆転が起こることもあり得ます。「AさんとBさんとでは合格を出した人の特徴が逆になっている」「この要件を評価してほしかったのに、Cさんは逆に低い人を評価している」など、心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。面接官を初めて務める人よりも、何年も面接官を務めている人のほうが自己流で「できた気になってしまう」傾向があります。結果的に意図通りの評価になっているのであれば良いですが、ズレてしまっているならばテコ入れが必要です。
評価要件が定まっていなかったり、形骸化していたりしていないでしょうか?もしそうであれば、まずは要件をきちんと定義して面接官に共有する必要があります。
要件定義手法には、数値データを用いたものやインタビューで絞っていくものなど、様々な種類があります。
A社のように限られた人数で評価を行う場合、コンピテンシーカードを用いた「カードソートディスカッション」で評価基準が言語化しやすいです。
コンピテンシーカードとは、職務遂行に影響を及ぼすコンピテンシーが網羅的に記されているカードのことです。これを複数人で見比べて、自社に必要なものと不要なものとに分類していきます。この分類の過程で判断の根拠や背景にある状況などをディスカッションして共有していくので、おのずと面接場面での評価目線が揃っていきます。
このディスカッションを行う際、役職者の言動が議論を左右し、特定の方向へ誘導されてしまうリスクに注意が必要です。役職者はオブザーバーとして流れを見守りつつ、必要があれば適宜介入する形にすると場が活性化しやすくなります。
自社の状況に応じた要件定義・共有手法を用いましょう
今回例示したA社は面接評価に関わる人が限られていたため、カードソートディスカッションをご紹介しました。しかし要件定義の手法はこれだけではなく、自社が置かれている状況や課題・要望によって適した手法は異なります。
また定義した要件を共有する方法についても、面接に関わる人の規模や立場、面接経験の有無等によって適したやり方が異なります。
定義された要件によっては、面接以外の手法で見極めた方が適切な場合もあります。当社では要件定義から評価のやり方に至るまで、多くの知見があります。お悩みの際はぜひ当社コンサルタントにご相談ください。
このコラムの担当者
谷口 奈緒美
マーケティング課