心理的安全性を重視しすぎた結果、互いに厳しい指摘をし合わず、成長が止まっているように見えます。「心理的安全」と「ぬるま湯」の境界線を、評価制度やコミュニケーションでどう引き直すべきでしょうか。
言葉が一人歩きしています。本来「心理的安全性」とは、失敗を恐れずに発言や行動ができる状態のこと。ぬるま湯とは全く異なります。ぬるま湯とは、成果への責任が曖昧な状態です。
心理的安全性が高い組織では、「この提案は的外れかもしれないが言ってみよう」「あの進め方には問題があると思うので指摘しよう」という行動が促進されます。したがって、厳しい指摘が活発に起こるのです。互いに指摘し合わないのは、心理的安全性が高いからなのではなく、単に無関心か、本音を言うことへの恐れが残っているからなのです。
評価制度では、境界線を「チームメンバーへの配慮」から「チーム成長への貢献」に引き直します。同僚への率直なフィードバックや建設的な異議申し立てを、評価される行動として明示することです。コミュニケーションについては、上司が率先して自分に対する批判的な意見を肯定すること。心理的安全性はリーダーの言動によって作られます。
人事にできることは、このリーダー行動をコンピテンシーとして定義し、管理職の評価に組み込むことです。
このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員