DNP(大日本印刷株式会社)は、企業の未来を担う新卒採用において、学生と企業の相互理解を深め、入社後に新入社員が自身の力を十分に発揮して活躍できる環境構築に注力しています。情報提供の工夫や仕組みづくり、そしてアセスメント精度の向上に取り組みました。
※本取材は2025年6月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
大日本印刷株式会社
スマートコミュニケーション事業、ライフ&ヘルスケア事業、エレクトロニクス事業
印刷
36,890名(2025 年 3 月 31 日現在・連結)

インタビューを受けていただいた方
笹倉 由衣 様
大日本印刷株式会社
人財開発部 採用グループ
インタビューの要約
DNP(大日本印刷株式会社)は、「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントのもと、DNPの総合力を生かして社会に新たな価値を提供できる人材を採用している。
新卒採用における課題は、母集団形成と、幅広い事業領域への正しい理解深耕であり、これらを解決するために多角的な情報提供と、応募者自身がキャリアを選べる仕組み作りに注力している。
採用選考においては、アセスメント精度の向上、および相互理解を深めることを目的として「面接官ガイダンス」を実施し、面接官が応募者の魅力を最大限に引き出し、質の高い見極めができるよう取り組んだ。
今後も人材獲得競争が激化する中で、採用活動のさらなる体系化・アップデートを目指し、学生との相互理解を深める採用選考と、会社全体で魅力を伝える広報活動を推進する。
組織の変革を支える上で重要な新卒採用
私は新卒でDNPに入社し、営業企画職として大手クライアントの販促支援等に従事しました。その後、人財開発部 採用グループに異動し、主として事務系総合職の新卒採用を担当しています。インターンシップや広報イベントの企画設計、選考設計、選考通過者・内定者フォローなど採用活動全般に携わっています。
DNPは、1876年創業の総合印刷会社です。その事業領域は印刷にとどまらず、多岐にわたる製品・サービスを通じて社会課題の解決に貢献しています 。近年、DNPは「第三の創業」を掲げ、顧客ニーズに応えるだけでなく、自らが社会の課題と人々の期待を捉え、未来をより良くする企業への変革を進めています 。この変革を支える上で、新卒採用は非常に重要な位置を占めており、「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントに共感し、DNPの総合力を生かして活躍できる人材の採用に注力しています 。

母集団形成と納得感のあるキャリア選択が最大の課題
DNPの新卒採用における大きな課題は、「母集団形成」と「納得感のあるキャリア選択」です。
BtoB企業であるため、就職活動初期の学生認知度が低いことが母集団形成の課題となっています 。また、幅広い事業領域を持つことから、特定の領域に特化する人材ではなく、DNPの総合力を生かして各分野で活躍できる総合職人材を育成していく方針であり、これが「配属ガチャ」と学生から懸念されるような状況につながる可能性をはらんでいました。
これらの課題を解決するため、DNPは多角的な情報提供と、応募者自身がキャリアを選べる仕組み作りに力を入れています 。特に納得感のあるキャリア選択に向けては、広報、選考、フォローの全ての段階で丁寧なコミュニケーションを心がけ、応募者に当社の事業について幅広く、正しく理解してもらうことに注力しています 。具体的には、インターンシップとオープンカンパニーの拡充、応募コースの拡充を行いました。

アセスメント精度を向上させる面接官ガイダンス
また、納得感のあるキャリア選択に向けた具体的な取り組みの一つに、アセスメント精度の向上があります。その最大の取り組みとして行っているのが、「面接官ガイダンス」の実施です 。このガイダンスは日本エス・エイチ・エルのサポートのもと実施されており、面接官が「投資審査官」と「広報担当者」という2つの役割を認識し、応募者の魅力を最大限に引き出しつつ、主観評価と客観評価をバランスよく踏まえて見極めができるよう設計されています 。
ガイダンスでは、実際の面接に近い環境での模擬面接を通じて、面接官は具体的なフィードバックを受け、自身の面接スキル向上に役立てています。DNPは、内定者や辞退者へのアンケートを通じて採用活動の振り返りを行っており、「面接では自分自身の考えや経験をしっかり深掘りしてもらえて志望度向上につながった」という好意的な声が多数寄せられています。これらの定性データは面接官へのフィードバックにも活用され、面接の質向上に寄与しています。
さらなる相互理解のため、データ活用と社内の協力体制を強化する
DNPは、今後も人材獲得競争が激化する中で、選ばれる企業であり続けるため、そして入社後も社員が活躍し続けるために、採用活動をさらに体系化・アップデートしていくことを目指しています。
具体的には、「より相互理解を深めた採用選考の実施」を掲げています。DNPというフィールドで、社員一人ひとりが自分自身のキャリアを切り開き、社内外で活躍できる人材に育っていくことを期待しており、そのためには会社の姿を正しく伝え、その根拠としてデータ活用をさらに進めることが重要だと考えています。
また、「会社全体に対して正しく魅力的な広報を行う」ことも重要な課題としています。DNPの事業内容や働き方は一言で語ることが難しいため、現場社員の協力が不可欠です。インターンシップの満足度向上にも直結するこの取り組みを通じて、職場理解の浸透と全社的な協力体制の強化を図っていく方針です。
当社からの相談や依頼事項は多岐にわたり、時には難易度の高いオーダーを依頼することもあります。そのような状況でも、日本エス・エイチ・エルの営業担当の内田さんは、どうすれば当社の採用選考をより良い形にアップデートしていけるか、真剣に向き合ってくださるため、心強いパートナーです。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント
内田 敬己
笹倉様を始め、やり取りをさせていただいている大日本印刷の皆さまは、ツメの甘さを残さずしっかり完遂させる姿勢や、本質に立ち返ることを忘れない思考が共通している点と感じます。前例を「あたりまえ」とせず、改善・洗練させていくことを強く意識されている姿勢に、毎回深い感銘を受けています。各施策の成功に向け、有効なサポートをおこなうべく、私自身も市場動向や大日本印刷様についてしっかりと理解を深め、目指す採用のあり方を実現できるよう共に取り組んでまいります。