導入事例

「求める人物像」をあえて一つに定めない。AI活用と候補者体験(CX)の向上で挑む、丸紅の新卒採用変革。

「求める人物像」をあえて一つに定めない。AI活用と候補者体験(CX)の向上で挑む、丸紅の新卒採用変革。

総合商社として世界中の広範なフィールドで多岐にわたる事業を展開する丸紅。多様なビジネスに対応するため「求める人物像」をあえて一つに定めず、多彩な人財の獲得を目指しています。候補者体験(CX)の向上とAIを掛け合わせた新しい採用の形について伺いました。

※本取材は2026年6月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

丸紅株式会社

事業内容

ライフスタイル、食料・アグリ、金属、エネルギー・化学品、電力・インフラサービス、金融・リース・不動産、エアロスペース・モビリティ、情報ソリューション、次世代事業開発、次世代コーポレートディベロップメントなど多様な事業展開

業種

総合商社

従業員数

4,225名(丸紅グループの従業員数 52,658名)(2026年3月31日現在)

インタビューを受けていただいた方

福永 美華 様

人事総務部
採用・人財組織開発課
戦略プロジェクト・マネージャー

インタビューの要約

多様な事業展開に対応するため、「求める人物像」をあえて一つに定めず、変化の激しい時代における競争優位性として「人財の多彩さ」を重視している。
選考の場を「評価」だけでなく「対話とブランディング」の機会と再定義し、インターンシップや営業メンターを交えた内定者フォローを通じて、候補者体験(CX)の質的向上に注力している。
単なる効率化ではない「伴走型ツール」としてAI面談を導入。候補者に自己理解を助けるフィードバックレポートを提供し、採用データの入社後活躍への活用も推進している。

多彩な個性が交差する組織を目指し、「求める人物像」は定めない

私は新卒で丸紅に入社し、一貫して人事・採用の業務に携わってきました。現在は、新卒・キャリア採用チームの統括や、AI×採用DXによる選考の高度化、新規施策の推進などを担っています。

丸紅は、食料・アグリや電力・インフラから、金属資源、モビリティ、デジタルソリューションに至るまで、世界中の広範なフィールドで社会課題を解決する事業ポートフォリオを構築しています。これほど多様なビジネスを展開していると、画一的な人財だけで構成される組織では変化に対応しきれません。背景の異なる個性が交差し、自ら価値を創り出す組織でありたいという考えから、私たちは「求める人物像」をあえて一つに定めていません。

私たちは、採用を単なる労働力の確保ではなく、「価値創造の原動力」となるパートナー探しと捉えています。そのため、様々なキャリア観を持つ候補者に対応すべく、入社後の初期配属を明示する「Career Vision採用」と、幅広い領域に興味を持つ層に向けた「オープン採用」の2つの入口を設けています。この施策は多様な人財に最適な環境を提供したいとの考えに基づいています。書類選考では、エントリーシートに加えて日本エス・エイチ・エルの適性検査も活用し、多角的な視点で評価しています。

多彩な個性が交差する組織を目指し、「求める人物像」は定めない

候補者体験(CX)の再定義と、現場を巻き込んだ相互理解

採用活動において、私たちは候補者体験(CX)の質的向上を非常に重視しています。そのため、採用選考の場を単なる「評価」ではなく、丸紅の魅力を深く知っていただくための「対話とブランディング」の機会へと定義し直しました。

その一環として、学生に寄り添う機会提供の場としてインターンシップを実施しています。総合商社のビジネスモデルは学生にとって理解しづらく、現実的なイメージを持ちづらいという構造的課題があるため、実際のビジネスに近い戦略立案を通じて、仕事の醍醐味と難しさを体感してもらう「商社のリアル」を伝える場としてインターンシッププログラムを設計しています。

また、内々定後の学生に対するフォローアップも強化しています。人事担当者だけでなく、様々な部門から若手を中心とした営業担当社員をメンターとしてアサインし、定期的な面談を実施しています。決断できず悩んでいる学生には、なぜ悩んでいるのか、どんな情報が足りないのかを丁寧に聞き出し、必要に応じて他の社員や同期の内定者との接点を設けるなど、双方向のコミュニケーションを通じての不安解消に努めています。

候補者体験(CX)の再定義と、現場を巻き込んだ相互理解

AIは「伴走者」。自己理解を助ける選考体験

2024年度からは、新たな取り組みとしてAI面談を導入しました。私たちがAIを活用するのは、人が行っていた業務を代替する「効率化」のためではありません。AI面談の目的を候補者への「価値還元」とし、その位置づけを総合商社の仕事への理解を深めるための「伴走型ツール」としています。

AI面談では、実際のビジネス課題を題材としたケース形式を採用し、正解のない問いへの思考プロセスや変化への適応力を多角的に把握するアプローチをとっています。例えば、「想定したビジネスプランを実行中にイレギュラーなアクシデントが起きた場合、どう対応するか」といったシナリオを通じて、変化への対応力や行動特性を見極めるとともに、入社後の働き方のイメージを持ってもらえるように工夫しています。

終了後には、分析結果をフィードバックレポートとして全員に送付しています。これにより、候補者は自身の強みや可能性を再発見できるようになりました。「受けて良かった」「自分や丸紅のことをよく知ることができた」と非常に前向きな反響をいただいています。

AIは「伴走者」。自己理解を助ける選考体験

もちろん、AIによる判定だけで合否を決めることはなく、「最後は人が責任を持つ」というコンセプトを大切にしています。人の評価とAIの評価を掛け合わせ多角的な視点を持つ ことで、従来見落としがちだった資質に気づくきっかけにしています。

将来の活躍を見据えたデータ活用を目指す

今後は、見極めの精度をさらに向上させるとともに、AIを活用することで、人がより本質的な対話に時間を使えるような未来を目指します。そして、採用時に得られた貴重な対話データを採用時点の評価に留めず、入社後の育成や適材適所の配置といったタレントマネジメントにも繋げていきたいと考えています。

丸紅では、新卒インターンシップ・本選考、そしてキャリア採用において、いずれも日本エス・エイチ・エル社様の適性検査結果を活用しております。選考実施の際には、様々なトラブルもつきものですが、いつも迅速丁寧な対応に感謝しております。今後はAI活用と適性検査の掛け合わせによる更なる人の可能性の見極め、という観点に共に向き合ってまいりたいと考えております。

将来の活躍を見据えたデータ活用を目指す

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

鈴木 浩太

採用におけるAI活用は効率化に主眼が置かれることが多く、「どこまで役割を委ねるべきか」という懸念から導入に悩むお客様の声を日々多く伺います。
そうした中、丸紅様が実践されている「候補者に寄り添うためのAI活用」は、これからの採用でのAI活用における転換点ともなる取り組みだと深く感銘を受けました。
丸紅様が描く「採用の未来」の実現に向け、今後とも伴走し、全力でご支援させていただく所存です。

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