導入事例

人と機械が共創する社会の中心企業を目指す、ニコンの新卒採用。

人と機械が共創する社会の中心企業を目指す、ニコンの新卒採用。

カメラの会社というイメージにとどまらず、光利用と精密をコア技術としてグローバルに幅広くBtoB事業を展開するニコン。新卒採用における課題と取り組みをご紹介します。

※本取材は2025年6月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社ニコン

事業内容

光学機械器具の製造、ならびに販売

業種

精密機器

従業員数

連結20,069名/ 単体4,634名

インタビューを受けていただいた方

古澤 健太 様

株式会社ニコン
経営管理本部人事部採用課

インタビューの要約

ニコンは、コア技術を基盤に多様なBtoB事業を展開しており、売上の約半分を占めている。研究開発から販売まで多岐にわたる職種が存在し、職種別採用を実施している。
学生の就職活動スケジュールに合わせた情報提供を通じて、会社と業務への理解度が高い母集団を形成している。
採用における課題として、「カメラだけの会社」というイメージの変革と、適性検査項目を活用した面接評価の精度向上に重点的に取り組んだ。
今後もミスマッチ低減のため、職種理解を深めるコンテンツの拡充、インターンシップから本選考への連携強化、リクルーター活動の強化を進めていく。

研究開発から販売まで多岐にわたる職務

私は新卒で生命保険会社に入社し、新卒採用を担当しました。その後、人材開発チームへ異動し、新人研修、キャリア支援、研修制度の見直しなどに携わりました。2022年に、ニコンにキャリア入社し、新卒とキャリアの採用を担当し、年間計画の作成や本選考の企画管理を行っています。現在、採用担当者は新卒専任3名、キャリア専任4名、兼任2名です。

ニコンは一般的にカメラの会社というイメージを持たれていますが、実際には光利用と精密の2つのコア技術をもとに様々な事業を行っており、BtoB事業が売上収益の半分以上を占めています。また海外売上比率は86%とグローバルに事業を展開しています。

ニコンは「人と機械が共創する社会の中心企業」を目指しており、顧客の体験価値やイノベーション創出に寄り添うソリューションを提供することで、豊かでサステナブルな社会の実現に貢献することを目指しています。 主要な価値提供領域は「インダストリー(ファクトリー、エネルギー)」と「クオリティオブライフ(ヘルスケア、ライフ&エンターテインメント)」です。 多様な職種があり、研究開発から販売まで様々なバックボーンをもつ人材が働いています。現社員は6割が新卒入社ですが、近年キャリア入社者が増加傾向にあります。新卒採用では職種別採用を行っており、技術系は約14職種、事務系は約8職種あります。同じ職種でも配属先で仕事内容は異なります。例えば機械・機構設計職の場合、映像事業部ならカメラ、ヘルスケア事業部なら顕微鏡の開発・設計に携わります。

研究開発から販売まで多岐にわたる職務

就活スケジュールに合わせた情報提供により、会社と業務への理解を促進

技術系職種の求める人物像は、ニコンのありたい姿や経営理念に共感し、将来活躍できる技術的ポテンシャルを持つ人材です。経営理念である「信頼」と「創造」を達成するために、重要な3つの心がけである「好奇心」「親和力」「伝える力」を選考で確認します。

事務系・技術系とも2つの応募コース(オープンコース/職種確約コース)を用意しています。オープンコースは2つの職種を選択でき、適性の高い職種で採用されます。職種確約コースは1つの職種を選択し、初任配属の職種が確約されるコースです。

選考フローは事務系・技術系で若干異なりますが、非常にシンプルです。最初に書類選考、次にオンラインの面接、最後に対面の面接となります。

就活スケジュールに合わせた情報提供により、会社と業務への理解を促進

母集団形成のための社内イベントを春から冬にかけて開催し、会社・業務への理解が深まっていくように設計しています。春の段階では、就職活動を始めたばかりの学生向けに、会社紹介と若手社員による就職活動体験談のオンラインセミナーを実施しており、非常に大きな反響をいただいています。夏のワークショップでは、オンラインでニコンの新規事業立案・プレゼンテーションを体験いただいています。毎年、多くの学生にご応募いただくため、参加できる方は限られてしまいます。参加できなかった方向けに、応募者限定のオンラインセミナーを開催しています。秋には、自己分析も進み、業界もある程度絞り込めるようになるため、より具体的な社内のユニット紹介や職種別のセミナーを開催します。ユニット紹介では、各ユニットの所属長から、組織のミッション、業務内容、組織体制、やりがい、求める素養などをお伝えします。職種別のセミナーでは若手社員が登壇し、職種ごとの具体的な業務や働きかた、やりがい、キャリアプランを具体的にイメージしてもらえるようなコンテンツにしています。冬には、実際に会社にお越しいただいて、社員と一緒に業務を体験いただきます。夏と同様に参加できなかった方限定のイベントも用意しています。本選考の直前には、求める人物像や選考フロー、各選考のポイントを解説するセミナーを開催しています。このセミナーを通じて、学生の本選考に向けた事前準備のサポートをしています。

企業イメージ変革と面接評価の精度向上が課題

採用活動では主に2つの課題に取り組んできました。1つはブランディング、もう1つは面接の課題です。

ニコンは長らく「カメラだけの会社」という強いイメージを持たれており、これは採用活動における大きな課題でした。入社前の私自身も同様の認識を持っていたことから、このイメージを払拭するための取り組みを進めてきました。まず、採用コミュニケーションに特化した企業と協力し、WebやSNSなどのツールを用いて学生のニコンに対するイメージを調査しました。この調査結果に基づき、ニコンに必要なブランディングの方針を策定しました。方針に従って、採用サイトの刷新、SNSによる定期的な情報発信、対面イベントで配布するグッズや装飾品の新規作成などを行い、多角的なアプローチで企業イメージの変革を図りました。

もう一つの課題は、面接官ごとの評価基準のバラつきでした。事務系・技術系合わせて200名以上の面接官が採用に携わるため、どうしても個々の主観が入り込み、客観的な評価が困難でした。この課題を解決するため、日本エス・エイチ・エルと連携し、求める学生の定性的な素養を適性検査の項目と関連付けました。具体的には、多様な職種や部門の面接官から「どのような学生を求めているか」を徹底的にヒアリングし、抽出された要望を基に、「ニコンとして、適性検査のこの項目を学生に求めている」という共通の評価指標を確立し、これを面接や書類選考の基準として導入しました。

企業イメージ変革と面接評価の精度向上が課題

また、評価項目についても改善を行いました。これまで抽象的であった評価項目を具体的に細分化しました。例えば、「コミュニケーション能力」を評価する際に、これまでは「愛想良く対話ができれば良い」「相手の質問意図を正確に理解し、的確な返答ができれば良い」など、面接官によって異なっていた評価項目を、ニコンとして求めるコミュニケーション能力として、具体的に定義しました。これにより、人事部内で「コミュニケーションとは何か」「どの程度の能力があれば評価に値するか」といった明確な指標が作成でき、面接に適用しています。さらに、面接官トレーニングも実施しました。評価基準の統一、面接における学生の見極め方、魅力訴求の仕方などの実践的なトレーニングを受け、採用活動全体の質の向上に努めました。

ミスマッチのさらなる低減に取り組む

今後も、採用におけるミスマッチをさらに低減するため、以下の施策を強化していきます。

まず、職種理解を深めるコンテンツの拡充です。会社によって職種の定義や役割が少しずつ異なります。そのため、ニコンの職種がどのような役割を担い、どのような業務内容であるかを具体的に理解できるようなコンテンツをさらに作成し、提供していく方針です。

次に、インターンシップから本選考への連携強化です。インターンシップを経験した学生は、入社後のミスマッチが少ない傾向にあります。この効果を最大限に活かすため、インターンシップを本選考へのよりスムーズな導線として機能させ、学生と企業双方にとって最適なマッチングを実現できるよう、一層の強化を図ります。

最後に、リクルーター活動の強化です。現在、若手を中心に多くのリクルーターが活動しています。リクルーターの活動がより効果的に機能し、ミスマッチの少ない採用に貢献する仕組みを構築していきます。

日本エス・エイチ・エルは、当社の採用活動に寄り添い、迅速かつ丁寧にサポートしていただけます。単なるテストの提供ではなく、当社の選考に参加した学生の傾向や求める人物像の分析、トレンドの共有など、採用活動における幅広い領域でご支援いただけます。今後も末永く伴走いただきたいと考えております。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

重野 達也

職種確約コースの設立・拡充、母集団の認識変容等、毎年新たな施策が動かれていることが印象に残っています。特に母集団の認識変容においては、各社母集団が減少傾向にある中、ニコン様は増加しており、数の面から見ても効果が出てきています。「求める人物像」と適性検査項目の紐づけによる基準の設定、現場の声を基にした共通指標の作成においては、既に古澤様のお手元で纏めていたものがあり、私は少し手を加えさせていただいたに過ぎません。今後もお取り組み内容が増える中、様々な角度からご支援できるよう尽力いたします。

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