学生の不安に寄り添う手厚いフォローと、データ活用による選考の進化。三井住友カードの新卒採用変革
クレジットカード事業を始めとした幅広いソリューションを提供し、「未来の当たり前をつくる 最も先進的なキャッシュレスカンパニー」を目指す三井住友カード。内定承諾後も就職活動を続ける学生や悩みを抱える学生が増加する中、多角的なアトラクトと手厚いプレオンボーディング、そしてデータや業務効率化ツールを活用した採用の進化に挑む同社の取り組みについて伺いました。
※本取材は2026年6月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
三井住友カード株式会社
クレジットカード業務、デビットカード・プリペイドカード・その他決済業務、ローン業務、保証業務、信販業務、トランザクション業務、その他付随業務
クレジットカード・金融
5,200人(2026年3月末時点)
インタビューを受けていただいた方
塩村 文茄 様
人事部
採用グループ長
インタビューの要約
自社の強みであるキャッシュレスデータを活用した実践的インターンシップへのリニューアルや、初期配属確約コースの拡充を進めている。
日本エス・エイチ・エルの適性検査データを様々な観点で分析し、より自社との親和性が高く、活躍が見込める学生とのマッチング精度を高める取り組みを進めている。
内定承諾後も悩みを抱える学生に向け、月1回の個別コールや若手社員・役員との対話など、時期に合わせた手厚いアトラクトとプレオンボーディングを実施している。
「未来の当たり前をつくる 最も先進的なキャッシュレスカンパニー」というビジョンに共感し、キャッシュレスデータを用いた新たな価値創造やイノベーションを起こせる多種多様な人材の獲得を目指す。
相互理解を深める、選考後の多角的なアトラクト
私は2017年に三井住友カードに入社し、コールセンターや法人営業を経て、2021年から採用担当、2025年からは採用グループ長を務めています。
近年の新卒採用では、内定承諾後も就職活動を継続したり、意思決定に悩み続けたりする学生が増加しています。この現状を受け、当社は選考後のアトラクトに注力し、様々な施策を展開しています。
数年前から始めたのが「フォローアップコール」です。最終面接から10月の内定式まで、長い方では約10ヶ月間にわたり、同じ採用担当者が月1回、学生と一対一で、電話による対話を行っています。学生の状況に合わせて対話したり、当社に関する情報提供をしたりしながら、不安や疑問を解消します。このコールはお互いを深く知る貴重な機会となっています。
また、若手や中堅、新卒入社者やキャリア入社者などの様々な現場社員が登壇し、仕事のリアルを伝える「社員クロストーク(座談会)」や、社員に直接オンラインで相談できる「1on1」も実施しています。さらに、リアルな会社の雰囲気を感じてもらうための「カフェテリア(社員食堂)体験会」は、内定者同士のコミュニティ形成にも大きく貢献しています。
入社後の不安を払拭する手厚いプレオンボーディング
アトラクトと並行して、内々定期間のプレオンボーディングにも力を入れています。早い段階での横のつながりを作る「オリエンテーション」を皮切りに、自己理解と当社への理解を深める「キャリアデザインワーク」を実施しています。
また、ウェビナー形式の「部署イントロダクション」では、2日間にわたり若手社員が自らの言葉で仕事のやりがいを語り、学生が匿名で気兼ねなく質問できる環境を整えています。学生が抱く「役員=距離が遠い」というイメージを払拭するため、10月の内定式前に「役員トークセッション」を設け、役員とカジュアルに対話する機会も作っています。
内定式後にも、オンラインと対面を交えた研修を実施しています。学生の負担を減らしつつ、社会人としての心得や会社への理解を深め、入社後も円滑に仕事が進むようサポートしています。
自社の強みを活かした実践的インターンシップの展開
今後の採用活動に向けては、見極めとマッチングの精度をさらに高め、採用活動を進化させていきたいと考えています。
その一つとして、早期から学生との相互理解を深めるため、インターンシップをオンライン中心の実施から、実践的な対面中心の実施へとリニューアルする予定です。画面越しではわからない、対面だからこそ伝わる能力を重視したいと考えているためです。
具体的には、2つのコースを用意しています。1つ目は、実務に近いビジネス設計(課題設定から企画立案まで)を体験する「ビジネスデザインコース」です。2つ目は、「データベースマーケティングコース」です。学生の皆様からはマーケティング業務への関心が非常に高く、その期待に応えるとともに、当社の強みである豊富なキャッシュレスデータの価値を実感していただきたいと考え、データを起点にマーケティング施策を検討・提案するプログラムとして新設を予定しています。これにより、当社だからこそ実現できるマーケティングの面白さや仕事の醍醐味を、これまで以上に感じていただけるはずです。
さらに、入社後の配属に対する不安を軽減するため、オープンコースに加えて、初期配属を確約するコースの拡充も進めていく方針です。
適性検査データの分析と、業務効率化による選考の進化
本選考に向けては「マッチング精度の向上」を目指しています。今後は蓄積された過去の適性検査データを様々な観点で分析し、自社との親和性が高く、入社後に活躍する学生との接点を増やしていきたいと考えています。
採用業務効率化の観点では、生成AIなどの新しいツールも積極的に取り入れています。例えば、学生の皆様への案内メールを作成する際などにAIを活用することで、担当者ごとの表現のブレを防ぎ、より適切かつ迅速なコミュニケーションの実現に役立てています。こうした効率化によって生まれた時間を、学生一人ひとりとの本質的な対話やきめ細やかなフォローに充てていきたいと考えています。
未来の当たり前をつくる。今後の採用活動の展望
当社は、「未来の当たり前をつくる 最も先進的なキャッシュレスカンパニー」を目指しています。これからの当社の発展や成長戦略の遂行には、キャッシュレスデータを用いて新たな付加価値を創造できる人材、イノベーションを起こせる人材が不可欠です。
学生の皆様にこのビジョンへ共感していただくためには、私たち自身が学生の不安に寄り添い、丁寧な対話を通じて会社のリアルな姿を伝えていくことが重要です。今後もデータや最新ツールを適切に活用しながら、学生との相互理解をより一層深め、多様な人材との最適なマッチングを実現できるよう、採用活動の改善と進化に挑戦し続けてまいります。
当社では、長年にわたり日本エス・エイチ・エルのアセスメントを活用し、人材の可能性を客観的かつ多面的に見極める採用活動を支えていただいています。採用市場や求める人材像が変化する中でも、常に迅速かつ的確なご提案をいただいていることに深く感謝しています。今後も採用活動のさらなる発展に向けて、新たな価値創出にご一緒できることを期待しています。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント
赤尾 日菜子
三井住友カード様とご一緒する中で特に印象的なのは、採用課題を感覚的に捉えるのではなく、目的や現状を丁寧に分析した上で施策を企画・実行されている点です。母集団形成や内定承諾率向上に向けたお取り組みに加え、時代に合わせた採用コースの設計など、常に時代や市場環境の変化を見据えながら採用活動を進化させていらっしゃいます。その一つひとつの施策には明確な意図があり、他社様にとっても多くの学びが得られる取り組みであり、また、企業規模を問わず新卒採用を行っているどの企業にとっても、大切な考え方をお持ちであると感じています。今後も三井住友カード様の採用成功に向けて、最適なご支援ができるよう尽力してまいります。