コラム

人事コンサルタントの視点

タレントマネジメントの導入~成功のための5つのポイント

このたび、私たちは日本エス・エイチ・エル株式会社のコーポレートサイトをリニューアルいたしました。2020年に開始したタレントマネジメントに関する情報サイト「SHLタレントマネジメント・ソリューション」は、新しいコーポレートサイトに統合され、より見やすく、より深く幅広い情報提供ができるようになりました。

当社が積極的にタレントマネジメントに関する情報発信を始めた2020年と現在(2025年)を比較すると日本企業にタレントマネジメントの考え方は浸透し、具体的な取り組みを進める企業も増えてきました。しかしながら、依然としてその実践は大手企業に限られていることも現実です。
タレントマネジメントは、人手不足が深刻化する日本において多様な人材や多様な働き方を受け入れ戦力にしなければならない企業を強力にサポートするものであり、すべての企業にとって有益です。
ここで改めてタレントマネジメントを導入するうえでのポイントについて整理します。

1. 戦略と目標の明確化

膨大な手間とコストをかけてタレントマネジメントの制度とシステムを導入したけれど、何も変わらなかったという事態は避けたいものです。そのためには組織の戦略遂行のためにどのような問題を解決するのか、どのような組織と人材を開発するのか、人材をどのように活用するのかなどを明確にしなければなりません。
まずは組織人事戦略の確認が必要です。組織人事戦略は、経営戦略や事業戦略に基づいて策定されるもので、企業や事業のビジョン実現に不可欠な組織と人材のあり方を示します。
次に、組織人事戦略を実現するための具体的な目標設定をします。タレントマネジメントは手段であり、導入の目的と達成すべき目標を明確にすることが重要です。

2. 人材要件の明確化

職務に必要な能力がわからなかったり、新しい事業や新設の部門、新しい職務に適した人材がわからなかったりといった悩みを抱えている方も多いかもしれません。高業績者の行動特性や新しいポストの職務内容を客観的かつ科学的に分析することで、人材要件を明らかにすることが大切です。
有力な情報源として職務記述書(ジョブディスクリプション)があげられます。これは職務分析によって作られ、職務内容や職責、職務遂行に求められる資格・知識・スキル・能力などが記載され、ジョブ型雇用の企業には必須のツールです。メンバーシップ型雇用の企業でも職務記述書の作成を進めることは有益です。
    人材要件の定義には以下のような方法を用います。
  • 経営層や人事、マネジャーや現職者へのヒアリング
  • アセスメントやサーベイの実施
  • 収集した人材データの分析

3. 社内の理解と協力

タレントマネジメントを成功させるには社内の協力が不可欠です。経営層だけでなく、各部門のマネジャーや全社員が納得し、施策を実行できるようにする必要があります。
新しい取り組みでは全員がすぐに賛成するとは限らないため、丁寧な説明が求められます。タレントマネジメントの目的、内容、方法、対象者、得られるメリット、発生しうる問題点とその対策、運用上の注意点、情報セキュリティ等をオープンかつわかりやすく説明し、社内の理解と協力を得られるようにしましょう。

4. フィードバックの実施

どのような施策を導入する場合でも参加者に対する建設的なフィードバックは極めて重要です。
例えば、サクセッションプランを導入する場合、後継候補者のアセスメント結果を人材委員会で検討するだけでなく、候補者本人にフィードバックすることで能力開発やエンゲージメントの向上につなげることができます。上司や部門責任者、メンターなどにアセスメント結果を正しく伝えることで、能力開発やキャリア開発、コミュニケーションの改善が期待できます。
人材可視化を目的に行う施策の場合、自ずと自己理解や相互理解が進みますので問題はありませんが、選抜や配置任用、チームビルディングなどにおいても、アセスメント結果に基づく「個人の強みや弱み」「指導の仕方」「コミュニケーションの取り方」などを関係者へフィードバックしましょう。社員一人ひとりを深く理解することは、組織が人材を活用するためだけでなく、働く人のやりがいやウェルビーイングにもつながります。

5. 検証と改善フローの構築

タレントマネジメントの導入はゴールではなく、スタート地点です。導入に際して設定した目標の達成に向け、客観的な検証を行い、必要に応じて改善を加えていきます。
導入後、想定とは異なる結果がでることもありますが、当初の目的と目標を忘れず、施策の最適化を進めていくことが求められます。常に最新の人材データを保持し、運用手順や手法を柔軟に見直す姿勢が重要です。
タレントマネジメントの効果を最大限に引き出すためには、検証と最適化を継続的に行うことが不可欠です。

おわりに

これらのポイントを踏まえて効果的にタレントマネジメント施策を運用している企業の事例は、導入事例(https://www.shl.co.jp/casestudy/)に多数掲載しております。ぜひご覧ください。

清田 茂

このコラムの担当者

清田 茂

日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員

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