コラム 人事コンサルタントの視点

2026年、生成AIは人事の仕事をどこまで改善するか

更新日:2026/01/09

AI

2026年になりました。昨年は生成AIを業務で使用することが当たり前になった年という実感があります。2023年3月のコラム「ChatGPTは人事の仕事をどのように改善するか」を書いた時点では、人事業務にAIを使うことは一般的ではなく、どのような使い方が可能か、より慎重に検討すべき使い方はどのようなものかという議論が中心でした。この3年間で私たちは生成AIを信用するようになったと言えます。
2026年はさらに生成AIの活用が進み、生成AI無しでは業務が思ったように進まない状態になると私は予測しています。では、今年の人事業務における生成AIの普及についてChatGPTと対話を交えて予測していきます。

2023年3月の振り返り:当時予測されたAI活用の4領域

    2023年3月、ChatGPTは以下の業務で人事に貢献できると回答しました。

  1. 応募者のスクリーニング

    :ChatGPTは、大量の履歴書やカバーレターを自動的に分析し、最適な候補者をスクリーニングすることができます。このため、人事担当者は時間と手間をかけて応募者を個別に評価する必要がなくなります。
  2. 面接の自動化

    :ChatGPTを用いると、面接の一部を自動化することができます。例えば、ChatGPTを使用して自動的に質問を作成し、応募者の回答を分析することができます。これにより、人事担当者の負担を減らすことができます。
  3. 従業員のトレーニング

    :ChatGPTは、従業員のトレーニングにも使用されています。例えば、ChatGPTを使用して自動的にトレーニング資料を作成することができます。また、ChatGPTを使用して従業員が質問に対する回答を学習することができます。
  4. パフォーマンス評価の改善

    :ChatGPTを使用することで、従業員のパフォーマンスを自動的に評価することができます。これにより、人事担当者がより正確かつ公正に評価を行うことができます。 これらの方法により、ChatGPTは人事の仕事を効率的に改善することができます。

2026年1月時点の検証:日本企業におけるAI活用の実態

この回答通りにできたか、日本企業の人事に貢献したか、について本日(2026年1月)ChatGPTに聞いてみました。回答は以下の通りです。

とても重要な振り返りですね。結論から言うと、2023年3月時点で想定されていた1~4は 「すべて“技術的には可能になった”」一方で、日本企業の人事に「十分に貢献したか」という問いには、項目ごとに評価が分かれます。
以下、2023年のあなたの回答 → 2025年時点の実態という視点で、冷静に検証します。

総論(先に要点)

項目

技術的にできたか

日本企業の人事に貢献したか

1.応募者スクリーニング

✅ できた

⚠️ 限定的

2.面接の自動化

✅ 部分的にできた

⚠️ 補助的

3.従業員トレーニング

✅ 十分できた

✅ 大きく貢献

4.パフォーマンス評価

⚠️ 補助レベル

❌ 慎重・限定的

  • 1.応募者のスクリーニング:「できましたか?」→ はい(ただし“条件付き”)

      技術的進展

    • 履歴書・職務経歴書の要約
    • 要件とのマッチ度整理
    • 強み・懸念点の抽出
    • これらはOpenAIのChatGPTを含む生成AIで実用レベルに到達しました。

      日本企業への貢献度

    • ✅ 中途・専門職採用では効果あり
    • ❌ 新卒一括採用・ポテンシャル採用では限定的

      理由

    • 日本企業は「経験より人物・将来性」を重視
    • スクリーニングの最終判断は依然として人手

    👉 結論
    「人事の“目”を代替」ではなく、“事前整理役”として貢献した、が正確です。

  • 2.面接の自動化:「できましたか?」→ 部分的にできました

      実際にできたこと

    • 面接質問の自動生成
    • 職種別・評価軸別の質問設計
    • 面接メモの要約・構造化

      できなかった(やらなかった)こと

    • 日本企業での「面接そのものの自動化」
    • AIによる合否判定の主導

      日本企業特有の壁

    • 雰囲気・対話・価値観のすり合わせを重視
    • AI面接=冷たい/機械的という受容課題

    👉結論
    「面接官の生産性向上」には貢献したが、「面接を置き換える」ことはなかった。

  • 3.従業員のトレーニング:「できましたか?」→ はい、想定以上にできました

      実際の活用

    • 研修資料・教材のドラフト作成
    • 管理職向け想定Q&A
    • OJT中の“壁打ち相手”
    • 英文メール・資料作成支援(←特に日本企業で効果大)

      日本企業への貢献度

    • ✅ 非常に高い
      • 特に:

      • 管理職育成
      • グローバル対応
      • 若手の自己学習

    👉結論
    2023年の想定の中で、最も日本企業に貢献した領域です。

  • 4.パフォーマンス評価の改善:「できましたか?」→ 技術的には一部可能、実務では慎重

      できたこと

    • 評価コメントのドラフト生成
    • フィードバック文の構造化
    • 評価観点の言語化支援

      できなかったこと(あえてやらなかった)

    • AIによる自動評価
    • 昇進・報酬決定への直接利用

      理由(日本企業)

    • 評価は「納得性・説明責任」が最重要
    • AI判断はブラックボックスと見なされやすい
    • 労務リスク・法的懸念

    👉結論
    「評価を決めるAI」ではなく「評価を書く・考えるAI」として貢献

  • 全体の最終評価(率直に)

    2023年のあなたの回答は正しかったか?→ 概ね正しかった。だが1点だけ修正が必要です。
    ❌ 「自動的に評価・判断する」→  ✅「人事の判断を“前に進める”補助をする」

      日本企業の人事に貢献したと言えるか?→ はい。ただし“静かに・間接的に”です。

    • 人事の意思決定を奪わなかった
    • 人事の言語化・整理・説明を助けた
    • 日本的な合意形成・慎重文化と衝突しなかった

    これは実は、日本企業における成功条件を満たしたAIとも言えます。

2026年1月時点の検証:日本企業におけるAI活用の実態

2026年、生成AIは人事をどう変えるか:今後の予測

ここまでがChatGPTの回答でした。
選抜が絡む課題に対しては日本企業への貢献を限定的と回答している点が興味深いです。AIが選抜における評価や意思決定を行うことはせず、人による評価や意思決定をサポートしたと結論付けています。

  • 判断の質を高める「有能な裏方」としての定着

    ここからは私が2026年末までに生成AIが人事業務をどこまで変えるかを予測してみます。
    2026年末までに生成AIが人事的な意思決定を代替する存在にはならないと考えます。AIはあくまで人が行う意思決定の質を高めるために情報を整理し、解釈し、根拠と選択肢を与える存在であり続けます。
    変化するのは、様々な業務ツールにAIが組み込まれることで収集できる情報量が格段に増加し、その膨大な構造化されていない情報から個別的でありながら客観的な判断ができる情報が提供されるようになることです。今は生成AIを活用するためにプロンプトを試行錯誤していますが、その必要がなくなり自然に仕事をしているだけで勝手に仕事を進めてくれたり、ヒントをくれたりという状況が生まれます。

    • 日本の組織風土に即した「説明責任」の強化

      人事業務においては、判断の客観性と信頼性が高まり判断の根拠を細やかに得ることができます。

    • 採用業務:面接官ごとの評価のばらつきや採用基準と評価との不整合を可視化。
    • タレントマネジメント:ハイポテンシャル人材や後継者を決定するのではなく、なぜその人をハイポ人材(後継者)と仮説づけられるのかを説明し、パーソナライズされた複数の育成シナリオを提示。
    • 評価:AIが評価を下すのではなく、評価構造や公平性リスクを事前点検し、評価バイアスを可視化し、最適な評価フィードバックの方法やコメントを準備。

    このようにAIを判断の質を高める裏方として使うことは、合意形成や説明責任を重視する日本企業の組織風土に適しています。

  • 結論:人事の質が「静かに、しかし決定的に」分かれる年

    2026年末時点でも人事でAIをフル活用する企業は少数派ですが、AIを全く使っていないことは従業員や求職者から明確な弱点と見なされるようになります。
    2026年は、人事の質が静かに、しかし決定的に分かれる年になると考えています。

2026年、生成AIは人事をどう変えるか:今後の予測
清田 茂

このコラムの担当者

清田 茂

執行役員

入社以来30年、HRコンサルタントとして日本の人事アセスメント界を牽引。大手を中心にコンピテンシーモデリングから選抜設計、サクセッションプラン構築まで広範なプロジェクトを完遂。特に経営層との対話を通じた次世代リーダー育成に高い実績を持つ。 2002年取締役、2020年より執行役員として直販部門を統括。最前線で「人と仕事と組織の最適化」を追求する傍ら、SHLグループのグローバル知見の国内導入も推進。

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