コラム 人事コンサルタントの視点

逆面接:人材評価における質問力の評価とその重要性

採用は企業にとって極めて重要です。適切な人材を採用することは、現在の業績に貢献するだけでなく、企業文化の形成を通じて、将来の成功を左右します。採用選考では面接が広く行われていますが、従来の面接手法だけでは応募者のポテンシャルや実際の働き方を完全には把握し切れない場合があります。そこで注目されるのが「逆面接」です。
このコラムでは、逆面接の特徴と利点について解説します。

逆面接の概念

逆面接は、文字通り面接官と応募者の役割を逆転させる面接形式を指します。この手法は、管理職アセスメントで用いられる「ファクトファインディング演習」に基づいて開発されました。ファクトファインディング演習は事実確認を目的としたインタビューを模擬的に行う模擬面談演習です。「当社のサービスに対して顧客からクレームを受けている」など、何らかのトラブルが起きている状況が応募者に与えられます。応募者はその解消に向けて、問題解決の糸口となる様々な情報を保有する「ファクトホルダー(評価者が演じる)」に質問して情報を収集します。ファクトホルダーは応募者の質問に応じた情報を提供しますが、重要なのは、ファクトホルダーが自ら情報を提供することはなく、適切な質問がなされなければ解決策に至る情報が得られない点です。

逆面接の概念

逆面接の実施方法

逆面接では、面接官が応募者に「当社があなたの就職先として適切かどうか、質問してください」などのテーマを提示します。応募者は制限時間内で自由に質問を行い、その質問の仕方で質問力や対応能力を評価されます。質問力とは、限られた時間で求める情報を引き出し、自身の仮説を検証して適切な結論に至る能力です。これは、不確実なビジネス環境において極めて重要なスキルです。

逆面接のメリット

  1. 質問力の評価
    通常の面接では評価しにくい質問力を直接測ることができます。ビジネス場面では、仕事に必要な情報が最初から揃っている状況はまずありません。質問力は、上司の曖昧な指示や顧客の隠れたニーズを理解するために不可欠です。
  2. ストレス耐性の確認
    不明瞭な質問や脈絡のない質問がなされた場合、面接官は「要点がよく分からなかったのですが、具体的に何を知りたいのでしょうか」「なぜ、今それを聞きたいのですか」と聞き返します。これらの「逆質問」への対応から応募者のストレス耐性や臨機応変さを評価できます。
  3. 応募者の志望意欲と興味の把握
    質問の内容や具体性から、応募者がどの程度会社や業界に興味を持っているかが明らかになります。また、どのような情報を求めているのかによって、応募者の価値観やキャリア志向を知ることもできます。例えば、社風や人間関係を尋ねる応募者は職場環境を、仕事内容を詳しく尋ねる応募者は仕事の価値や身に付くスキルを重視していると予想できます。
  4. 会社の魅力のアピール
    応募者の質問に応じて、自社の利点や特色を効果的に伝えることができます。例えば、面接官が研修体制の充実度を強く訴えても、仕事そのものの魅力を知りたい応募者には響きません。一方的に情報を発信するよりも、応募者のニーズに応じた情報を提供することで、会社への興味を更に深めることが可能です。
従来の面接は、過去の経験を掘り下げてスキルやポテンシャルを評価しますが、逆面接は現在の応募者に注目します。緊張する場面で面識のない(または浅い)相手に冷静かつ的確に質問できるか。面接官の想定外の反応に機転を利かせて柔軟に対応できるか。これらの「その場で示される行動事実」を確認できるという点で、逆面接は従来の面接では測りきれなかった要素を評価、補完することができます。そのため、逆面接の活用によって採用の質の向上が期待できるでしょう。

清野 剛史

このコラムの担当者

清野 剛史

アセッサーグループ 課長

HR業界で20年のキャリアを持ち、1,000社以上の採用改革やタレントマネジメントを支援。現在はアセスメント専門部署の課長として、面接やグループ討議等のヒューマンアセスメント技術の体系化とアセッサー・講師育成を統括する。科学的根拠に基づいた多角評価技術の普及を牽引し、2023年には産業・組織心理学会で「効果的な能力開発面談」に関する論文を発表。国家資格キャリアコンサルタント。

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