コラム

人事コンサルタントの視点

HRスキル調査レポート:将来に備え、成功する人事チーム を作る

事業や働く人を取り巻く環境がダイナミックに変化する中で、人事担当者に求められるスキルも変化しています。SHLグループは、キャリアの様々な段階にある人事担当者にとって成功に不可欠な主要スキル、これらのスキルがどのように進化してきたか、そして将来成功するためにどのようなスキルが必要になるかについて調査を行いました。

5,500 人を超える人事担当者を対象にSHL のグローバルスキルアセスメントを実施し、その客観的なアセスメントデータと広範な文献レビューに基づいて調査レポートを作成しました。調査レポートは人事チームの成功を促進するスキルや強み、能力開発領域のスキルは何か、そして、これらのスキルをどのように活用できるかを理解するのに役立ちます。

本コラムでは、このレポートの最初のセクション「HRスキルの進化」について、一部抜粋してご紹介します。

人事の職務の変化

人事はかつての管理コストセンターから、戦略的採用や組織設計、リーダーシップ、パフォーマンス管理、AIの実装など、複雑なビジネス問題に対処する役割へと進化しています。

2020年から2025年にかけて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による世界的な不安定化、政治力学の劇的な変化、そして急速な技術進歩(特に人工知能AI)が、組織を変革の渦に巻き込みました。この間、人事チームは適応の最前線に立ってきました。人事担当者は、日常業務と戦略的な取り組みの両方を管理することが求められるようになったため、求められるスキルはますます複雑化し、高度化しています。人事業務におけるAIと自動化の台頭により、継続的に技術スキルを開発し、技術の進歩に遅れずについていく必要性が高まっています。

しかし、スキルギャップは依然として存在し、採用活動を複雑化させています。こうした課題に対処するため、組織はフリーランサーや独立系ワーカーの活用を加速させるとともに、「静かな雇用(組織が正社員を新規雇用することなく、新たなスキルを獲得する手法※)」を通じて現従業員のスキルアップにも投資しています。組織は、変化するビジネスニーズに対応するために必要なスキルを理解することで、従業員が将来の目標を達成するためのスキル開発に集中できるよう支援することができます。

※https://www.gartner.com/en/human-resources/glossary/quiet-hiring

人事の職務の変化

成功に必要なコンピテンシー

レポートでは、広範な文献レビューから2020年、2025年、2030年におけるHRの主要な関心領域を挙げています。2020年にはリモートワーク管理や従業員のウェルビーイングが重要視されました。2025年にはハイブリッドワーク管理やAIの活用が求められています。2030年には人間とAIの協力、先進的なデータ分析、持続可能性が人事の中心的なスキルとなる見込みです。以下は、それらの関心領域をSHLのUCFコンピテンシーへ紐づけた表です。ハイライトされているコンピテンシーは全期間で共通しています。

コンピテンシー 2030 2025 2020
適応力
専門技術の活用
関係構築
協働
創造と改革
批判的思考
原理原則の遵守
積極性
リーダーシップ
計画と段取り
戦略的思考
コミュニケーション
信頼性
文書作成

スキルの変化

さらにUCFの最も詳細なレベルであるスキルによる分析を行っています。各コンピテンシー内で最も重要なスキルを特定しています。ハイライトされているスキルは全期間で共通しています。

UCF スキル 2030 2025 2020
変化に適応する
情報を分析する
専門性を活用する
共感を示す
新しいアイデアを受け入れる
ダイバーシティを推進する
自分の能力開発に集中する
揉め事に対処する
人をサポートしコーチングする
新しいツールや仕組みを構築、設計、創造する
戦略的なビジョンを検討する
他者の仕事を調整する
人をやる気にさせ、権限を与える
職務に関連するテクノロジーを運用する
前もって計画する
テクノロジーを用いてコミュニケーションをとる
ルールや規則を遵守する
合理的な判断を下す
分かりやすく話す
分かりやすい文章を書く

2020年から2030年にかけて、人事のスキルは危機管理から戦略的計画と革新へとシフトしていることが示されています。CHROにとって、人事チームが変化に適応するための適切なスキルを備えているようにすることが極めて重要であることが浮き彫りになっています。

人事チームのスキルアップの重要性

人事担当者の成長を効果的に支援するには、客観的でデータに基づいた手法を用いて、現在のスキルレベルを評価することが不可欠です。このアプローチにより、時間、資金、研修などのリソースが、人事チームで最もスキルギャップが大きい領域に集中し、育成活動の効果を最大限に高めることができます。

人事チームのスキルアップを優先する人事リーダーは、日々の業務と将来の課題の両方に対処する能力が向上し、チームのレジリエンスを高め、将来成功する可能性を高めることができます。一方、それができない場合には、ますます競争が激化し変化の激しい労働環境の中で取り残されるリスクがあります。

人事チームのスキルアップの重要性

おわりに

レポートはさらに2つのセクションがあり、セクション2「職位別のHRスキル」では、人事チームのエントリーレベルの職務からCHROまで、あらゆる職位レベルに不可欠な基礎的なコンピテンシーとキャリアの各段階で成功に不可欠な主要スキルがどのように進化していくのかを説明しています。そして、セクション3「地域別HRスキル」では地域により求められるスキルの差異、またグローバルスキルアセスメントの結果データを活用して各地域で各スキルがどの程度利用可能かをまとめています。

調査レポート全文をお読みになりたい方は、SHLグループホームページよりダウンロードいただけます。
https://www.shl.com/resources/by-type/whitepapers-and-reports/hr-skills-insights-creating-a-future-ready-hr-team-built-for-success/

廣島 晶子

このコラムの担当者

廣島 晶子

日本エス・エイチ・エル株式会社 主任

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