今回は、当社日本エス・エイチ・エルが提供する、日本の採用市場で幅広く使われている総合適性検査「GAB」についてご紹介します。本コラムでは、私たち開発元が公式に、GABのコンセプト、含まれている科目や問題、結果と企業における活用方法を詳しく解説します。
総合適性検査GABとは?
GABはGraduate Aptitude test Batteryの略で、当社日本エス・エイチ・エル株式会社が提供する総合適性検査です。イギリスで開発された問題形式を元に商品化された適性検査で、日本法人設立当時の1980年代から各科目が日本語にローカライズされ、長らく利用されているロングセラーの適性検査です。職種や業界を問わず汎用的に活用でき、様々な企業で活用されています。
最大の特徴は、国や言語を問わず、業務遂行に求められる普遍的な知的能力と性格を測定している点です。長年、数多くの企業で分析を行い、入社後の業績との関連性(妥当性)が継続して証明されています。この「妥当性」は適性検査を選定する上で非常に重要な観点です。

GABの構成と概要
「知的能力」を測定する知的能力検査と「パーソナリティ」を測定する性格検査から構成されます。
言語テスト:Verbal Reasoning Test、計数テスト:Numerical Reasoning Test という名前の通り、知的能力検査は、学力ではなく業務遂行に求められる論理能力を、言語や数値情報を素材に測定しています。 GABの高得点者は、論理的・合理的な思考をしたり、データを解釈・活用したりすることが得意な傾向があります。また性格検査では仕事に関わる30のパーソナリティを測定し、そこから様々な能力や職務への適性を予測します。
GAB の実施形式
GABは3つの実施形式があります。
- Webテスト形式(商品名:WebGAB、WebGABPlusOneなど)
- 自宅のパソコンから受検可能です。受検期間内かつ受検の推奨環境を満たしたPCさえあれば、いつでも受検することができ、受検者にとって利便性の高い形式です。
- テストセンター形式(商品名:C-GABPlus)
- 全国に設けられているテストセンター会場に行き、厳格な本人認証を経て受検します。海外のテストセンターもあり、留学中の応募者にも受検機会を提供できます。プロクタリング(試験監督)機能も搭載しており、企業が許可すれば自宅で遠隔にいる監視員の元で受検が可能です。
- マークシート形式(商品名:GABなど)
- 紙の問題冊子とマークシートを用いた形式です。受検者は、企業の会場など管理監督者のいる場所で受検します。
GAB 知的能力検査の問題
言語理解テスト(論理)
400字から800字程度の「主張をもった文章」を読ませ、受検者が、「主張を訴えるために書き手が用意したロジック(論理)をどこまで正しく理解しているか」を測定しています。設問を読み、以下の選択肢から回答します。
- A.文脈の論理から明らかに正しい。
- B.文脈の論理から明らかに間違っている。
- C.問題文の内容だけからでは、論理的に導けない。
計数理解テスト(図表理解)
業務上でも目にするような図表を与えられ、設問に回答します。図表を理解する能力、四則演算や百分率計算を正確に速く行える能力、求められている解答を得るためにもっとも効率的な作業手順を案出する能力を測定しています。また、テストセンター方式「C-GAB」では、これに加えて英語科目も実施します。
GAB 性格検査の問題
GABに搭載されている性格検査は「OPQ」と呼ばれるパーソナリティ検査です。OPQはOccupational Personality Questionnairesの略で、職務上の性格に関する質問紙という意味です。仕事に関わる30のパーソナリティを測定します。
OPQの最大の特徴は、その回答形式です。1つの設問に社会的望ましさを揃えた行動に関する記述を4つ並べ、「自分に最もあてはまるもの」と「最もあてはまらないもの」を1つずつ選ぶイプサティブ(強制選択)形式を採用しています。これによって、受検者が自分を良く見せるための回答をしようとする傾向(社会的望ましさバイアス)を抑制し、作為的な回答がしにくい形式となっています。

GABの結果表
GABの得点は標準点と呼ばれる10段階の得点ですべて算出されます。知的能力の得点のほか、性格検査から「ヴァイタリティ」「チームワーク」などの仕事上求められるコンピテンシー、将来のマネジメント適性、「営業」「研究/開発」などの職務適性について予測します。受検者の強みや弱みに関するコメントも出力されます。結果表サンプルは当社までお問い合わせください。
GABは対策可能か?
GABは、受検者側のちょっとした対策によって、得点が大幅に変わるような知的能力検査の問題形式ではありません。一方で、真の能力を正しく測定するためには、問題形式、問題数、制限時間、必要な道具、問題の解き方、進め方をよく理解し、練習した上で受検することが望まれます。そのため、当社の適性検査はすべて本題の前に例題が用意され、受検者は必ず練習問題を経て受検します。なお、SHLグループでは模擬テストができるWebサイトを公式に提供しています。
性格検査は、上述の通り作為的な回答を極力防止する仕組みが取られています。その上で、知的能力とは異なり、全社で共通する正解の「性格」は存在せず、各社求める人物像が異なること、面接を含めたその後の選考で性格検査の結果との整合性を確認するプロセスが入ることから、受検者側の対策という概念があまり当てはまりません。知的能力と同様、結果が自分自身を正しく反映されることを目的に、内容をよく理解して受検することが望まれます。

GABの活用法
- GABは一般的にイメージされる選抜の際のツールだけでなく、様々な活用が可能です。例えば、
- 面接での活用
面接時にGABを事前に確認しておくことで、候補者の特徴を定量的に把握して質問のポイントを絞ることができ、限られた面接時間を有効に活用することができます。 - 応募者のキャリア支援や内定者フォロー
正しい知識を身に着けた上で、GABの結果を応募者に返却すれば、応募者にとって自己理解促進の機会につながります。採用する企業側にとっては、GABを介して応募者や内定者の意欲形成の補助ツールとして用いることができます。 - 採用プロセスの効果検証
受検データを用いて集計や統計分析をすることで、採用活動を客観的に振り返ることができます。母集団の特徴や面接の評価基準がGABのデータから確認できます。 - 配属・マネジメントの資料
採用選考だけでなく、入社前のオンボーディングのフォローのポイントや初期配属時の補完情報としても活用できます。性格検査の結果から、基本的な特徴のほか、ストレスに感じる要因や相性のよい上司タイプなども予測することが可能です(有料オプションとなります)。
おわりに
私たち開発元が公式に、総合適性検査GABについて詳しく解説しました。当社の適性検査にご興味を持たれた人事担当者様はお気軽にお問い合わせください。サンプル受検も可能です。実際に受検していただくとより深く理解していただけると思います。

このコラムの担当者
水上 加奈子
日本エス・エイチ・エル株式会社
マーケティング課 課長