今回はいつもと少し違うアプローチでコラムをお届けします。
テーマはOPQ。弊社のパーソナリティ検査です。OPQをすでにご活用いただいている方にとっては、このアセスメントをより身近に感じていただけるように、OPQをまだご利用いただいていない方には、パーソナリティ検査の活用を検討するきっかけとなるようにという思いで書いてまいります。
このシリーズではOPQのパーソナリティ因子を中分類ごとに取り上げ、解説していきます。ただし、教科書的な解説はしません。架空の職場を舞台に、OPQの因子の組み合わせによって生まれる様々なタイプの人物を登場させ、彼らの言動を通じて、因子の意味と面白さをお伝えしたいと思っています。
第1回のテーマは「自己主張」です。
OPQの「自己主張」は、説得力、指導力、独自性という3つの因子から構成されています。
説得力:人を説得したり、売り込んだりすることをどれだけ好むか
指導力:人を指示・統率してリーダーになることをどれだけ好むか
独自性:自分の意見やスタイルにどれだけこだわるか
尺度得点を解釈する場合、高得点、中得点、低得点の3つに分けて解釈するべきなのですが、組み合わせの複雑さを解消するため、このコラムでは3因子を高得点、低得点の2つに分け2×2×2=8通りのキャラクターとして登場させます。
今回はある営業チームに所属するこの8人のストーリーです。
登場人物紹介
舞台はある会社の営業チーム。8人のメンバーは、同じ職場で働きながら、そのパーソナリティはまったく異なります。OPQの「自己主張」を構成する3つの因子(説得力、指導力、独自性)の高低の組み合わせが、8通りの個性を生み出しています。
我堂(がどう)
「俺のやり方で、俺が動かす」。自分の意見を強く持ち、人を巻き込む力もある。チームの中で最も存在感が大きく、頼もしい反面、扱いにくいと思われることも。
| 因子名 | 低得点者の特徴 | 標準点 | 高得点者の特徴 |
|---|---|---|---|
| 説得力 | 人に意見を変えるようプレッシャーをかけることがあまりない。売り込みを好まない。構想することを気詰まりに感じる。 | 売り込むことを楽しむ。交渉が苦にならない。人の意見を変えることを好む。 | |
| 指導力 | 人にリードしてもらうほうが良い。何をすべきか人に指示することを好まず、指揮をとることはあまりない。 | リーダーとなって指揮をとり、何をするべきか人に指示する。主導権をとることを好む。 | |
| 独自性 | 多数派の決定を受け入れ、コンセンサスに従おうとする。 | 自分のやり方でやることを好む。多数派の決定を無視する覚悟がある。 |
統川(とがわ)
「みんなをまとめて、結果を出す」。リーダーシップがあり、人を動かすことも得意。ただし自分独自のこだわりより、組織の方針に沿って動くことを好む。
| 因子名 | 低得点者の特徴 | 標準点 | 高得点者の特徴 |
|---|---|---|---|
| 説得力 | 人に意見を変えるようプレッシャーをかけることがあまりない。売り込みを好まない。構想することを気詰まりに感じる。 | 売り込むことを楽しむ。交渉が苦にならない。人の意見を変えることを好む。 | |
| 指導力 | 人にリードしてもらうほうが良い。何をすべきか人に指示することを好まず、指揮をとることはあまりない。 | リーダーとなって指揮をとり、何をするべきか人に指示する。主導権をとることを好む。 | |
| 独自性 | 多数派の決定を受け入れ、コンセンサスに従おうとする。 | 自分のやり方でやることを好む。多数派の決定を無視する覚悟がある。 |
合田(ごうだ)
「お客さんの話、うまく聞けますよ」。説得や交渉は得意だが、強いこだわりはなく、リーダーにもなりたがらない。誰とでもうまくやれる、現場に欠かせない存在。
| 因子名 | 低得点者の特徴 | 標準点 | 高得点者の特徴 |
|---|---|---|---|
| 説得力 | 人に意見を変えるようプレッシャーをかけることがあまりない。売り込みを好まない。構想することを気詰まりに感じる。 | 売り込むことを楽しむ。交渉が苦にならない。人の意見を変えることを好む。 | |
| 指導力 | 人にリードしてもらうほうが良い。何をすべきか人に指示することを好まず、指揮をとることはあまりない。 | リーダーとなって指揮をとり、何をするべきか人に指示する。主導権をとることを好む。 | |
| 独自性 | 多数派の決定を受け入れ、コンセンサスに従おうとする。 | 自分のやり方でやることを好む。多数派の決定を無視する覚悟がある。 |
独井(どくい)
「私の考えを聞いてほしい、でも仕切るのは別の人で」。自分の意見は強く持ち、主張もできるが、人を統率することには興味がない。個性的な論客。
| 因子名 | 低得点者の特徴 | 標準点 | 高得点者の特徴 |
|---|---|---|---|
| 説得力 | 人に意見を変えるようプレッシャーをかけることがあまりない。売り込みを好まない。構想することを気詰まりに感じる。 | 売り込むことを楽しむ。交渉が苦にならない。人の意見を変えることを好む。 | |
| 指導力 | 人にリードしてもらうほうが良い。何をすべきか人に指示することを好まず、指揮をとることはあまりない。 | リーダーとなって指揮をとり、何をするべきか人に指示する。主導権をとることを好む。 | |
| 独自性 | 多数派の決定を受け入れ、コンセンサスに従おうとする。 | 自分のやり方でやることを好む。多数派の決定を無視する覚悟がある。 |
御堂(みどう)
「言わなくてもわかるでしょ、私が仕切ります」。口数は少ないが、自分のやり方で場を支配する。独自のスタイルを持つ、無言の実力者。
| 因子名 | 低得点者の特徴 | 標準点 | 高得点者の特徴 |
|---|---|---|---|
| 説得力 | 人に意見を変えるようプレッシャーをかけることがあまりない。売り込みを好まない。構想することを気詰まりに感じる。 | 売り込むことを楽しむ。交渉が苦にならない。人の意見を変えることを好む。 | |
| 指導力 | 人にリードしてもらうほうが良い。何をすべきか人に指示することを好まず、指揮をとることはあまりない。 | リーダーとなって指揮をとり、何をするべきか人に指示する。主導権をとることを好む。 | |
| 独自性 | 多数派の決定を受け入れ、コンセンサスに従おうとする。 | 自分のやり方でやることを好む。多数派の決定を無視する覚悟がある。 |
和束(わづか)
「みんなの意見を聞きながら、うまくまとめましょう」。強い主張はしないが、場の空気を読んでチームをまとめるのが得意。組織の潤滑油的な存在。
| 因子名 | 低得点者の特徴 | 標準点 | 高得点者の特徴 |
|---|---|---|---|
| 説得力 | 人に意見を変えるようプレッシャーをかけることがあまりない。売り込みを好まない。構想することを気詰まりに感じる。 | 売り込むことを楽しむ。交渉が苦にならない。人の意見を変えることを好む。 | |
| 指導力 | 人にリードしてもらうほうが良い。何をすべきか人に指示することを好まず、指揮をとることはあまりない。 | リーダーとなって指揮をとり、何をするべきか人に指示する。主導権をとることを好む。 | |
| 独自性 | 多数派の決定を受け入れ、コンセンサスに従おうとする。 | 自分のやり方でやることを好む。多数派の決定を無視する覚悟がある。 |
孤島(こじま)
「私は私のやり方でやります」。人を説得しようとも、リードしようともしないが、自分のスタイルだけは絶対に曲げない。静かだが、芯の強い一匹狼。
| 因子名 | 低得点者の特徴 | 標準点 | 高得点者の特徴 |
|---|---|---|---|
| 説得力 | 人に意見を変えるようプレッシャーをかけることがあまりない。売り込みを好まない。構想することを気詰まりに感じる。 | 売り込むことを楽しむ。交渉が苦にならない。人の意見を変えることを好む。 | |
| 指導力 | 人にリードしてもらうほうが良い。何をすべきか人に指示することを好まず、指揮をとることはあまりない。 | リーダーとなって指揮をとり、何をするべきか人に指示する。主導権をとることを好む。 | |
| 独自性 | 多数派の決定を受け入れ、コンセンサスに従おうとする。 | 自分のやり方でやることを好む。多数派の決定を無視する覚悟がある。 |
柔田(やわだ)
「はい、わかりました」。自分の意見にこだわらず、人の指示に従って動くことが苦にならない。摩擦を生まない、チームの安定剤。
| 因子名 | 低得点者の特徴 | 標準点 | 高得点者の特徴 |
|---|---|---|---|
| 説得力 | 人に意見を変えるようプレッシャーをかけることがあまりない。売り込みを好まない。構想することを気詰まりに感じる。 | 売り込むことを楽しむ。交渉が苦にならない。人の意見を変えることを好む。 | |
| 指導力 | 人にリードしてもらうほうが良い。何をすべきか人に指示することを好まず、指揮をとることはあまりない。 | リーダーとなって指揮をとり、何をするべきか人に指示する。主導権をとることを好む。 | |
| 独自性 | 多数派の決定を受け入れ、コンセンサスに従おうとする。 | 自分のやり方でやることを好む。多数派の決定を無視する覚悟がある。 |
会議室シーン
月曜日の朝、チームミーティングが始まった。課長の江末が、いつもより少し改まった表情で口を開いた。
「来月から、営業プロセスを標準化します。具体的には3点。①初回訪問から3ヶ月以内に提案書を提出すること、②担当顧客全社に対してパーソナリティ検査PQRを提案すること、③訪問後24時間以内にCRMに活動記録を入力すること。以上です。質問はありますか」
沈黙が3秒続いた。
最初に動いたのは、我堂だった。
「江末さん、ちょっと待ってください」
我堂は資料も見ずに身を乗り出した。
「全社にPQRを提案することについてですが、私は10年以上おつきあいのあるお客様を担当しています。お客様の状況、何を必要としているか、一番わかっているのは私です。一律に提案するというのは、お客様との関係を壊しかねない。その方針は現実的ではありません。顧客の状況を判断して最適なソリューションをよいタイミングで提案する方が結果も出ると考えます。私が責任を持ってそのやり方でやります」
反論であり、対案であり、宣言でもある。
● OPQ解説:我堂
自分の意見を強く持ち、それを臆せず口にし、対案まで提示して主導権を握ろうとする。3つの因子がすべて高いと、こういう場面での存在感は圧倒的になる。
「我堂さんの言いたいことはわかります。ただ、会社としてPQRの提案を強化したいという方針は理解できますし、チームとして足並みを揃えることも大事だと思う。江末さん、一点確認ですが、②のルールは全顧客に一律に適用するということでしょうか。それとも、担当者の判断で優先順位をつけることは認められますか?そこを明確にしていただければ、チームとしての動き方を整理できると思います」 異議を唱えるのではなく、ルールを運用可能な形に整えようとする。統川の真骨頂は、こういう場面での「橋渡し」にある。
● OPQ解説:統川
我堂と同じく説得力・指導力ともに高いが、独自性が低い分、自分のやり方にこだわるより組織の方針を優先する。人を動かすだけでなく、チーム全体が動きやすい方向に場を整えようとする。自己主張が強い我堂と似ているようで、そのねらいは異なる。
「江末さん、私もよろしいですか。お二人がおっしゃっていること、よくわかります。②について言うと、今ちょうど別の課題で動いているお客様に、PQRの提案を並行して入れていくのは、タイミング的に難しいケースもあると思うんです。せっかく関係を築いてきたのに、的外れな提案をして印象を悪くしてしまうのは、会社にとっても損失じゃないでしょうか。そのあたりは担当者の判断に任せていただけると、ありがたいのですが」
角を立てず、しかし我堂・統川の流れにうまく乗りながら、懸念をしっかり届ける。合田らしい、柔らかい一石だった。
● OPQ解説:合田
自分のやり方への強いこだわりはなく、リードしようともしないが、コミュニケーション力は高い。反論ではなく「懸念の共有」という形で場の流れに乗る。場を掌握しようとするわけでも、組織視点で整理しようとするわけでもない。ただ、自分の言いたいことははっきりと伝える。
「あの、③についてなんですが」
一瞬、場が止まった。
「訪問後24時間以内にCRMに入力する、というルールですが、これは少し現実的ではないと思います。移動時間が長い日や、訪問件数が多い日は、どうしても深夜の入力になってしまう。疲弊した状態で入力した記録が、果たして組織にとって有益な情報になるでしょうか。時間をかけてでも、精度の高い記録を残す方が、長期的には会社のためになると思います。24時間というのは、質より量を求めているように聞こえます」
言っていることは正論だ。ただ、場の全員が②について話していた。
● OPQ解説:独井
自分の意見をはっきり持ち、それを言葉にすることも厭わない。ただし場の空気や議論の流れには従わない。皆が②について議論している中、独井は③について発言した。チームの総意を形成しようとする気はなく、あくまで自分の考えを自分のタイミングで表明する。
「一つ確認です。このルールは、いつ、誰が、どのプロセスで決めたんですか」
短い言葉だったが、会議室の空気が少し変わった。
「私が聞きたいのは、現場の意見がどこまで反映されているか、ということです。私の担当顧客のほとんどは既にPQRを利用しています。やり方を変えろというなら、それ相応の根拠が必要だと思います。江末さん、背景を教えてもらえますか」
多くを語らない。しかし、その場の主導権は確実に御堂が握っていた。
● OPQ解説:御堂
口数は少ないが、自分のやり方への確固たる信念を持ち、場を支配しようとする。我堂のように声高に反論するのではなく、核心を突く一言で場の空気を変える。相手の意見を変えようとはしないが、自分の考えをはっきりと伝え、チームを導こうとする。
「江末さん、みなさんの意見を聞いていて、このままでは話がまとまらないと思うので、一度整理させてください」
和束は手元のメモを見ながら続けた。
「①の3ヶ月以内の提案書提出については、顧客の状況によって例外を認める余地があるかどうか。②のPQR全社提案については、担当者の判断で優先順位をつけることを認めてもらえるかどうか。③のCRM入力については、独井さんの指摘も踏まえて運用ルールを見直す余地があるかどうか。この3点を江末さんに確認できれば、議論が前に進むと思います。いかがでしょうか」
反論でも賛成でもない。全員の意見を拾い上げて、議論を着地点に向けて動かそうとする。
● OPQ解説:和束
自分の強い意見はなく、声高に主張することもない。しかし場をまとめ、議論を前に進めようとする力がある。強く自己主張することはないが、みんなの考えや感情を踏まえ、チームをまとめようとする。会議を円滑に進めることに貢献するタイプだ。
「一点だけ」
全員の視線が孤島に集まった。
「②について、私は全社提案に反対はしません。ただ、私のお客様への提案の仕方は、私が決めます。フォーマットや手順を統一するのは構いませんが、どのタイミングで、どういうアプローチで提案するかは、担当者に任せてください。それだけです」
それだけ言うと、孤島は再び黙った。多くは語らない。ただ、自分のスタイルだけは守る。それが孤島という人間だ。
● OPQ解説:孤島
声高に主張せず、場をリードしようともしない。しかし自分のスタイルへのこだわりは誰よりも強い。発言は短いが、そこには明確な意志がある。はっきりと反論を口にすることはないが、自分の考えを変えるつもりはない。
柔田は少し驚いたように顔を上げ、穏やかな表情で答えた。
「私は、会社の方針に従います。みなさんがおっしゃっていることも会社の方針も理解できます。やってみて難しいことがあれば、その時にまた相談させてください」
誰も傷つけない言葉だった。波風を立てない。ただ、その場の全員が少しだけ、柔田のことが心配になった。
● OPQ解説:柔田
自分の意見にこだわらず、指示に従って動くことが苦にならない。摩擦を生まない分、組織の安定剤として機能する。ただし、それは主体性がないということではない。積極的に組織の方針や周囲の人の意見を受け入れる。これが柔田のスタイルなのだ。
数日後
会議から数日後、チームに一本の電話が入った。
柔田の担当顧客からだった。
「先日お送りいただいた打ち合わせ報告書を拝見しました。私どもの課題が丁寧に整理されていて、大変参考になりました。ついては、PQRの導入について、一度詳しくお話を聞かせていただけますか」
柔田は粛々と新ルールに従って動いていた。全顧客へのPQR提案と3ヶ月以内の提案書提出に向けたスケジューリングを会議翌日には完了させ、訪問の24時間以内にCRM入力も欠かさず行った。チームの誰もが異議を唱えていた間、柔田だけがすでに動いていた。
新ルールに最も素直に従った柔田が、最初の結果を出した。それは偶然ではない。異議を唱えるエネルギーを、柔田はそのまま行動に変えていたのだ。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回はOPQの自己主張3因子から架空のキャラクター8人を設定し、それぞれの言動を描いてみました。
組織には様々な特徴を持つ人が必要です。問題を真っ向から指摘する人、課題を整理する人、場をまとめる人、粛々と行動する人など、これらの人たちが持ち味を発揮し協力し合うことで、組織はより良い成果を生み出すことができます。
次回は人付き合い編です。新たなキャラクターが職場の一幕を繰り広げます。どうぞお楽しみに。
このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員
創業期メンバーとして入社以来30年、HRコンサルタントとして日本の人事アセスメント界を牽引。大手を中心にコンピテンシーモデリングから選抜設計、サクセッションプラン構築まで広範なプロジェクトを完遂。特に経営層との対話を通じた次世代リーダー育成に高い実績を持つ。 2002年取締役、2020年より執行役員として直販部門を統括。最前線で「人と仕事と組織の最適化」を追求する傍ら、SHLグループのグローバル知見の国内導入も推進。