上級管理職の選抜にアセスメントセンターを実施している。コンピテンシー測定の結果を選抜に用いるのは理解できるが、ポテンシャル(潜在能力)を知能検査やパーソナリティ検査で測る意義は何ですか?
コンピテンシーは顕在能力なので実際に仕事をうまく出来たかどうかで測定します。実際に上級管理職として仕事をさせてみることが最も効果的なコンピテンシー測定です。しかしながら、全員に上級管理職を任せることが出来ないため、事前に最適な人を選ぶ必要があるのです。
アセスメントセンターという手法は、模擬演習を含む複合的なアセスメント手法です。御社の場合、模擬的な上級管理職の仕事を設定し、被験者に上級管理職として仕事をさせ、その際の行動を専門アセッサーが評価しているはずです。コンピテンシー評価には最適な方法の一つです。ですがこの方法にも問題点があります。短時間に限られた情報のみを使って判断や行動をさせるため、上級管理職に求められる能力を正確に測定できるわけではないのです。そこで、現職場でのコンピテンシーを測定するために360度評価を実施します。しかし、この結果も上級管理職に求められる能力を測定できません。現在従事している役割においては上級管理職のコンピテンシーを必要としていないからです。
ポテンシャル評価の意義は、やったことの無い役割に対する適合度の予測にあります。日本では「のびしろ」と表現されています。このポテンシャル、見えないだけに評価が難しい。結果的に上位者の主観による判断が優先されることとなります。主観評価は基準も自由で根拠も不要ですので、評価者によって評価がばらつきます。このばらつきを是正するために、安定的にポテンシャルを測定できる知的能力検査やパーソナリティ検査が用いられるようになりました。客観的なポテンシャル測定が測定ツールを用いる意義です。

このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員